
ビートルズが1969年1月に行った「THE GET BACK SESSIONS」音源を、CD8枚組で「VIGOTONE」が1993年にリリースしたブートレグ「THE GET BACK JOURNALS」から、今回はCD3とCD4を紹介します。CD3は、1「I ME MINE」、2「EARLY IN THE MORNING / HONEY HUSH」、3「STAND BY ME」、4「HARI KRISHNA MANTRA」、5「UNKNOWN」、6「HARI KRISHNA MANTRA」、7「TWO OF US」、8「YOU GOT ME GOING」、9「TWIST AND SHOUT」、10「DON'T LET ME DOWN」、11「I'VE GOT A FEELING」、12「ONE AFTER 909」、13「TOO BAD ABOUT SORROWS」、14「JUST FUN」、15「SHE SAID SHE SAID」、16「MEAN MR. MUSTARD」、17「DON'T LET ME DOWN」、18「ALL THINGS MUST PASS」、19「FOOLS LIKE ME」、20「YOU WIN AGAIN」、21「INSTRUMENTAL」、22「SHE CAME IN THROUGH THE BATHROOM WINDOW」、23「I ME MINE」、24「ALMOST GROWN」、25「NORWEGIAN WOOD(THIS BIRD HAS FLOWN)」、26「WHAT AM I LIVING FOR?」、27「ROCK AND ROLL MUSIC」、28「I ME MINE」の、全28曲入りで、1〜28は全てが1969年1月8日(水曜日)のトゥイッケナム・フィルム・スタジオでのリハーサル音源です。オリジナルの未発表曲は、8「YOU GOT ME GOING」位しかありませんが、新曲と共に多くのカヴァー曲も演奏しているので、それが「THE GET BACK SESSIONS」の魅力ではあります。しかしながら、少しでもこの「THE GET BACK SESSIONS」音源を聴いた事がある方々ならばご承知の通り、曲目だけを見て期待するとですね、特にこの前半のトゥイッケナム・フィルム・スタジオでのリハーサル音源に関しては、演奏も散漫だし、余りやる気も感じられません。
ズバリ云って、最初からはりきっているのは、ポール・マッカートニーだけです。このCD3では、1「I ME MINE」や、7「TWO OF US」や、11「I'VE GOT A FEELING」が、マイケル・リンゼイ=ホッグ監督の映画「LET IT BE」で使われています。ジョージ作の「I ME MINE」がお披露目されて、ジョージとリンゴとポールによるリハーサルになるのですけれど、ジョンはヨーコさんと踊っています。「TWO OF US」は、ロックンロール・スタイルのアレンジで、1本のマイクでジョンとポールが歌っているのですけれど、もうそれだけで感動的です。「I'VE GOT A FEELING」では、ポールだけがノリノリで、突然「グッド・モーニング!」と絶叫していて、他の3人が「やれやれ」と呆れています。やはり、音源だけを聴くよりも映像で観た方が面白いのが「THE GET BACK SESSIONS」なので、1970年公開の映画「LET IT BE」や、2021年公開のドキュメンタリー作品「GET BACK」は必見です。13「TOO BAD ABOUT SORROWS」と、14「JUST FUN」の間には、ジョンが「Qeen says “no” pot smoking FBI members.」と呟くきわどい声が入っていて、コレは映画「LET IT BE」や、アルバム「LET IT BE」でも聴けます。フィル・スペクターは、アルバム「LET IT BE」で楽曲はキチンとリミックスしたり追加レコーディングしたりしているのですけれど、映画のサントラ盤と云う意識があったのか、色々なビートルズの声も随所に入れています。しかし、それらの声は、ほとんどがそれにつづく楽曲のレコーディング・セッションで発言したものではありません。最後の「GET BACK」での印象的な言葉も、確かにアップル・ビルの屋上で最後に「GET BACK」を演奏した後の発言ではありますが、その「GET BACK」の演奏はアップル・スタジオで収録されたテイクなのです。
CD4は、1「I ME MINE」、2「THE LONG AND WINDING ROAD」、3「LET IT BE」、4「TO KINGDOM COME」と、ここまでの1〜4は、1969年1月8日(水曜日)のトゥイッケナム・フィルム・スタジオでのリハーサル音源のつづきです。5「BOAT SHOW DIALOGUE」は、このブートレグ「THE GET BACK JOURNALS」では珍しく会話を収録していて、日付はこの時点では不明だったものの、トゥイッケナム・フィルム・スタジオでのリハーサル中の音源です。つづいて、6「DON'T LET ME DOWN」、7「TWO OF US」、8「BAA BAA BLACK SHEEP」、9「DON'T LET ME DOWN」、10「SUZY'S PARLOUR」、11「I'VE GOT A FEELING」、12「ONE AFTER 909」、13「NORWEGIAN WOOD(THIS BIRD HAS FLOWN)」、14「SHE CAME IN THROUGH THE BATHROOM WINDOW」、15「BE-BAP-A-LULA」、16「SHE CAME IN THROUGH THE BATHROOM WINDOW」、17「GET BACK(a.k.a. 「NO PAKISTANIS」)」、18「LA PENINA」、19「ACROSS THE UNIVERSE」、20「SHAKIN' IN THE SIXTIES」、21「MOVE IT」、22「GOOD ROCKIN' TONIGHT」、23「TENNESSEE」、24「ACROSS THE UNIVERSE」、25「HOUSE OF THE RISING SUN」の、全25曲入りです。6〜25は、1969年1月9日(木曜日)のトゥイッケナム・フィルム・スタジオでのリハーサル音源です。先を急ぐと、このCD8枚組のブートレグ「THE GET BACK JOURNALS」には、8枚中CD6の途中までがトゥイッケナム・フィルム・スタジオでのリハーサル音源を収録しています。つまり、アップル・スタジオでのレコーディング・セッション音源は、CD2枚半位しかありません。元々「THE GET BACK SESSIONS」の音源は、トゥイッケナム・フィルム・スタジオでのリハーサル音源を中心にしてブートレグ化されていて、なかなか本番のアップル・スタジオでのレコーディング・セッション音源は流出しなかったのです。
それで、同じ「VIGOTONE」から2000年にリリースされたCD17枚組の「THIRTY DAYS」では、逆にトゥイッケナム・フィルム・スタジオでのリハーサル音源を最初の4枚にまとめてしまい、12枚がアップル・スタジオと屋上でのレコーディング・セッション音源で、最後の1枚はアルバム「GET BACK」第1案と云う構成にしています。現在の改訂版「THIRTY DAYS」は、CD14枚に詰め込んでしまったので、オリジナル盤の絶妙な構成が崩れてしまっています。ブートレグ「THIRTY DAYS」に関しては、後でじっくりと紹介します。8枚組ブートレグ「THE GET BACK JOURNALS」では、なるべく会話などは入れず、演奏部分だけを収録しているのですが、ソースとしては、1969年1月2日(木曜日)〜1月3日(金曜日)と、1月7日(火曜日)〜1月10日(金曜日)と、1月13日(月曜日)〜1月14日(火曜日)のトゥイッケナム・フィルム・スタジオでのリハーサル音源と、1月21日(火曜日)〜1月24日(金曜日)のアップル・スタジオでのレコーディング・セッション音源が多く収録されています。CD4でのオリジナルの未発表曲は、ジョンの「SHAKIN' IN THE SIXTIES」と、ポールの「GET BACK」の歌詞違いの「NO PAKISTANIS」があります。「THE GET BACK SESSIONS」と呼ばれますが、そのテーマ曲である「GET BACK」は、リハーサルの途中でポールが新たに書いた新曲です。このCD4辺りの音源は、以前に紹介したブートレグ「BLACK ALBUM」や「SWEET APPLE TRAX」などにも収録されていたのですけれど、それらのアナログ盤時代からあった古いブートレグでは、日付や演奏順も滅茶苦茶で、適当に並べていたと云う事が、このCD8枚組のブートレグ「THE GET BACK JOURNALS」の登場で正されています。「THE GET BACK SESSIONS」の演奏曲の日付や演奏順に関しては、藤本国彦さんが「レコード・コレクターズ」2021年11月号や、2024年の改訂版「ビートルズ216曲全ガイド」などでまとめて下さっているので、参考にさせていただいております。(つづく)
(小島イコ)
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