
1970年にビートルズが解散状態なって、ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スター、の4人のメンバーは、それぞれソロ・アルバムをリリースしました。先ずはポールが1970年4月にソロ・アルバム「McCARTNEY」をリリースしたのですが、そのアルバムの見本盤にマスコミ向けで付けた「Q&A」でポールはビートルズ脱退宣言をしていて、つまりはアルバム「McCARTNEY」は「ビートルズのメンバー」として制作されています。内容は全ての楽器と歌をポールが多重録音したもので、1968年リリースのビートルズのアルバム「THE BEATLES」でも試みていた手法です。それで、ビートルズの最後のアルバム「LET IT BE」は、1970年5月にリリースされています。リンゴは1970年9月に(つまり解散後に最初にソロ・アルバムを出したのはリンゴ)、カントリー集で2作目のソロ・アルバム「BEAUCOUPS OF BLUES」をリリースしていて、それは1970年3月にリリースした最初のソロ・アルバム「SENTIMENTAL JOURNEY」がスタンダード集だったのと同じで、リンゴの趣味でシャレでやった様なアルバムです。リンゴはその後その2作をソロ・アルバムとは認めず、1973年11月リリースのアルバム「RINGO」(解散後唯一ビートルズのメンバー4人が参加したアルバム)を正式な最初のソロ・アルバムだとしています。1970年11月には、ジョージがLP3枚組の実質的には最初のソロ・アルバム「ALL THINGS MUST PASS」をリリースして、1970年12月にはジョンが最初のソロ・アルバム「JOHN LENNON / PLASTIC ONO BAND(ジョンの魂)」をリリースして、そのジョージのソロ・アルバム「ALL THINGS MUST PASS」と、ジョンのソロ・アルバム「ジョンの魂」がリリースされた事によって、ビートルズは終わったと云われています。特に、ジョンが「GOD」で「ビートルズを信じない、夢は終わった」と歌った事で、ビートルズは1960年代の夢だったとされたのです。
ところが、アルバム「ジョンの魂」は基本的には3ピース編成で、ジョンがギターもしくはピアノを弾いて歌っていて、クラウス・フォアマンがベースを弾いて、リンゴがドラムスを叩いているのです。前述の「GOD」では、ビートルズの「THE GET BACK SESSIONS」に参加したビリー・プレストンがピアノを弾いています。アルバム「ジョンの魂」がリリースされる前に、ジョンは1970年2月にプラスティック・オノ・バンド名義でシングル「INSTANT KARMA!」をリリースしていますが、それにはジョージがギターで参加していて、ジョージは1971年9月リリースのジョンの2作目のソロ・アルバム「IMAGINE」でもギターを弾いているのです。そのジョージのソロ・アルバム「ALL THINGS MUST PASS」では、リンゴがドラムスを叩いているわけで、当時は「ジョン、ジョージ、リンゴ」は普通に共演していて、ポールだけがハブにされていたのです。それで、ポールの代わりにクラウス・フォアマンにベースを弾かせて、ビートルズを継続する、などと云うデマもまことしやかに流れていました。ポールが裁判沙汰にしてまでビートルズを解散させたのは、自分がいないビートルズを存在させない為でもあったのですが、実際に裁判でビートルズの解散が認められたら、ポールは自分が訴えたのに「本当にビートルズが解散するとは思わなかった」などと発言しています。ジョンもジョンで、何だかんだと理由を付けては、ビートルズの解散決定書類へのサインをするのをのらりくらりと避けていて、最後の最後で渋々サインしています。それで、ビートルズは解散したわけですけれど、2026年の現在でも毎年新作アルバムがリリースされていて、その売り上げは56年前に解散したバンドとは思えません。ところで、今年(2026年)10月にアルバム「RUBBER SOUL」の箱が出ますけれど、4CDで2万7千5百円って、高過ぎるでしょう。同じ10月にタツローのライヴ・アルバム「JOY2」が、4CDで6千9百円で出るんですから、アップルはどうかしています。単純計算でビートルズはCD1枚「6千8百7拾5円」で、タツローはCD1枚「1千7百2拾5円」なんですよ。
さて、キンクスの場合は、1996年10月にリリースしたライヴ・アルバム「TO THE BONE」を最後に、新たにレコーディングしたアルバムはリリースされておらず、早くも30年も経ってしまいました。但し、キンクスが頭が良いのは、解散宣言をしなかった事です。1996年にキンクスが解散した事になっているのは、単にその後長期間に渡って何もしなかったからなのです。その30年の間には、レイ・デイヴィスやデイヴ・デイヴィスがソロ・アルバムをリリースしたり、ソロでのライヴ活動も行っているものの、キンクスと云う名のバンドは終わってはいないのです。2006年2月7日には、レイ・デイヴィスが初のソロ・アルバム「OTHER PEOPLE'S LIVES」をリリースしていて、全英36位・全米122位まで上がっています。そして、翌2007年10月22日(英国)・2008年2月19日(米国)に、早くも2作目のソロ・アルバム「WORKING MAN'S CAFĒ」を「V2」からリリースしました。内容は、1「VIETNAM COWBOYS」、2「YOU'RE ASKING ME」、3「WORKING MAN'S CAFĒ」、4「MORPHINE SONG」、5「IN A MOMENT」、6「PEACE IN OUR TIME」、7「NO ONE LISTEN」、8「IMAGINARY MAN」、9「ONE MORE TIME」、10「THE VOODOO WALK」の、全10曲入り「40分58秒」です。ボーナス・トラックとして、11「HYMN FOR A NEW AGE」、12「THE REAL WORLD」、13「ANGOLA(WRONG SIDE OF THE LAW)」、14「I, THE VICTIM(ROUGH MIX)」、15「VIETNAM COWBOYS(DEMO)」、16「THE VOODOO WALK(DEMO)」を加えた全16曲入り「66分4秒」など、何種類かのヴァージョンがあります。全曲がレイ・デイヴィス作で、レイ・デイヴィスとレイ・ケネディの共同プロデュースになっています。前作ソロ・アルバム同様に、レイ・デイヴィスが曲を書いて歌っていれば、それはキンクスなのですけれど、「YOU'RE ASKING ME」ではミック・エイヴォリーがドラムスを叩いていて、おいおい、あとはアノやんちゃ坊主のデイヴ・デイヴィスが戻って来たら再集結ではありませんか、と期待させました。このアルバムは、全米140位止まりでしたが、レイ・デイヴィスがやる気を出してきたのは嬉しかったです。
(小島イコ)
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