さてさて、2018年3月21日には、ナイアガラーの方々が泣き笑いするしかない大量リリースが敢行されました。其れは「夢で逢えたら」に関したモノたちでありましてですね、大瀧詠一師匠が1977年にプロデュースしたシリア・ポールさんのアルバムを箱にした「夢で逢えたらVOX」と「夢で逢えたら 40th Anniversary Edition」と此の「EIICHI OHTAKI Song Book III 大瀧詠一作品集Vol.3 「夢で逢えたら」(1976〜2018) 」でございます。シリア・ポールさんの箱と通常盤については、次の記事にまとめて書きます。問題は此のCD4枚組とアナログ盤で発売されたモノでございます。まず、CDの方ですが、コレがなんと「夢で逢えたら」だけが86ヴァージョンも収録されているのです。大瀧師匠が書いた楽曲で最も多くカヴァーされたと思われる「夢で逢えたら」を、レコード会社の垣根を越えてあるものは全部詰め込んでしまった編集盤なのです。アナログ盤は其れから5ヴァージョン選んだので、まだ一気に聴けますけれど、86ヴァージョン基本的には同じ曲を5時間以上も聴き続けるのは、ある意味、苦行でありましてですね、其れを耐えた上で楽しめる方々が「ナイアガラー」だとしたならば、前回に書いた通り、あたくしは「ナイアガラー」ではありません。
タイトルが「EIICHI OHTAKI Song Book III 大瀧詠一作品集Vol.3」と題されたのも、かなり気になります。「vol.3」と云う事は「vol.1」と「vol.2」があるわけでして、それらは師匠が生前には「vol.1」を2タイプと「vol.2」の3種類があって、師匠の提供曲を師匠の手によって編集されております。それらと決定的に違うのは、同じ曲を86ヴァージョンも5時間以上も詰め込むなんて荒技は、師匠でさえもやっていなかった事なのです。其れを、やはり師匠不在で「やらかしてしまった感」はあります。師匠の歌声にマーチンと薬師丸ひろ子さんが無理矢理に声を重ねたNHKの「SONGS」で披露されたヴァージョンまで収録しちゃうって、やはり、どうなんでしょう。其れで、「EIICHI OHTAKI Song Book」の三つ目とするのは、基本的には吉田美奈子さんとシリア・ポールさんとラッツ&スターとインスト版と太田裕美さんのライヴ版とセルフカヴァー以外には師匠が編曲やプロデュースには関わっていないと思われるので、違う、そうじゃない、と思えます。コレは「Song Book」ではなくて、「大瀧詠一 Cover Book」の2作目と考えるのが自然なので、タイトルは「大瀧詠一 Cover Book U-大瀧詠一カバー集Vol.2「夢で逢えたら」(1976〜2018) -」とすべきだったし、それだったら師匠歌唱のリミックス以外は別に文句はありません。しかし、こんなもんまで有難がって聴かなければならない「ナイアガラー」の方々は、もう仏様の様な存在であって、あたくしなんぞには到底無理でございます。
(小島イコ)