
かつて、ゾンビーズのレコードは全て(と云ってもオリジナル・アルバムは2作のみ)が廃盤だったので、入手出来たのはLP2枚組のコンピレーション・アルバム「TIME OF THE ZOMBIES」だけでした。このコンピレーション・アルバムは、英国では1973年に、米国では1974年に、エピックからリリースされました。ジャケットは5体のマネキン人形のバストアップを少し上の角度から撮影した不気味なデザインでしたが、兎に角「TELL HER NO」が聴きたくて買った記憶があります。内容は、A面が、1「SHE'S NOT THERE」、2「TELL HER NO」、3「WHENEVER YOU'RE READY」、4「IS THIS THE DREAM」、5「SUMMERTIME」、6「I LOVE YOU」、7「YOU MAKE ME FEEL GOOD」、8「SHE'S COMING HOME」の8曲入りで、B面が、1「SHE LOVES THE WAY THEY LOVE HER」、2「IMAGINE THE SWAN」、3「SMOKEY DAY」、4「IF IT DON'T WORK OUT」、5「I KNOW SHE WILL」、6「DON'T CRY FOR ME」、7「WALKING IN THE SUN」、8「I'LL CALL YOU MINE」の8曲入りで、C面が、1「CARE OF CELL 44」、2「A ROSE FOR EMILY」、3「MAYBE AFTER HE'S GONE」、4「BEECHWOOD PARK」、5「BRIEF CANDLES」、6「HUNG UP ON A DREAM」の6曲入りで、D面が、1「CHANGES」、2「I WANT HER SHE WANTS ME」、3「THIS WILL BE OUR YEAR」、4「BUTCHER'S TALE(WESTERN FRONT 1914)」、5「FRIENDS OF MINE」、6「TIME OF THE SEASON」の6曲入りで、合計28曲入りです。当時はビートルズの「赤盤」と「青盤」や、ビーチ・ボーイズの「ENDLESS SUMMER」と「SPIRIT OF AMERICA」や、ローリング・ストーンズの「HOT ROCKS」と「MORE HOT ROCKS」などの、LP2枚組ベスト・アルバムが流行っていたので、ゾンビーズも出しちゃったのでしょう。今にして思えば、このコンピレーション・アルバム「TIME OF THE ZOMBIES」は、かなりいい加減な選曲でした。
A面がデッカ時代からのベスト選曲と云うのは分かりますが、C面とD面の2枚目は、なな、なんとアルバム「ODESSEY & ORACLE」全12曲をそのまんま全曲アルバムの曲順通りに収録しちゃっていたのです。後のジョン・レノンの4CDの箱「LENNON」にはアルバム「ジョンの魂」全11曲が丸ごと入っているし、キャロル・キングの2CDのベスト・アルバム「A NATURAL WOMAN THE ODE COLLECTION 1968-1976」にはアルバム「つづれおり」全12曲が丸ごと入っていますが、それはCDフォーマットだからであってですね、確かに名盤ながら、かなり特殊な例です。それをですね、1970年代のベスト盤でやらかしたのは考えられない試みでした。そりゃあ、アルバム「ODESSEY & ORACLE」は名盤ではありますけれど、コレってネタがないからやらかしたとしか思えませんなあ。それよりも驚かされたのが、B面の8曲で、コレは当時は幻のアルバムだったゾンビーズの3作目のアルバム「R.I.P.」用にレコーディングした音源だったのです。いきなり最初の「SHE LOVES THE WAY THEY LOVE HER」からして、リード・ヴォーカルがコリン・ブランストーンではなくて、後にそれはロッド・アージェントが歌っていると分かったのですけれど、1992年に「Repertoire」からCD化されたアルバム「ODESSEY & ORACLE」のボーナス・トラックにも入っていて、1997年に4CDの箱「ZOMBIE HEAVEN」が出るまでは、このB面の8曲は何なのかサッパリ分かりませんでした。そして、そのゾンビーズの幻の3作目のアルバム「R.I.P.」が公式リリースされたのは、2000年10月になってからだったのです。それも、日本のインペリアルからのリリースでした。アルバム「R.I.P.」の内容は、A面が、1「SHE LOVES THE WAY THEY LOVE HER」、2「IMAGINE THE SWAN」、3「SMOKEY DAY」、4「GIRL, HELP ME」、5「I COULD SPEND THE DAY」、6「CONVERSATION OFF FLORAL STREET」で、B面が、1「IF IT DON'T WORK OUT」、2「I'LL CALL YOU MINE」、3「I’LL KEEP TRYING」、4「I KNOW SHE WILL」、5「DON'T CRY FOR ME」、6「WALKING IN THE SUN」の、全12曲入りです。
インペリアルからのCDには、ボーナス・トラックとして、13「I'M GOING HOME」、14「NOTHING’S CHANGED」、15「REMEMBER YOU」、16「I’LL KEEP TRYING」、17「I KNOW SHE WILL」、18「PRISON SONG(CARE OF CELL 44)」、19「A ROSE FOR EMILY」、20「A ROSE FOR EMILY」、21「TIME OF THE SEASON」の9曲を加えた全21曲入りになっています。しかし、こちらのボーナス・トラックはアルバム「R.I.P.」とは関係ありません。「Varèse Sarabande」からのCDでは、13「IMAGINE THE SWAN」、14「SMOKEY DAY」、15「IF IT DON'T WORK OUT」、16「DON'T CRY FOR ME」の4曲のモノラル・ミックスを加えた全16曲入りになっていて、曲数は少ないものの、アルバム「R.I.P.」関連曲を加えてあります。ゾンビーズは1967年に解散していて、解散後の1968年にアルバム「ODESSEY & ORACLE」がリリースされました。ところが、シングル・カットした「TIME OF THE SEASON」が大ヒットしてしまい、ロッド・アージェントに再結成する様にCBSから要請があったのです。複数の偽ソンビーズまで現れたので、本物の出番だ、となったわけです。しかし、リード・ヴォーカルのコリン・ブランストーンは音楽業界から足を洗って保険外交員になっていたし、ロッド・アージェントと裏方に回ったクリス・ホワイトは新バンド「アージェント」で活動しようとしていたので、再結成はしないけれど3作目のアルバム「R.I.P.」は制作する事となったわけです。それで、新たなメンバー(つまりは「アージェント」のメンバー)でのレコーディング曲をA面にしたので、ロッド・アージェントが歌っているのです。B面にはデッカ時代のオリジナル・ゾンビーズによるアウトテイクにオーバーダビングした曲を入れたので、コリン・ブランストーンが歌っているのです。ところが、先行シングル「IMAGINE THE SWAN」(全米109位)と「IF IT DON'T WORK OUT」(全米ノンチャート)の2作が沈没した為に、アルバム「R.I.P.」はお蔵入りになってしまったのでした。「SHE LOVES THE WAY THEY LOVE HER」と「SMOKEY DAY」は、堅気の仕事を辞めて復帰したコリン・ブランストーンの1971年のソロ・アルバム「ONE YEAR」に収録されますが、実はゾンビーズの曲だったのです。
(小島イコ)
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