
ビートルズのアルバムは、1966年リリースのアルバム「REVOLVER」までは米国では独自の選曲をされていて、英米で統一されたのは1967年リリースのアルバム「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」からでした。英国でのデビュー・アルバムは1963年の「PLEASE PLEASE ME with Love Me Do and 12 other songs」全14曲入りでしたが、米国では1963年にヴィージェイからリリースされた「INTRODUCING THE BEATLES」全12曲入りとなり、ジャケットもタイトルも変更されています。米国では、1964年にキャピトルからリリースされた「MEET THE BEATLES!」全12曲入りがデビュー・アルバムの様な扱いをされていましたが、それは英国では2作目で1963年のアルバム「WITH THE BEATLES」全14曲入りを元にした編集盤でした。英国盤の「WITH THE BEATLES」は、シングル曲が1曲も収録されていない潔いアルバムでしたが、米国盤の「MEET THE BEATLES!」は1曲目がシングル「I WANT TO HOLD YOUR HAND(抱きしめたい)」から始まっています。ビートルズの後を追ったローリング・ストーンズの場合も同じ様な展開となっていて、英国盤と米国盤のタイトルや内容が同じになったのは、1967年リリースのアルバム「THEIR SATANIC MAJESTIES REQUEST」からとなっています。ビートルズとローリング・ストーンズに共通しているのは、最初の内は英国盤と米国盤で別々のタイトルでアルバムをリリースしていたのに、1965年から1966年にかけては、タイトルは同じなのに内容は違っている点です。ビートルズの場合は、1965年のアルバム「HELP!」とアルバム「RUBBER SOUL」と1966年のアルバム「REVOLVER」はそうで、ローリング・ストーンズの場合も、1965年のアルバム「OUT OF OUR HEADS」と1966年のアルバム「AFTERMATH」と1967年のアルバム「BETWEEN THE BUTTONS」がそうで、ローリング・ストーンズの場合は、1966年のベスト・アルバム「BIG HITS(HIGH TIDE AND GREEN GRASS)」と1969年のベスト・アルバム「THROUGH THE PAST, DARKLY(BIG HITS VOL.2)」もタイトルは同じですが、英国盤と米国盤では選曲とジャケットが違っています。
それで、ビートルズの場合は1987年の初CD化の際に、基本的には英国オリジナル・アルバムを採用していて、例外として1967年のアルバム「MAGICAL MYSTERY TOUR」を米国盤仕様(英国オリジナルではEP2枚組だった為)にして、アルバム未収録曲は「PAST MASTERS」として新たに編集アルバムにして、モノラル・ミックスとステレオ・ミックスの違いを考慮しなければ、効率良く公式213曲の全てを入手出来る様になっていました。問題は1960年代のローリング・ストーンズですが、1984年から1988年にかけて英国で初CD化された時には英国盤仕様2作と米国盤仕様の15作が出ていたものの、その後に米国で1986年から1987年にかけて米国盤仕様で17作がリマスター(アンドリュー・ルーグ・オールダムが監修)されて、日本では1985年から英国盤仕様と米国盤仕様を混在した25作がCD化されました。ところが、1995年には英国でも米国盤CD仕様17作に統一されてしまい、日本でも1997年には米国盤仕様17作に統一されてしまったのです。英国盤仕様は、その後はモノラル・ミックスの箱などでCD化されているものの、単品のCDは長い間は廃盤となり、2002年になって何作かがCD化されています。つまり、本来ならばオリジナルであったはずの英国盤仕様のCDが廃盤になって、米国編集盤仕様がレギュラー化してしまったのです。英国盤仕様CDは、普通に安いものの中古盤でしか手に入らないレア音源化してしまったわけで、コレをビートルズの場合で考えるとですね、例えば英国オリジナル・アルバム「PLEASE PLEASE ME with Love Me Do and 12 other songs」が廃盤になって、アルバム「MEET THE BEATLES!」がレギュラー化している様なもんで、もっと云えば、英国オリジナル仕様のアルバム「RUBBER SOUL」やアルバム「REVOLVER」が廃盤になって、同名なのにスカスカ編集盤である米国盤のアルバム「RUBBER SOUL」やアルバム「REVOLVER」がレギュラー化してしまう様なもんなのですよ。そんな神をも恐れぬトンデモ状態を、ローリング・ストーンズの場合は平気で行われてしまったわけで、そんな事をしたのは「ABKCO」と云うレーベルであってですね、それは、あの悪名高いアラン・クレインが作った会社なのです。ローリング・ストーンズやビートルズをコロリと騙したその豪腕は、ある意味凄かったのでしょうなあ。
1964年4月17日に、ローリング・ストーンズは英国でデッカからデビュー・アルバム「THE ROLLING STONES」をリリースして、それまで21週連続首位!(その前作「PLEASE PLEASE ME with Love Me Do and 12 other songs」からだと51週連続首位!)だったビートルズのアルバム「WITH THE BEATLES」を蹴落として全英首位!となり、12週連続でその座を守りました。米国では、同1964年5月29日に米国ロンドンから「ENGLAND’S NEWEST HIT MAKERS」と云うタイトル(元々は英国盤同様に「THE ROLLING STONES」だった)で米国でのデビュー・アルバムとしてリリースされて、全米11位まで上がっています。アルバム「ENGLAND’S NEWEST HIT MAKERS」の内容は、A面が、1「NOT FADE AWAY」、2「ROUTE 66」、3「I JUST WANT TO MAKE LOVE TO YOU」、4「HONEST I DO」、5「NOW I'VE GOT A WITNESS」、6「LITTLE BY LITTLE」で、B面が、1「I'M A KING BEE」、2「CAROL」、3「TELL ME」、4「CAN I GET A WITNESS」、5「YOU CAN MAKE IT IF YOU TRY」、6「WALKING THE DOG」の、全12曲入りです。英国でのオリジナル・デビュー・アルバムとは、同じ写真をジャケットに使い回していて、違っているのは米国盤にはデカデカとバンド名とタイトルが載っている点です。内容も、英国盤のアルバム「THE ROLLING STONES」から、ボ・ディドリーのカバー曲「MONA(I NEED YOU BABY)」を外して、シングルだったバディ・ホリーのカバー曲「NOT FADE AWAY」を最初に収録しています。つまり、その1曲が入れ替わっているだけで、他の11曲は同じ曲が同じ曲順で並んでいます。但し、英国盤CDの「THE ROLLING STONES」では「TELL ME」がカットアウトするロング・ヴァージョンでしたが、こちらの米国盤CDの「ENGLAND’S NEWEST HIT MAKERS」では「TELL ME」はカットアウトされる前にフェイドアウトするヴァージョン違いとなっています。つまり、全12曲中10曲が同じで、1曲は入れ替えられていて、1曲は別ミックス・ヴァージョンと云うわけです。それだけの違いで両方買う度胸があれば、他の英米盤は全て買えるでしょう。
(小島イコ)
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