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2010年11月05日

FAB4-107:TAXMAN

Revolver Greatest Hits エキゾチック・ビートルズ 其の四


 w & m:HARRISON

 P:ジョージ・マーティン
 E:ジェフ・エマリック
 2E:フィル・マクドナルド
 録音:1966年4月20日(take pre-1-pre-4)、4月21日(take 1-11)、
    4月22日(take 12)、5月16日(take 12 に SI 「イントロのカウント」)
 MONO MIX:1966年4月27日(take 12 より 1、ボツ)、
        5月16日(take 12 より 2-5、ボツ)、
        6月21日(take 12 より 5-6、正確には 6-7)
 STEREO MIX:1966年6月21日(take 12 より 1-2)

 1966年8月5日 アルバム発売 (「REVOLVER」 A-1)
 パーロフォン PMC 7009(モノ)、PCS 7009(ステレオ)


アルバム「REVOLVER」のA面一曲目を飾ったジョージ・ハリスンの作品です。ジョージの楽曲がビートルズのアルバムで冒頭に抜擢されたのは、後にも先にも此の曲だけです。「REVOLVER」には、ジョージの曲が3曲も収録されていまして、此れも前代未聞で以後も在りません。「ホワイト・アルバム」には4曲入ってますけど、アレは二枚組なので、一枚だと2曲なのよさ。

イントロがカウントから始まるのは、デビュー・アルバムと同じ趣向で、敢えて「カウントだけ録音し直した」との事実(イントロは実際のカウントと、後で録音したカウントが重なっています)は「此処から新たなる世界が始まるのですよ」との決意表明でしょう。「REVOLVER」を発表したビートルズは「此の音楽は実演では再現不可能だ」との理由で、ライヴをヤメてしまいます。そして、箱庭的なスタジオ録音に没頭してゆくのでした。

ラガーな響きを奏でる印象的なリード・ギターを弾くのは、ジョージではなく「ポール・マッカートニー」です。実は、ビートルズで最も上手いギタリストでもあるポールは、多重録音が可能になった頃からリード・ギターも担当していました。でも、其れは「レノマカ作品」での出来事です。此の曲はジョージが書いたのに、ギターはポールなのだよ。たぶん現場では、ポールが「ジョージ!そうじゃないだろっ。えーい、分からず屋めっ。俺様が弾いてやるぅっ!」ってな「鉄腕アトム」ノリでやらかしたに決まってます。そんな仕打ちに対して「聖人・ジョージ」は「ポールのギターには満足している。一寸、インド風だよね」なんぞと呑気にぬかしているのでした。

皮肉が効いた歌詞も、ジョン・レノンが手伝った様です。レノマカにとって、ジョージは愛すべき「弟」だったのでしょう。「アンソロジー2」には初期テイクが収録されていて、公式盤ではジョンとポールが普通にコーラスしている部分が、全く別の早口コーラスになっています。よーするに、ジョージはレノマカに「可愛がられて遊ばれていた」と思われます。


(小島藺子)



さて、本日(11/5)は、富野由悠季監督のお誕生日です。御目出度う御座居ます。「ガンダム大好き☆」な片瀬那奈ちゃんとは、対談もされて居ります。片瀬クンも霞む様な「ど派手なピンク基調のスタイリング」が印象的でした。


(小島藺子/姫川未亜)



posted by 栗 at 00:11| FAB4 | 更新情報をチェックする

2010年11月06日

FAB4-108:I'M ONLY SLEEPING

MEMORIES OF LIVERPOOL〜ビートルズ讃歌〜 The_Beatles_-_Butcher_Cover.jpg YesterdayandTodayalbumcover.jpg


 w & m:LENNON / McCARTNEY

 P:ジョージ・マーティン
 E:ジェフ・エマリック
 2E:フィル・マクドナルド
 録音:1966年4月27日(take 1-11)、4月29日(take 11 に SI 「歌」)、
    5月5日(take 11 に SI 「逆回転ギター」)、
    5月6日(take 11 に SI 「コーラス」、編集し take 12-13)
 MONO MIX:1966年5月6日(take 13 より 1-4)、5月12日(take 13 より 5)、
        6月6日(take 13 より 5-6、正確には 6-7)
 STEREO MIX:1966年5月20日(take 13 より 1-2)

 初出:1966年6月20日発売 (「YESTERDAY AND TODAY」 A-2)
 キャピトル T 2553(モノ)、ST 2553(疑似ステレオ)

 1966年8月5日 英国アルバム発売 (「REVOLVER」 A-3)
 パーロフォン PMC 7009(モノ)、PCS 7009(ステレオ)


ジョン・レノン作の傑作!ハッキリ云って、アルバム「REVOLVER」時のジョン・レノン楽曲は凄過ぎます。此の曲や「SHE SAID SHE SAID」「TOMORROW NEVER KNOWS」、そして前述の「RAIN」等は、全く以て新しい!しかも大衆音楽の範疇からは逸脱していません。ドラッグ体験の影響下にあったとはいえ、こんな物凄い曲が書けたのはジョン・レノンの才能です。

驚くべき事に、ジョンは自分の声がキライでした。ゆえに、何とか違った声に加工したいと考えましてですね、此の楽曲でもテープのスピードを上げております。ジョンは感性の人なので、技術的な事など考えていないわけで、マイクに後ろ向きに立って歌ったり、寝転んで歌ったり、マイクを吊るしてぐるぐると回転させたり、挙げ句の果てには「喉にシールドを繋ぐ穴を開けよう」なんて訳が分からない事も本気で云い出すのでした。芸術家だナァ。ま、マーティンやエマリックにとっては「トンデモな野郎」ですけどね。印象的なジョージの逆回転ギターも、単純に普通に弾いたのを逆転したのではないのです。

まず、ジョージ・ハリスンが普通にギターを弾いて、其れをジョージ・マーティンが採譜し逆進行で採譜し直し、其の逆進行をジョージ・ハリスンが二本のギターで弾き直し、其れをさらに逆回転させているわけです。「賛成の反対の賛成の反対は賛成なのだ」と云った行程でありまして、よーするに音階としては最初にジョージ・ハリスンが普通に弾いた状態に戻っているのですけど、そうは聴こえないトコがミソです。5月5日に行われた此の間奏のオーヴァー・ダビングには、なな、なんと「6時間」も掛かっています。

録音に凝った上に、米国キャピトルの要請で先にマスターを渡さなければならなくなりまして、ミックス違いの宝庫となった楽曲でもあります。ミックス違いに関しては多くの研究本やサイトがありますが、やはり実際に自分の耳で聴いて「おおっ!違うじゃん」と楽しんで頂きたいですね。幸いにも現在ではほとんどのミックスがCDでも簡単に聴ける様になっています。てかさ、そもそも「俺は寝てるだけ」って歌ですからね。何じゃ、そりゃ?なのに名曲、其れがビートルズ。


(小島藺子)



さて、本日(11/6)は、伊原剛志さん(片瀬那奈ちゃんとは「ラストクリスマス」で共演)と、Soweluちゃん(片瀬那奈ちゃんとは「SHiNY☆girls」でユニット結成)のお誕生日です。御目出度う御座居ます。それでは、おやすみなさい。


(小島藺子/姫川未亜)



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2010年11月07日

FAB4-109:LOVE YOU TO

Box of Bongwater ザ・ビートルズ / リメンバー ―親友クラウス・フォアマンが語る本当のビートルズ (ノーウェア/ザ・ビートルズ決定版シリーズ)


 w & m:HARRISON

 P:ジョージ・マーティン
 E:ジェフ・エマリック
 2E:フィル・マクドナルド(4/11、5/16、6/21)、リチャード・ラッシュ(4/13)
 録音:1966年4月11日(「GRANNY SMITH」take 1-6)、4月13日(take 7)
 MONO MIX:1966年4月11日(take 6 より ラフ1)、4月13日(take 7 より 1-3)、
        5月16日(RE-MIX-mono 3 より 4-5)
 STEREO MIX:1966年6月21日(take 7 より 1-3)

 1966年8月5日 アルバム発売 (「REVOLVER」 A-4)
 パーロフォン PMC 7009(モノ)、PCS 7009(ステレオ)


ジョージ・ハリスンの作品で、当時ハマってしまった印度音楽に激しく傾倒した楽曲です。演奏は、ジョージ以外にはビートルズのメンバーは参加した様には感じられません。ポールとリンゴは録音に参加したようなのですけど、全く痕跡が残っていません。全篇がシタール(ジョージ)やタブラ(アニール・バグワット)、ディルルパ、インド式ハーモニウムなどの印度楽器で構成された此の楽曲は、全く以て新しい「ラガー・ロック」の創造でありました。「静かなビートル」と呼ばれレノマカに小僧扱いされて来たジョージの、余りにも劇的で過激な自己主張です。云ってみれば、ポールしか参加していなかった「YESTERDAY でしょ?あたし好きだナ(片瀬那奈ちゃん声で)」同様に、此れは「ジョージのソロ」です。なのに、ビートルズの作品として堂々と発表しちゃったわけでして、此の辺の「何でもアリ!」って自由奔放な精神が彼等の持ち味でもあります。

余談ですが、タイトルはジョージの曲では毎度の事ですが決まっていなくて、「GRANNY SMITH」と林檎の品種が仮題となっていました。ちなみに「GRANNY SMITH」は後にビートルズが立ち上げたアップルのシンボル・マークとなり、レコード・レーベルにも仕様され有名になります。其の元がジョージの曲名だったと云うのも面白いのですけど、アップルで最後にジョージが発表したアルバム「EXTRA TEXTURE(ジョージ・ハリスン帝国)」(1975年)では林檎が芯だけになっていました。其れは、アップルで最後の元ビートルズによるオリジナル・アルバムでもあったわけで、洒落が効きすぎています。

音楽的にも革新的ですが、歌詞も「MAKE LOVE ALL DAY LONG」なんぞとトンデモな内容でして、中学生の時に此の曲を聴いて「MAKE LOVE って何だべさ?」と調べてしまったあたくしは、吃驚仰天したものですよ。そー云えば、友達から聞いた話で、海外留学した女のコが「彼に『愛を作ろう』って云われたの」って誤解してヤラレちゃったってのがあります。あと、ウッディ・アレン監督の映画「カイロの紫のバラ」で、映画から現実世界に出て来たトムが娼婦に誘われる場面で「あなたは彼女に『FALL IN LOVE』してるの。だからあたしとは『MAKE LOVE』しましょ」って云うのが面白かったです。そーゆーのを覚えたのは、ジョージの御蔭だね。


(小島藺子)



posted by 栗 at 20:48| FAB4 | 更新情報をチェックする

2010年11月08日

FAB4-110:HERE, THERE AND EVERYWHERE

Elite Hotel ア・カペラ


 w & m:LENNON / McCARTNEY

 P:ジョージ・マーティン
 E:ジェフ・エマリック
 2E:フィル・マクドナルド
 録音:1966年6月14日(take 1-4)、
    6月16日(take 5-13、take 13 にコーラス、ベース、歌を SI し take 14)、
    6月17日(take 14 に歌を SI)
 MONO MIX:1966年6月17日(take 14 より 1、ボツ)、6月21日(take 14 より 2-3)
 STEREO MIX:1966年6月21日(take 14 より 1-2)

 1966年8月5日 英国アルバム発売 (「REVOLVER」 A-5)
 パーロフォン PMC 7009(モノ)、PCS 7009(ステレオ)


ポール・マッカートニーの傑作。ビーチボーイズと云うよりもブライアン・ウイルソンの「PET SOUNDS」(具体的には「GOD ONLY KNOWS」)に影響されて書いたと云われていますが、云われても分らない程に「ポール・マッカートニー節が爆裂!」の名曲になっています。ハッキリ云って「REVOLVER」でのポールの最高傑作でしょう。ジョン、ポール、ジョージの三声コーラスも素晴らしく、後にモニターミックスでアカペラを聴いた時には余りの美しさに絶句してしまいました。

ポールの自慢話で、当時ジョンとツアー中に二人部屋(ビートルズのツアーではレノマカが同室が暗黙の了解)で新作「REVOLVER」を聴いていたら、ジョンが「俺は自分が書いた曲よりも、お前が書いた曲の方が好きなんだよ」と云ったって逸話があります。事実、ジョンは此の曲も絶賛していますので、ポールのホラ話ではないのでしょう。つーか、そう云われたのが、よっぽど嬉しかったのでしょうね。「てへへ、ジョンに褒められちゃったよ、ボク」みたいな感じです。ジョン・レノンは、天下のサー・ポール・マッカートニーも憧れ畏怖する程に圧倒的な存在だったのです。

美しいラヴ・ソングで、メロディーも歌詞も完璧です。特に「Running my hand trough her hair」って部分はゾクゾクするほどに美しく切ない気持ちにさせられます。「彼女が、いつもどこでも、ただそばにいてほしい」って歌で、他の何にも見えないほどにメロメロで、彼が彼女の髪をなでるわけですよ。手も握らず、キスもしないんです。髪をなでるだけなのよさ。無茶苦茶にロマンチックじゃないですか。聴くたびに、中学生の様にドキドキします。好いナァ。ちなみに、此の曲のカヴァーをラジオで聴いてエミルー・ハリスのアルバムを買ったら、他の曲がカントリー・ロックで、当時はサッパリ理解できず「失敗した!」と思いました。でも、折角手に入れたから何度も聴いていたらダンダンダンと好くなってきたのでした。

ジョン・レノンは「ポールの最高傑作」とまで賞賛していますが、全く以て其の通りです。常に「今夜は、どのおねえちゃんと、如何にしてやろうか?」なんて事しか考えていなかったポールが、こんなにも繊細で純情な歌を書いてしまうのですから、作者と楽曲は全く別だと思い知らされますね。ポールが書いた数多いラヴ・ソングの中でも、ベストだと思います。こんなにも素晴らしい名曲でも、シングルにもならずベスト盤にも収録されないのですよ。其れが、ビートルズ。


(小島藺子)



さて、本日(11/8)は坂口憲二さん(片瀬那奈ちゃんとは「らんぼう2」で共演)のお誕生日です。御目出度う御座居ます。其れと、昨日の「那奈理名バースデー」記事にコメントを下さった皆さん、有難う御座居ます。「うっぴー☆、アンテツあにい」の三銃士は流石に見つけてくれた様ですけど、通常はコメントを求めていないのに見つけて書いて下さった「あっちサン」本当に有難う。此処を続けるモチベーションが高まりました。


(小島藺子/姫川未亜)



posted by 栗 at 00:54| FAB4 | 更新情報をチェックする

2010年11月09日

FAB4-111:SHE SAID SHE SAID

Instrumentally Salutes the Beatle Girls ソー・ファー・アウェイ



 w & m:LENNON / McCARTNEY

 P:ジョージ・マーティン
 E:ジェフ・エマリック
 2E:フィル・マクドナルド
 録音:1966年6月21日(「UNTITLED」リハーサル take 25 後、take 1-3、
    take 3「伴奏」 に SI 「歌&コーラス」し take 4 とし、更に SI 「ギター、オルガン」)
 MONO MIX:1966年6月21日(take 4 より 1-3、ボツ)、6月22日(take 4 より 4)
 STEREO MIX:1966年6月22日(take 4 より 1)

 1966年8月5日 英国アルバム発売 (「REVOLVER」 A-7)
 パーロフォン PMC 7009(モノ)、パーロフォン PCS 7009(ステレオ)


ジョン・レノン作で、アルバム「REVOLVER」のA面ラストを飾る傑作です。ドラッグ・パーティーで完全にトリップした俳優のピーター・フォンダに「俺は死ぬのがどういう事なのか知ってる」と云われた体験から発想された楽曲ですが、完成した音楽は素晴らしいです。まずもって、ジョンが書くメロディーが繊細で美しい。其れは、ジョージ・マーティンによってオーケストラでアレンジされたカヴァーを聴けば分ります。更に、ジョンの独特な歌い回しが実に好い。絡み付きうねる様に展開する歌唱は、ハマったら最後、抜け出せません。

アルバム「REVOLVER」でのジョン・レノンは、単純なコード進行で単音で歌うと云う新たなる曲作りに挑戦しています。7thコードを中心にした縛りも自ら選択したと思われます。演奏も抜群に格好良く、ジョージのベースとリンゴの太鼓も好いのだけど、ジョージのエレキ・ギターが凄い!イントロから飛ばしっ放しです。ジョージ、弾けるじゃん。此の曲は「REVOLVER」で最後(1966年6月21日)にレコーディングされました。そして、此の日のセッション中に口論が起こりポールが途中で帰ってしまったので、ポール不在で完成されています。コーラスがジョンとジョージの二人だけなのは其の為です。其の経緯から、此の曲にはポールが全く参加していないとの説もあります。事実、ポールも参加していないと証言しています。確かにポールが関わっていたら、曲の印象は変わっていたでしょうね。

明らかに、ジョン・レノンは別の次元の音楽を作ろうとしています。其れをしっかりと支えるポール(途中で帰っちゃったわけだが)、ジョージ(ポールが帰ったので、活き活きとしています)、リンゴ(何も考えていません)。此れが、ビートルズ。個人的には、アルバム「REVOLVER」のベストは此れですね。アルバムの最後に到達したのが、此の音だったのです。こんなにも不可思議で、しかも大衆音楽から逸脱していないって、凄過ぎるよ。でも、ジョンは不満だったのでしょう。彼は大衆音楽から逸脱したかったのです。


(小島藺子)



さて、本日(11/9)は、ジョン・レノンとブライアン・エプスタインが出逢った日であり、ジョン・レノンと小野洋子さんが出逢った日でもあります。在る意味、ジョンの「第二の誕生日」とも云える日なのでした。ジョンは「9」が大好きな数字ですから、運命的なものを感じたと思われます。


(小島藺子)



posted by 栗 at 00:09| FAB4 | 更新情報をチェックする

2010年11月10日

「GET BACK chronicles」#1

Let It Be [DVD] [Import]



ビートルズ全曲解説も中間地点を超えましたが、最近毎日新宿へ通う日々を送っておりますゆえ、西新宿へ寄る機会が増えました。其れで、本日も、トンデモなブートDVDを買ってしまったのでした。其の名は「GET BACK chronicles」、三枚組のプレスDVDでたったの2800円でした。安過ぎる!

あたくしが最も散財したビートルズの海賊盤は、圧倒的な物量を誇る「THE GET BACK SESSIONS」関連です。其れは、1969年1月2日から1月31日までに記録された音源及び映像で、公式では1970年に映画「LET IT BE」とアルバム「LET IT BE」、及びに1969年のシングル盤「GET BACK / DON'T LET ME DOWN」と1970年のシングル盤「LET IT BE」として発表されました。2003年に「LET IT BE... Naked」としてリミックスされたのも此の音源です。

映画を撮っていた為に、約一ヶ月間の模様が他のアルバム制作時とは比べ様が無い程に多く遺されているのですが、映像作品に関しては、なな、なんと公式の映画「LET IT BE」すら現在は発売されていません。完成品の映画ですらDVD化されないのですから、他の膨大な未公開映像など論外なのです。今回購入したのは、流出した「THE GET BACK SESSIONS」の映像を時系列で並べ替えて編集したと云うトンデモな労作です。ハッキリ云って、現時点では此の三枚組と最新デジタル・リマスター映像(最早、現在のブートはリミックスもリマスターも自由自在です)の映画「LET IT BE」(驚くべき事に、其れも今や新品でたったの千円で投げ売りされておりました)を揃えれば、幻の「ゲバ音源映像版」は完璧でしょう。

音源に関しては余りにも膨大ですし、素人が踏み込んではいけない泥沼です。映画のAロールだけでも、CDで70枚以上ありますからね。でも、此のDVDは「THE GET BACK SESSIONS」に興味があるなら買って損はないですよ。あたくしにとっては、宝の山ですので、暫く全曲解説を休止して此れを堪能します。「屋上ライヴ」だけでも失神モンですよっ。


(小島藺子)


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2010年11月11日

「GET BACK chronicles」#2

Let It Be [VHS] [Import]


「GET BACK chronicles」を、とりあえずザックリと三枚通して観たのですけど、凄かったです。ザックリと流しただけでトータル270分(四時間半!)も掛かるわけですけど、此のDVDを編集した輩は、完全にイカレてますですよっ。何なんだ?此れは。前述の通り、内容は「THE GET BACK SESSIONS」で公式及び海賊盤で公開された映像を時系列で並べたモノです。と、コトノハにすると壱行で済みますけど、其れがどれだけの時間と労力が掛かる作業なのか。映像を丹念に時系列で繋ぎ(しかも同じ場面でも最上級の映像が在る場合は其れ等を合成しているっ!)、音声もシンクロさせて在るわけで、トンデモ過ぎますよっ。

此の音声シンクロが、最も凄いと思うのはですね、映画やプロモ以外で流出していた「ゲバ」映像って、ほとんどが音声無し!だったのです。其れに、CDで軽く100枚を超える映画のAロールとBロール音源から該当部分を探し出してシンクロさせちゃったわけですよ。其の作業だけでも、気が遠くなります。此れを編集したマニアには、「莫迦か、おまいはっ」と最大級の賛辞を贈ります。

ま、あたくしも片瀬那奈ちゃんでおんなじ事をやろうと思ってますので、人様の事は云えませんけど、其れにしてもどーかしてる。時系列での音源はブートでしこたま聴きましたけど、こうして映像付きで並べられちゃうと「ゲバ」の魅力が倍増します。最初はトゥイッケナムでのリハーサルで、ポールとジョージが喧嘩してジョージが脱退!って騒動になるのですけど、其の後で三人になってヨーコがヴォーカルのジャムが凄まじいんですよ。

リンゴは「此れがリンゴなのか?」と目を疑う様な激しいドラミングで、ポールはずっとベースでフィードバックしているのです。ジョンだけが嬉々としてギターを弾きまくって、ヨーコが例の叫び声を上げ続けるわけです。一見するとアバンギャルドな新たなる名演誕生!みたいに見えますけど、あたくしが思うに、リンゴもポールも「ヨーコの叫び声が聴きたくない!」からそうしているのでしょう。

ヨーコは常にジョンの側にいて、編み物をしたり、物を食べたり、習字を始めたりしているのですけど、本当に、心底、ポールとジョージとリンゴは迷惑そうにしています。いえ、アノ、観てるこっちも「何で其処にヨーコがいるの?」としか思えません。みんな「ジョンの彼女で、ジョンが連れて来たんだから仕方無いんだけどさぁ、、、」なのでしょう。ま、よーするに、ジョンが悪いわけだ。

映画の「LET IT BE」を観ると、リンダとヘザーを連れて来たポールが悪者みたいにも見えますけど、とんでもない。ポールは、「ジョンがいつもヨーコを連れて来るんだから、俺もやってやろーじゃん」って感じだったと分ります。大体、リンダは奥ゆかしくて目立たず綺麗だし、連れ子のヘザーも子供で可愛いじゃん。屋上のライヴでは当時のリンゴの嫁だったモーリンも居て、ノリノリで可愛いです。レコードでも聴けるポールの「サンクス、モー」の意味がハッキリと分りましたよ。あんなにノッテくれたら云うよ。流石は、追っかけ上がりの嫁だ。


(小島藺子)


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「COME AND GET IT !」

Come & Get It: Best of Apple Records


映画「LET IT BE」をなかなか商品化しないアップルですけど、ドサクサ紛れにトンデモな編集盤を出しやがりましたよ。ビートルズは1968年にアップルを設立しまして、色々と事業拡大を試みたのですけど、ほとんど全部大失敗!で倒産するのです。でも、流石に音楽部門だけはマトモでして、本人達だけでなくメアリー・ホプキンやバッド・フィンガーなどを売り出したわけですよ。

昨年のビートルズ全作品リマスターにつづきまして、今年は赤盤青盤リマスターと来ましたが、ついでにアップル・カタログのリマスターもやらかしたのです。とは云え、音源的には主要なアルバムは全部CD化されておりました。しかし、今回の目玉は「Come & Get It:Best of Apple Records」と云う新登場の編集盤だったのだよ。

「ベスト盤じゃん」と侮ってはなりません。ほとんどの楽曲が当時はシングルのみ発売で、初CD化が多数含まれるレア音源集なのです。此れは素晴らしいコンピ盤だっ。ジョンの最新リマスター・ベスト盤は、実はDVDを観ただけで聴いてないのですけど、此れはヘビロしてたりするのでした。

てかさ、17枚組の「APPLE BOX」なんてのまで出しやがるわけで、そりゃマニアには堪らないんですけど、アノですね、肝心のビートルズの「MAGICAL MYSTERY TOUR」と「LET IT BE」のDVDを、さっさと出せよ。ジョージのアルバムもリマスターしてくんしぇいっ。こんだけ待たせたんだから「LET IT BE」は、音源28時間、映像96時間、まるっと全部出すんだろうな?期待してるぞ、アップルちゃん。


(小島藺子)


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2010年11月12日

「GET BACK chronicles」#3

Let It Be


ビートルズの映画は、現役時代だと実写が3本(「A HARD DAY'S NIGHT」「HELP !」「LET IT BE」)とアニメが1本(「YELLOW SUBMARINE」)ありまして、TVで放映された「MAGICAL MYSTERY TOUR」も含めますと5作品となります。其の中であたくしが最も好きなのが「LET IT BE」でして、其の元となった「THE GET BACK SESSIONS」は正に「お宝」なのです。

以前も書いたと思いますけど、1980年代初頭にひとり暮らしを始めて色々と自由になりまして、海賊盤も買える様になって、当時は公式盤の倍はする高価な代物を買い始めたのです。スットコドッコイな「フェイク音源」を掴まされる日々がつづきます。そんな時に「SWEET APPLE TRACKS」と云うブートを買ったのです。其れは二枚組だったので那奈千円位はしたと思うのですけど、思い切って買いましたよ。其れで聴いたら、本物だったのよさ。よーするに映画の音声音源が流出した最初期のブートだったのですけど、アルバムでも映画でも聴いた事がない本物のビートルズの演奏が聴けたのですから、そりゃ萌えますよっ。其れ以来、あたくしは「ゲバ」の泥沼に入ってしまったのでした。

何故に映画「LET IT BE」が好きかと云うと、此の映画は初めから終わりまで「単にビートルズが演奏している」って姿を映しているだけだからなのだ。(杏奈声で)正に「此れで好いのだ」なのです。ビートルズがリハーサルをして、喧嘩とかもして、其れでも何とかまとめようとして、スタジオに移ってビリー・プレストンを加えてカタチを作り、屋上ライヴで新曲を発表!って流れで編集されていますけど、基本的にはリアリズム溢れるドキュメンタリーです。

但し、此の未公開映像も含めて時系列で並べ替えた「GET BACK chronicles」を観ると、映画は作為的な編集がなされていたと分ります。映画「LET IT BE」は80分、「GET BACK chronicles」は270分、実際に遺されたとされる映像は96時間(5760分!)なのです。映画では屋上ライヴで格好良く終りますけど、時系列だと翌日にスタジオでポールの曲ばっか録音って流れなわけで、時系列の組み替えだけでも印象は大きく変わります。

あと、やっぱ、屋上ライヴに警察が踏み込むってのは「演出」っぽいナァ。其れがマジだったとしても、最後の「GET BACK」を演奏中にマル・エバンスがジョンとジョージのギター・アンプの音量を下げて、ベースとドラムだけになっちゃって、ジョージとジョンが音量を上げるってのは「演出」でしょう。何で、ポールのベースやマイクは切らないのよさ?ギターの音が消えた時に、振り向いてマルを見るジョージとジョンのオーバー・アクションが素晴らしい!ポールなんか警官が来てる後方を見もしないのに、アドリブで其れを歌い込んでいます。てか、此の警官って本物なの?ライヴが始まってワラワラと人が集まって来た時に、如何にも「アップル・スクラッフス」風な女のコたちがビルへ突進してゆくのを「ニヤニヤ」と笑って見逃してるじゃん。アップルに踏み込んで来る場面も、待ってました!とばかりに正面からカメラが撮ってますよっ。

ま、何にせよ、面白いのですよ。「ビートルズが如何にして曲を書いて、アレンジし、演奏したのか?」が、こんなに克明に記録されてしまったのは他に在りません。公式で発売されるまでは、未だ未だ海賊盤のお世話になる日々がつづくのでしょう。


(小島藺子)


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2010年11月13日

FAB4-112:GOOD DAY SUNSHINE

Good Day Sunshine Black America Sings Lennon & Mccartney Daydream


 w & m:LENNON / McCARTNEY

 P:ジョージ・マーティン
 E:ジェフ・エマリック
 2E:リチャード・ラッシュ(6/8)、フィル・マクドナルド(6/9)、ジェリー・ボイズ(6/22)
 録音:1966年6月8日(「A GOOD DAY'S SUNSHINE」take 1-3)、
    6月9日(take 1 にドラム、ピアノ、手拍子を SI)
 MONO MIX:1966年6月9日(take 1 より 1-6)6月22日(take 1 より 7)
 STEREO MIX:1966年6月22日(take 1 より 1)

 1966年8月5日 英国アルバム発売 (「REVOLVER」 B-1)
 パーロフォン PMC 7009(モノ)、PCS 7009(ステレオ)


ポール・マッカートニーの作品で、アルバムだとB面一曲目を飾る楽曲です。アルバム「REVOLVER」は、ジョージ・ハリスンの楽曲を挿みつつも、基本的にはジョン・レノンとポール・マッカートニーの曲が交互に配置されておりまして、レノマカの相違が明確に分る構成になっています。前述の通り、ポールはジョンに「REVOLVER」で「俺の曲よりも、お前の曲の方が好きだ」と云われたのが本当に嬉しかった様で、後に1984年の「ヤア!ブロードストリート」で此の曲を含めて4曲もセルフ・カヴァーしています。

イントロが如何にも「此れから始まりますよっ」って感じでワクワクさせられるのは、アナログでB面にひっくり返して針を落としてこそ味わえる部分でして、其れは他のアルバムでも云える演出です。CDは便利だけど、こうした味わいが無くなってしまいましたね。ポールの才能が爆裂したと云われるのがアルバム「REVOLVER」ですし、実際に彼が書いた楽曲は全て名曲です。然し乍ら、ジョンが後退したのでは無いのが、ビートルズの恐るべき点なのだ。「天気が好いぞ、楽しいよ〜ん」って、正に天然ポール節が全開で莫迦丸出しの阿呆な歌詞ですが、美しいメロディーで「全てはオーライ!」と聴き手を簡単に捩じ伏せてしまいます。

そして、此の曲の肝は、エンディングでのコーラスでしょう。ジョン、ポール、ジョージの黄金の三重唱が、うねりを上げてこだまし、最後には突然に転調!此の辺こそが、実はいち早く「PET SOUNDS」を視聴したレノマカの対抗心の成せる技だと思えます。さらに楽曲自体はラヴィン・スプーンフルの「DAYDREAM」に影響されて書いたと自白しており、ポールの貪欲な「パクリ精神」が伺えます。此の時点で、ポールは完璧にピアノをマスターしちゃっていますね。間奏のホンキートンク風なソロはジョージ・マーティンがダビングしていますが、元の演奏は「take 1」で、ポールがピアノを弾いて歌っています。此の頃から、ポールはピアノでも曲を書く様になったと思われます。ポールは、根っからの音楽人だ。其の貪欲なパクリ精神も含めて、凄いナァ、やっぱり。


(小島藺子)



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2010年11月14日

FAB4-113:AND YOUR BIRD CAN SING

Extras (Collection of Extras) The_Beatles_-_Butcher_Cover.jpg YesterdayandTodayalbumcover.jpg


 w & m:LENNON / McCARTNEY

 P:ジョージ・マーティン
 E:ジェフ・エマリック
 2E:フィル・マクドナルド(4/20、26、27、5/20、6/6)、ジェリー・ボイズ(5/12)
 録音:1966年4月20日(take 1-2、ボツ)4月26日(take 3-26)
 MONO MIX:1966年4月27日(take 10 より 1-6)、5月12日(take 10&6 より 7-8)、
        6月6日(take 10&4 より 9-10)、6月8日にエマリックが編集
 STEREO MIX:1966年5月20日(take 10&6 より 1、2)

 初出:1966年6月20日発売 (「YESTERDAY AND TODAY」 B-1)
 キャピトル T 2553(モノ)、ST 2553(疑似ステレオ)

 1966年8月5日 英国アルバム発売 (「REVOLVER」 B-2)
 パーロフォン PMC 7009(モノ)、PCS 7009(ステレオ)


ジョン・レノンの作品で、本人は「捨て曲」と語っていますが、此の時代では珍しい初期レノン節が炸裂した名曲でファンの支持は高い楽曲です。「I SHOULD HAVE KNOWN BETTER(恋する二人)」を彷彿とさせる美しいメロディーを持つポップなロケンロールを、1966年でもジョンはサラリと書けたのでした。全体的に暗めなジョンの歌唱がつづくアルバム「REVOLVER」で、此の曲は異彩を放っています。正に、其の歌声だけでも聴く者を魅了してしまう「魔法のジョン・レノン節」が全開の見事な歌声です。さらに、ジョージ・ハリスンも自画自賛のツイン・リード・ギターのきらびやかなハモりも素晴らしい。ギターでハモるって発想も好いです。

此のギターは、片方はジョージ・ハリスンが弾いていますけど、もう片方はジョン・レノンなのかポール・マッカートニーなのか未だに判別されていません。でもジョンが弾いたのなら「捨て曲」とは云わないでしょうから、たぶんポールでしょう。スタジオ・レコーディング時代へ足を踏み入れた「REVOLVER」ですが、此の当時は最後のツアーと併行していた時期でも在ったわけで、ライヴ・バンドとしてのグルーヴを大いに感じさせる演奏が聴けます。

「アンソロジー2」に収録されたアウトテイク(take 2)では、ジョンとポールが二人で歌いながら笑い出してしまい滅茶苦茶になってしまう様子が聴けます。此れが、実に好い!もしかしたら、ラリっていたのかもしれませんけど、何だか小学生の男の子が二人でじゃれ合っているみたいで、とっても微笑ましいんです。そう云えば、最初期に買った海賊盤のひとつで聴いたライヴの「IF I FELL(恋におちたら)」でも、ポールが高音のハモりを出し切れなかったのをキッカケにジョンと二人で笑ってしまうってのが在って、ドキドキしちゃったものです。ジョンとポールのハーモニーは、純粋でキラキラしている。美しいです。


(小島藺子)



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2010年11月15日

FAB4-114:FOR NO ONE

Pieces of the Sky It's Like This


 w & m:LENNON / McCARTNEY

 P:ジョージ・マーティン
 E:ジェフ・エマリック
 2E:フィル・マクドナルド
 録音:1966年5月9日(take 1-10)、5月16日(take 10 に歌を SI し、take14)、
    5月19日(take 14 にフレンチ・ホルンを SI)
 MONO MIX:1966年6月6日(take 14 より 1-6)、6月21日(take 14 より 7-8)
 STEREO MIX:1966年6月21日(take 14 より 1)

 1966年8月5日 英国アルバム発売 (「REVOLVER」 B-3)
 パーロフォン PMC 7009(モノ)、PCS 7009(ステレオ)


ポール・マッカートニーの作品で、彼がピアノ、クラビコード、ベースを奏で歌っています。リンゴ・スターがドラムスとパーカッションで参加しているものの、基本的にはポールのソロでしょう。ジョン・レノンとジョージ・ハリスンは参加していません。印象的なフレンチ・ホルンを吹くのはロンドン交響楽団のアラン・シヴィルです。此のパートはかなり難易度が高い演奏なのですが、エマリック証言によれば、天然ポールは「お前はプロなんだから吹けるだろ?」と平然と云い放った様です。ジョン・レノンも絶賛の名曲を支え、ポールの無理難題に応えたアランの功績は大きいですね。

ひとつの愛の終わりを淡々と歌う感動的な名曲で、其の対象はポールの当時の恋人だった美人女優のジェーン・アッシャーでしょう。前作「RUBBER SOUL」での「YOU WON'T SEE ME」「I'M LOOKING THROUGH YOU(君はいずこへ)」から連なる「ポールとジェーンの物語」です。ポールがジェーンと別れるのは未だ先の事なのですが、ポールは「もう、ダメポ」と思っていたのかもしれません。てか、マスオさん状態で浮気三昧だったポールが悪いに決まっているのよさ。マスオさんが浮気し捲くっていたら、サザエさん一家は崩壊しちゃうでしょ。でも、ポールはケダモノだからやり捲くるのだ。

ジェーンと不仲になった事を書く楽曲は、完全にポール目線で相手の立場をひとかけらも考えていない「ボクちゃん大好き!ボクは悪くないもん!」と云う自己中心的過ぎる自分だけに都合のいい内容ばかりです。其れなのに、曲は素晴らしいのだ。其の揺るぎない自己愛こそが、ポールの魅力でもあります。確かに曲が書かれたり録音された背景を知るのは面白いのですけど、其れを知ったからと云ってあたくしたち個人が其の曲から受けた感動は揺るぎません。楽曲は、独立して存在します。作ったポールよりも、楽曲の方が遥かに上になってしまう。其れが「芸術」です。素敵じゃないか。


(小島藺子)



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2010年11月16日

「バンドは荒野をめざす」

Band on the Run Band on the Run [12 inch Analog]

バンド・オン・ザ・ラン デラックス・エディション(完全限定生産盤)(DVD付) バンド・オン・ザ・ラン スーパー・デラックス・エディション(完全限定生産盤)(DVD付)


昨年、ビートルズがリマスターされ、先月にはジョンの新装リマスターが出まして、前述の通りアップル・レーベルのリマスターまで出ている御時世ですが、遂に、化物が押っ取り刀でリマスター・シリーズを開始しましたよ。御存知、サー・ポール・マッカートニー。1962年にビートルズがメジャー・デビューして以来、なな、なんと半世紀近く常に現役バリバリの怪物です。

「頭の固い年寄りとは、もうやってらんねー!(ポールも68才で、充分に年寄りなのですけど、、、)」とレーベルを移籍し新作もライヴもバンバンと出しているのですが、「Paul McCartney Archive Collection」の名の元に、しっかりと旧譜の復刻も始めやがりました。第壱弾は、1973年発表の大傑作「BAND ON THE RUN」です。納得のいくセレクトでしょう。

しかし、やはり、天下のポール。通常盤CD、デラックス・エディション(CD2枚+DVD1枚)、スーパー・デラックス・エディション(CD3枚+DVD1枚+写真集など)、アナログ二枚組、と四種を一挙に発表です。さあ、どれを買う?音だけ考えたらアナログで決まりなのですけど、遂に公式化された「One Hand Clapping」も収録されたDVDは外せません。ならば「スーパー・デラックス・エディションで決まりだっ!」と云いたいトコですけど、確かに豪華なツクリだけど壱萬円超えちゃってますから悩みます。其れで、デラックス・エディションには入っていない三枚目のCDは何なの?と思ったら、25周年盤にボーナスで付いていた奴の拡大版だって事でして、結局はデラックス・エディション(CD2枚+DVD1枚、しかも輸入盤で3,590円)を買いました。

内容は、そりゃ、もう素晴らしいです。此の作品は、あたくしが初めて買ったポールのアルバムで、其れはつまりリアルタイムで最初に買ったビートルズ関係の作品だったのです。当時は、たぶん「ポール・マッカートニーとウイングス」のポールと、ビートルズのポールが同じ人だって認識は無かったかもしれません。でも、其の前に買ったビートルズの「ABBEY ROAD」と何だか似てるナァ、と思いました。其の後で、「ヤング・ミュージック・ショー」や1975年の来日中止事件の時のオーストラリアでのライヴをTVで観て「ポールってビートルズだったんだ!」と知ったのですよ。

時は1973年、先日リマスター盤が出た赤盤と青盤が出まして、ビートルズ再評価が始まります。ジョージもリンゴもジョンも、ソロで大活躍中!唯一新たなバンドを組んだポールも負けじと「MY LOVE」や「死ぬのは奴らだ」と名曲を大ヒットさせ、昇り調子になって来たウイングスでしたが、ワンマン・リーダーのポールは「アフリカで録音する!」なんてトンデモな事を云い出してですね、奥さんのリンダと下僕のデニー・レーン以外のメムバーがドタキャン!(マジで、ナイジェリアへ行く前日に抜けられたみたいです)バンド脱退って事になったのですけど、其処はもう流石は天下のポールです。何にも出来ないリンダと、まあ器用だけど所詮は下僕のデニーを従えて、ハッキリ云ってしまえば、ほとんどひとりで作ってしまったのでした。曲作りも歌もギターもベースもキーボードもドラムも、全部ポール。

えっと、此れはポールのソロじゃん。そうなのだ。ポールはレコードだったら、ひとりで作れちゃうのです。「バンド大好き!」な人だけど、其れはライヴを演りたいからでありまして、基本的には「ひとりぽっちの宅録野郎」ですよ。ポールは、「自分が絶対」なのよさ。あたくしは、かなりポールに近い性格ですので、よ〜く分ります。ポールには、あたくし如きが烏滸がましいのだけど、凄い近親憎悪があるのよさ。でも、ナンダカンダ云って、一番影響を受けた偉大な先生です。ビートルズはビートルズなんですけど、正直にひとりだけ選べと云われたなら、ポールです。

追い詰められた時に恐るべき力を見せ付けるのは、レノンとマッカートニーに相通じます。されど、レノンには「ビートルズを捨てた」と云う大逆転技(「ジョンの魂」)が在ったのです。其れは、カッコいいよ。でもね、ポールには、正攻法で自らの過去に相対するしか出来ないのです。何故なら、彼こそが「ビートルズの音楽を創った」からです。「ABBEY ROAD」を「クズだ」とレノンには云えるけど、ポールには決して云えません。此の作品で、ポールは自ら創造した「怪物ビートルズ」に真っ向勝負を挑み、勝ったのです。其の事実だけでも、余りにも感動的だ。

其れで、レコスケくんは「全部スーパー・デラックス・エディションで買う」なんて云ってますけど、アノですね、ポールがどんだけアルバムを出していると思ってんのよさ。デラックス・エディションを開封したら、小さなフライヤーが入ってて「此れからドンドン出すよ!」って既に6作も予告されてんじゃん。ずっと現役でコンスタントに作品を出しまくってるんだからさ、ソロになってからだって軽く30作位あるわけじゃん。毎月出しても二年以上掛かる大仕事なんだけど、何となく「次は一気に6作出す気マンマン!」な悪寒がするじゃん。最初にレコスケみたいに「スーパー・デラックス・エディション」を買ってしまったら、もう全部それで集めなきゃなんないじゃん。ポールで破産なんて、ヤダよ。

ま、片瀬那奈ちゃんの「TELEPATHY スーパー・デラックス・エディション」なら買うけどね。てか、通常盤、デラックス、スーパー・デラックス、アナログの全部買って、ピクチャー・レーベル違いもコンプリしますよ。


(小島藺子/姫川未亜)


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2010年11月17日

FAB4-115:DOCTOR ROBERT

All This & Heaven Too The_Beatles_-_Butcher_Cover.jpg YesterdayandTodayalbumcover.jpg


 w & m:LENNON / McCARTNEY

 P:ジョージ・マーティン
 E:ジェフ・エマリック
 2E:フィル・マクドナルド(4/17、19、5/20、6/21)、ジェリー・ボイズ(5/12)
 録音:1966年4月17日(take 1-7)、4月19日(take 7 に歌を SI)
 MONO MIX:1966年4月19日(take 7 より 1-3)、5月12日(take 7 より 4)、
        6月21日(take 7 より 4-6、6 に編集)
 STEREO MIX:1966年5月20日(take 7 より 1、2)

 初出:1966年6月20日発売 (「YESTERDAY AND TODAY」 A-4)
 キャピトル T 2553(モノ)、ST 2553(疑似ステレオ)

 1966年8月5日 英国アルバム発売 (「REVOLVER」 B-4)
 パーロフォン PMC 7009(モノ)、PCS 7009(ステレオ)


ジョン・レノンの作品で、データで書いた通りに、「I'M ONLY SLEEPING」「AND YOUR BIRD CAN SING」、「DOCTOR ROBERT」の三曲のジョン・レノン作品が、何故か米国キャピトルの要望で英国よりも一ヶ月半も前に編集盤「YESTERDAY AND TODAY」に収録されてしまいます。挙げ句の果てに、米国盤の「REVOLVER」は其の三曲を抜いた「11曲入り」で発売されたのでした。米国盤だと、ジョンは「REVOLVER」にたったの二曲しか提供していないって事にされてしまったのだ。アノですね、そりゃイカンでしょ。

「YESTERDAY AND TODAY」は、数ある米国編集盤での最もハチャメチャな内容で、アルバム「HELP !」、「RUBBER SOUL」、「REVOLVER」、そしてシングルから寄せ集めた11曲入りで、なな、なんと、2曲もリンゴが歌う曲が収録されています。怒り狂ったビートルズは伝説の「ブッチャー・カヴァー」で不満を爆発させますが、発売禁止となり「トランク・カヴァー」に変更された為に、ヘッポコ内容なのにジャケットの希少性のみで高額なコレクターズ・アイテムとなってしまいます。そんな不幸な運命に逢ってしまったジョン・レノン作品のひとつである此の楽曲なのですが、そんな経緯が在った御蔭で別ミックスが聴けるってマニアには嬉しい展開にもなるわけです。米国編集盤の「YESTERDAY AND TODAY」のモノでは、エンディングでジョンが「オーケー、ファブ」と云っているのが聴けます。其れはやはり「OK ! FAB」なのでしょう。正に、自画自賛。そして、ジョンが如何にビートルズと云うバンドを愛していたのかが伝わって来る「ひとこと」です。

詩は、当時のジョン・レノン楽曲に共通するドラッグ体験を直接的に連想させる内容です。実在のモデル(ロバート・フライマン)もいて、ビートルズとは面識はなかったものの、其の筋では有名な人物でした。楽曲も、これまた此の時期のジョンが凝っていた「単調なマイナー7コード中心で展開するブルージーなロケンロール」ですが、ミドル8はおそらくポールが手伝ったと思われるメロディーも顔を出します。其れでも、ジョンの屈折度が半端じゃないです。アルバム「REVOLVER」でのジョン・レノンは、たぶん、壱番、トンでます。其の後も益々トビまくるわけですが、其れを楽曲へ昇華させたピークは1966年だったと思います。


(小島藺子)



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2010年11月18日

FAB4-116:I WANT TO TELL YOU

Da-A-Ance: The Anthology レコスケくん COMPLETE EDITION


 w & m:HARRISON

 P:ジョージ・マーティン
 E:ジェフ・エマリック
 2E:フィル・マクドナルド
 録音:1966年6月2日(「LAXTON'S SUPERB」「I DON'T KNOW」take 1-5、
    take 3 に SI 「歌、コーラス、タンバリン、マラカス、ピアノ」、
    更に take 3 を take 4 へ編集)、6月3日(take 4 に SI 「ベース」)
 MONO MIX:1966年6月3日(take 4 より 1-4)
 STEREO MIX:1966年6月21日(take 4 より 1-2)

 1966年8月5日 英国アルバム発売 (「REVOLVER」 B-5)
 パーロフォン PMC 7009(モノ)、PCS 7009(ステレオ)


アルバム「REVOLVER」でジョージ・ハリスン作の三曲目です。前述の通りに「REVOLVER」には唯一三曲もジョージの曲が収録されましたが、1966年には彼もソングライターとして成長しておりまして、後のソロ三枚組「ALL THINGS MUST PASS」(1970年)に収録された楽曲のほとんどはビートルズ時代に書いたモノです。此の頃には「ART OF DYING」が既に書かれていました。

タイトルが「I WANT TO TELL YOU」に決定するまでには「LAXTON'S SUPERB」と呼ばれていましたが、それはマーティンがジョージに「何てタイトルなんだ?」と訊いたら「シラネ(I DON'T KNOW)」と応えた為にエマリック(彼は、一般的にはエメリックと表記されますけど、あたくしは発音により近いエマリックで通しています)がテキトーにテープボックスに書いた仮題だそうです。ジョン・レノンは「お前の曲はいつも題名がないナ」とからかっています。

ビートルズ時代にはライヴで披露されていませんが、1991年のソロ初来日公演で意外なオープニング・ナムバーとして演奏されました。其の時には「TAXMAN」も演ってくれたし、他のビートルズ時代の曲も惜しみなく(アノ「PIGGIES」まで飛び出した!)歌ってくれまして、バックを務めたクラプトン・バンドもオリジナルに忠実な演奏で素晴らしかったです。ジョージは、1974年の北米ツアーで「IN MY LIFE」などで改変をやらかして不評でしたが、大人になったのでしょう。ま、此の曲は「I WANNA TELL YOU」になっていましたけどね。

ジョージ作品で異常に張り切るポール・マッカートニーによるベースとコーラスが目立ちますが、元々のポールの相棒はジョージだったのです。「マッカートニー・ハリスン」で共作してたのに、ポールはジョージを捨ててジョンに走ったのでした。ポールの傲慢とも思える自作曲への介入や、ギター・プレイに対するダメ出しなどが鬱積し、1969年1月の「THE GET BACK SESSIONS」で爆発し「ジョージ脱退事件」へと繋がるのです。


(小島藺子)



posted by 栗 at 13:42| FAB4 | 更新情報をチェックする