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2025年09月03日

「ポールの道」#839「THE BEATLES BLACK VOX」
#148「ABBEY ROAD REMIX」

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ビートルズが1969年9月26日にアップルからリリースしたアルバム「ABBEY ROAD」は、様々な理由でアウトテイクが少ない完璧なアルバムです。最大の理由は、ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターの4人が、本気でレコーディング・セッションに臨んでいたからです。特に、何だかんだ云ってもバンドの創設者で最後までリーダーだったジョン・レノンがやる気になっていたので、その時を逃さずにポール・マッカートニーが的確にサポートしていて、最後のレノン=マッカートニー作品を作り上げたのです。レコード盤だとB面に収録されたメドレーに関して、ジョンは「クズの寄せ集め」と気に入っていなかった様子でしたが、あのメドレーこそが本当の意味でのレノン=マッカートニーの最後の作品です。メドレーにはジョンが主導で書いた曲も含まれているからこそ感動的なのであって、ポールが主導で書いた曲だけならば、1973年5月にリリースされたポール・マッカートニー&ウイングスのアルバム「RED ROSE SPEEDWAY」のメドレー(個人的には嫌いではない)みたいになっていたでしょう。サー・ジョージ・マーティンは、A面はジョン主導で、B面はポール主導で制作させたと、大雑把に語っていますけれど、それはA面に「COME TOGETHER」と「I WANT YOU(SHE'S SO HEAVY)」と云うジョン主導で書いたレノン=マッカートニー作品が配置されていて、B面にはポールが主導で書いた曲が多いメドレーが配置されているからであって、A面にはポール主導で書いたレノン=マッカートニー作品「OH! DARLING」も入っているし、B面にもジョン主導で書いたレノン=マッカートニー作品「BECAUSE」も入っているし、メドレーにもジョン主導で書いたレノン=マッカートニー作品が3曲(「SUN KING」、「MEAN MR. MUSTARD」、「POLYTHENE PAM」)も入っているのです。

レコスケくんは、アルバム「ABBEY ROAD」はジョージの名曲(「SOMETHING」と「HERE COMES THE SUN」)が入っているので一人勝ちで、理由はポールの良い曲がメドレーにまわされたからで、つまりジョンの曲がショボイから、などと語っておりますけれど、レコスケくんはジョージが大好きなので、ジョンの「COME TOGETHER」や「I WANT YOU(SHE'S SO HEAVY)」の存在を無視しているのでしょうか。それとも、それらも含めてアルバム「ABBEY ROAD」のジョンの曲はショボイとでも云うのでしょうか。云っておきますけれど、ジョージの「SOMETHING」がシングル・カットされて、初めてビートルズのシングルA面になったのは、ジョンが推したからなんですよ。確かにジョージは、1969年1月の「THE GET BACK SESSIONS」の時期に才能が開花していて、レノン=マッカートニーの後にピッタリとくっついている位に成長してはいましたし、「SOMETHING」と「HERE COMES THE SUN」は名曲中の名曲ではありますが、アルバム「ABBEY ROAD」全17曲の中でショボイのは、ポールが主導で書いたレノン=マッカートニー作品「MAXWELL'S SILVER HAMMER」位しかないと思いますよ。ジョージが本当にレノン=マッカートニーを追い越すのは、1970年11月リリースのソロ・アルバム「ALL THINGS MUST PASS」でしょう。B面のメドレーでの肝は、ジョンの「POLYTHENE PAM」とポールの「SHE CAME IN THROUGH THE BATHROOM WINDOW」が、最初からメドレーとしてレコーディングされているところで、つまり「POLYTHENE PAM / SHE CAME IN THROUGH THE BATHROOM WINDOW」こそが、最後のレノン=マッカートニー作品なんですよ。アレがあるとないのとでは、B面のメドレーの印象は全く違うし、何ならその前のジョンの2曲でそちらも最初からメドレーとしてレコーディングされた「SUN KING / MEAN MR. MUSTARD」があるのとないのとでは、メドレーの意味合いが根底から覆される程に違ってしまうのです。繰り返しますが、ジョンの曲がないと「RED ROSE SPEEDWAY」になっちゃうわけですよ。

サー・ジョージ・マーティンは、ポールにアルバム「ABBEY ROAD」のプロデュースを依頼された時に、本当の意味でプロデュースさせてくれるなら受けるけれど、また「THE GET BACK SESSIONS」みたいにグダグダになったり、「THE BEATLES」の時みたいに私にあれこれ指図して困らせようと云うのなら断る、とハッキリ云ったそうです。ポールはエンジニアのジェフ・エメリックにも復帰をお願いしているので、サー・ジョージ・マーティンとジェフ・エメリックとポールは、1967年6月リリースのアルバム「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」よ、再び、と云った路線を考えていたのでしょう。しかし、1967年ではなく、そのたった2年後の1969年にレコーディングされたアルバム「ABBEY ROAD」は、そんな思惑とはまた違った方向へと進みました。ポールは無論のこと、ジョンもジョージもリンゴも、完全にプロのミュージシャンである事に徹していて、全く隙が無いアルバムが制作されてしまいます。ビートルズらしい遊び心があるのは、偶然に起こってしまった最後の「HER MAJESTY」位しかありませんし、リンゴの「OCTOPUS'S GARDEN」も含めて捨て曲なし(あるとすれば「MAXWELL'S SILVER HAMMER」)の全17曲です。アルバム「ABBEY ROAD」の公式盤の箱は、2019年9月27日にアップルからリリースされていますが、内容は3CD+1BDと云う、些かヴォリュームがない箱になっています。それに関しては後に詳しく書きますけれど、CD1はアルバム「ABBEY ROAD」全17曲のステレオ・リミックスで、CD2とCD3がアウトテイク集で、それぞれ全12曲入りと全11曲入りの合計23曲入りで、アナログ盤LP3枚組も出したのでそのフォーマットに合わせていて、CDとしては収録時間が短いのです。公式盤がそれしかないのでは、ブートレグで聴けるアウトテイクも極端に少なくて、それだけビートルズは集中してアルバム「ABBEY ROAD」をレコーディングしたのでしょう。

さて、今回紹介するのは、2012年に「greenAPPLE」からリリースされた1CDのブートレグ「ABBEY ROAD REMIX」です。このブートレグはアウトテイク集ではなく、その名の通り「リミックス盤」です。内容は、1「COME TOGRTHER」、2「SOMETHING」、3「MAXWELL'S SILVER HAMMER」、4「OH! DARLING」、5「OCTOPUS'S GARDEN」、6「I WANT YOU(SHE'S SO HEAVY)」、7「HERE COMES THE SUN」、8「BECAUSE」、9「YOU NEVER GIVE ME YOUR MONEY」、10「SUN KING」、11「MEAN MR. MUSTARD」、12「POLYTHENE PAM」、13「SHE CAME IN THROUGH THE BATHROOM WINDOW」、14「GOLDEN SLUMBERS」、15「CARRY THAT WEIGHT」、16「THE END」、そして、シークレット・トラックで、17「HER MAJESTY」の、全17曲入りです。2009年にゲーム「ROCKBAND」が海外で発売されたので、それを元にした「ROCKBAND REMIX」音源がブートレグ化していたのですけれど、このブートレグ「ABBEY ROAD REMIX」は、そんなに甘いもんじゃありません。コレはですね、リミックス盤と云うよりも、もはやマッシュアップ盤で、例えば「OH! DARLING」なんかは「THE GET BACK SESSIONS」音源でポールとジョンが二人で歌っているヴォーカルを乗せていたり、16曲目の「THE END」なんかは7分位あって、様々なビートルズの楽曲が「THE END」のバッキング・トラックに乗せて次から次へと登場して、次の最後の「HER MAJESTY」に行く前に、何故かジョンが嫌いだと公言していた「RUN FOR YOUR LIFE」のフレーズが飛び出したりして、全編に渡ってそんな感じで、制作したブートレグ業者は、さぞかし楽しかったでしょう。しかしながら、そんな単なるブートレグ業者が勝手に作ったマッシュアップ盤は、聴いている方は面白くも何ともありませんし、無残に解体された音源は、逆に聴いていて不愉快になってきます。あたくしは2006年11月リリースの公式のマッシュアップ盤「LOVE」もすぐに飽きてしまったので、こんなどこの誰が作ったのか分からないマッシュアップ盤は、只々つまらないだけです。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする