
1984年11月15日に、アリスタ移籍第6弾(ライヴ・アルバムを含めれば第7弾)で最後となった、通算20作目のオリジナル・スタジオ・アルバム「WORD OF MOUTH」をリリースしたレイ・デイヴィスが率いるキンクスは、翌1985年7月1日にレイ・デイヴィスのソロ名義でのサントラ盤「RETURN TO WATERLOO」をリリースしました。このサントラ盤は、レイ・デイヴィスのソロとなっていますが、アルバム「WORD OF MOUTH」と3曲がダブっていて、レコーディングもデイヴ・デイヴィス以外のキンクスのメンバーで行っています。アルバム「WORD OF MOUTH」は全米57位と振るわず、サントラ盤「RETURN TO WATERLOO」はチャート入りせず、アリスタは1985年にキンクスとの契約を更新しなかったので、キンクスは暫くの間は所属するレコード会社を失くしてしまいました。アリスタでは、1977年のアルバム「SLEEPWALKER」(全米21位)、1978年のアルバム「MISFITS」(全米40位)、1979年のアルバム「LOW BUDGET」(全米11位)、1980年のLP2枚組のライヴ・アルバム「ONE FOR THE ROAD」(全米14位)、1981年のアルバム「GIVE THE PEOPLE WHAT THEY WANT」(全米15位)、1983年のアルバム「STATE OF CONFUSION」(全米12位)、1984年のアルバム「WORD OF MOUTH」(全米57位)と立派な成績を残していて、1982年のシングル「COME DANCING」は全米6位の大ヒット曲となっていたのですけれど、アリスタはシビアでした。それでキンクスはアリスタから1986年6月2日に、アリスタ時代の7作のアルバムからのベスト・アルバム「COME DANCING WITH THE KINKS:THE BEST OF 1977-1986」をリリースしました。LP2枚組で、CDは1枚ですが、1986年ヴァージョンと2000年ヴァージョンがあります。このベスト・アルバムを加えると、アリスタ時代のキンクス名義でのアルバムは8作で丁度LP10枚になるので、契約枚数を消化したのでしょう。
内容は、A面が、1「YOU REALLY GOT ME(LIVE)」、2「DESTROYER」、3「(WISH I COULD FLY LIKE)SUPERMAN」、4「JUKE BOX MUSIC」、5「A ROCK'N'ROLL FANTASY」で、B面が、6「COME DANCING」、7「SLEEPWALKER」、8「CATCH ME NOW I'M FALLING」、9「DO IT AGAIN」、10「BETTER THINGS」で、C面が、11「LOLA(LIVE)」、12「LOW BUDGET」、13「LONG DISTANCE」、14「HEART OF GOLD」、15「DON'T FORGET TO DANCE」で、D面が、16「MISFITS」、17「LIVING ON A THIN LINE」、18「FATHER CHRISTMAS」、19「CELLULOID HEROES(LIVE)」の、全19曲入り「80分48秒」です。1986年盤のCDは「SLEEPWALKER」と「CATCH ME NOW I'M FALLING」と「MISFITS」の3曲を抜いた、全16曲入り「69分53秒」です。LP2枚組全19曲は、1977年のアルバム「SLEEPWALKER」から2曲(「SLEEPWALKER」、「JUKE BOX MUSIC」)、1977年のシングル1曲(「FATHER CHRISTMAS」)、1978年のアルバム「MISFITS」から2曲(「MISFITS」、「A ROCK'N'ROLL FANTASY」)、1979年のアルバム「LOW BUDGET」から3曲(「CATCH ME NOW I'M FALLING」、「(WISH I COULD FLY LIKE)SUPERMAN」、「LOW BUDGET」)、1980年のライヴ・アルバム「ONE FOR THE ROAD」から3曲(「YOU REALLY GOT ME」、「LOLA」、「CELLULOID HEROES」)、1981年のアルバム「GIVE THE PEOPLE WHAT THEY WANT」から2曲(「DESTROYER」、「BETTER THINGS」)、1983年のアルバム「STATE OF CONFUSION」から3曲(「COME DANCING」、「DON'T FORGET TO DANCE」、「HEART OF GOLD」)、そのカセットのみに収録された1曲(「LONG DISTANCE」)、1984年のアルバム「WORD OF MOUTH」から2曲(「DO IT AGAIN」、「LIVING ON A THIN LINE」)となっています。
