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2026年08月08日

「ポールの道」#1172「BEAT THE BEATLES」
#219「THE KINKS PRESENT SCHOOLBOYS IN DISGRACE」

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1975年4月25日に、RCAから移籍第5弾で通算13作目のオリジナル・スタジオ・アルバム「THE KINKS PRESENT A SOAP OPERA」をリリースしたレイ・デイヴィスが率いるキンクスは、同1975年11月17日には早くも移籍第6弾で通算14作目のオリジナル・スタジオ・アルバム「THE KINKS PRESENT SCHOOLBOYS IN DISGRACE(不良少年のメロディ〜愛の鞭への傾向と対策)」を、RCAからリリースしました。またしてもコンセプト・アルバムで、これでRCAに移籍してからの6作は全てがコンセプト・アルバムとなったのです。と申しますのも、RCAとの契約はこのアルバム「THE KINKS PRESENT SCHOOLBOYS IN DISGRACE」を最後に終了して、キンクスはRCAからアリスタへと移籍するからです。それで、RCA時代のアルバムは、1971年のアルバム「MUSWELL HILLBILLIES」、1972年のアルバム「EVERYBODY'S IN SHOW-BIZ」(LP2枚組)、1973年のアルバム「PRESERVATION ACT 1」、1974年のアルバム「PRESERVATION ACT 2」(LP2枚組)、1975年のアルバム「THE KINKS PRESENT A SOAP OPERA」、そしてこの1975年のアルバム「THE KINKS PRESENT SCHOOLBOYS IN DISGRACE」と、6作連続で全てがコンセプト・アルバムとなりましてですね、その内の2作がLP2枚組だったので、5年間でコンセプト・アルバムばかりLP8枚もリリースした事となったのです。RCAでは、1976年にそれらからのベスト・アルバム「THE KINKS' GREATEST:CELLULOID HEROES」をリリース(1980年にも二番煎じのベスト・アルバム「SECOND TIME AROUND」をリリース)して契約終了となったわけで、もう1975年のアルバム「THE KINKS PRESENT A SOAP OPERA」やアルバム「THE KINKS PRESENT SCHOOLBOYS IN DISGRACE」の頃には、RCA側としても、どうせ契約終了間近なのだから、レイ・デイヴィスに勝手にやらせておこう、となったのでしょう。

いや、RCA側としては、アルバム6作をリリースさせた1971年から1975年までの5年間、ずっとレイ・デイヴィスに勝手にやられて振り回されただけだったと思っていたでしょう。ロックンロール・バンドと契約したはずなのに、出来てくるアルバムは下手なミュージカルもどきのコンセプト・アルバムばかりで、6作でLP8枚も好きな様に作らせてやったのに、サッパリ売れず、シングル・ヒット曲も生まれず、いざ契約終了が近づいた1975年には、アルバム「THE KINKS PRESENT A SOAP OPERA」が全米51位まで上がり、最後のアルバム「THE KINKS PRESENT SCHOOLBOYS IN DISGRACE」が全米45位まで上がり、おいおい、今頃になって売れてきたって、もう契約終了なんだよん、だったのですから、RCA側としては酷い話ですよ。さて、その暗黒時代だったRCA時代の最後を飾った移籍第6弾で通算14作目のオリジナル・スタジオ・アルバム「THE KINKS PRESENT SCHOOLBOYS IN DISGRACE」は、もうどうにも止まらないコンセプト・アルバムでございます。ところが、ところがですよ、アリスタへ移籍して1977年リリースの第1弾で通算15作目のオリジナル・スタジオ・アルバム「SLEEPWALKER」からは、キンクスはコンセプト・アルバムを止めてしまうのです。それで、このRCAからの最後のオリジナル・スタジオ・アルバム「THE KINKS PRESENT SCHOOLBOYS IN DISGRACE」が、最後のコンセプト・アルバムとなるのです。コレはですね、おそらく、アリスタに移籍する時に、アリスタ側からレイ・デイヴィスに「もうコンセプト・アルバムなんて流行らないから止めて下さいね」と釘を刺したのではないでしょうか。レイ・デイヴィスとしても、RCA時代に好き放題にコンセプト・アルバムを連発したので、アリスタでは心機一転、ハード・ロック路線で行くぜ、となったのでしょう。結局、RCAがバカを見ただけに終わったわけですなあ。それにしても、何故にRCAはレイ・デイヴィスの暴走を止められなかったのでしょうか。何か弱みでも握られていたのでしょうか。

さて、そんなRCA時代最後のアルバム「THE KINKS PRESENT SCHOOLBOYS IN DISGRACE」の内容は、A面が、1「SCHOOLDAYS」、2「JACK THE IDIOT DUNCE」、3「EDUCATION」、4「THE FIRST TIME WE FALL IN LOVE」で、B面が、5「I'M IN DISGRACE」、6「HEADMASTER」、7「THE HARD WAY」、8「THE LAST ASSEMBLY」、9「NO MORE LOOKING BACK」、10「FINALE」の、全10曲入りで、CDも全10曲でボーナス・トラックは収録されていません。全曲がレイ・デイヴィスの単独作で、プロデュースもレイ・デイヴィスことレイモンド・ダグラス・デイヴィスが手掛けています。学生時代を描いたコンセプト・アルバムで、「JACK THE IDIOT DUNCE」ではアルバム「PRESERVATION」の主人公であるフラッシュの若かりし頃が歌われていたりして、パイ時代のアルバム「THE KINKS ARE THE VILLAGE GREEN PRESERVATION SOCIETY」から始まった長いコンセプト・アルバムの完結編となっています。全体的にはデイヴ・デイヴィスがモデルと思われる学生が主人公で、1950年代のドゥーワップやロックンロールやアメリカン・ポップスを思わせる曲もあるものの、デイヴ・デイヴィスが好きなハード・ロック路線の楽曲が多く収録されていて、コンセプト・アルバムながら単体としての楽曲が粒ぞろいで良いアルバムです。しかしながら、ステージ上では相変わらずのミュージカル仕立てで、レイ・デイヴィスとその演劇集団によるお芝居みたいな事になっていました。このアルバム「THE KINKS PRESENT SCHOOLBOYS IN DISGRACE」は、前作アルバム「THE KINKS PRESENT A SOAP OPERA」同様に、良い曲が沢山あるので全米45位まで上がったのでしょうし、路線としてはアリスタ移籍後の次作アルバム「SLEEPWALKER」へと真っ直ぐに繋がっています。キンクスはアリスタ時代に第2の黄金時代を迎える事となり、それは不遇だったRCA時代なくしてはありえなかったわけですが、RCA側としてはいい迷惑です。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする