
ビートルズが1969年1月に行った「THE GET BACK SESSIONS」から、選りすぐりの演奏を18時間21分26秒も集めたCD17枚組のブートレグ「THIRTY DAYS」を紹介していますが、今回はCD7とCD8です。CD7は「THE BEST OF THE APPLE STUDIO SESSIONS PART 3」で、1「THERE YOU ARE EDDIE」、2「DIGGIN' MY POTATOES」、3「HEY LILEY, LILEY-LO」、4「ROCK ISLAND LINE」、5「MICHAEL ROW THE BOAT」、6「ROCK-A-BYE BABY」、7「SINGING BLUES」、8「DIG IT」、9「DIG IT」、10「GET BACK」、11「GET BACK / LITTLE DEMON / MAYBELLENE / YOU CAN'T CATCH ME / BROWN-EYED HANSOME MAN」、12「SHORT FAT FANNIE」、13「GET BACK」、14「BAD BOY」、15「SWEET LITTLE SIXTEEN」、16「AROUND AND AROUND」、17「ALMOST GROWN」、18「SCHOOL DAYS」、19「STAND BY ME / WHERE HAVE YOU BEEN」、20「GET BACK」と、1〜20は、1969年1月24日(金曜日)のアップル・スタジオでのレコーディング・セッション音源です。オリジナルの未発表曲は、1「THERE YOU ARE EDDIE」で、他の演奏ではチャック・ベリーのカヴァー曲が多い印象です。17「DIG IT」では、ジョンが「That was Can You Dig It by Georgie Wood and now we'd like to do Hark The Angels Come」と云っていて、コレはですね、フィル・スペクターがプロデュースした1970年リリースのアルバム「LET IT BE」で、「DIG IT」と「LET IT BE」の間に収録されているアレなんですけれど、実際には「DIG IT」は別テイクを使っているし、次に演奏しているのは「LET IT BE」ではなく「GET BACK」です。こちらの「DIG IT」は、2021年リリースの箱「LET IT BE」に「CAN YOU DIG IT?」として収録されています。
つづいて、21「I LOST MY LITTLE GIRL」、22「TWO OF US」、23「TWO OF US」、24「BYE BYE LOVE」、25「TWO OF US」、26「FOR YOU BLUE」、27「FOR YOU BLUE」、28「FOR YOU BLUE」と、全28曲入りで、21〜28は、1969年1月25日(土曜日)のアップル・スタジオでのレコーディング・セッション音源です。この1月25日はビリー・プレストンが不参加なので、ビートルズの4人による演奏です。ジョン・レノンが歌う21「I LOST MY LITTLE GIRL」は、ポール・マッカートニーが少年時代に初めて書いた曲と云われていて、ポールは1991年リリースのスタジオ・ライヴ・アルバム「UNPLUGGED(THE OFFICIAL BOOTLEG)」で披露しています。ビリー・プレストンが不在なので、アコースティックなアレンジに変わった「TWO OF US」や、グリン・ジョンズがまとめたアルバム「GET BACK with Don't Let Me Down and 12 other songs」第1案では唯一のジョージ・ハリスン作だった「FOR YOU BLUE」を多く演奏しています。CD8は「THE BEST OF THE APPLE STUDIO SESSIONS PART 4」で、1「FOR YOU BLUE」、2「FOR YOU BLUE」、3「FOR YOU BLUE」、4「LET IT BE」、5「LET IT BE」、6「I'M TALKING ABOUT YOU」、7「LET IT BE」、8「LET IT BE」と、1〜8は、1969年1月25日(土曜日)のアップル・スタジオでのレコーディング・セッション音源のつづきです。同じく、ビリー・プレストンが不参加の日なので、「FOR YOU BLUE」のセッションにつづいて「LET IT BE」の本格的なレコーディング・セッションも始まっています。まだ3番の歌詞がなくて、先を急ぐと「LET IT BE」の3番の歌詞が出来るのは「THE GET BACK SESSIONS」の最終日である1969年1月31日(金曜日)になってからです。アルバム「LET IT BE」に収録された「FOR YOU BLUE」は、この1969年1月25日の演奏を元に、1970年1月8日にジョージがヴォーカルとギターを差し替えた音源です。
つづいて、9「ISN'T IT A PITTY」、10「WINDOW WINDOW」、11「OCTOPUS'S GARDEN」、12「HIGH SCHOOL CONFIDENTIAL」、13「GREAT BALLS OF FIRE」、14「GREAT BALLS OF FIRE」、15「LET IT BE」、16「LET IT BE」、17「LET IT BE」、18「LET IT BE」、19「LET IT BE」、20「DIG IT」、21「RIP IT UP」、22「SHAKE, RATTLE AND ROLL」の、全22曲入りで、9〜22は、1969年1月26日(日曜日)のアップル・スタジオでのレコーディング・セッション音源です。9「ISN'T IT A PITTY」と、10「WINDOW WINDOW」は、ジョージによるアコースティック・ギターの弾き語りで、名曲「ISN'T IT A PITTY」は、ジョージの1970年リリースのソロ・アルバム「ALL THINGS MUST PASS」に2ヴァージョン収録される事になります。11「OCTOPUS'S GARDEN」は、リンゴ・スター作となっていますけれど、映画「LET IT BE」を観るとジョージが曲作りを手伝っているので、実際には共作でしょう。ビリー・プレストンも復帰して、再び「LET IT BE」のセッションがつづいて、ビリー・プレストンによるオルガンが加わったので、曲に厚みが出ています。20「DIG IT」は、実際には15分3秒もあるジャム・セッション音源で、フィル・スペクターがプロデュースしたアルバム「LET IT BE」では最後の方の50秒しか使われていません。しかも、ポールのヴォーカルは全てカットしています。ジョンとポールは、この頃「DIG IT」と云う言葉が気に入っていた様子で、会話でも何度も云っています。オリジナル音源では、ジョンとポールがお互いに合いの手を入れる様に歌っていて、リンダ・イーストマン(後のリンダ・マッカートニー)の娘ヘザー(後のポールの養女で陶芸家)が、ヨーコさんのマネみたいに「アーッ!」とか「キエーッ!」とか叫んで参加しています。
ジョンがヨーコさんをスタジオに同伴させていたので、ポールもリンダやヘザーを連れて来る様になったのです。普通だったならば、ジョンがヨーコさんをスタジオに連れて来たら「公私混同だ」とか「それは違うんじゃないか」となりそうなのですけれど、ビートルズの場合は、だったら俺もとなって、ポールはリンダとヘザーを連れて来るし、ジョージはパティを連れて来るし、リンゴはモーリンを連れて来るわけで、どうにもこうにも変なバンドです。特にこの「DIG IT」みたいに、まだ当時6歳の子どもだったヘザーをレコーディングに参加させちゃうんですから、どうかしていますわなあ。レコーディング・セッション中には、ヨーコさんはジョンの横にベッタリとくっ付いているので、映画「LET IT BE」やドキュメンタリー映画「GET BACK」では目立っていますけれど、何の事はない、リンダとヘザーもその場に居て、リンダはカメラマンだから映画用のカメラの位置に居て余り映っていないだけなのです。ヘザーは大活躍で、そっと近づいてリンゴのドラムスを叩いて喜んでいたり(リンゴは分かっているけれどわざと驚いてヘザーに付き合っている)、演奏に合わせてグルグル回っていたりして、結構目立っています。本番であるアップル・スタジオでのレコーディング・セッションは、1月20日(月曜日)から1月29日(水曜日)までと、1月30日(木曜日)のアップル・ビルの屋上でのゲリラ・ライヴ・レコーディング・セッションを経て、1月31日(金曜日)のアップル・スタジオでのレコーディング・セッション最終日まで、12日間、土日返上でガッツリと行われています。ダラダラとしたトゥイッケナム・フィルム・スタジオでのリハーサルとは違って、ビリー・プレストンの参加もあって、熱演がつづきます。但し、こちらは本番のレコーディング・セッションなので、同じ曲を何度も繰り返し演奏しているので、初心者向けではありません。(つづく)
(小島イコ)
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