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2026年03月03日

「ポールの道」#1020「BEAT THE BEATLES」
#069「THAT LUCKY OLD SUN」

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2007年に、ブライアン・ウィルソンはサウスバンク・センターの2007年の開幕シーズンの為に新作組曲を委託されました。当時のブライアン・ウィルソンは、2004年にそれまでの未発表曲を中心にしたアルバム「GETTIN' IN OVER MY HEAD」をリリースして、同時進行で遂に幻のアルバム「SMiLE」をライヴで披露して、それをスタジオ・アルバム「BRIAN WILSON PRESENTS SMiLE」としてリリースして、翌2005年にはグラミー賞において「MRS. O'LEARY'S COW」で最優秀ロック・インストゥルメンタル・パフォーマンス賞を受賞して、同2005年にはクリスマス・アルバム「WHAT I REALLY WANT FOR CHRISTMAS」をリリースしていました。ライヴ活動も精力的に行ってはいたものの、以前のアルバム「PET SOUNDS」全曲披露や、アルバム「SMiLE」全曲披露と云ったスリリングなライヴではなくなり、マイク・ラヴ&ブルース・ジョンストンのビーチ・ボーイズや、アル・ジャーディン・ファミリー&フレンズと変わらない懐メロ・ライヴになってゆきました。そんな時に新たな挑戦となる組曲の依頼は、再びブライアン・ウィルソンの創作意欲に火を付けたのです。そして、ブライアン・ウィルソンは組曲「THAT LUCKY OLD SUN」を書き上げて、先ずは2007年9月10日から16日にかけて(13日は休演)6公演を英国ロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホールで初演し披露したのです。更に、翌2008年1月には、オーストラリア・シドニーのステート・シアターで開催されたシドニー・フェスティバルでも上演されました。その2008年1月から4月にかけてスタジオ入りしレコーディングされて、2008年9月2日にブライアン・ウィルソンの7作目のスタジオ・ソロ・アルバム「THAT LUCKY OLD SUN」を、古巣であるキャピトルからリリースしたのです。この時期のブライアン・ウィルソンは、かつての様にスタジオに籠ってアルバムを制作するのではなく、先ずはライヴで初披露して練り上げてからスタジオ・アルバムを制作する方法へと変貌していました。

アルバム「THAT LUCKY OLD SUN」の内容は、1「THAT LUCKY OLD SUN」、2「MORNING BEAT」、3「NARRATIVE:ROOM WITH A VIEW」、4「GOOD KIND OF LOVE」、5「FOREVER SHE'LL BE MY SURFER GIRL」、6「NARRATIVE:VENICE BEACH」、7「LIVE LET LIVE / THAT LUCKY OLD SUN(REPRISE)」、8「MEXICAN GIRL」、9「NARRATIVE:CINCO DE MAYO」、10「CALIFORNIA ROLE / THAT LUCY OLD SUN(REPRISE)」、11「NARRATIVE:BETWEEN PICTURES」、12「OXYGEN TO THE BRIAN」、13「CAN'T WAIT TOO LONG」、14「MIDNIGHT’S ANOTHER DAY」、15「THAT LUCY OLD SUN(REPRISE)」、16「GOING HOME」、17「SOUTHERN CALIFORNIA」の、全17曲入りです。iTunesでの配信では、18「OH MI AMOR」、19「MESSAGE MAN」(ダニー・ハットンと共演)の2曲がボーナス・トラックとなっていて、ベスト・バイで販売したCDには、18「GOOD KIND OF LOVE」、19「I'M INTO SOMETHING GOOD」(2曲共、キャロル・キングとの共演)、20「JUST LIKE ME AND YOU」の3曲がボーナス・トラックとなっています。更に、このアルバム「THAT LUCKY OLD SUN」はCDとDVDの2枚組でもリリースされていて、CDは、1「THAT LUCKY OLD SUN」〜17「SOUTHERN CALIFORNIA」の本編全17曲入りで、DVDは、1「MAKING OF THE ALBUM」、2「LIVE PERFORMANCE」となっていて、1「MAKING OF THE ALBUM」はブライアン・ウィルソンへのインタビューを含む19分強のアルバムのメイキング映像で、2「LIVE PERFORMANCE」には「GOOD KIND OF LOVE」と「FOREVER SHE'LL BE MY SURFER GIRL」の2曲のライヴ映像が収録されています。そして、このアルバム「THAT LUCKY OLD SUN」ですが、前述の通り最初の依頼からして新作組曲だったので、アルバム「BRIAN WILSON PRESENTS SMiLE」同様に組曲になっています。

先ずは1曲目のカバー「THAT LUCKY OLD SUN」から始まって、その曲が何度か繰り返して歌われていて、曲と曲の間に何度かナレーションが入っています。本編の全17曲中、テーマ曲の「THAT LUCKY OLD SUN」以外は、全てがブライアン・ウィルソンのオリジナル曲で、ブライアン・ウィルソンとスコット・ベネットの共作が8曲(「MORNING BEAT」、「FOREVER SHE'LL BE MY SURFER GIRL」、「MEXICAN GIRL」、「CALIFORNIA ROLE」、「OXYGEN TO THE BRIAN」、「MIDNIGHT’S ANOTHER DAY」、「GOING HOME」、「SOUTHERN CALIFORNIA」)、ブライアン・ウィルソンとヴァン・ダイク・パークスの共作が5曲(「ROOM WITH A VIEW」、「VENICE BEACH」、「LIVE LET LIVE」、「CINCO DE MAYO」、「BETWEEN PICTURES」、内「LIVE LET LIVE」以外はナレーション)、ブライアン・ウィルソン作が2曲(「GOOD KIND OF LOVE」、「CAN'T WAIT TOO LONG」)となっていて、ヴァン・ダイク・パークスは特にナレーション部分の作詞を担当しています。ブライアン・ウィルソンとしては全曲の作詞をヴァン・ダイク・パークスに手掛けて欲しかったものの、既に2006年にスコット・ベネットと書いた曲があったので、ヴァン・ダイク・パークスがそれを尊重して辞退しています。ブライアン・ウィルソンによる美しい曲が満載で、組曲としての出来栄えも素晴らしい傑作アルバムとなっていて、全米21位・全英37位とヒットしてもいます。13「CAN'T WAIT TOO LONG」は、1990年に「2 in 1」でCD化されたアルバム「SMILEY SMILE / WILD HONEY」のボーナス・トラックとして収録されていた1967年から1968年にかけてレコーディングされた曲で、それがここで出て来ると云う事は、ブライアン・ウィルソンの頭の中には当時からアルバム「SMiLE」だけではなく、このアルバム「THAT LUCKY OLD SUN」の構想があったのでしょう。再びヴァン・ダイク・パークスと共作しているのも、1960年代当時から構想していたからなのでしょう。このアルバム「THAT LUCY OLD SUN」は、ブライアン・ウィルソンのソロ・アルバムの中でも特に優れた作品だと評価されていて、ブライアン・ウィルソンと云う人は、新しい挑戦に向かった時に底力を発揮すると証明された様な名盤です。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする