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2025年11月25日

「ポールの道」#922「THE BEATLES BLACK VOX」
#231「LIVE FROM NYC 2018」

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ポール・マッカートニーの歌声が、急激に衰えたと感じたのは、2018年9月7日にリリースされたオリジナル・アルバム「EGYPT STATION」を聴いた時でした。アルバム「EGYPT STATION」は、前作であるオリジナル・アルバム「NEW」(2013年10月14日リリース)から5年ぶりのアルバムだったので、歌声の違いが如実に表れていました。しかしながら、そのアルバム「NEW」も、前作であるアルバム「MEMORY ALMOST FULL」(2007年6月4日リリース)から6年ぶりのオリジナル・アルバムだったのです。それなのにアルバム「NEW」ではそれ程には歌声の衰えが感じられなかったのは、アルバム「MEMORY ALMOST FULL」とアルバム「NEW」の間には、2008年11月24日リリースの変名ユニットである「THE FIREMAN」名義では3作目のアルバム「ELECTRIC ARGUMENT」や、2009年11月17日リリースのライヴ・アルバム「GOOD EVENING NEW YORK CITY」や、2010年11月2日リリースのアルバム「BAND ON THE RUN」から始まった「アーカイヴ・コレクション」や、2012年2月7日リリースのスタンダード曲のカバーが中心のアルバム「KISSES ON THE BOTTOM」などがあったからです。特に、2012年のアルバム「KISSES ON THE BOTTOM」がプロデュースや演奏を丸投げして、ポールはヴォーカルに専念していて、ポールも遂にロック・アルバムを制作するのは止めたのかと思わせてからの、2013年のアルバム「NEW」での現役感は鮮烈だったので、それから5年ぶりとなった2018年のアルバム「EGYPT STATION」での声変わりには愕然としてしまいました。ポール程のスーパーマンでも、老いてゆくのだと思い知らされたのが2018年のアルバム「EGYPT STATION」だったのです。アルバム「EGYPT STATION」がリリースされた時のポールは、76歳でしたから、そう考えれば声が衰えるのも仕方がない事だったのです。その上、2015年の「1」から始まったビートルズのリミックスや、2010年から始まったポール自身の「アーカイヴ・コレクション」が並行して進行していたわけで、嫌でも若かりし頃のポールの歌声も聴いていたのですから、そりゃあ、落差はあります。

それでも、2018年のアルバム「EGYPT STATION」は、評価が高い作品です。事実として、全米首位!・全英3位・日本6位と、世界中で売れました。ポールのアルバムが全米首位!となったのは、1982年のアルバム「TUG OF WAR」以来、36年ぶりの快挙でしたし、日本での成績は総合チャートでは6位ですけれど、洋楽チャートではぶっちぎりの首位!でした。それで、ポールはアルバム「EGYPT STATION」を引っ提げて、2018年10月から11月にかけて「FRESHEN UP JAPAN TOUR 2018」と題した来日公演を行っていて、MCで、アルバム「EGYPT STATION」は日本でも首位!になったんだよね、と上機嫌でした。そんなポールが行った2018年のライヴを収録した、CD2枚組で税込み千円ポッキリの「MOONCHILD RECORDS」から、2018年にリリースされたライヴ・ブートレグ「LIVE FROM NYC 2018」を紹介します。このブートレグは、2018年9月7日にニューヨークのグランド・セントラル・ステーションで行われたもので、アルバム「EGYPT STATION」のリリース当日のライヴ音源です。内容は、CD1が、1「INTRODUCTION」、2「A HARD DAY'S NIGHT」、3「HI, HI, HI」、4「CAN'T BUY ME LOVE」、5「LETTING GO」、6「I'VE GOT A FEELING」、7「COME ON TO ME」、8「MY VALENTINE」、9「NINETEEN HUNDRED AND EIGHTY FIVE」、10「FROM ME TO YOU」、11「LOVE ME DO」、12「FOURFIVESECONDS」、13「BLACKBIRD」、14「DANCE TONIGHT」、15「WHO CARES」で、CD2が、1「I SAW HER STANDING THERE」、2「FUH YOU」、3「BACK IN THE U.S.S.R.」、4「OB-LA-DI, OB-LA-DA」、5「BIRTHDAY」、6「LADY MADONNA」、7「LET IT BE」、8「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND(REPRISE)」、9「HELTER SKELTER」、10「GOLDEN SLUMBERS / CARRY THAT WEIGHT / THE END」の、全25曲(メドレーを分ければ全27曲)入りです。同内容の映像盤も、1DVDが同じ「MOONCHILD RECORDS」から税込み千円で出ています。

最初の「INTRODUCTION」を除いた全24曲(メドレーを分ければ全26曲)中、ビートルズ・ナンバーが15曲(メドレーを分ければ17曲)(「A HARD DAY'S NIGHT」、「CAN'T BUY ME LOVE」、「I'VE GOT A FEELING」、「FROM ME TO YOU」、「LOVE ME DO」、「BLACKBIRD」、「I SAW HER STANDING THERE」、「BACK IN THE U.S.S.R.」、「OB-LA-DI, OB-LA-DA」、「BIRTHDAY」、「LADY MADONNA」、「LET IT BE」、「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND(REPRISE)」、「HELTER SKELTER」、「GOLDEN SLUMBERS / CARRY THAT WEIGHT / THE END」)で、ウイングス・ナンバーが3曲(「HI, HI, HI」、「LETTING GO」、「NINETEEN HUNDRED AND EIGHTY FIVE」)で、ソロ・ナンバーが5曲(「COME ON TO ME」、「MY VALENTINE」、「DANCE TONIGHT」、「WHO CARES」、「FUH YOU」)、リアーナとカニエ・ウェストとの共演ナンバーが1曲(「FOURFIVESECONDS」)となっています。ビートルズ・ナンバーが15曲(メドレーを分ければ17曲)と圧倒的に多く、特に、CD2の、3「BACK IN THE U.S.S.R.」〜10「GOLDEN SLUMBERS / CARRY THAT WEIGHT / THE END」までの8曲(メドレーを分ければ10曲)は、全てがビートルズ・ナンバーなのです。しかしながら、ジョンが主導で書いたレノン=マッカートニー作「A HARD DAY'S NIGHT」を最初に演奏していたり、ジョンとの合作であるレノン=マッカートニー作品「I'VE GOT A FEELING」や「FROM ME TO YOU」を披露していたり、一捻りがあるセットリストです。ビートルズ・ナンバーが多いのにも関わらず、「HEY JUDE」や「YESTERDAY」と云う定番曲は演奏していません。ウイングス・ナンバーでも、「LETTING GO」は久しぶりだし、「LIVE AND LET DIE」や「BAND ON THE RUN」や「JET」などの大ヒット曲や、定番曲の「LET ME ROLL IT」などは演奏していません。ソロでも定番曲となったジョン・レノンへの追悼曲「HERE TODAY」や、ジョージ・ハリスン追悼の「SOMETHING」なども演奏していません。

それだけポールには名曲が多くて、とても1回のショーで披露するのは不可能なのです。何せ、ポールの場合は2016年リリースのベスト・アルバム「PURE McCARTNEY」はCD4枚組全67曲ですし、シングル盤が80枚で全159曲なのですから、アルバムの収録曲を加えたなら膨大なわけで、全曲披露なんて出来っこないのです。何なら、先頃リリースされたベスト・アルバム「WINGS」全32曲全曲披露だけでも、ライヴをやる事が可能です。断っておきますが、ベスト・アルバム「WINGS」全32曲入りは、1971年から1979年までのたったの9年間にリリースされたウイングスの楽曲だけで構成されているのです。ポールはその前にはビートルズだったし、ウイングスの後にはソロ名義となって、ジョン・レノンやジョージ・ハリスンやリンゴ・スターとは違って、一度もブランクなしに音楽活動をつづけている化物なのです。このライヴ音源は、アルバム「EGYPT STATION」のプロモーションで、リリース当日に行われているので、最新アルバムから3曲(「COME ON TO ME」、「WHO CARES」、「FUH YOU」)を演奏していますけれど、それらは新作のプロモーションで演奏しているので、新たにアルバムをリリースするとセットリストから外されてしまうのです。ニューヨークの観客はノリが良くて、写真や映像を観るとアルバム「EGYPT STATION」に合わせて駅に仮設した狭い会場の様で、ポールと観客の間もかなり近くて、オールスタンディングのライヴ・ハウスみたいな状態になっています。特に、ポールが「次は新曲で」と云うと、滅茶苦茶に盛り上がっているので、どんなにビートルズ・ナンバーが多くとも、現役感があってイイ感じです。このライヴは、公式のYouTubeで公開された映像もあって、それをDVD化やBD化した前述のブートレグも出ています。公式にライヴ・レコーディングされているので、音質もバッチリですし、スタジオ・アルバムである「EGYPT STATION」よりも、観客の大合唱に支えられて、ポールの声も良く出ています。ポールは、根っからのライヴ好きなのでしょう。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする