
ビートルズが1969年9月26日にアップルからリリースしたアルバム「ABBEY ROAD」は、ビートルズのアルバムの中でも最も完璧な演奏が収録されていると思います。ビートルズの4人である、ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターが、一堂に会してレコーディングに臨んだアルバムは、この「ABBEY ROAD」が最後で、つまり、コレを作ってビートルズは解散したのです。それなのに、この完璧なアンサンブルは、一体どうなっているのでしょうか。普通、バンドが解散するとなったならば、人間関係はぐちゃぐちゃになっていて、こんな風に完璧にバンドとして演奏するなんて云う芸当は不可能です。確かに、解散に向かうビートルズの人間関係は最悪だったのでしょうけれど、いざレコードを作るとなったら、一致団結してしまうのです。ズバリ云って、アルバム「ABBEY ROAD」の様な有終の美を飾って解散したバンドなんて、ビートルズ以外にいないでしょう。今回は、そんなアルバム「ABBEY ROAD」の様々な公式盤を集めた4CDRのパイレート盤「ABBEY ROAD - TOSHIBA REEL / UK CASSETTE / UK MONO REEL / ROCKBAND MIX」を紹介します。コレはですね、簡単に云うと、アルバム「ABBEY ROAD」の4種類の公式音源を集めたもので、「東芝製のオープンリール・テープ」起こし音源と、「英国アップル製のカセットテープ」起こし音源と、「英国パーロフォン製モノラル・オープンリール」起こし音源が、1969年リリースで、それに加えて2009年のゲーム「ROCKBAND」ステレオ・リミックス音源となっています。内容は、アルバム「ABBEY ROAD」全17曲が4回つづけて収録されているわけですけれど、そんな単純明快なブートレグなど存在しません。
まず「TOSHIBA REEL」は、日本製のオープンリール起こし音源で、1「COME TOGRTHER」、2「SOMETHING」、3「MAXWELL'S SILVER HAMMER」、4「OH! DARLING」、5「OCTOPUS'S GARDEN」、6「I WANT YOU(SHE'S SO HEAVY)」、7「HERE COMES THE SUN」、8「BECAUSE」、9「YOU NEVER GIVE ME YOUR MONEY」、10「SUN KING」、11「MEAN MR. MUSTARD」、12「POLYTHENE PAM」、13「SHE CAME IN THROUGH THE BATHROOM WINDOW」、14「GOLDEN SLUMBERS」、15「CARRY THAT WEIGHT」、16「THE END」、17「HER MAJESTY」の、全17曲入りですが、A面とB面に分けただけで、トラック数は2トラックしかありません。おそらく、オープンリールならではの味を出しているのでしょう。「UK CASSETTE」はカセットテープ起こし音源ですけれど、これもまた、A面とB面の2トラックしか分かれていません。それよりも、曲順が、1「HERE COMES THE SUN」、2「SOMETHING」、3「MAXWELL'S SILVER HAMMER」、4「OH! DARLING」、5「OCTOPUS'S GARDEN」、6「I WANT YOU(SHE'S SO HEAVY)」、7「COME TOGRTHER」、8「BECAUSE」、9「YOU NEVER GIVE ME YOUR MONEY」、10「SUN KING」、11「MEAN MR. MUSTARD」、12「POLYTHENE PAM」、13「SHE CAME IN THROUGH THE BATHROOM WINDOW」、14「GOLDEN SLUMBERS」、15「CARRY THAT WEIGHT」、16「THE END」、17「HER MAJESTY」となっていて、つまりA面の最初が「HERE COMES THE SUN」で始まっていて、B面の最初が「COME TOGRTHER」になっています。収録時間の関係で2曲を入れ替えているのだとは思いますけれど、それだけで印象はかなり違います。
「UK MONO REEL」は、公式音源では珍しいモノラル音源なのですけれど、1「COME TOGRTHER」、2「SOMETHING」、3「MAXWELL'S SILVER HAMMER」、4「OH! DARLING」、5「OCTOPUS'S GARDEN」、6「I WANT YOU(SHE'S SO HEAVY)」、7「HERE COMES THE SUN」、8「BECAUSE」、9「YOU NEVER GIVE ME YOUR MONEY」、10「SUN KING」、11「MEAN MR. MUSTARD」、12「POLYTHENE PAM」、13「SHE CAME IN THROUGH THE BATHROOM WINDOW」、14「GOLDEN SLUMBERS」、15「CARRY THAT WEIGHT」、16「THE END」、17「HER MAJESTY」の、全17曲入りと内容はステレオ盤と同じで、ステレオをモノラルにしただけのインチキ・ミックスです。こちらのトラック数は、17です。最後は「ROCKBAND」リミックスで、こちらは曲の前にカウントが入っているのですけれど、1「COME TOGRTHER」、2「SOMETHING」、3「MAXWELL'S SILVER HAMMER」、4「OH! DARLING」、5「OCTOPUS'S GARDEN」、6「I WANT YOU(SHE'S SO HEAVY)」と来て、7「HERE COMES THE SUN」、8「BECAUSE」、9「YOU NEVER GIVE ME YOUR MONEY / SUN KING / MEAN MR. MUSTARD / POLYTHENE PAM / SHE CAME IN THROUGH THE BATHROOM WINDOW / GOLDEN SLUMBERS / CARRY THAT WEIGHT / THE END / HER MAJESTY」、10「YOU NEVER GIVE ME YOUR MONEY」、11「SUN KING / MEAN MR. MASTARD」、12「POLYTHENE PAM / SHE CAME IN THROUGH THE BATHROOM WINDOW」、13「GOLDEN SLUMBERS / CARRY THAT WEIGHT / THE END」、14「HER MAJESTY」、15がシークレット・トラックで、B面のメドレーを一気に聴かせてから、もう一度「YOU NEVER GIVE ME YOUR MONEY」から始まっていて、最後の15は素材集です。「HER MAJESTY」は2回共にエンディング入りですが、2回目の方はジョンの気合が入ったカウント入りで、笑えます。
それにしても、ビートルズは何故に最後にこんなにも完璧なアルバムを作れたのでしょうか。楽曲自体は、ほとんどが1969年1月の「THE GET BACK SESSIONS」の段階で出来てはいました。ところが、肝心な演奏がダラダラで、同じ曲とは思えない程に散漫な印象の出来栄えでした。その「THE GET BACK SESSIONS」は、1968年11月22日にアップルからリリースしたアルバム「THE BEATLES(ホワイト・アルバム)」が、ソロの寄せ集めの様なアルバムになってしまった事に、ビートルズ(特にポール・マッカートニー)が危機感を抱いて、もう一度原点回帰する為に行われたわけですけれど、映画「LET IT BE」で描かれている様に、4人の関係は最悪でした。結局、「THE GET BACK SESSIONS」からはシングル「GET BACK / DON'T LET ME DOWN」の2曲しか完成出来ず、普通ならばアノ険悪な状況ならば解散はやむなしとしか思えません。ところが、ジョンもポールもジョージもリンゴも、アルバム「THE BEATLES」では終われなかったし、無論、「THE GET BACK SESSIONS」で終わる事などプライドが許さなかったのでしょう。何故なら、彼らは世界一のバンドだったのですから、無様な最期だけは見せたくなかったのでしょう。それで、ポールはサー・ジョージ・マーティンとジェフ・エメリックにアタマを下げて、最後のアルバムのレコーディング・セッションに向かったのです。ジョンもジョージもリンゴも、同じ気持ちだったのでしょう。だからこそ、アルバム「ABBEY ROAD」には隙がありません。ジョンの気持ちはヨーコさんとプラスティック・オノ・バンドへ向いていて、ジョージはソロ・アルバムを出す気マンマンで、リンゴは映画俳優志向が強くなっていたのでしょうけれど、誰よりもビートルズ存続を願っていたポールが、時には我を捨ててビートルズとしての作品に拘っています。ポールはビートルズが解散する未来など考えていなかったのかもしれませんが、最後の曲が「THE END」なのですから、覚悟はしていたのでしょう。
(小島イコ)
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