
1995年から1996年にかけて、ビートルズの未発表音源集である「ANTHOLOGY」全3巻(CD6枚組・LP9枚組)がアップルからリリースされた時の、古くからブートレグを聴いていた偏屈なビートルズ・ファンの感想は「たったこれだけ?」でした。確かに、全キャリアからの未発表テイク(つまりはボツ音源)が沢山収録されてはいたものの、例えば1960年のポール宅でのリハーサル音源とか、1962年1月1日の「デッカ・オーディション」音源とか、1966年までは行っていた数々のライヴ音源とか、1967年を中心にしたレコーディングに特化した時代のアウトテイクとか、1968年の「イーシャー・デモ」音源とか、1969年の「THE GET BACK SESSIONS」音源、特に1969年1月30日の「ルーフトップ・コンサート」音源とか、有名でブートレグ化もされている数々の音源が、完全収録されずに、中途半端に選曲されていたからです。それから、アウトテイクには、前回も書いた通りに「YES IT IS」や「PENNY LANE」の様に複数のテイクをリミックスした音源まであってですね、それは違うんじゃないか、と思いました。それで、今年(2025年)は「ANTHOLOGY 1」から30周年なので、11月21日に新たに「ANTHOLOGY 4」全36曲入りを加えて、箱が出るわけです。しかしながら、その新たな36曲を加えても、前述の不満は解消されないでしょう。例えば「イーシャー・デモ」は既に2018年の箱「THE BEATLES」で全27曲がリミックスされているし、「ルーフトップ・コンサート」音源は2022年に配信限定でリリースされているので、今回の箱に全曲が収録される事は発表された曲目を見てもないでしょう。
さて、今回はCD2枚組のブートレグ「ANTHOLOGY PLUS」を紹介します。このブートレグは、ジャケットの仕様から解説書まで、完全に公式盤「ANTHOLOGY」全3巻をマネしていて、つまりは公式盤から漏れたアウトテイクを集めています。CD1は、1「I'LL ALWAYS BE IN LOVE WITH YOU」、2「I'LL FOLLOW THE SUN」、3「ONE AFTER 909」、4「HELLO LITTLE GIRL」、5「LOVE OF THE LOVED」、6「I SAW HER STANDING THERE」、7「ONE AFTER 909」、8「SOME OTHER GUY」、9「A TASTE OF HONEY」、10「I SAW HER STANDING THERE」、11「MISERY」、12「FROM ME TO YOU」、13「TAKIN' ’BOUT YOU」、14「BAD TO ME」、15「DON'T BOTHER ME」、16「THIS BOY」、17「MEDLEY:LOVE ME DO / PLEASE PLEASE ME / FROM ME TO YOU / SHE LOVES YOU / I WANT TO HOLD YOUR HAND」、18「CAN'T BUY ME LOVE」、19「I SHOULD HAVE KNOWN BETTER」、20「YOU CAN'T DO THAT」、21「I'M A LOSER」、22「SHE'S A WOMAN」、23「I FEEL FINE」、24「I FEEL FINE」、25「THAT MEANS A LOT」、26「HELP!」、27「THE NIGHT BEFORE」、28「BABY'S IN BLACK」、29「NORWEGIAN WOOD」、30「DAY TRIPPER」の、全30曲入りです。1「I'LL ALWAYS BE IN LOVE WITH YOU」から、4「HELLO LITTLE GIRL」までは、1960年のポール宅でのリハーサル音源で、公式盤「ANTHOLOGY」には収録されなかった音源です。5「LOVE OF THE LOVED」は1962年1月1日の「デッカ・オーディション」音源で、ポールが主導で書いたレノン=マッカートニー作品なのに公式盤「ANTHOLOGY」に収録されなかった曲です。6「I SAW HER STANDING THERE」と、7「ONE AFTER 909」は、1962年3月にキャバーン・クラブでリハーサルした音源で、公式盤「ANTHOLOGY」には収録されていません。8「SOME OTHER GUY」は1962年8月22日のキャバーン・クラブでの演奏で、9「A TASTE OF HONEY」は1962年12月31日のスター・クラブでのライヴ音源で、10「I SAW HER STANDING THERE」と、11「MISERY」は、1963年2月11日のアルバム「PLEASE PLEASE ME with Love Me Do and 12 other songs」のレコーディング・セッション音源です。
12「FROM ME TO YOU」は1963年3月5日のレコーディング・セッション音源で、13「TAKIN' ’BOUT YOU」は1963年3月16日のBBC音源で、14「BAD TO ME」は1963年5月のジョン・レノンによるデモ音源で、15「DON'T BOTHER ME」は1963年9月12日のレコーディング・セッション音源で、16「THIS BOY」は1963年10月17日のレコーディング・セッション音源で、17「MEDLEY」は1964年4月19日のテレビ用口パク音源で、18「CAN'T BUY ME LOVE」は1964年4月26日のロンドンでのライヴ音源で、19「I SHOULD HAVE KNOWN BETTER」は1964年7月17日のBBC音源で、20「YOU CAN'T DO THAT」は1964年8月23日のハリウッド・ボウルでのライヴ音源で、21「I'M A LOSER」は1964年8月14日のレコーディング・セッション音源で、22「SHE'S A WOMAN」は1964年10月8日のレコーディング・セッション音源で、23〜24「I FEEL FINE」は1964年10月18日のレコーディング・セッション音源で、25「THAT MEANS A LOT」は1965年3月30日のアウトテイクで、全てが公式盤「ANTHOLOGY」には未収録テイクです。ポールの世紀の駄作「THAT MEANS A LOT」は、公式盤「ANTHOLOGY」には別テイクが収録されていて、こちらはリメイク版なのですけれど、何度やり直しても曲が酷過ぎてボツ音源になるべくしてなったのです。26「HELP!」は1965年4月13日のレコーディング・セッション音源で、27「THE NIGHT BEFORE」は1965年5月26日のBBC音源で、28「BABY'S IN BLACK」は1965年8月29日と30日のハリウッド・ボウルでのライヴ音源で、29「NORWEGIAN WOOD」は1965年10月21日のレコーディング・セッション音源で、30「DAY TRIPPER」は1965年10月16日のレコーディング・セッション音源で、これらも全てが公式盤「ANTHOLOGY」には未収録です。但し、10「I SAW HER STANDING THERE」と、16「THIS BOY」は、シングル「FREE AS A BIRD」にカップリングされていて、28「BABY'S IN BLACK」は、シングル「REAL LOVE」にカップリングされています。その2枚のシングルにカップリングされた曲は、全てがアルバム「ANTHOLOGY」には未収録となっていたので、こちらで拾っているのでしょう。
CD2は、1「YELLOW SUBMARINE」、2「HERE, THERE AND EVERYWHERE」、3「YESTERDAY」、4「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」、5「GOOD MORNING, GOOD MORNING」、6「IT'S ALL TOO MUCH」、7「YOUR MOTHER SHOULD KNOW」、8「AERIAL TOUR INSTRUMENTAL」、9「LADY MADONNA」、10「CHRISTMAS TIME(IS HERE AGAIN)」、11「THE INNER LIGHT」、12「REVOLUTION」、13「BACK IN THE U.S.S.R.」、14「NOT GUILTY」、15「“WEIRD ALBUM” SESSIONS」、16「HAPPINESS IS A WARM GUN」、17「HEATHER」、18「GOODBYE」、19「TWO OF US」、20「GET BACK」、21「SUZY PARKER」、22「“LET IT BE” SESSIONS MEDLEY」、23「I WANT YOU(SHE'S SO HEAVY)」、24「OH, I NEED YOU」、25「THE END」の、全25曲入りで、合計55曲入りです。つまり、今度出る「ANTHOLOGY 4」は全36曲入りなので、こっちの方が多く収録されています。1「YELLOW SUBMARINE」は1966年5月26日のレコーディング・セッション音源で、2「HERE, THERE AND EVERYWHERE」は1966年6月16日のレコーディング・セッション音源で、この2曲はシングル「REAL LOVE」のカップリングになっていたものの、アルバムには未収録でした。3「YESTERDAY」は1966年8月29日のサンフランシスコのキャンドルスティック・パーク公演からのライヴ音源で、この公演を最後にビートルズはライヴ活動を止めました。4「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」は1966年12月15日のサー・ジョージ・マーティンによるオーケストラ・セッション音源で、5「GOOD MORNING, GOOD MORNING」は1967年1月のジョンによるデモ音源で、6「IT'S ALL TOO MUCH」は1967年5月25日と26日のレコーディング・セッション音源で、公式盤よりも2分位長いテイクです。
7「YOUR MOTHER SHOULD KNOW」は1967年8月22日の「Take 1」で、8「AERIAL TOUR INSTRUMENTAL」は「FLYING」の原題で1967年9月8日のレコーディング・セッション音源で、9「LADY MADONNA」は1967年秋のポールによるデモ音源で、10「CHRISTMAS TIME(IS HERE AGAIN)」は1967年と1966年のクリスマス・レコードを編集した音源で、シングル「FREE AS A BIRD」にカップリングされていますが、アルバムには未収録です。11「THE INNER LIGHT」は1968年1月10日のレコーディング・セッション音源で、ジョージ・ハリスンがインドでレコーディングしたインストゥルメンタルなので、他の3人はこの段階では参加していません。12「REVOLUTION」から、14「NOT GUILTY」までの3曲は、1968年5月の「イーシャー・デモ」です。15はアルバム「THE BEATLES」のレコーディング風景で、16「HAPPINESS IS A WARM GUN」は1968年9月23日から25日のレコーディング・セッション音源で、17「HEATHER」は1968年12月のポール・マッカートニーとドノヴァンによるアコースティック・セッション音源で、18「GOODBYE」はポールが1969年2月にメリー・ホプキン用に書いた曲のデモ音源で、19「TWO OF US」から、21「SUZY PARKER」は1969年1月の「THE GET BACK SESSIONS」音源で、22も「THE GET BACK SESSIONS」音源で、23「I WANT YOU(SHE'S SO HEAVY)」は1969年2月22日のポール・マッカートニーがリード・ヴォーカルを担当したテイクで、24「OH, I NEED YOU」はビートルズの曲でも演奏でもないインチキ音源で、25「THE END」は1969年7月23日のインストゥルメンタル状態の音源に、オマケ入りです。上手いこと公式盤の補足をしていて、なかなか良いアルバムになっています。
(小島イコ)
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