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2025年09月13日

「ポールの道」#849「THE BEATLES BLACK VOX」
#158「FILE UNDER:BEATLES」

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ビートルズのアナログ盤時代のブートレグのひとつに、アルバム「FILE UNDER」がありました。それは「THE GET BACK SESSIONS」音源でを中心に選曲されていたのですけれど、2017年に「dap」からCD3枚組で、大幅に楽曲を加えてリイシューされています。内容は、CD1が、1「COME AND GET IT」、2「RIP IT UP / SHAKE RATTLE AND ROLL」、3「LEAVE MY KITTEN ALONE」、4「I'M SO TIRED」、5「I ME MINE」、6「NOT FADE AWAY」、7「THIRD MAN THEME」、8「BAD TO ME」、9「CHRISTMAS TIME(IS HERE AGAIN)」、10「GOODBYE」、11「DIALOGUE」、12「BLUE SUEDE SHOES」、13「IF YOU GOT TROUBLES」、14「NEGRO IN RESERVE」、15「THAT MEANS A LOT」、16「GET BACK」、17「ONE AFTER 909」、18「DIG A PONY」、19「DIALOGUE」、20「MISS ANN / KANSAS CITY / LAWDY MISS CLAWDY」、21「DIG IT」、22「THE WALK」、23「FOR YOU BLUE」、24「YOU REALLY GOT A HOLD ON ME」、25「RIP IT UP」、26「MISS ANN / KANSAS CITY / LAWDY MISS CLAWDY」、27「DIG IT」の、全27曲入りです。オリジナルの「FILE UNDER」は、1「COME AND GET IT」〜20「MISS ANN / KANSAS CITY / LAWDY MISS CLAWDY」で、後はボーナス・トラックです。1「COME AND GET IT」は、もはや耳タコ音源の、1969年のポール・マッカートニーによる「ひとりバッドフィンガー」デモ音源です。バッドフィンガーはこの曲で改名して大ヒットしたのですけれど、バンド名もジョン・レノンやポール・マッカートニーに決められて、曲もポールが書いて、歌や演奏もポールのデモ音源をコピーさせられたわけで、相当、複雑な心境だったでしょうなあ。

2「MISS ANN / KANSAS CITY / LAWDY MISS CLAWDY」は1969年の「THE GET BACK SESSIONS」音源で、3「LEAVE MY KITTEN ALONE」は1964年のボツ音源で、4「I'M SO TIRED」(ポールがリード・ヴォーカル)〜7「THIRD MAN THEME」は1969年の「THE GET BACK SESSIONS」音源で、8「BAD TO ME」は1963年のジョンによるビリー・J・クレイマー・ウィズ・ザ・ダコタス用のデモ音源で、9「CHRISTMAS TIME(IS HERE AGAIN)」は1967年のクリスマス・レコードの曲の全長版で、10「GOODBYE」は1969年にポールがメリー・ホプキン用に書いた曲のデモ音源ですけれど、メリー・ホプキンは確かにデビュー曲もデビュー・アルバムも大ヒットしたけれど、ポールのポップス路線のプロデュースは自分には合っていないと考えていて、ソレを小耳にはさんだポールがメリー・ホプキンとの決別を歌ったのが、そのものズバリのこの「GOODBYE」だと云われています。まあ、ポールらしい直球ど真ん中な対応ですけれど、これは名曲です。11「DIALOGUE」〜12「BLUE SUEDE SHOES」は1969年の「THE GET BACK SESSIONS」音源で、13「IF YOU GOT TROUBLES」は1965年のリンゴ・スターにもアルバムで1曲は歌わせよう楽曲のボツ音源です。これはアルバム「HELP!」のアウトテイクですけれど、リンゴ用にはカヴァー曲の「ACT NATURALLY」(日本や米国ではシングル・カットされてA面となり、B面がアノ「YESTERDAY」だった)が当確となったので、こっちはボツになっています。リンゴの歌を2曲入れる、とはならないのが、ビートルズです。14「NEGRO IN RESERVE」は1969年の「THE GET BACK SESSIONS」音源です。

15「THAT MEANS A LOT」は、ビートルズのボツ音源史上でも、一二を争う、1965年のポールの世紀の大駄作です。この曲は、何度やり直しても上手くいかず、結局はP・J・プロビーに提供したのですけれど、なんと、1965年の英国で25位までしか上がっていません。1965年にレノン=マッカートニー(コレの場合はポールの単独作)から提供されてその成績は、俄かに信じられません。アルバム「HELP!」にはポールが主導で書いたレノン=マッカートニー作品「I'VE JUST SEEN A FACE(夢の人)」や「YESTERDAY」も収録されているのに、本当に同じ人が書いたのでしょうか。あたくしは、所謂ひとつの都市伝説「ポール死亡説」はデマだと思いますけれど、元々ポールは二人居て、一人が「傑作を書くポール」で、もう一人が「駄作を書くポール」なんじゃないのか、と疑っています。ジョン・レノンやジョージ・ハリスンには、前衛作品を除けば、そんなにクズ曲はないのに、ポールはアタリハズレの落差が大き過ぎます。16「GET BACK」〜20「MISS ANN / KANSAS CITY / LAWDY MISS CLAWDY」は1969年の「THE GET BACK SESSIONS」音源で、ボーナス・トラックは全て1969年の「THE GET BACK SESSIONS」音源で、21「DIG IT」は全長版で、22「THE WALK」〜27「MISS ANN / KANSAS CITY / LAWDY MISS CLAWDY」はステレオ・リミックスです。こうして「THE GET BACK SESSIONS」音源は、近年は「AI」を使ったりしてステレオ・リミックスされているブートレグも増えています。この「FILE UNDER」のオリジナル・ヴァージョンは、1969年の「THE GET BACK SESSIONS」音源を中心にしているものの、アルバム「SESSIONS」に収録予定だった未発表曲などを、何も考えないで間に挟んだ感じです。

CD2は、1「NOT GUILTY」、2「BESAME MUCHO」、3「CATWALK」、4「HERE WE GO AGAIN」、5「WHILE MY GUITAR GENTLY WEEPS」、6「SUICIDE」、7「MAILMAN, BRING ME NO MORE BLUES」、8「SPIRITUAL REGENERATION / HAPPY BIRTHDAY」、9「THE INNER LIGHT」、10「SHOUT!」、11「I'M LOOKING THROUGH YOU」、12「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」、13「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」、14「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」、15「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」、16「A DAY IN THE LIFE」、17「WHAT'S THE NEW MARY JANE」、18「HELTER SKELTER」、19「BLACKBIRD」、20「THE RISHI KESH SONG」、21「GET BACK」、22「TEDDY BOY」、23「OH! DARLING」、24「MAXWELL'S SILVER HAMMER」、25「FOR YOU BLUE」、26「LET IT BE」の、全26曲入りです。1「NOT GUILTY」〜16「A DAY IN THE LIFE」が、それ以後がボーナス・トラック扱いなのでオリジナルであったのかもしれません。1「NOT GUILTY」はジョージ作で1968年のアウトテイクで、1985年のアルバム「SESSIONS」に収録予定でした。ちなみに、コレは「Take 102」です。2「BESAME MUCHO」は1962年のテスト音源で、コレもアルバム「SESSIONS」に収録予定でした。3「CATWALK」は、1960年のクオリーメン時代にポールが書いた曲です。4「HERE WE GO AGAIN」は、1973年にジョンがフィル・スペクターとアルバム「ROCK'N'ROLL」セッションをした時にレコーディングされた曲のデモ音源で、二人の共作曲になっているのですけれど、このアコースティック・ギターでの弾き語り(楽曲としては完成している)を聴く限りでは、ジョンの単独作としか思えません。

5「WHILE MY GUITAR GENTLY WEEPS」は、1968年の有名なジョージ作ですけれど、コレもアルバム「SESSIONS」に収録予定だった初期のアコースティックなアレンジです。6「SUICIDE」は、1970年のポールのソロ・アルバム「McCARTNEY」にサワリだけ収録された曲の完全版です。7「MAILMAN, BRING ME NO MORE BLUES」は1969年の「THE GET BACK SESSIONS」音源で、アルバム「SESSIONS」に収録予定でした。8「SPIRITUAL REGENERATION / HAPPY BIRTHDAY」は1968年のインドでの音源で、9「THE INNER LIGHT」は1968年のインストゥルメンタル状態で、10「SHOUT!」は1964年のテレビ出演時の音源で、11「I'M LOOKING THROUGH YOU」は初期テイクでアルバム「SESSIONS」に収録予定でした。12〜15「STRAWBERRY FIELDS FOREVER」は、1966年のレコーディング時代の幕開けとなった曲の変化の過程が聴けます。16「A DAY IN THE LIFE」は1967年の未完成な状態の音源です。17「WHAT'S THE NEW MARY JANE」は1968年のジョンがバカになったボツ音源で、厄介な事にこのガラクタ音源はジョンが何度もリミックスしているのでテイク違いも多いのです。18「HELTER SKELTER」は1968年のアコースティックなアレンジで、19「BLACKBIRD」と共に映像が記録されています。20「THE RISHI KESH SONG」は1979年のジョンのデモ音源で、自伝で自分の事をスルーしたジョージを揶揄した曲です。21「GET BACK」〜22「TEDDY BOY」は1969年の「THE GET BACK SESSIONS」音源で、23「OH! DARLING」〜24「MAXWELL'S SILVER HAMMER」は1969年の別ミックスです。それで、最後の25「FOR YOU BLUE」と、26「LET IT BE」なんですけれど、「FOR YOU BLUE」は1969年と1970年のジョージのリード・ヴォーカルを重ねていて、「LET IT BE」は1969年と1970年のジョージのリード・ギターを重ねてあります。コレは、どっちかにしてくれ、と云いたくなるクズ・インチキ・リミックスです。

CD3は、1「HOW DO YOU DO IT」、2「ONE AFTER 909」、3「SHE LOVES YOU」、4「I'LL GET YOU」、5「I WANT TO HOLD YOUR HAND」、6「I WANT TO HOLD YOUR HAND」、7「THIS BOY」、8「THIS BOY」、9「CAN'T BUY ME LOVE」、10「SHE'S A WOMAN」、11「EIGHT DAY'S A WEEK」、12「IF YOU GOT TROUBLES」、13「YES IT IS」、14「TICKET TO RIDE」、15「THAT MEANS A LOT」、16「NORWEGIAN WOOD」、17「12 BAR ORIGINAL」、18「HERE, THERE AND EVERYWHERE」、19「GOOD MORNING, GOOD MORNING」、20「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」、21「YOU KNOW MY NAME(LOOK UP THE NUMBER)」、22「CHRISTMAS TIME(IS HERE AGAIN)」、23「LADY MADONNA」、24「HELTER SKELTER」、25「CAN YOU TAKE ME BACK」、26「WATCHING RAINBOWS」、27「I ME MINE」、28「FREE AS A BIRD」、29「REAL LOVE」の、全29曲入りで、CD3枚で合計82曲入りです。この3枚目になると、もうコンセプトも何もなしで、アウトテイクを年代順に並べただけです。1「HOW DO YOU DO IT」は1962年のデビュー・シングル・セッションでの音源で、サー・ジョージ・マーティンが用意した他人が書いた曲でデビューしたくなかったビートルズは、わざと下手に演奏して自作の「LOVE ME DO」でデビューする事になりました。しかし、サー・ジョージ・マーティンは「HOW DO YOU DO IT」をブライアン・エプスタインがビートルズの次にマネジメントしたジェリー&ザ・ペースメイカーズのデビュー・シングルとしてプロデュースしていて、見事に全英首位!を獲得しています。サー・ジョージ・マーティンの選曲センスの良さと高いプロデュース能力が証明されたわけですけれど、我を通したビートルズもスゴイのです。

2「ONE AFTER 909」と、3「SHE LOVES YOU」と、4「I'LL GET YOU」は、1963年の音源のジョン・バレット・ミックスです。2025年の現在では「SHE LOVES YOU」はデミックスによって普通に真正ステレオ・リミックスが聴けますが、ついこないだまで、リンゴ版「LOVE ME DO」や、シングル「SHE LOVES YOU / I'LL GET YOU」は、バカな会社が「LOVE ME DO」のリンゴ版は破棄したし、「SHE LOVES YOU / I'LL GET YOU」はモノラル・ミックス以外は全て処分したので、こうして疑似ステレオを作るのが精一杯だったのです。5〜6「I WANT TO HOLD YOUR HAND」と、7〜8「THIS BOY」も1963年の音源で、ジョンとポールが歌詞を間違えて大爆笑する様子などが聴けます。9「CAN'T BUY ME LOVE」は1964年の初期テイクで、10「SHE'S A WOMAN」も1964年の音源のバレット・ミックスで、11「EIGHT DAY'S A WEEK」も1964年の別ミックスです。12「IF YOU GOT TROUBLES」は、CD1にも入っている1965年のボツ音源の別ミックスで、リンゴの同じ下手なボツになった歌を、ミックスが違うからと云って同じブートレグで2回も聴かされるのは勘弁して欲しいですなあ。13「YES IT IS」と、14「TICKET TO RIDE」は、1965年の名曲のバレット・ミックスです。ところが、15「THAT MEANS A LOT」が再び登場となっていて、別ステレオ・ミックスなんですけれど、何をどうやってもこんなクズ曲は良くなりませんし、同じブートレグに2回も入れるなんて、手抜きか、もしくは嫌がらせでしょう。13「YES IT IS」から、14「TICKET TO RIDE」と、16「NORWEGIAN WOOD」の別テイクと、前後がジョンが主導で書いた名曲で挟まれているので、益々「THAT MEANS A LOT」のヘッポコぶりが際立っています。

17「12 BAR ORIGINAL」は1965年のボツ音源のバレット・ミックスで、18「HERE, THERE AND EVERYWHERE」は1966年の美しいコーラスを聴かせるミックスで、あのね、この「HERE, THERE AND EVERYWHERE」の様な至上の名曲を書いたポールと、クズ曲「THAT MEANS A LOT」を書いたポールが同一人物だなんて、信じられません。19「GOOD MORNING, GOOD MORNING」は1967年の曲で、動物の鳴き声が曲の全編に渡って入っていて、うるさくて聴いていられません。20「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」も1967年のアルバム・タイトル曲のリプライズですが、どうも不自然なリミックスをしています。21「YOU KNOW MY NAME(LOOK UP THE NUMBER)」は、もはやお馴染みのステレオ・ロング・ヴァージョンと1970年リリースのシングル・モノラル・ミックスを合成したインチキ・ミックスです。コレは、シングル・ミックスの長さに合わせて編集してあります。22「CHRISTMAS TIME(IS HERE AGAIN)」は1967年のクリスマス・レコードなんですけれど、コレもCD1にも入っているんですよ。23「LADY MADONNA」は1968年の「Take 4」で、24「HELTER SKELTER」は1968年のスローテンポ・ヴァージョンで、25「CAN YOU TAKE ME BACK」は1968年のアルバム「THE BEATLES」の「REVOLUTION 9」の前に入っているポールの歌の全長版で、26「WATCHING RAINBOWS」は1969年の「THE GET BACK SESSIONS」音源で、27「I ME MINE」は1970年のジョン抜きの3人でのレコーディング音源で、28「FREE AS A BIRD」と、29「REAL LOVE」は、1970年代後半のジョンのピアノの弾き語りデモ音源です。最後の2曲で何となくまとめていますが、内容は無茶苦茶です。それで、レーベルは「dap」なのに制作は「sgt.」になっていて、デザインが同じなので元は同じなんだろうな、と思っていたら本当にそうなんですね。どう云う基準で、二つのレーベルを分けているのでしょうか。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする