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2025年08月14日

「ポールの道」#819「THE BEATLES BLACK VOX」
#128「THE “LET IT BE” REHEARSALS VOL.1- VOL.3」

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ビートルズが1969年1月に行った「THE GET BACK SESSIONS」音源を、ブートレグ業者「YELLOW DOG」がそれに特化したブートレグばかりをリリースする様になったのは、おそらくカメラAロール・テープを入手したからでしょう。「YELLOW DOG」は、最終的にはカメラAロール音源を演奏ばかりではなく会話まで全て収録したシリーズ「DAY BY DAY」CD38セット76枚をリリースして、警察の摘発を受けて500本のテープを押収され、関係者5名が逮捕されて消滅しました。そもそも、1988年に「ULTRA RARE TRAX」シリーズをリリースした「SWINGIN' PIG」と、1989年から「UNSURPASSED MASTERS」をリリースした「YELLOW DOG」は、どちらも母体は「PERFECT BEAT」と云うブートレグ業者で、著作権に甘いルクセンブルクで登記されています。「SWINGIN' PIG」や「YELLOW DOG」だけではなく、「BLACK DOG」や「ORANGE」や「STRAWBERRY」や「YELLOW CAT」等々、多くの変名レーベルを持っていて、ブートレグを乱造していました。前述の理由で2002年にはヨーロッパでは閉鎖していますけれど、何故か日本では2006年頃まで新作ブートレグを製造販売していて、ルクセンブルクを拠点とはしていたものの、日本人が深く関わっていたと思われます。「YELLOW DOG」は、1991年に前回紹介したアルバム「CELLULOID ROCK」とアルバム「GET BACK AND 22 OTHER SONGS」と云う「THE GET BACK SESSIONS」音源に特化したブートレグをリリースしていて、いよいよ「THE GET BACK SESSIONS」の、しかも当時は流出していなかった後半のアップル・スタジオでのレコーディング・セッション音源を中心としたブートレグをリリースし始めたのです。

そうして「YELLOW DOG」は、1992年から1994年にかけて、シリーズ「THE “LET IT BE” REHEARSALS」を5作リリースしています。まずは、1992年に最初にリリースしたブートレグ「THE “LET IT BE” REHEARSALS VOL.1」は、「COMPLETE ROOFTOP CONCERT」と云う副題が付いていて、内容は、1「GET BACK」、2「GET BACK」、3「DON'T LET ME DOWN」、4「I'VE GOT A FEELING」、5「ONE AFTER 909」、6「DIG A PONY」、7「I'VE GOT A FEELING」、8「DON'T LET ME DOWN」、9「GET BACK」、10「THE WALK」、11「OH! DARLING」、12「MAXWELL'S SILVER HAMMER」、13「ACROSS THE UNIVERSE」、14「GONE GONE GONE」、15「WAKE UP IN THE MORNING」、16「SHE CAME IN THROUGH THE BATHROOM WINDOW」、17「SAUSAGES AND FRENCH FRIES / EARLY IN THE MORNING」、18「STAND BY ME」、19「HARRY PINSKER」、20「TWO OF US」の、全20曲入りです。1「GET BACK」〜9「GET BACK」は、1969年1月30日(木曜日)にアップル・ビル屋上で行ったゲリラ・ライヴ・レコーディング・セッションの完全版で、通称「ROOFTOP CONCERT」と呼ばれています。この音源は、このブートレグが出る前には、映画「LET IT BE」でのサントラ音源6曲(1「GET BACK」、3「DON'T LET ME DOWN」、4「I'VE GOT A FEELING」、5「ONE AFTER 909」、6「DIG A PONY」、9「GET BACK」)しか聴けなかったので、この全長版は衝撃的でした。10「THE WALK」〜20「TWO OF US」に関しても、アップル・スタジオでのレコーディング・セッション音源が多くて、この当時では初登場音源がてんこ盛りでした。

つづいて、1992年にリリースしたのが、ブートレグ「THE “LET IT BE” REHEARSALS VOL.2」で、副題が「ALL THINGS MUST PASS(PART 1:ELECTRIC SET)」となっています。内容は、1「GEORGE TALKS ABOUT A SOLO ALBUM」、2「ALL THINGS MUST PASS」、3「OLD BROWN SHOE」、4「FOR YOU BLUE」、5「LET IT DOWN」、6「I SHALL BE RELEASED」、7「SPEAK TO ME」、8「HEAR ME LORD」、9「I ME MINE」、10「SHORT FAT FANNIE」、11「ALL THINGS MUST PASS」、12「LET IT DOWN」、13「HEAR ME LORD」、14「I SHALL BE RELEASED」、15「ON THE ROAD AGAIN」、16「HOW DO YOU TELL SOMEONE」、17「POSITIVELY 4TH STREET」、18「LET IT DOWN / GET BACK」、19「WELL... ALL RIGHT」、20「HICH HIKE」、21「I ME MINE」、22「SOMETHING」、23「I ME MINE」、24「I ME MINE」、25「ALL THINGS MUST PASS」の、全25曲入りです。最初の1「GEORGE TALKS ABOUT A SOLO ALBUM」は、曲ではなく、ドキュメンタリー映画「GET BACK」にも出て来る、ジョージ・ハリスンがジョン・レノンに「このままだと自分が書いた曲をビートルズで取り上げてもらうのに10年かかってしまうから、ソロ・アルバムを出したい」とお願いするアレです。映像を観ると、ジョージはポール・マッカートニーが席を外したタイミングで、ジョン(とヨーコさん)にお願いしていて、ジョンは「バンドが結束しようって時にソロ・アルバムかよ」と呆れているのですけれど、何故かヨーコさんが会話に割って入って「とっても良いと思うわ」などと云うと、ジョンもコロリと手のひらを返して「いいんじゃないの」などと云っています。それにつづくのは、ジョージ・ハリスンが自作曲やカヴァー曲を、ビートルズとして演奏している「THE GET BACK SESSIONS」音源です。

こちらは「ELECTRIC SET」とある様に、ビートルズとしてエレクトリック・ギターで演奏している音源集です。そして、1994年には、続編のブートレグ「THE “LET IT BE” REHEARSALS VOL.3」をリリースしていて、副題が「ALL THINGS MUST PASS(PART 2:ACOUSTIC SET)」となっています。「PART 1」が「YD 016」で、「PART 2」が「YD 053」なので、間が空きましたけれど、「YELLOW DOG」はその間に、ビートルズ(「クリスマス・レコード」、「アセテイト盤音源集」、「ライヴ音源」など)も出しつつ、ボブ・ディラン、ブルース・スプリングスティーン、エリック・クラプトン、エルトン・ジョン、エルヴィス・プレスリー、ビーチ・ボーイズ、ローリング・ストーンズ、サイモン&ガーファンクル、ジャニス・ジョプリン、ジェファーソン・エアプレイン、ジミ・ヘンドリックス、バーズ、と云った他のバンドやミュージシャンのブートレグもガンガン出し捲っていたのです。「ALL THINGS MUST PASS(PART 2:ACOUSTIC SET)」の内容は、1「DIALOGUE / ALL THINGS MUST PASS」、2「DIALOGUE / ISN'T IT A PITTY」、3「WINDOW WINDOW」、4「FOR YOU BLUE」、5「PLEASE, MR. HENRY」、6「RAMBRING WOMAN」、7「RAMBRING WOMAN / I THREW IT ALL AWAY / MAMA, YOU BEEN ON MY MIND」、8「OLD BROWN SHOE」、9「DIALOGUE / FOR YOU BLUE」の、全9曲入りです。曲数表示は9曲と少ないものの、同じ曲を繰り返し演奏しているので、時間はたっぷりと収録されています。こちらはアコースティック・ギターでの弾き語りが中心で、このシリーズの段階では、前作と前々作も同じで、トゥイッケナム・フィルム・スタジオでのリハーサル音源とアップル・スタジオでのレコーディング・セッション音源を順不同で、結構滅茶苦茶に並べていて、当時はまだ研究されていなかったのでしょう。

ちなみに、こちらの1「ALL THINGS MUST PASS」は1969年1月3日(金曜日)のトゥイッケナム・フィルム・スタジオでのリハーサル音源、2「ISN'T IT A PITTY」〜3「WINDOW WINDOW」は同年1月26日(日曜日)のアップル・スタジオでのレコーディング・セッション音源、4「FOR YOU BLUE」は同年1月7日(火曜日)のトゥイッケナム・フィルム・スタジオでのリハーサル音源、5「PLEASE, MR. HENRY」〜6「RAMBRING WOMAN」は同年1月3日(金曜日)のトゥイッケナム・フィルム・スタジオでのリハーサル音源、7「RAMBRING WOMAN / I THREW IT ALL AWAY / MAMA, YOU BEEN ON MY MIND」は同年1月9日(木曜日)のトゥイッケナム・フィルム・スタジオでのリハーサル音源、8「OLD BROWN SHOE」は同年1月28日(火曜日)のアップル・スタジオでのレコーディング・セッション音源、9「FOR YOU BLUE」は同年1月9日(木曜日)のトゥイッケナム・フィルム・スタジオでのリハーサル音源と、ジョージにスポットを当てているのは良いとしても、曲順はあるものを適当に並べていたのだと、現在では分かっています。更に、随所に会話をカットせずに入れていて、それは後の「DAY BY DAY」へと発展するわけですが、この段階ではどうにもどっちつかずの編集方法となっています。それにしても「THE GET BACK SESSIONS」音源でのジョージの活躍は目を見張るものがあって、数多くの名曲を書いていたと分かるのですけれど、これからグリン・ジョンズがまとめたアルバム「GET BACK with Don't Let Me Down and 12 other songs」第1案には「FOR YOU BLUE」1曲しか収録されなかったわけで、そりゃあ、ソロ・アルバムを出したくもなるでしょうなあ。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする