
ビーチ・ボーイズは1961年に結成されたので、2011年は結成50周年となりました。その2011年11月1日に、ビーチ・ボーイズ名義でアルバム「THE SMILE SESSIONS」がリリースされていて、本編は2004年リリースのブライアン・ウィルソンのソロ名義でのアルバム「BRIAN WILSON PRESENTS SMiLE」を下敷きにしてはいましたが、5CD+2LP+2EPの箱には144トラックもの未完成音源が収録されていて、幻のアルバム「SMiLE」の恐ろしさを満天下に示す内容でした。そして、2011年12月16日には、来るべき2012年に、ブライアン・ウィルソン、マイク・ラヴ、アル・ジャーディン、ブルース・ジョンストン、デイヴィッド・マークスの5人によるビーチ・ボーイズの再結成が発表されました。ビーチ・ボーイズは、1998年2月6日にカール・ウィルソンが亡くなったのが原因で、「マイク・ラヴとブルース・ジョンストン(一時期はデイヴィッド・マークスも含む)のビーチ・ボーイズ」と、「アル・ジャーディン・ファミリー&フレンズ」及び「エンドレス・サマー・バンド」と、「ブライアン・ウィルソン・バンド」と3分裂して活動していたのですけれど、1962年のメジャー・デビューから50周年となる2012年に、現存する5人(ブロンディ・チャップリンとリッキー・ファターの二人は除く)で、ひとつのバンドに再集結する事となったのです。再結成となってはいるものの、3分裂していたとは云え、ビーチ・ボーイズの名前はマイク・ラヴとブルース・ジョンストンが継続して使用していたので、解散して再結成したわけではありません。しかしながら、ブライアン・ウィルソンはカール・ウィルソンが亡くなった時点でビーチ・ボーイズの正式な解散を宣言していて、マイク・ラヴと揉めたアル・ジャーディンも脱退していたので、マイク・ラヴとブルース・ジョンストンだけになった段階で解散したのと同じ事でした。
そして、2012年6月5日に、ビーチ・ボーイズの33作目のアルバム「THAT'S WHY GOD MADE THE RADIO」が、キャピトルからリリースされました。ビーチ・ボーイズの新録アルバムとしては、1996年のアルバム「STARS AND STRIPES VOL. 1」以来16年ぶりで、それがカントリー界とのコラボレーションで旧作のカバー・アルバムだった事を考えれば、1992年のアルバム「SUMMER IN PARADISE」以来20年ぶりで、それがビーチ・ボーイズのスタジオ・アルバムで唯一ブライアン・ウィルソンが全く関わっていなかった事を考えれば、1989年のアルバム「STILL CRUISIN'」以来23年ぶりで、それが過去の楽曲も加えた寄せ集めだった事を考えれば、1985年のアルバム「THE BEACH BOYS」以来、27年ぶりの「マトモなビーチ・ボーイズの新曲新録新作アルバム」だったのです。その間に、マイク・ラヴとブルース・ジョンストンのビーチ・ボーイズは、ガソリンスタンドで売られた旧作のカバー・アルバムとか、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団との旧作のカバー・アルバムとかしかリリースしておらず、アル・ジャーディンは懐メロ・ライヴ・アルバム1作と初のソロ・アルバム1作の2作しかリリースしていなかったわけで、ただひとり、ブライアン・ウィルソンだけがライヴ・アルバムや新作アルバムを何作も精力的にリリースしていました。デニス・ウィルソンとカール・ウィルソンは亡くなり、過去のレア音源集も沢山リリースされる様になっていて、現在進行形で「ビーチ・ボーイズ」を名乗っていたマイク・ラヴとブルース・ジョンストンは、懐メロ・ライヴばかりやっていて、50周年と云ったって碌なモンじゃないだろう、と思っていたところに、ビーチ・ボーイズのアルバム「THE SMILE SESSIONS」がドカン!と出て、遂には5人が再集結して新作アルバムをリリースしたわけで、ブライアン・ウィルソンの創作意欲がなくなってはいない事はソロ・アルバムを聴いていれば分かっていたので、期待は大きかったのです。
アルバム「THAT'S WHY GOD MADE THE RADIO」の内容は、1「THINK ABOUT THE DAY」、2「THAT'S WHY GOD MADE THE RADIO」、3「ISN'T IT TIME」、4「SPRING VACATION」、5「THE PRIVATE LIFE OF BILL AND SUE」、6「SHELTER」、7「DAYBREAK OVER THE OCEAN」、8「BEACHES IN MIND」、9「STRANGE WORLD」、10「FROM THERE TO BACK AGAIN」、11「PACIFIC COAST HIGHWAY」、12「SUMMER'S GONE」の、全12曲入りです。日本盤には、13「DO IT AGAIN」の再レコーディング・ヴァージョンを加えた全13曲入りとなっています。ほとんどの楽曲をブライアン・ウィルソンがジョー・トーマスと共作していて、全12曲中11曲がブライアン・ウィルソンによるメロディーで、7「DAYBREAK OVER THE OCEAN」だけがマイク・ラヴの作品です。この曲は、マイク・ラヴの未発表ソロ・アルバム「FIRST LOVE」用に書かれて、後に未発表ソロ・アルバム「MIKE LOVE NOT WAR」でレコーディングされているのですけれど、その親父ギャグが炸裂したタイトルには、マイク・ラヴだから仕方ないなあ、と思わされます。3「ISN'T IT TIME」、4「SPRING VACATION」、8「BEACHES IN MIND」の3曲にもマイク・ラヴが歌詞を書き加えていますが、兎に角、ブライアン・ウィルソンが書いたメロディーが美しく、50周年を迎えたバンドとは思えない瑞々しい魅力に溢れた傑作アルバムです。プロデュースは勿論、ブライアン・ウィルソンで、マイク・ラヴがエグゼクティブ・プロデューサーとなっております。ビーチ・ボーイズのメンバーは、ブライアン・ウィルソン、マイク・ラヴ、アル・ジャーディン、ブルース・ジョンストンの4人がヴォーカルで、デイヴィッド・マークスがギターで、他の演奏は凄腕ミュージシャンにお任せしていて、ヴォーカルもジェフリー・フォスケットが全面的に参加してバックアップしています。このアルバム「THAT'S WHY GOD MADE THE RADIO」は、全米3位・全英15位・日本18位、など世界中でヒットしました。そして、この新作アルバムを引っ提げて、ビーチ・ボーイズは50周年記念ツアーを行ったのでした。
(小島イコ)
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