
ビートルズが1969年1月に行った「THE GET BACK SESSIONS」の膨大な音源から、後半のアップル・スタジオでのレコーディング・セッションをCD2枚組2セット合計4枚にまとめた、2010年に「STRANGE APPLE RECORDS」からリリースされた「THE RED APPLE(JANUARY 21st - 27th, 1969)」と「THE BLUE APPLE(JANUARY 28th - 31st, 1969)」から、今回は「THE BLUE APPLE(JANUARY 28th - 31st, 1969)」を紹介します。CD1は、1「THE RIVER RHINE / THE LONG AND WINDING ROAD」、2「I'VE GOT A FEELING」、3「RAINY DAYS WOMEN #12&35」、4「THE INNER LIGHT」、5「ON THE ROAD TO MARRAKESH(CHILD OF NATURE)」、6「LOVE ME DO」、7「GET BACK」、8「ONE AFTER 909」、9「OLD BROWN SHOE」、10「OLD BROWN SHOE(IMPROVISATION)」、11「I WANT YOU(SHE'S SO HEAVY)」、12「UNLESS HE HAS A SONG / STICKS AND STONES」、13「SOMETHING」、14「SOMETHING」、15「TWO OF US / HELLO GOODBYE」、16「ALL THINGS MUST PASS」、17「ALL THINGS MUST PASS」、18「ALL THINGS MUST PASS」、19「HOW DO YOU TELL SOMEONE?」、20「GREASEPAINT ON YOUR FACE」、21「I WANT YOU(SHE'S SO HEAVY)」の全21曲入りで、1〜21は、1969年1月28日(火曜日)のアップル・スタジオでのレコーディング・セッション音源です。この日の演奏でも、ブートレグ「THIRTY DAYS」では聴けない曲(3「RAINY DAYS WOMEN #12&35」、4「THE INNER LIGHT」、5「ON THE ROAD TO MARRAKESH(CHILD OF NATURE)」、12「UNLESS HE HAS A SONG / STICKS AND STONES」、14「SOMETHING」、15「TWO OF US / HELLO GOODBYE」、19「HOW DO YOU TELL SOMEONE?」、20「GREASEPAINT ON YOUR FACE」)が収録されていて、意識的な選曲なのでしょう。
ブートレグ「THIRTY DAYS」でも聴ける音源では、1「THE RIVER RHINE / THE LONG AND WINDING ROAD」は、ポールが「THE RIVER RHINE」を歌った後で、曲はそのままで「THE LONG AND WINDING ROAD」の歌詞を歌っていたり、2「I'VE GOT A FEELING」ではジョンが全てのリード・ヴォーカルを担当していて、つづいてボブ・ディランの3「RAINY DAYS WOMEN #12&35(雨の日の女)」を歌ったりしています。コレはですね、屋上でのライヴの時には「I'VE GOT A FEELING」に歌い込んでいるので、曲を書くきっかけになったのかもしれません。5「ON THE ROAD TO MARRAKESH(CHILD OF NATURE)」は、後の「JEALOUS GUY」ですが、このセッションではわりと真面目に演奏しています。ジョージ・ハリスン作の「OLD BROWN SHOE」や「SOMETHING」や「ALL THINGS MUST PASS」は、ブートレグ「THIRTY DAYS」でも聴けますけれど、こちらの方が長く収録されています。レコーディング・セッションも終盤になったし、屋上でのライヴも決まって、演奏する5曲も決まったので、それじゃあ、ジョージの曲でもやりますか、と云う感じがして、本当にジョージが可哀想になってきますなあ。「OLD BROWN SHOE」では、ジョージが一生懸命にコード進行を教えながら演奏しています。結局、ジョージの曲はルーフトップ・コンサートで1曲も取り上げてもらえないし、グリン・ジョンズが1969年5月28日にまとめたアルバム「GET BACK with Don't Let Me Down and 12 other songs」第1案には「FOR YOU BLUE」1曲しか選ばれていません。7「GET BACK」は「THIRTY DAYS」にも収録されていますけれど、公式盤シングルのブレイク後に使われているテイクです。映画「LET IT BE」のエンディングにも使われている、ポールが笑いながら歌っているテイクの完全版で、個人的には大好きな演奏です。
CD2は、1「DON'T LET ME DOWN」、2「SHE CAME IN THROUGH THE BATHROOM WINDOW」、3「ALL THINGS MUST PASS」、4「LET IT DOWN」、5「LET IT DOWN」、6「SOMETHING」、7「SEXY SADIE」、8「ONE AFTER 909」、9「MAYBE BABY」、10「PEGGY SUE GOT MARRIED / THINKING OF LINKING」、11「CRYING, WAITING, HOPING」、12「TEDDY BOY」の、1〜12は、1969年1月29日(水曜日)のアップル・スタジオでのレコーディング・セッション音源です。この辺になると、このブートレグでしか聴けない音源はありませんが、やはりジョージの曲(「ALL THINGS MUST PASS」、「LET IT DOWN」、「SOMETHING」)が取り上げられています。「OLD BROWN SHOE」と「SOMETHING」は、後にビートルズとしてレコーディングし直されて発表していますが、「ALL THINGS MUST PASS」や「LET IT DOWN」や「HEAR ME LORD」や「ISN'T IT A PITTY」などの名曲は、ジョージの1970年11月リリースのソロ・アルバム「ALL THINGS MUST PASS」まで持ち越されてしまうのです。しかしながら、この「THE GET BACK SESSIONS」では、ジョンもポールも後に発表する曲を多く演奏していて、ジョージの曲と同様に、この時点ではボツにしています。サー・ジョージ・マーティンも「私はジョージを軽視していたのかもしれないが、ビートルズにはジョンとポールが居たからね」と云っています。ビートルズの「THE GET BACK SESSIONS」が面白いところのひとつが、この時点でアルバム「ABBEY ROAD」に収録される曲のほとんどが既に出来ていた事です。ざっと聴いても、「SOMETHING」、「MAXWELL'S SILVER HAMMER」、「OH! DARLING」、「OCTOPUS'S GARDEN」、「I WANT YOU(SHE'S SO HEAVY)」、「SUN KING」、「MEAN MR. MUSTARD」、「POLYTHENE PAM」、「SHE CAME IN THROUGH THE BATHROOM WINDOW」、「GOLDEN SLUMBERS / CARRY THAT WEIGHT」、「HER MAJESTY」が、既に「THE GET BACK SESSIONS」で聴けます。
つまり、アルバム「ABBEY ROAD」に収録された全17曲中12曲はもう「THE GET BACK SESSIONS」の段階で顔を出していて、出て来ないのはたったの5曲(「COME TOGETHER」、「HERE COMES THE SUN」、「BECAUSE」、「YOU NEVER GIVE ME YOUR MONEY」、「THE END」)だけなのです。つづいて、13「I'VE GOT A FEELING」、14「DON'T LET ME DOWN」、15「GET BACK」の、13〜15は、1969年1月30日(木曜日)のアップル・ビル屋上でのゲリラ・ライヴ・レコーディング・セッションの音源です。ライヴ後半の3曲のみの収録ですけれど、ブートレグ「THIRTY DAYS」では完全収録されているし、この「ルーフトップ・コンサート」は単品でも幾つもブートレグになっているし、2022年には公式で配信されているので、ほんのサワリだけ入れたのでしょう。とは云え、13「I'VE GOT A FEELING」の最後に「RAINY DAYS WOMEN #12&35」を歌い込んでいるところとか、その後にジョンが「A PRETTY GIRL IS LIKE A MELODY」を歌うところや、14「DON'T LET ME DOWN」の前に間違えて「GET BACK」を演奏しようとするところや、15「GET BACK」の後にジョンのジョークが大きめで入っていたりして、臨場感はあります。つづいて、16「TWO OF US」、17「LADY MADONNA」、18「THE LONG AND WINDING ROAD」、19「THE LONG AND WINDING ROAD」、20「LET IT BE」、21「LET IT BE」、22「LET IT BE」の、全22曲入りで、合計43曲入りで、2セットで全105曲入りです。16〜22は、1969年1月31日(金曜日)のアップル・スタジオでのレコーディング・セッション音源です。この最終日のレコーディング・セッションも、ブートレグ「THIRTY DAYS」には完全収録されているので、完成形となった「TWO OF US」と「THE LONG AND WINDING ROAD」と「LET IT BE」を、サラリと収録した感じです。比較的にマトモなアップル・スタジオでのレコーディング・セッションを聴くにはお手軽ですし、ブートレグ「THIRTY DAYS」では聴けない演奏も多いので、好編集盤です。
(小島イコ)
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