nana.812.png

2026年05月04日

「ポールの道」#1079「BEAT THE BEATLES」
#128「THEIR SATANIC MAJESTIES REQUEST」

theirsatanicmr.jpg


ジョン・レノン曰く「ローリング・ストーンズは、ビートルズのマネばかりしている」が最高潮に達したのは、1967年です。ローリング・ストーンズの英国オリジナル・アルバムを追えば、1966年のアルバム「AFTERMATH」は1965年のビートルズのアルバム「RUBBER SOUL」のマネだし、1967年のアルバム「BETWEEN THE BUTTONS」は1966年のビートルズのアルバム「REVOLVER」のマネだし、1967年のアルバム「THEIR SATANIC MAJESTIES REQUEST」は1967年のビートルズのアルバム「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」のマネと云う事になります。そうやって、ローリング・ストーンズはビートルズの後追いをしていたのですけれど、1968年のアルバム「BEGGARS BANQUET」で遂に独り立ちした様に思えます。但し、1968年にはビートルズはアルバム「THE BEATLES(ホワイト・アルバム)」をリリースしていて、1969年には失敗に終わったものの「THE GET BACK SESSIONS」を行っているので、原点回帰と云う意味ではローリング・ストーンズは未だビートルズの後追い状態でした。ビートルズは事実上では1969年のアルバム「ABBEY ROAD」で解散してしまうので、ローリング・ストーンズは繰り上げ当選の様なカタチでトップになってしまいます。しかしながら、そこからがローリング・ストーンズの底力で、常に時代の最先端を行くバンドのマネをして、2026年の現在まで世界最強のロックンロール・バンドとして君臨してゆくのです。ビートルズが解散した後の1970年代には、グラム・ロックが流行すれば化粧してグラム・ロック化するし、ディスコが流行れば臆面もなくディスコをやるし、レゲエが流行れば普通にレゲエもやるし、パンクが出てくれば平気でパンクだってやったわけです。ディスコに接近した「MISS YOU」を聴いたジョン・レノンは、アレは自分が書いた「SCARED」のスピードをアップしただけのパクリだ、と公言していました。ジョンにとっては、ローリング・ストーンズは舎弟であってですね、ビートルズが1966年にライヴ活動を止めた時に、ミック・ジャガーが文句を云ったら、ジョンは「ビートルズは、ミックがランチ・ボックスを持って学校に通っていた頃には、既にハンブルクで夜通し箱バンをやっていたんだぜ」と相手にしていなかったのです。

話は一寸変わりますが、トッド・ラングレンが「レコードで世界を変えようとしているバカがいる」と歌にした時も、ジョンは「トッドの『I SAW THE LIGHT』は、ビートルズの『THERE'S A PLACE』に似ているね」と鼻で笑っていて、ジョンみたいな毒舌野郎に喧嘩を仕掛けるのはアホですなあ。そんなローリング・ストーンズがビートルズに大接近したのが、1967年で、先ずはブライアン・ジョーンズがビートルズのレコーディング・セッションに前年の1966年から参加していて、「YELLOW SUBMARINE」と「YOU KNOW MY NAME(LOOK UP THE NUMBER)」でプレイしています。1967年6月25日の世界衛星生中継番組「OUR WORLD」でビートルズが「ALL YOU NEED IS LOVE」を公開レコーディングした時には、ミック・ジャガーとキース・リチャーズがコーラスで参加していて、その姿がバッチリと映っています。そのお返しに、ジョンとポールはローリング・ストーンズのシングル「WE LOVE YOU」にコーラスで参加していて、ノンクレジットながら聴けばすぐにジョンとポールによる歌声だと分かります。ビートルズが1967年5月26日にリリースした英国オリジナルでは8作目のアルバム「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」のジャケットには、シャーリー・テンプルの人形が「WELCOME THE ROLLING STONES」と書かれた洋服を着ていて、それに返答するかのようにローリング・ストーンズのアルバム「THEIR SATANIC MAJESTIES REQUEST」のジャケット写真にはビートルズの4人の顔が潜んでいます。前述のシングル「WE LOVE YOU(全英8位・全米50位) / DANDELION(全米14位)」を最後に、アンドリュー・ルーグ・オールダムはローリング・ストーンズのプロデュースを辞めてしまったので、このアルバム「THEIR SATANIC MAJESTIES REQUEST」はローリング・ストーンズのセルフ・プロデュース作となっています。英国デッカからのオリジナルでは6作目で、米国ロンドンからの編集アルバムでは9作目(ライヴ・アルバムを加えれば10作目)となったアルバム「THEIR SATANIC MAJESTIES REQUEST」は、初めて英米で内容が同じになった作品で、1967年12月8日にリリースされています。ちなみに、ビートルズも英国オリジナルでは8作目で、米国編集アルバムでは14作目となったアルバム「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」で英米の内容が同じ(厳密に云えば英国盤では最後に入っているインナー・グルーヴは米国盤には入っていない)になっています。

アルバム「THEIR SATANIC MAJESTIES REQUEST」の内容は、A面が、1「SING THIS ALL TOGETHER」、2「CITADEL」、3「IN ANOTHER LAND」、4「2000 MAN」、5「SING THIS ALL TOGETHER(SEE WHAT HAPPENS)」で、B面が、1「SHE'S A RAINBOW」、2「THE LANTERN」、3「GOMPER」、4「2000 LIGHT YEARS FROM HOME」、5「ON WITH THE SHOW」の、全10曲入りです。但し、A面最後の「SING THIS ALL TOGETHER(SEE WHAT HAPPENS)」の後に、シークレット・トラックで「COSMIC CHRISTMAS」が収録されています。英国での初回盤のジャケット写真は3Dになっていて、トータル・アルバムになっている点も、明らかにビートルズのアルバム「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」を意識しています。それは別にローリング・ストーンズに限った事ではなくて、1967年当時の英米のバンドはこぞってアルバム「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」のマネをしていたのですけれど、やはり、そこは「ビートルズの公式ライバル」だったローリング・ストーンズなので、ビートルズのマネはイカンでしょ、となったのです。「IN ANOTHER LAND」がビル・ワイマン作で、他の9曲はジャガー=リチャーズ作で、全曲オリジナルです。アルバムは全英3位・全米2位とヒットしたものの、やはり「ビートルズのマネ」と評論家には貶されました。英国でのシングル・カットはなくて、米国などでは「IN ANOTHER LAND(ビル・ワイマンのソロ名義) / THE LANTERN」(全米87位)と「SHE'S A RAINBOW / 2000 LIGHT YEARS FROM HOME」(全米25位)がシングル・カットされました。このアルバムに乗り気ではなかったと云われているブライアン・ジョーンズは、それでも、メロトロン、テルミン、サックス、ヴィブラフォン、ハープ、フルート、オルガン、エレクトリック・ダルシマー、リコーダー、バック・ヴォーカルと大活躍していて、ミック・ジャガー(リード・ヴォーカル)、キース・リチャーズ(ギター、ベース、バック・ヴォーカル)、ビル・ワイマン(ベース)、チャーリー・ワッツ(ドラムス)の、ローリング・ストーンズ5人に加えて、ニッキー・ホプキンス(ピアノ、オルガン、チェンバロ)が全面参加していて、「SHE'S A RAINBOW」のストリングス・アレンジは後にレッド・ツェッペリンに加入するジョン・ポール・ジョーンズが手掛けています。そして、ブライアン・ジョーンズが同じ1967年に制作したサントラ音源には、ジミー・ペイジがギターで参加しています。個人的にはブライアン・ジョーンズが好きなので、アルバム「THEIR SATANIC MAJESTIES REQUEST」も好きです。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする