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2026年08月07日

「ポールの道」#1171「BEAT THE BEATLES」
#218「THE KINKS PRESENT A SOAP OPERA」

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1971年にパイからRCAへ移籍したレイ・デイヴィスが率いるキンクスは、1971年に移籍第1弾で通算9作目のオリジナル・スタジオ・アルバム「MUSWELL HILLBILLIES」を、1972年に移籍第2弾で通算10作目のオリジナル・スタジオ・アルバム「EVERYBODY'S IN SHOW-BIZ」(LP2枚組で1枚目がスタジオ・アルバムで2枚目がライヴ・アルバム)を、1973年に移籍第3弾で通算11作目のオリジナル・スタジオ・アルバム「PRESERVATION ACT 1」を、1974年に移籍第4弾で通算12作目のオリジナル・スタジオ・アルバム「PRESERVATION ACT 2」(LP2枚組)をリリースしました。それらは全てがコンセプト・アルバムで、アルバム「MUSWELL HILLBILLIES」は全米100位、アルバム「EVERYBODY'S IN SHOW-BIZ」は全米70位、アルバム「PRESERVATION ACT 1」は全米177位、アルバム「PRESERVATION ACT 2」は全米114位、全英では全てチャート入りなしと、商業的には軒並み失敗しています。と申しますか、キンクスは1971年から1974年までのたったの4年間で、コンセプト・アルバムばかりを立て続けに4作もリリースしていて、その内の2作はLP2枚組なので、4年で6枚もLPをリリースしていたのです。それでも売れれば問題はないのですけれど、それらのコンセプト・アルバムは全く売れず、シングルもアルバム「MUSWELL HILLBILLIES」からの「20TH CENTURY MAN」が全米106位、アルバム「EVERYBODY'S IN SHOW-BIZ」からの「SUPERSONIC ROCKET SHIP」が全英16位・全米111位、アルバム「PRESERVATION ACT 1」からの「ONE OF THE SURVIVORS」が全米108位、他はチャート入りすらしない散々な結果でした。RCA側としても、もういい加減にレイ・デイヴィスのコンセプト・アルバムには懲り懲りになっていたでしょう。

ところが、レイ・デイヴィスの暴走は止まらず、1975年には移籍第5弾で通算13作目のオリジナル・スタジオ・アルバム「THE KINKS PRESENT A SOAP OPERA」と、移籍第6弾で通算14作目のオリジナル・スタジオ・アルバム「THE KINKS PRESENT SCHOOLBOYS IN DISGRACE」の、2作のコンセプト・アルバムをリリースしたのです。流石のRCAもその事態に匙を投げて、キンクスはアルバム「THE KINKS PRESENT SCHOOLBOYS IN DISGRACE」を最後に、RCAからアリスタへと移籍する事となってしまうのです。だってね、1971年から1975年までの5年間で、アルバム6作でその内2作がLP2枚組なので、LP8枚も乱発して、それらが全て売れもしないコンセプト・アルバムだったのですから、そりゃあ、契約も切られますよ。コロムビア時代のナイアガラじゃないんですから、トンデモ案件でしょう。でもですね、アルバム「THE KINKS PRESENT A SOAP OPERA」は全米51位で、アルバム「THE KINKS PRESENT SCHOOLBOYS IN DISGRACE」は全米45位まで上がっているのですよ。それで、アリスタ移籍第1弾で通算15作目のオリジナル・スタジオ・アルバム「SLEEPWALKER」は、全米21位まで上がっているわけで、RCAはレイ・デイヴィスの我がままに振り回された上に、ようやく売れて来たところでアリスタに美味しいところを取られちゃったのです。さて、RCA時代のレコードは、アリスタ時代からリアルタイムになったあたくしの様な後追い世代にとっては、パイ時代のレコードよりも更に入手困難でした。それで、輸入盤で1976年に出たベスト・アルバム「THE KINKS’ GREATEST:CELLULOID HEROES」と、後はこの2作であるアルバム「THE KINKS PRESENT A SOAP OPERA」とアルバム「THE KINKS PRESENT SCHOOLBOYS IN DISGRACE」の3枚しか買えませんでした。つまり、他の4作はCD化されて漸く買えたのです。

それで、このアルバム「THE KINKS PRESENT A SOAP OPERA」は個人的には思い入れがある1枚で、1975年4月25日にRCAからリリースされています。内容は、A面が、1「EVERYBODY'S A STAR(STARMAKER)」、2「ORDINARY PEOPLE」、3「RUSH HOUR BLUES」、4「NINE TO FIVE」、5「WHEN WORK IS OVER」、6「HAVE ANOTHER DRINK」で、B面が、7「UNDERNEATH THE NEON SIGN」、8「HOLIDAY ROMANCE」、9「YOU MAKE IT ALL WORTHWHILE」、10「DUCKS ON THE CROWD」、11「(A)FACE IN THE CROWD」、12「YOU CAN'T STOP THE MUSIC」の、全12曲入りです。CDには、13「EVERYBODY'S A STAR(STARMAKER)」シングル・ヴァージョンと、14「ORDINARY PEOPLE」、15「YOU MAKE IT ALL WORTHWHILE」、16「UNDERNEATH THE NEON SIGN」の3曲のライヴ・ヴァージョンを加えた全16曲入りです。全曲がレイ・デイヴィスの単独作で、プロデュースもレイ・デイヴィスことレイモンド・ダグラス・デイヴィスが務めています。このアルバム「THE KINKS PRESENT A SOAP OPERA」は、1974年9月に放送されたテレビ・ミュージカル・ドラマ「STARMAKER」(レイ・デイヴィス:脚本・主演)用に書かれた9曲に新たに3曲を加えた構成で、レイ・デイヴィスが演じる「平凡な会社員であるノーマン・ジョーンズに乗り移ったスターメイカー」が、人間社会を知ってゆくコンセプト・アルバムで、云わばドラマのサントラ盤の様な作品です。しかしながら、流石に前作アルバム「PRESERVATION ACT 2」が難解過ぎる内容だったのを反省したのか、かなり分かり易く作られていて、シングル・ヒット曲こそ生まれなかったものの、楽曲自体は悪くない佳曲揃いです。そんな分かり易さが、コンセプト・アルバムながら全米51位まで上がった理由でしょう。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする