
2015年4月7日に、ブライアン・ウィルソンは10作目のスタジオ・ソロ・アルバム「NO PIER PRESSURE」を、キャピトルからリリースしました。このアルバム「NO PIER PRESSURE」は、元々は2012年6月5日にリリースされたビーチ・ボーイズの33作目のアルバム「THAT'S WHY GOD MADE THE RADIO」の続編として構想されていて、2012年のビーチ・ボーイズの再集結ツアーの時期には、ブライアン・ウィルソンが「次はもう少しロックンロールなアルバムになる」と明言していました。ところが、マイク・ラヴとブルース・ジョンストンのビーチ・ボーイズは、再集結ツアーが終了した時点でブライアン・ウィルソンとアル・ジャーディンとデイヴィッド・マークスを解雇してしまい、このアルバム「NO PIER PRESSURE」はブライアン・ウィルソンのソロ・アルバムとなってしまったのです。元々がビーチ・ボーイズのアルバムにする心算だったからか、このアルバム「NO PIER PRESSURE」には、アル・ジャーディンとデイヴィッド・マークスに加えて、1970年代前半にビーチ・ボーイズの正式メンバーだったブロンディ・チャップリンも参加しています。更に、ブライアン・ウィルソンを敬愛する、セブ・シモニアン、ケイシー・マスグレイブス、シー&ヒム、ネイト・ルース、ピーター・ホレンズ、と云った若手ミュージシャンも参加しています。2013年には、ブライアン・ウィルソンがジェフ・ベックとツアーを行っていて、そのライヴにはアル・ジャーディン、デイヴィッド・マークス、ブロンディ・チャップリンも参加していたので、ブライアン・ウィルソンとジェフ・ベックによるアルバムも構想されたものの、それは頓挫しています。ジェフ・ベックの遺作となってしまった2022年リリースのジョニー・デップとの連名アルバム「18」で、デニス・ウィルソンの「TIME」や、ビーチ・ボーイズの「DON'T TALK(PUT YOUR HEAD ON MY SHOULDER)」と「CAROLINE, NO」をカバーしているのは、その名残りなのかもしれません。
アルバム「NO PIER PRESSURE」の内容は、1「THIS BEAUTIFUL DAY」、2「RUNAWAY DANCER」、3「WHATEVER HAPPENED」、4「ON THE ISLAND」、5「HALF MOON BAY」、6「OUR SPECIAL LOVE」、7「THE RIGHT TIME」、8「GUESS YOU HAD TO BE THERE」、9「TELL ME WHY」、10「SAIL AWAY」、11「ONE KIND OF LOVE」、12「SATURDAY NIGHT」、13「THE LAST SONG」の、全13曲入りで、デラックス・エディションCDは、1「THIS BEAUTIFUL DAY」、2「RUNAWAY DANCER」、3「WHATEVER HAPPENED」、4「ON THE ISLAND」、5「HALF MOON BAY」、6「OUR SPECIAL LOVE」、7「THE RIGHT TIME」、8「GUESS YOU HAD TO BE THERE」、9「DON'T WORRY」、10「SOMEWHERE QUIET」、11「I'M FEELING SAD」、12「TELL ME WHY」、13「SAIL AWAY」、14「ONE KIND OF LOVE」、15「SATURDAY NIGHT」、16「THE LAST SONG」の全16曲入りで、LP2枚組全16曲は曲順が変更されて一部の楽曲も差し替えられていて、更に日本盤CDには、17「IN THE BACK OF MY MIND」、18「LOVE AND MERCY」の2曲がボーナス・トラックで加わった全18曲入りです。2「RUNAWAY DANCER」にはセブ・シモニアンが、3「WHATEVER HAPPENED」と、7「THE RIGHT TIME」にはアル・ジャーディンとデイヴィッド・マークスが、4「ON THE ISLAND」にはシー&ヒムが、5「HALF MOON BAY」にはマーク・アイシャムが、6「OUR SPECIAL LOVE」にはピーター・ホレンズが、8「GUESS YOU HAD TO BE THERE」にはケイシー・マスグレイブスが、12「TELL ME WHY」にはアル・ジャーディンが、13「SAIL AWAY」にはブロンディ・チャップリンとアル・ジャーディンが、15「SATURDAY NIGHT」にはネイト・ルースが、それぞれ参加していて、超豪華な布陣となっています。しかし、中心にブライアン・ウィルソンが居るのが大事なのです。
楽曲はほとんどがブライアン・ウィルソンとジョー・トーマスの共作で、プロデュースもブライアン・ウィルソンとジョー・トーマスとなっています。このジョー・トーマスとのコラボレーションは、1996年リリースのビーチ・ボーイズ名義のカバー・アルバム「STARS AND STRIPES VOL. 1」から始まっていて、1998年のブライアン・ウィルソンのソロ・アルバム「IMAGINATION」からは共作も始まっていたので、2012年のビーチ・ボーイズのアルバム「THAT'S WHY GOD MADE THE RADIO」と、このブライアン・ウィルソンのソロ・アルバム「NO PIER PRESSURE」の原型は、かなり前から出来上がっていたと思われます。このアルバム「NO PIER PRESSURE」は、全米28位・全英25位とヒットしていますが、当時のブライアン・ウィルソン・バンドによるライヴには、ブライアン・ウィルソン、アル・ジャーディン、デイヴィッド・マークス、ブロンディ・チャップリン、そしてリッキー・ファターと、歴代のビーチ・ボーイズの正式メンバーが5人も集結していました。マイク・ラヴとブルース・ジョンストンのビーチ・ボーイズは、ビーチ・ボーイズを名乗ってはいるものの、歴代のビーチ・ボーイズの正式メンバーはマイク・ラヴとブルース・ジョンストンの二人しかいなかったわけで、それではブライアン・ウィルソン・バンドの方がよりビーチ・ボーイズに近いと云う、逆転現象が起きていました。本国である米国では、ファンはそんな事はどうでも良くて、マイク・ラヴとブルース・ジョンストンのビーチ・ボーイズでも、ブライアン・ウィルソン・バンドでも、ビーチ・ボーイズのヒット曲を演奏してくれるのならどっちだって良かったのでしょうけれど、英国や日本では「ビーチ・ボーイズ = ブライアン・ウィルソン」と云う些か極端な「ブライアン・ウィルソン信仰」があるわけで、こう云う新作アルバム「NO PIER PRESSURE」の様な傑作をリリースされると、やっぱり「ブライアン・ウィルソンは凄い」って事になってしまうのです。まあ、確かに、マイク・ラヴにはこんなアルバムは作れないとは思います。
(小島イコ)
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