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2026年05月05日

「ポールの道」#1080「BEAT THE BEATLES」
#129「BEGGARS BANQUET」

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ビートルズのマネばかりしている、とジョン・レノンにバカにされていたローリング・ストーンズですが、確かに1967年のシングル「WE LOVE YOU」(ジョン・レノン&ポール・マッカートニー参加)はビートルズのシングル「ALL YOU NEED IS LOVE」(ミック・ジャガー&キース・リチャーズ参加)の二番煎じだったし、同年のアルバム「THEIR SATANIC MAJESTIES REQUEST」はビートルズのアルバム「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」の後追いでした。特にアルバム「THEIR SATANIC MAJESTIES REQUEST」は、評論家から「ビートルズの劣化版で猿真似だ」とまで云われています。しかしながら、ローリング・ストーンズの英国オリジナル・アルバムを年代順に聴いてゆくとですね、いきなりだなあ、とアルバム「THEIR SATANIC MAJESTIES REQUEST」の様なサイケデリック・サウンドになったわけではありません。1966年のアルバム「AFTERMATH」から、1967年のアルバム「BETWEEN THE BUTTONS」を経て、1967年のアルバム「THEIR SATANIC MAJESTIES REQUEST」となったわけで、英国デッカ・オリジナル・アルバムでは徐々にサイケデリックな方向へと進んでいたと分かるのです。ところが、当時の米国ロンドン編集アルバムだと、アルバム「AFTERMATH」もアルバム「BETWEEN THE BUTTONS」もタイトルは同じなのに収録曲が違っていて、シングル曲を無理矢理に押し込んでオリジナル・アルバムでの数曲を外してしまっていたので、いきなりアルバム「THEIR SATANIC MAJESTIES REQUEST」が出た様に感じられたわけですよ。それを云ったならば、ビートルズの1965年のアルバム「RUBBER SOUL」も1966年のアルバム「REVOLVER」も、米国キャピトル盤は不完全なカタチでリリースされていたわけで、どちらも英国オリジナル・アルバムと同内容となったのは、1967年のビートルズのアルバム「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」であり、ローリング・ストーンズのアルバム「THEIR SATANIC MAJESTIES REQUEST」だったのです。故に、米国では突如としてビートルズやローリング・ストーンズが劇的な変化を遂げた様に受け取られたわけですなあ。

ローリング・ストーンズのレコードは、1967年のシングル「WE LOVE YOU / DANDELION」まではアンドリュー・ルーグ・オールダムがプロデュースしていましたが、決裂してアルバム「THEIR SATANIC MAJESTIES REQUEST」はローリング・ストーンズのセルフ・プロデュース作になっています。そこで、1968年からは新たにジミー・ミラーをプロデューサーに迎えて、原点回帰の方向性へと進むのです。それで、1968年5月にはシングル「JAMPIN' JACK FLASH」(B面は「CHILD OF THE MOON」)をリリースして、全英首位!・全米ビルボード3位(キャッシュボックス首位!)の大ヒット曲となりました。それまでの最高傑作とされていた「(I CAN'T GET NO)SATISFACTION」に対抗出来る名曲を生み出した事から、アルバムの方向性も決まって、英国オリジナルでは7作目となるアルバム「BEGGARS BANQUET」が、ジミー・ミラーのプロデュースで完成しました。が、しかし、現在では元のデザイン通りにトイレのジャケットになっているものの、1968年当時は「下品過ぎる」との理由で変更せざるを得なくなって、やけっぱちの如く真っ白なジャケットに変更されて、1968年12月6日にようやく英国デッカ・米国ロンドンからリリースされたのです。そうです、その通りです。運悪く、1968年11月22日にビートルズのアルバム「THE BEATLES(ホワイト・アルバム)」がリリースされたばかりで、そこに同じ様な無地のジャケットでローリング・ストーンズのアルバム「BEGGARS BANQUET」が登場したわけで、またしても「ビートルズのマネばかりしている」と思われてしまったのです。アルバム「BEGGARS BANQUET」の内容は、A面が、1「SYMPATHY FOR THE DEVIL」、2「NO EXPECTATIONS」、3「DEAR DOCTOR」、4「PARACHUTE WOMAN」、5「JIGSAW PUZZLE」で、B面が、1「STREET FIGHTING MAN」、2「PRODIGAL SON」、3「STRAY CAT BLUES」、4「FACTORY GIRL」、5「SALT OF THE EARTH」の、全10曲入りです。ロバート・ウィルキンズのカバー「PRODIGAL SON」以外の9曲はジャガー=リチャーズによるオリジナルとなっていて、全体的にアコースティック・ギターを中心としたブルースに回帰した様なサウンドとなっています。これはですね、ひとことで云えば「名盤」です。

前作のサイケデリックなアルバム「THEIR SATANIC MAJESTIES REQUEST」とは真逆の方向転換をした様に聴こえますが、実はこの二つのアルバムはそれ程にはかけ離れた作品集ではなくて、逆にかなり近い感覚で制作されています。と申しますのも、ローリング・ストーンズの5人と共に、ニッキー・ホプキンスがどちらのアルバムでも全面的に参加していて、つまり同じ布陣でレコーディングされているからです。ブライアン・ジョーンズがメンバーだった時代にリリースされた最後のアルバムで、翌年にブライアン・ジョーンズはローリング・ストーンズを解雇された挙句、亡くなってしまうのです。それ故に貢献度が低いアルバムとも云われているものの、実際には全10曲中8曲のレコーディング・セッションに参加していて、相変わらず、アコースティック・スライド・ギター、アコースティック・ギター、ハーモニカ、メロトロン、シタール、タブラ、バック・ヴォーカル、とマルチプレイヤーぶりを発揮しています。但し、このアルバム「BEGGARS BANQUET」ではキース・リチャーズが大活躍していて、エレクトリック・ギター、アコースティック・ギター、エレクトリック・スライド・ギター、ベース、バック・ヴォーカルと、ギターはほとんどをキース・リチャーズが弾いているし、印象的な「SYMPATHY FOR THE DEVIL」、「STREET FIGHTING MAN」、「STRAY CAT BLUES」での手数が多いベースもキース・リチャーズが弾いていて(シングル「JAMPIN' JACK FLASH」のベースも弾いている)、最後の「SALT OF THE EARTH」では出だしのリード・ヴォーカルまで務めています。ブライアン・ジョーンズが目立たないと云うよりも、キース・リチャーズが目立ち過ぎなのです。「SYMPATHY FOR THE DEVIL」なんて、もう「リード・ベース」ですよ。ポール・マッカートニーは、アルバム「THE BEATLES」に収録された「WHY DON'T WE DO IT IN THE ROAD?」を「STREET FIGHTING MAN」へのアンサー・ソングとして書いたと云われていますが(インドで猿が道端で交尾していたのを見て書いたとも云われている)、前述の理由でアルバム「BEGGARS BANQUET」は1968年12月までリリース出来なかったので、ポールはわざわざ米国で1968年8月に先行シングル化されたのを聴いたのか、もしくはミック・ジャガーかキース・リチャーズに見本盤をもらって聴いたのでしょう。ポールは、ジョンとは違う意味で、結構ローリング・ストーンズを意識しているのです。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする