
2006年に、初のスタジオ・ソロ・アルバム「OTHER PEOPLE'S LIVES」(全英36位・全米122位)をリリースした(1985年のアルバム「RETURN TO WATERLOO」はサントラ盤で、1998年のアルバム「THE STORYTELLER」はライヴ・アルバムなので、ソロ・アルバムには含めないらしい)レイ・デイヴィスは、翌2007年には2作目のスタジオ・ソロ・アルバム「WORKING MAN'S CAFĒ」(全米140位)をリリースしました。1996年のキンクスの2CD盤のライヴ・アルバム「TO THE BONE」から10年、1998年のソロ・ライヴ・アルバム「THE STORYTELLER」から8年の時が経過していましたが、ソロ・アルバム「OTHER PEOPLE'S LIVES」からソロ・アルバム「WORKING MAN'S CAFĒ」を立て続けにリリースした辺りから、レイ・デイヴィスの音楽活動は再び活発なものとなっています。2008年にはキンクスの全キャリアから選曲した、6CDで全138トラック(137曲)入りの箱「PICTURE BOOK」をユニバーサルからリリースして、キンクスでのキャリアを総括しています。そして、2009年にはキンクスの楽曲を合唱団やストリングスを加えたアレンジでセルフ・カバーしたアルバム「THE KINKS CHORAL COLLECTION」(全英28位)と、レイ・デイヴィスのソロ名義の楽曲だけから選曲したベスト・アルバム「COLLECTED」を、それぞれユニバーサルからリリースしています。ベスト・アルバム「COLLECTED」は、元になったアルバムがライヴ・アルバム「THE STORYTELLER」も含めて3作しかないので、些かベスト・アルバムを編纂するのは早かったと思いますが、レイ・デイヴィスはその時点でソロ作品を一旦はまとめておきたかったのでしょう。そして、キンクスの楽曲をセルフ・カバーしたアルバムを2作つづけてリリースしたのも、意味がある事だったと思います。
合唱団と共演したセルフ・カバー・アルバム「THE KINKS CHORAL COLLECTION」は、前回で取り上げた通り、最初は2009年6月にリリースされていて、同年12月に冒頭に新曲「POSTCARD FROM LONDON」を収録した改訂盤をリリースしています。その「POSTCARD FROM LONDON」では、元・恋人であるプリテンダーズのクリッシー・ハインドと共演していて、そのコンセプト的には次作であるセルフ・カバー・アルバム「SEE MY FRIENDS」に収録されていても可笑しくはありません。そのセルフ・カバー・アルバム「SEE MY FRIENDS」は、2010年11月1日にユニバーサルからリリースされています。内容は、1「BETTER THINGS」、2「CELLULOID HEROES」、3「DAYS / THIS TIME TOMORROW」、4「LONG WAY FROM HOME」、5「YOU REALLY GOT ME」、6「LOLA」、7「WATERLOO SUNSET」、8「’TIL THE END OF THE DAY」、9「DEAD END STREET」、10「SEE MY FRIENDS」、11「THIS IS WHERE I BELONG」、12「DAVID WATTS」、13「TIRED OF WAITING FOR YOU」、14「ALL DAY AND ALL OF THE NIGHT / DESTROYER」の全14曲入りで、ボーナス・トラックとして15「VICTORIA」を加えた全15曲入りと、更にボーナス・トラックとして16「MOMENTS」を加えた全16曲入りがあります。このセルフ・カバー・アルバム「SEE MY FRIENDS」は、レイ・デイヴィスが有名なバンドやミュージシャンと共演してキンクスの楽曲を演奏しているもので、共演しているビッグネームたちは後輩ミュージシャンでキンクスに影響を受けた連中なわけで、レイ・デイヴィスはどっしりと構えながらも、新たなる挑戦として臨んでいて、全英12位まで上がるヒット作となっています。
1「BETTER THINGS」はブルース・スプリングスティーン、2「CELLULOID HEROES」はボン・ジョヴィのジョン・ボン・ジョヴィとリッチー・サンボラ、3「DAYS / THIS TIME TOMORROW」はマムフォード&サンズ、4「LONG WAY FROM HOME」はルシンダ・ウィリアムズ&THE 88、5「YOU REALLY GOT ME」はメタリカ、6「LOLA」はパロマ・フェイス、7「WATERLOO SUNSET」はジャクソン・ブラウン、8「’TIL THE END OF THE DAY」はアレックス・チルトン&THE 88、9「DEAD END STREET」はエイミー・マクドナルド、10「SEE MY FRIENDS」はスプーン、11「THIS IS WHERE I BELONG」はブラック・フランシス、12「DAVID WATTS」はTHE 88、13「TIRED OF WAITING FOR YOU」はギャリー・ライトボディ、14「ALL DAY AND ALL OF THE NIGHT / DESTROYER」はビリー・コーガン、15「VICTORIA」はマンド・ディアオ、16「MOMENTS」はアルノ、のそれぞれとレイ・デイヴィスが共演しています。レイ・デイヴィスはヴォーカルだけではなく、アコースティック・ギターやエレクトリック・ギターも弾いていて、基本的には共演した相手の土俵の上で演奏して歌っているので、大物同士の懐メロ・カラオケ大会にはなっていません。特に、メタリカとの「YOU REALLY GOT ME」や、ビリー・コーガンとの「ALL DAY AND ALL OF THE NIGHT / DESTROYER」なんかを聴くと、キンクスは元祖・ヘヴィーメタル・バンドだったのだなあ、と再認識させられる熱演です。「ALL DAY AND ALL OF THE NIGHT / DESTROYER」のメドレーは、一度は演奏して欲しかったので、嬉しかったです。2010年6月23日に、キンクスのオリジナル・ベーシストだったピート・クウェイフが亡くなっているので、このアルバム「SEE MY FRIENDS」は彼に捧げられています。
(小島イコ)
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