現在のCDではボーナス・トラックとして聴ける様になった季節モノのシングル「FATHER CHRISTMAS」と、アルバム「STATE OF CONFUSION」のカセット版のみに収録されていた「LONG DISTANCE」の2曲は、当時はLPではこのベスト・アルバムでしか聴けないレア音源でした。「YOU REALLY GOT ME」、「LOLA」、「CELLULOID HEROES」と云ったキンクスの代表作でパイ時代とRCA時代の曲も、ライヴ・ヴァージョンで収録されていて、アリスタ時代だけではない幅広い選曲になっていました。1986年盤CDでは全16曲となっていますが、当時のCDは70分位しか収録出来なかったのでギリギリまで入れてCD1枚にしています。その後、CDの収録時間が長くなったので、2000年に新たなCDがリリースされています。内容は、1「COME DANCING」、2「LOW BUDGET」、3「CATCH ME NOW I'M FALLING」、4「A GALLON OF GAS」、5「(WISH I COULD FLY LIKE)SUPERMAN」、6「SLEEPWALKER」、7「FULL MOON」、8「MISFITS」、9「A ROCK'N'ROLL FANTASY」、10「DO IT AGAIN」、11「BETTER THINGS」、12「LOLA(LIVE)」、13「YOU REALLY GOT ME(LIVE)」、14「GOOD DAY」、15「LIVING ON A THIN LINE」、16「DESTROYER」、17「DON'T FORGET TO DANCE」、18「FATHER CHRISTMAS」の、全18曲入り「77分59秒」となっています。選曲と曲順が大幅に変更されていて、オリジナルLP2枚組全19曲入りから、「JUKE BOX MUSIC」、「CELLULOID HEROES(LIVE)」、「HEART OF GOLD」、「LONG DISTANCE」の4曲が外されて、1977年のアルバム「SLEEPWALKER」から1曲(「FULL MOON」)、1979年のアルバム「LOW BUDGET」から1曲(「A GALLON OF GAS」)、1984年のアルバム「WORD OF MOUTH」から1曲(「GOOD DAY」)の3曲を加えた全18曲入りとなっていて、「(WISH I COULD FLY LIKE)SUPERMAN」は、6分もある12インチ・シングル盤の拡張ヴァージョンに変更されています。
このベスト・アルバム「COME DANCING WITH THE KINKS:THE BEST OF 1977-1986」には、ビデオ・ヴァージョンもあって、内容は、1「COME DANCING」、2「PREDICABLE」、3「LOLA(LIVE)」、4「STATE OF CONFUSION」、5「DON'T FORGET TO DANCE」、6「YOU REALLY GOT ME(LIVE)」、7「DO IT AGAIN」、8「CELLULOID HEROES(LIVE)」の全8曲入りと曲数は少ないものの、貴重な映像が観れます。但し、3曲のライヴは既にリリースされていたライヴ映像「ONE FOR THE ROAD」とダブっているので、ミュージック・ビデオは他の5曲しかありません。このビデオは全編で35分しかなくて、盛り上がって来たところで終わってしまいます。以前に触れた様に、日本盤の「ONE FOR THE ROAD」のDVDに、コレに入っているミュージック・ビデオ5曲は全て収録されています。キンクスの様なバンドは、ライヴ映像やミュージック・ビデオにもってこいだと思うので、もっと色々とリリースして欲しいところですなあ。特に、パイ時代後期からRCA時代にやっていた一連のコンセプト・アルバムは、当時のライヴでも演劇的な趣向だったらしいので、MTVブームがもっと早ければ映像作品としても制作していたと思われます。まあ、それはそれでテレビ映画「RETURN TO WATERLOO」を観れば分かる通り、トンデモ展開になっていたかもしれません。それはそれとして、このベスト・アルバム「COME DANCING WITH THE KINKS:THE BEST OF 1977-1986」は、ロックンロール路線に回帰したアリスタ時代のベスト・アルバムなので良い曲が多いし、それが例え契約枚数を消化する為であったとしても、堂々とLP2枚組でリリースされたわけで、内容的にもそれだけの価値はあります。愛着があるのは1986年盤ですけれど、それは「JUKE BOX MUSIC」が入っているからで、個人的にはアリスタ時代の正にその「JUKE BOX MUSIC」からリアルタイムとなったので、これこそがキンクスのベスト・アルバムです。
(小島イコ)
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