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2026年05月31日

「ポールの道」#1105「BEAT THE BEATLES」
#154「STILL LIFE(AMERICAN CONCERT 1981)」

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1980年代の幕開けの様な痛快なロックンロール・アルバムで、16作目のスタジオ・アルバム「TATTOO YOU」を1981年8月24日にリリースしたローリング・ストーンズですが、実はその内容はほとんどが1970年代にリリースした過去のアルバムでのレコーディング・セッション音源を元にしたリサイクル・アルバムでした。プロデュースはグリマー・ツインズでしたが、実際には共同プロデュースしたクリス・キムジーと、バラバラな素材を統一感のあるリミックスを行ったボブ・クリアマウンテンの手腕が大きなアルバムです。ところで、アルバム「TATTOO YOU」のジャケットなのですけれど、表はミック・ジャガーの顔で、裏はキース・リチャーズの顔で、どちらも顔中にタトゥーが合成されていて、タイトルもそれを反映しています。しかしながら、キース・リチャーズはその刺青入りの顔のジャケットが大嫌いだったそうです。ローリング・ストーンズのアルバムのジャケットが表面はミック・ジャガーの顔になったのは、このアルバム「TATTOO YOU」が最初ではなく、1973年のアルバム「GOATS HEAD SOUP」も表面はミック・ジャガーで裏面はキース・リチャーズでしたし、1977年のライヴ・アルバム「LOVE YOU LIVE」もミック・ジャガーの顔でした。変わったところでは、1970年のライヴ・アルバム「‘GET YER YA-YA'S OUT!’ THE ROLLING STONES IN CONCERT」のジャケットは、チャーリー・ワッツとロバでした。それで、かつてのローリング・ストーンズのライバルだったビートルズのアルバム・ジャケットを見て感心するのは、1963年のアルバム「PLEASE PLEASE ME with Love Me Do and 12 other songs」から、1970年のアルバム「LET IT BE」まで、全てのアルバム・ジャケットに、ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターの4人が均等な大きさで並んで映っている点です。ローリング・ストーンズの場合も、1960年代のブライアン・ジョーンズが居た頃のアルバムでは、メンバー5人が映っているジャケットだったのです。例外はトイレ・ジャケットの1968年のアルバム「BEGGARS BANQUET」ですが、土壇場で白地にタイトルだけのジャケットに変更されています。

それが打ち破られたのが、前述の1970年のライヴ・アルバム「‘GET YER YA-YA'S OUT!’ THE ROLLING STONES IN CONCERT」のチャーリー・ワッツとロバの写真だったわけで、1970年代からは様々なジャケットになっていて、股間のアップの1971年のアルバム「STICKY FINGERS」や、写真をコラージュした1972年のアルバム「EXILE ON MAIN ST.」などを経て、ミック・ジャガーの顔のアップの1973年のアルバム「GOATS HEAD SOUP」に至ったのです。1971年のアルバム「STICKY FINGERS」と同時に、アンディ・ウォーホルがローリング・ストーンズ・レコードのトレードマークとして「ベロ出しマーク」を考案していて、それは明らかにミック・ジャガーをイメージしたものだったので、その時点でローリング・ストーンズのフロントマンはミック・ジャガーとなったのでしょう。但し、1960年代初頭にグループを結成した当時のローリング・ストーンズのリーダーはブライアン・ジョーンズで、それがジャガー=リチャーズの台頭によってリーダー失格となり解雇されてから、ローリング・ストーンズのリーダーは、ミック・ジャガーとキース・リチャーズ双頭体制になったわけで、それでアルバム「GOATS HEAD SOUP」やアルバム「TATTOO YOU」では、表面はミック・ジャガーですが裏面はキース・リチャーズと云う配慮がなされたのでしょう。それで、話はアルバム「TATTOO YOU」に戻りますが、前述の通り内容は全11曲中9曲が過去のボツ音源をリサイクルしていて、新曲2曲も元々は1980年のアルバム「EMOTIONAL RESCUE」の頃にはあった曲なので、全てがリサイクルで構成されていると云っても良い内容なのです。それでも、ローリング・ストーンズは1981年8月にはどうしても新作アルバムをリリースしなければならなかったので、無理矢理に制作したのがアルバム「TATTOO YOU」でした。何故にそうまでして新作アルバムをでっち上げたのかと云うとですね、1981年11月から12月にかけて北米ツアーが決定していたからで、それに合わせた新作アルバムを間に合わせる必要があったからなのです。この時の北米ツアーは映画「LET'S SPEND THE NIGHT TOGETHER」にもなっているので、今更新作アルバムは出せません、なんて云っていられない状況だったのでしょう。

そうして北米ツアーが行われて、1982年6月1日にはライヴ・アルバム「STILL LIFE(AMERICAN CONCERT 1981)」を、ローリング・ストーンズ・レコードからリリースしました。ジャケットの絵は、日本人画家のカズ・ヤマザキさんが担当しています。内容は、A面が、1「INTRO:TAKE THE A TRAIN」、2「UNDER MY THUMB」、3「LET'S SPEND THE NIGHT TOGETHER」、4「SHATTERED」、5「TWENTY FLIGHT ROCK」、6「GOING TO A GO GO」で、B面が、1「LET ME GO」、2「TIME IS ON MY SIDE」、3「JUST MY IMAGINATION(RUNNING AWAY WITH ME)」、4「START ME UP」、5「(I CAN'T GET NO)SATISFACTION」、6「OUTRO:STAR SPANGLED BANNER」の、全12曲入りです。ローリング・ストーンズによる演奏は10曲で、実際には各公演で25曲程演奏された中から厳選していて、1981年11月5日のニュー・ジャージー公演から1曲(「UNDER MY THUMB」)、同年11月25日のシカゴ公演から1曲(「START ME UP」)、同年12月7日のラーゴ公演から1曲(「LET ME GO」」)、同年12月9日のラーゴ公演から2曲(「TWENTY FLIGHT ROCK」、「GOING TO A GO GO」)、同年12月13日のテンピ公演から1曲(「(I CAN'T GET NO)SATISFACTION」)、同年12月18日のハンプトン公演から3曲(「LET'S SPEND THE NIGHT TOGETHER」、「SHATTERED」、「TIME IS ON MY SIDE」)、同年12月19日のハンプトン公演から1曲(「JUST MY IMAGINATION(RUNNING AWAY WITH ME)」)となっています。メンバーは、ミック・ジャガー(リード・ヴォーカル、ギター)、キース・リチャーズ(ギター、バッキング・ヴォーカル)、ロン・ウッド(ギター、バッキング・ヴォーカル)、ビル・ワイマン(ベース)、チャーリー・ワッツ(ドラムス)のローリング・ストーンズの5人に、イアン・スチュワート(ピアノ)、イアン・マクレガン(キーボード)、アーニー・ワッツ(サックス)を加えた布陣で、全英4位・全米5位となっています。1960年代の楽曲も多く取り上げたセットリストで、最後にはジミ・ヘンドリックスによるアメリカ国歌「星条旗よ永遠なれ」が流されています。このライヴ・アルバム自体が、今度は1982年のヨーロッパ・ツアーに間に合う様にリリースされています。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする