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2025年09月02日

「ポールの道」#838「THE BEATLES BLACK VOX」
#147「RETURN TO ABBEY ROAD」

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ビートルズが1969年9月26日にアップルからリリースしたアルバム「ABBEY ROAD」は、1970年5月8日にアップルからリリースしたアルバム「LET IT BE」よりも、その収録曲のレコーディング・セッションが後だった為に、実質的にはアルバム「LET IT BE」が先で、アルバム「ABBEY ROAD」が真のラスト・アルバムだと云われています。但し、アルバム「LET IT BE」には、休暇中で不参加だったジョン・レノンを抜いた、ポール・マッカートニーとジョージ・ハリスンとリンゴ・スターが1970年1月3日に新たにレコーディングした「I ME MINE」や、やはりジョン抜きで行われた同年1月4日の「LET IT BE」へのオーバーダビング・セッションや、ジョージがひとりでリード・ヴォーカルとギターを差し替えた同年1月8日の「FOR YOU BLUE」のオーバーダビング・セッションや、リンゴ・スターがドラムスで参加した同年4月1日の「ACROSS THE UNIVERSE」と「THE LONG AND WINDING ROAD」と「I ME MINE」へのオーケストラとコーラスのオーバーダビング・セッション音源が含まれているので、厳密に云えばアルバム「ABBEY ROAD」よりも後にレコーディングされた楽曲もあります。しかしながら、アルバム「ABBEY ROAD」が完成してリリースされる1969年9月26日の約1週間前である同年9月20日に、ジョン・レノンがビートルズ脱退をアップルの会議で宣言したのです。ジョンは同年9月13日に「トロント・ロックンロール・リヴァイバル」で急造のバンド「プラスティック・オノ・バンド」として、ジョン・レノン(ヴォーカル、ギター)、エリック・クラプトン(リード・ギター)、クラウス・フォアマン(ベース)、アラン・ホワイト(ドラムス)、ヨーコさん(キエーッ!)で組んでライヴを行い好感触を得たので、もうビートルズには興味がなくなったのでしょう。実際にクラプトンたち3人は、ジョンにこのままバンドを組まないかと誘われたそうです。それに、ビートルズはジョンが造ったバンドなので、自分で壊したかったのでしょう。

結局、ジョンの脱退は、以前のリンゴの脱退(1968年8月22日)や、ジョージの脱退(1969年1月10日)の様に、口外されずに内部で収められてしまったのですけれど、ジョンはその後にはビートルズのレコーディング・セッションには一切参加していません。つまり、ジョン、ポール、ジョージ、リンゴの4人が揃ってレコーディングした最後のアルバムは「ABBEY ROAD」と云う事にはなります。先を急ぐと、ポールは1970年4月10日にビートルズ脱退宣言をぶちかましていて、ジョンは自分の方が先に脱退宣言をしたのに内密にされていたのに、ポールは1週間後の同年4月17日にアップルからリリースする初のソロ・アルバム「McCARTNEY」の宣伝に利用したと、怒髪天を衝いて泥沼の兄弟喧嘩に発展するのです。今回は、そんなアルバム「ABBEY ROAD」の別ミックスやアウトテイクを集めた1CDのブートレグ「RETURN TO ABBEY ROAD」を紹介します。内容は、1「COME TOGRTHER」、2「SOMETHING」、3「SOMETHING」、4「MAXWELL'S SILVER HAMMER」、5「MAXWELL'S SILVER HAMMER」、6「OH! DARLING」、7「OH! DARLING」、8「OCTOPUS'S GARDEN」、9「I WANT YOU(SHE'S SO HEAVY)」、10「HERE COMES THE SUN」、11「BECAUSE」、12「BECAUSE」、13「YOU NEVER GIVE ME YOUR MONEY」、14「A HUGE MELODY PART 1(YOU NEVER GIVE ME YOUR MONEY / SUN KING / MEAN MR. MUSTARD / HER MAJESTY / POLYTHENE PAM / SHE CAME IN THROUGH THE BATHROOM WINDOW)」、15「GOLDEN SLUMBERS / CARRY THAT WEIGHT」、16「A HUGE MELODY PART 2(GOLDEN SLUMBERS / CARRY THAT WEIGHT / THE END」の、全16トラック入りです。レコードだとB面のメドレーはまとめられているので、それらを分けると全16トラックで全24曲入りです。

アルバム「ABBEY ROAD」は、1969年1月の「THE GET BACK SESSIONS」で既に出来ていてリハーサルを行っていた楽曲が全17曲中12曲もあった事と、サー・ジョージ・マーティンとジェフ・エメリックにポールがアタマを下げて復帰してもらったのと、ビートルズの4人が最後のアルバムだと意識していたとも思われる、いつもならどこか敢えて外すビートルズらしからぬ完璧な演奏をしている事などから、アウトテイクが極端に少ないアルバムです。故に、ブートレグとしても「THE GET BACK SESSIONS」を除いて、アルバム「ABBEY ROAD」のレコーディング・セッションに限定すると、インチキ・ミックスのモノラル音源や、オーケストラが入る前のラフミックス音源や、ベーシック・トラックは同じでヴォーカルだけ別テイクと云った音源がほとんどです。このブートレグ「RETURN TO ABBEY ROAD」は、何とかしてアルバム「ABBEY ROAD」の曲順で別テイクを並べている涙ぐましい努力をしています。最初の「COME TOGRTHER」が別テイクではなくインチキ・モノラル・ミックスなので、1996年9月26日にリリースされた公式盤アルバム「ANTHOLOGY 3」よりも前にリリースされたのかもしれません。1「COME TOGRTHER」は、ブラジル盤や英国テープで聴けるインチキ・モノラル・ミックスで、2「SOMETHING」はジョージによるデモ音源で、3「SOMETHING」はエンディングが長い「Take 37」で、4「MAXWELL'S SILVER HAMMER」はモーグ・シンセサイザーがオーバーダビングされていない初期モノラル・ミックスで、5「MAXWELL'S SILVER HAMMER」は別ステレオ・ミックスで、6「OH! DARLING」はヴォーカルのみで、7「OH! DARLING」はポールのヴォーカルが別テイクで途中でファルセットになるアレで、8「OCTOPUS'S GARDEN」は初期ミックスでバッキング・ヴォーカルなしで、9「I WANT YOU(SHE'S SO HEAVY)」はインチキ・モノラル・ミックスです。

レコードだとB面の、10「HERE COMES THE SUN」はインチキ・モノラル・ミックスで、11「BECAUSE」はアカペラ・ヴァージョンで、12「BECAUSE」は別ミックスで、13「YOU NEVER GIVE ME YOUR MONEY」はエンディングが長いベーシック・トラックで、14「A HUGE MELODY PART 1(YOU NEVER GIVE ME YOUR MONEY / SUN KING / MEAN MR. MUSTARD / HER MAJESTY / POLYTHENE PAM / SHE CAME IN THROUGH THE BATHROOM WINDOW)」は、初期ラフミックス音源なのですが「HER MAJESTY」の位置が「MEAN MR. MUSTARD」と「POLYTHENE PAM」の間に入っているので、捏造したインチキ・ミックスです。ポールがラフミックスを聴いて、やっぱり「HER MAJESTY」は要らないから切って捨ててくれ、と頼んで、実際にエンジニアのジョン・カーランダーはマスターテープを切って編集して、ビートルズの音源はクズでも捨ててはならないと決められていたので、最後の「THE END」の後に間を開けて繋いでおいたのを、ポールが気に入ってそのまんまで完成したのです。つまり、マスターテープで位置が完成形と同じになっているわけで、「HER MAJESTY」が元の位置にあるテープなど存在しないのです。コレは、2019年の公式盤の箱「ABBEY ROAD」にも収録されていますが、公式盤でインチキ・ミックスしちゃうのはイカンでしょう。本来のラフミックス音源は、1991年リリースの「YELLOW DOG」からのブートレグ「UNSURPASSED MASTERS VOL.5(1969)」で聴けます。15「GOLDEN SLUMBERS / CARRY THAT WEIGHT」はオーバーダビング前のベーシック・トラックで、16「A HUGE MELODY PART 2(GOLDEN SLUMBERS / CARRY THAT WEIGHT / THE END」はオーバーダビングなしの初期ラフミックス音源です。このベーシック・トラックに、サー・ジョージ・マーティンがオーケストラをオーバーダビングしたのが完成形です。「THE END」には、ポール、ジョージ、ジョンによるリード・ギターや、ポールのヴォーカルも入っていません。そして、最後に「HER MAJESTY」の完全版がオマケで入っています。全体的に音がヨレヨレですけれど、古いブートレグなので、こんなもんでしょう。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする