
1973年4月2日(米国)・4月19日(英国)に、ビートルズの初めてのオールタイム・ベスト・アルバム「THE BEATLES 1962-1966(赤盤)」と「THE BEATLES 1967-1970(青盤)」がリリースされました。コレは、1973年1月に突如「AΩ」と云うビートルズのベスト・アルバムが、LP4枚組全59曲入りのブートレグなのに公式盤だと偽ってラジオで宣伝されて通信販売された事への対抗策として企画されて、急遽リリースされています。実際に市場を荒らされた米国では兎に角早くリリースする事となったので、米国盤と英国盤では曲目は同じですが、それぞれが所有していた音源を使用したので、ミックス違いがあります。この「赤盤」と「青盤」は爆発的に売れて、「赤盤」は全英・全米3位、日本首位!、「青盤」は全米首位!・全英・日本2位を記録しています。3年前に解散状態になったバンドのたかがベスト・アルバムがそんなに売れたのですから、レコード会社は笑いが止まらなかったでしょう。この「赤盤」と「青盤」の大ヒットは、当時ソロ活動をしていた元・ビートルズの4人の新作が注目される事にもなってですね、ジョン・レノンは1973年11月にアルバム「MIND GAMES」をリリースしていて、ポール・マッカートニー&ウイングスは1973年5月にアルバム「RED ROSE SPEEDWAY」を、同年12月にアルバム「BAND ON THE RUN」をリリースしていて、ジョージ・ハリスンは1973年6月にアルバム「LIVING IN THE MATERIAL WORLD」をリリースしていて、リンゴ・スターは1973年11月にアルバム「RINGO」をリリースしていて、それぞれヒットさせています。ポールのシングル「MY LOVE」は全米首位!となり、それを引きずり落として全米首位!となったのはジョージのシングル「GIVE ME LOVE」で、リンゴのシングル「PHOTOGRAPH」(ジョージが共作し参加)とシングル「YOU'RE SIXTEEN」(ポールが参加)は2曲連続全米首位!となっています。
つまり、ジョン以外は全米首位!となっていて、ジョンが全米首位!となるのは、翌1974年のシングル「WHATEVER GETS YOU THRU THE NIGHT」です。リンゴが最も売れたと云う俄かに信じられない現象が起こったのは、アルバム「RINGO」にはジョンとポールとジョージが参加していたからです。1曲目のジョンが書いた「I'M THE GREATEST」では、ジョン、ジョージ、リンゴ、クラウス・フォアマン、ビリー・プレストンと云う布陣でレコーディングされていて、つまりポール以外の元・ビートルズが勢揃いしていたのです。そこで、リンゴがポールに「また自分だけハブにされるのはいやだろう?」と誘って、ポールの参加も決めたのです。コレで面白いのは、ポールが書いた「SIX O'CLOCK」では、ポールがシンセサイザーを弾いていて、ベースはポールではなく、クラウス・フォアマンなのです。さて、ベスト・アルバム「赤盤」と「青盤」は、1993年9月20日に初CD化されていて、内容は基本的にはレコードと同じ2枚組2セットで全54曲入りでした。ところが、2000年11月13日に、新たなるビートルズのオールタイム・ベスト・アルバム「1」が登場したのです。ソレはですね、全英もしくは全米で首位!となった全27曲入り(厳密に云えば「THE LONG AND WINDING ROAD」と両A面で全米首位!となった「FOR YOU BLUE」が未収録)で、これまた爆発的に売れました。コンセプトから、2位どまりだった「PLEASE PLEASE ME」や「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」と云った曲が選曲されていなくて、この内容では浅いと感じられるものの、一般人が考えるビートルズの名曲である「YESTERDAY」や「HEY JUDE」や「LET IT BE」(全部ポールが主導で書いたレノン=マッカートニー作品)が押さえてあるので、一家に一枚の定番ベスト・アルバムは、この時から「1」となったのです。
そして時は流れて2009年9月9日に、ビートルズがリマスターされました。この時のリマスターが画期的だったのは、ステレオ・ミックスとモノラル・ミックスの両方をリマスターした事です。それに伴って、2010年10月18日に「赤盤」と「青盤」のリマスター盤がリリースされて、2011年9月2日には「1」のリマスター盤がリリースされました。この時の「赤盤」と「青盤」も、2枚組2セット全54曲入りの侭で、既にお手軽な「1」があるのに、いつまでもアナログ時代の侭の選曲で何度もCD化するのは如何なものか、となりました。さて、そんな隙を突くのがブートレグです。今回は「赤盤」の拡大盤である2021年に「SUPERSTOCK」からリリースされたCD2枚組のブートレグ「THE BEATLES 1962-1966 ALTERNATE ALBUM EXPANDED EDITION」を紹介します。内容は、CD1が、1「LOVE ME DO」、2「PLEASE PLEASE ME」、3「FROM ME TO YOU」、4「SHE LOVES YOU」、5「I WANT TO HOLD YOUR HAND」、6「ALL MY LOVING」、7「CAN'T BUY ME LOVE」、8「A HARD DAY'S NIGHT」、9「AND I LOVE HER」、10「EIGHT DAY'S A WEEK」、11「I FEEL FINE」、12「TICKET TO RIDE」、13「YESTERDAY」、14「HELP!」、15「YOU'VE GOT TO HIDE YOUR LOVE AWAY」、16「WE CAN WORK IT OUT」、17「DAY TRIPPER」、18「DRIVE MY CAR」、19「NORWEGIAN WOOD(THIS BIRD HAS FLOWN)」、20「NOWHERE MAN」、21「MICHELLE」、22「IN MY LIFE」、23「GIRL」、24「PAPERBACK WRITER」、25「ELEANOR RIGBY」、26「YELLOW SUBMARINE」の、全26曲入りです。このCD1は、「赤盤」はCD1枚に入るだろう、を実践しています。
勿論、只「赤盤」をCD1枚に収録したのではありません。全26曲を、全て別テイクや別ミックスで収録していて、ブートレグとしての楽しみ方も出来る様になっています。CD2は、1「LOVE ME DO」、2「P.S. I LOVE YOU」、3「PLEASE PLEASE ME」、4「ASK ME WHY」、5「FROM ME TO YOU」、6「THANK YOU GIRL」、7「SHE LOVES YOU」、8「I'LL GET YOU」、9「I WANT TO HOLD YOUR HAND」、10「THIS BOY」、11「KOMM GIB MIR DEINE HAND」、12「SIE LIERT DICH」、13「LONG TALL SALLY」、14「I CALL YOUR NAME」、15「SLOW DOWN」、16「MATCHBOX」、17「CAN'T BUY ME LOVE」、18「YOU CAN'T DO THAT」、19「A HARD DAY'S NIGHT」、20「THINGS WE SAID TODAY」、21「I FEEL FINE」、22「SHE'S A WOMAN」、23「TICKET TO RIDE」、24「YES IT IS」、25「BAD BOY」、26「HELP!」、27「I'M DOWN」、28「WE CAN WORK IT OUT」、29「DAY TRIPPER」、30「PAPERBACK WRITER」、31「RAIN」、32「YESTERDAY」の、全32曲入りで、合計58曲入りです。つまり、CDだったらこれだけ入りますよ、と云うわけです。CD2の方は「PAST MASTERS STEREO REMIX」となっていて、英国オリジナル・シングルとEPを1962年から1966年まで順番に並べています。ドイツ語の2曲も入っていますが、ソレは外せなかったのでしょう。CD1には入っている「ELEANOR RIGBY」と「YELLOW SUBMARINE」が抜けているのと、最後が「YESTERDAY」と云うところの意図は分かりません。こうしたブートレグが登場したので、2023年の公式の「赤盤」と「青盤」は、曲を大幅に増やしたカタチになったのでしょう。
(小島イコ)
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