nana.812.png

2025年09月10日

「ポールの道」#846「THE BEATLES BLACK VOX」
#155「ANTHOLOGY」AGAIN

Anthology 1 [12 inch Analog]Anthology 2 [12 inch Analog]Anthology 3 [12 inch Analog]


毎年恒例となったビートルズの2025年の新作は、「ANTHOLOGY」の30周年記念盤となりました。例によってディズニープラススターで11月26日から新たな第9章を加えて独占配信されて、書籍の英語版は10月14日に発売されて(日本語翻訳版は未定)、アルバム「ANTHOLOGY」は全3巻に新たに1巻を加えた全4巻となり、11月21日にCD8枚組とLP12枚組でリリースされます。既発である「ANTHOLOGY」3巻は、ジャイルズ・マーティンが新たにリマスターしているらしいのですけれど、実は2011年にも配信限定でリマスターされていました。日本盤はCD8枚組が2万2千円で、アナログ盤12枚組は約7万円です。あたくしが注文した輸入盤CD8枚組は1万5千円位で買えますけれど、アナログ盤12枚組は輸入盤でも約6万円もするので、兎に角、高いです。10月にはジョン・レノンの12枚組(9CD+3BD)も出ますけれど、そちらはライヴ2枚組で良いかな、と思っています。何にせよ「ANTHOLOGY」は未発表音源集と云えば格好が付くものの、所詮は「ボツ音源集」なのです。1985年にビートルズの未発表音源集であるアルバム「SESSIONS」がリリース直前まで行ったものの、ポール・マッカートニーと、ジョージ・ハリスンと、リンゴ・スターと、ジョン・レノンの代理人であるヨーコさんの合意を得られずに頓挫しています。「SESSIONS」の内容は、1「COME AND GET IT」(1969年)、2「LEAVE MY KITTEN ALONE」(1964年)、3「NOT GUILTY」(1968年)、4「I'M LOOKING THROUGH YOU」(1965年)、5「WHAT'S THE NEW MARY JANE」(1968年)、6「HOW DO YOU DO IT」(1962年)、7「BESAME MUCHO」(1962年)、8「ONE AFTER 909」(1963年)、9「IF YOU’VE GOT TROUBLES」(1965年)、10「THAT MEANS A LOT」(1965年)、11「WHILE MY GUITAR GENTLY WEEPS」(1968年)、12「MAILMAN, BRING ME NO MORE BLUES」(1969年)、13「CHRISTMAS TIME IS HERE AGAIN」(1967年)の、全13曲入りで、「LEAVE MY KITTEN ALONE」をシングル・カットして、B面には「OB-LA-DI, OB-LA-DA」の別テイクを収録する予定でした。

そうして公式がモタモタしている間に、ブートレグ「ULTRA RARE TRAX」や「UNSURPASSED MASTERS」に市場を荒らされたので、「ANTHOLOGY」プロジェクトが始まっていて、何と云っても目玉はポールがヨーコさんから受け取ったジョンのデモ音源を元にしたビートルズの新曲でした。1995年11月21日にリリースされたアルバム「ANTHOLOGY 1」は、CD1が、1「FREE AS A BIRD」、2「SPEECH : JOHN LENNON」、3「THAT'LL BE THE DAY」、4「IN SPITE OF ALL THE DANGER」、5「SPEECH : PAUL McCARTNEY」、6「HALLELUJAH, I LOVE HER SO」、7「YOU'LL BE MINE」、8「CAYENNE」、9「SPEECH : PAUL」、10「MY BONNIE」、11「AIN'T SHE SWEET」、12「CRY FOR A SHADOW」、13「SPEECH : JOHN」、14「SPEECH : BRIAN EPSTEIN」、15「SEARCHIN'」、16「THREE COOL CATS」、17「THE SHEIK OF ARABY」、18「LIKE A DREAMERS DO」、19「HELLO LITTLE GIRL」、20「SPEECH : BRIAN EPSTEIN」、21「BESAME MUCHO」、22「LOVE ME DO」、23「HOW DO YOU DO IT」、24「PLEASE PLEASE ME」、25「ONE AFTER 909(Sequence)」、26「ONE AFTER 909」、27「LEND ME YOUR COMB」、28「I'LL GET YOU」、29「SPEECH : JOHN」、30「I SAW HER STANDING THERE」、31「FROM ME TO YOU」、32「MONEY(THAT'S WHAT I WANT)」、33「YOU REALLY GOT HOLD ON ME」、34「ROLL OVER BEETHOVEN」の、全34トラックの全27曲入りです。1「FREE AS A BIRD」がヴァーチャル・ビートルズの新曲で、ジョンのコメントの後には、1958年の音源まで遡っています。そうしたデビュー前の音源を除けば、完全なる未発表曲は、23「HOW DO YOU DO IT」と、BBC音源の、27「LEND ME YOUR COMB」位しかありません。

CD2が、1「SHE LOVES YOU」、2「TILL THERE WAS YOU」、3「TWIST AND SHOUT」、4「THIS BOY」、5「I WANT TO HOLD YOUR HAND」、6「SPEECH : ERIC MORECAMBE AND ERNIE WISE」、7「MOONLIGHT BAY」、8「CAN'T BUY ME LOVE」、9「ALL MY LOVING」、10「YOU CAN'T DO THAT」、11「AND I LOVE HER」、12「A HARD DAY'S NIGHT」、13「I WANNA BE YOUR MAN」、14「LONG TALL SALLY」、15「BOYS」、16「SHOUT」、17「I'LL BE BACK(Take 2)」、18「I'LL BE BACK(Take 3)」、19「YOU KNOW WHAT TO DO」、20「NO REPLY(Demo)」、21「MR MOONLIGHT」、22「LEAVE MY KITTEN ALONE」、23「NO REPLY」、24「EIGHT DAYS A WEEK(Sequence)」、25「EIGHT DAYS A WEEK(Complete)」、26「KANSAS CITY / HEY-HEY-HEY-HEY!」の、全26トラックの全25曲入りで、合計60トラックの52曲入りです。CD2の方も、ライヴ音源やBBC音源の別テイクは多いものの、完全な未発表曲は、19「YOU KNOW WHAT TO DO」と、22「LEAVE MY KITTEN ALONE」位しかありません。「FREE AS A BIRD」はシングル・カットもされていて、そちらのカップリング曲(「I SAW HER STANDING THERE」、「THIS BOY」、「CHRISTMAS TIME(IS HERE AGAIN)」)は、アルバム未収録テイクです。

1996年3月18日にリリースされたアルバム「ANTHOLOGY 2」は、CD1は、1「REAL LOVE」、2「YES IT IS」、3「I'M DOWN」、4「YOU'VE GOT TO HIDE YOUR LOVE AWAY」、5「IF YOU'VE GOT TROUBLE」、6「THAT MEANS A LOT」、7「YESTERDAY」、8「IT'S ONLY LOVE」、9「I FEEL FINE」、10「TICKET TO RIDE」、11「YESTERDAY」、12「HELP!」、13「EVERYBODY'S TRYING TO BE MY BABY」、14「NORWEGIAN WOOD(THIS BIRD HAS FLOWN)」、15「I'M LOOKING THROUGH YOU」、16「12-BAR ORIGINAL」、17「TOMORROW NEVER KNOWS」、18「GOT TO GET YOU INTO MY LIFE」、19「AND YOUR BIRD CAN SING」、20「TAXMAN」、21「ELEANOR RIGBY(Strings Only)」、22「I'M ONLY SLEEPING(Rehearsal)」、23「I'M ONLY SLEEPING(Take 1)」、24「ROCK AND ROLL MUSIC」、25「SHE'S A WOMAN」の、全25曲入りです。1「REAL LOVE」はヴァーチャル・ビートルズの新曲第2弾で、こちらの完全な未発表曲は、5「IF YOU'VE GOT TROUBLE」、6「THAT MEANS A LOT」、16「12-BAR ORIGINAL」位しかありません。それらもブートレグ「UNSURPASSED MASTERS」などに収録されていたので、公式盤としては未発表曲ではなく、未発表テイクの発掘にチカラを注いでいます。

CD2は、1「STRAWBERRY FIELDS FOREVER(Demo Sequence)」、2「STRAWBERRY FIELDS FOREVER(Take 1)」、3「STRAWBERRY FIELDS FOREVER(Take 7 & Edite Piece)」、4「PENNY LANE」、5「A DAY IN THE LIFE」、6「GOOD MORNING GOOD MORNING」、7「ONLY A NORTHERN SONG」、8「BEING FOR THE BENEFIT OF MR KITE!(Take 1 And 2)」、9「BEING FOR THE BENEFIT OF MR KITE!(Take 7)」、10「LUCY IN THE SKY WITH DIAMONDS」、11「WITHIN YOU WITHOUT YOU(Instrumental)」、12「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND(Reprise)」、13「YOU KNOW MY NAME(LOOK UP THE NUMBER)」、14「I AM THE WALRUS」、15「THE FOOL ON THE HILL(Demo)」、16「YOUR MOTHER SHOULD KNOW」、17「THE FOOL ON THE HILL(Take 4)」、18「HELLO, GOODBYE」、19「LADY MADONNA」、20「ACROSS THE UNIVERSE」の、全20曲入りで、合計45曲入りです。こちらでは完全な未発表曲はないのですけれど、レコーディングに特化した時代なので別テイクは面白く聴けます。しかし、何故か多数のテイクを編集した音源(「YES IT IS」や「PENNY LANE」など)があって、普通に手を加えないで出して欲しいな、とは思いました。「REAL LOVE」もシングル・カットされていて、カップリング曲(「BABY'S IN BLACK」、「YELLOW SUBMARINE」、「HERE, THERE AND EVERYWHERE」)はアルバム未収録テイクです。

1996年10月28日にはアルバム「ANTHOLOGY 3」がリリースされて、CD1は、1「A BEGINNING」、2「HAPPINESS IS A WARM GUN」、3「HELTER SKELTER」、4「MEAN MR. MUSTARD」、5「POLYHENE PAM」、6「GLASS ONION」、7「JUNK」、8「PIGGIES」、9「HONEY PIE」、10「DON'T PASS ME BY」、11「OB-LA-DI, OB-LA-DA」、12「GOOD NIGHT」、13「CRY BABY CRY」、14「BLACKBIRD」、15「SEXY SADIE」、16「WHILE MY GUITAR GENTLY WEEPS」、17「HEY JUDE」、18「NOT GUILTY」、19「MOTHER NATURE'S SON」、20「GLASS ONION」、21「ROCKY RACCOON」、22「WHAT'S THE NEW MARY JANE」、23「STEP INSIDE LOVE / LOS PARANOIAS」、24「I'M SO TIRED」、25「I WILL」、26「WHY DON'T WE DO IT IN THE ROAD」、27「JULIA」の、全27曲入りです。この第3弾にはヴァーチャル・ビートルズの新曲は収録出来なかったのですけれど、ポールの執念で2023年に「NOW AND THEN」がリリースされています。完全な未発表曲は、サー・ジョージ・マーティンによる、1「A BEGINNING」、ポールがソロで発表する、7「JUNK」、ジョージがソロで発表する、18「NOT GUILTY」、ジョンがバカになった、22「WHAT'S THE NEW MARY JANE」、ポールがシラ・ブラックに書いた曲と即興曲のメドレー、23「STEP INSIDE LOVE / LOS PARANOIAS」辺りです。

CD2は、1「I'VE GOT A FEELING」、2「SHE CAME IN TROUGH THE BATHROOM WINDOW」、3「DIG A PONY」、4「TWO OF US」、5「FOR YOU BLUE」、6「TEDDY BOY」、7「MEDLEY : RIP IT UP / SHAKE, RATTLE AND ROLL / BLUE SUEDE SHOES」、8「THE LONG AND WINDING ROAD」、9「OH! DARLING」、10「ALL THINGS MUST PASS」、11「MAILMAN, BRING ME NO MORE BLUES」、12「GET BACK」、13「OLD BROWN SHOE」、14「OCTOPUS'S GARDEN」、15「MAXWELL'S SILVER HAMMER」、16「SOMETHING」、17「COME TOGETHER」、18「COME AND GET IT」、19「AIN'T SHE SWEET」、20「BECAUSE」、21「LET IT BE」、22「I ME MINE」、23「THE END」の、全23曲入りで、計50曲入りです。こちらも完全な未発表曲は、ポールがソロで発表する、6「TEDDY BOY」、ジョージがソロで発表する、10「ALL THINGS MUST PASS」、ポールがバッドフィンガー用に書いた、18「COME AND GET IT」、1961年のポリドール音源での熱唱を期待すると盛大にズッコケるジョンが鼻歌みたいに歌っている、19「AIN'T SHE SWEET」位しかありません。つまり、アルバム「ANTHOLOGY」は、未発表曲としては前述のアルバム「SESSIONS」に収録を予定していた曲と、ヴァーチャル・ビートルズの新曲位しかなくて、他は別テイクとライヴ音源なので、ライヴに関しては1966年で止めてしまったわけで、つまり、ほとんどが「未発表テイク」と称される「ボツ音源」なのです。

それで、今回新たに「ANTHOLOGY 4」が加わるとの事ですけれど、あのね、だったら「ANTHOLOGY 4」だけバラ売りしてくれませんかしら。そもそもボツ音源をリマスターして3度売り(前述の通り2011年に配信限定でリマスターして売っている)する阿漕な商法は、何とかなりませんかねえ。「ANTHOLOGY 4」もCD2枚組で、それぞれ全19曲入りと全17曲入りなんですけれど、どうやら半分以上は既発音源みたいなんですよね。それもそうですけれど、ユニバーサルは公式サイトの曲名で、「ラヴ・トゥ・ユー」とか「シーズ・リーヴィング・ユー」とか「アイ・アム・ザ・ウォルタス」とか、思いっ切り曲名を誤記していて、真面目に売る気があるんでしょうか。ビートルズじゃなくて、ラトルズやユートピアの曲名を掲載しているのかと思いましたよ。ドサクサ紛れに「THIS BOY」の邦題が「こいつ」に戻っていたのには笑いましたが、ビートルズだったら、何だって出せば売れると思っているのでしょうけれど、そして、それは確かではあるのですけれど、こうも殿様商売をやられたんじゃねえ。新作と云っても、音源は半世紀以上も前にレコーディングされていて、しかも、ほとんどが「ボツ音源」なんですからね。ボツ音源のアナログ盤が12枚組で約7万円は、どう考えても高過ぎるでしょう。こう云うのを「ぼったくり」と云うのではないでしょうか。だってね、前にも書きましたけれど、2025年の現在、オリジナルの「ANTHOLOGY 1〜3」は各CD2枚組が税込み百円、三つで3百円で中古盤がエサ箱に入っているのですよ。1〜3の6枚で3百円なのですから新たな「ANTHOLOGY 4」が2万1千7百円と云う計算になっちゃうじゃないですか。高いよ、高過ぎるよ。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする