nana.812.png

2009年03月22日

FAB4-001:LOVE ME DO

Love Me Do Reviewing the Situation


 w & m:McCARTNEY / LENNON

 P:ジョージ・マーティン(9/4、'63-2/25)、ロン・リチャーズ(9/11)
 E:ノーマン・スミス
 2E:A.B.リンカーン('63-2/25)
 録音:1962年9月4日(リンゴ)、11日(アンディ)
 MONO MIX:1962年9月4日(リンゴ)、11日(アンディ)
 STEREO MIX:1963年2月25日(アンディ)

 1962年10月5日 シングル発売(最高位17位)
 パーロフォン 45-R 4949(モノ)

 1963年3月22日 アルバム発売、パーロフォン PMC 1201(モノ)
 1963年4月26日 ステレオ盤発売、パーロフォン PCS 3042
 (「PLEASE PLEASE ME」 B-1)


さあ、満を持して始まります「ビートルズ全曲解説」の最初は、当然乍ら、記念すべき 、

ビートルズのメジャー・デビュー曲です。

彼らの楽曲には「ミックス違い」は多いのですが、明白な「テイク違い」はほとんど存在しません。あの「ACROSS THE UNIVERSE」ですら、すべて同一テイクから作られたミックス違いなのです。此の曲は、そんな彼らには珍しく2テイクが聴ける楽曲です。英国シングル初回プレスのみが、リンゴ・スターが太鼓を叩かせてもらえたヴァージョンで、其れ以後のシングルとアルバムは、セッション・ドラマー:アンディ・ホワイトが叩いています。リンゴはタンバリン担当に格下げされました。(現在では、両ヴァージョンに加え、前任のピート・ベストが叩いたヴァージョンまで容易にCDで聴けます。)よっぽど屈辱的だったのか、リンゴは40年後にソロ・アルバムで此の曲をカヴァーするのですが、何故か其の時も自分では太鼓を叩いていません。

兎も角、彼等(ジョン&ポール)が出逢い、既に、苦節五年余の下積みを経ておりました。遂に、怪物が世に出たのです。が、、、何じゃこりゃ?天下無敵のビートルズのデビュー曲にしては、些かお粗末なポール作(ジョンも多分に協力したので合作なのだけど)の「LOVE ME DO」ですが、流石の彼らも極度のプレッシャーでガチガチになっています。特にリンゴが太鼓を叩いたヴァージョンは酷い演奏です。ジョンはハモニカを吹きすぎて、投げちゃっていますよ。と云いますのも、本来、此の楽曲は無敵の「レノマカ」によるデュエットだったのです。Aメロでの決めの低音で♪LOVE ME DO〜♪と歌うのは、当然ながらジョンでした。然し乍ら、当時のバンドは「ソロ歌手と楽団」が慣例で、EMIが選んだのは社交家のポールだったわけですよ。当時、絶対的なリーダーだったジョンは「重役サン達に疎まれる存在」でした。故に、ハモニカを吹かせ楽団員の立場へと落とし込められたわけです。だから「キーが高いポール」じゃ間抜けな感じになっちゃったわけよ。ポールは「いきなりだナァ、とジョンのパートを歌わされて面食らったよ。アレはやっぱりジョンが歌うべきだった」と語っております。

ちなみに、リンゴのドラムに駄目出しをしたのは、、、

「ポール・マッカートニーですっ」

後の「ホワイト・アルバム録音時の、リンゴ脱退事件」や、近年の「ライヴ8での、リンゴいらない事件」の首謀者でも在るポールは、最初からリンゴの太鼓がお気に召さなかった御様子です。きっとポールはこう思ったのでしょう。

「俺様の方が、もっと太鼓も上手いぜ!」

後にジョージ・マーティンはリンゴに詫びて、リンゴは「オラ、そんなこたぁ気にしてないよ」と笑って済ませたらしいのですが、ポールが悪いわけじゃん。ポールが謝らなきゃイカンのに、有ろう事かリンゴを殴って脱退させ自分で太鼓を叩く暴挙までやらかすのだよ。さてさて、地味なデビュー曲がチャートで17位にまで行ったのにも「カラクリ」が在ります。敏腕マネジャーのブライアン・エプスタインは、リヴァプールの大きなレコード店で支配人をしていました。ジョンに「逢った途端にひと目惚れ」して、マネジャーに転職したのです。そうです、その通りです。彼は愛しのジョンの為に、ポケット・マネーで「LOVE ME DO」を壱萬枚買い占めたのでした。


(小島藺子)


初出:「COPY CONTROL AGAIN」2008-6-12
REMIX-1:「COPY CONTROL」2008-8-30

(and this is REMIX-2 by 小島藺子)



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2009年03月23日

FAB4-002:P.S. I LOVE YOU

オリジナル・サウンドトラック 『P.S. アイラヴュー』 MEET THE BAD BOYS


 w & m:McCARTNEY / LENNON

 P:ロン・リチャーズ(9/11)、ジョージ・マーティン('63-2/25)
 E:ノーマン・スミス
 2E:A.B.リンカーン('63-2/25)
 録音:1962年9月11日
 MONO MIX:1962年9月11日
 STEREO MIX:1963年2月25日

 1962年10月5日 シングル発売
 パーロフォン 45-R 4949(モノ)

 1963年3月22日 アルバム発売、パーロフォン PMC 1201(モノ)
 1963年4月26日 ステレオ盤発売、パーロフォン PCS 3042
 (「PLEASE PLEASE ME」 B-2)


デビュー・シングルのB面も、ポールの曲が選ばれました。矢張り当時の慣例から、ビートルズも「ポール・マッカートニーとザ・ビートルズ」として売り出したかった上層部の思惑が伺えるチョイスです。初期の彼らでは、明らかにジョンの才能が突出していたのですが、何せ「天下無敵のジョン・レノン」です。EMIサイドが用意して居たデビュー曲候補の「HOW DO YOU DO IT」を歌わせたら「他人の曲なんかやってらんねーっ!」とばかりに投げっ放しでやる気を見せません。ちなみに「HOW DO YOU DO IT」は「Gerry & the Pacemakers」に回されジョージ・マーティンのプロデュースで英国1位の大ヒット曲となりますので、マーティンの選曲センスは全く間違っていなかったわけです。ただ、ジョン・レノンが「こんな曲でデビューするのは御免だ!」と嫌がったのですよ。

其の点、ポールはお利口サンでした。持って生まれた社交性を駆使し、まんまと自作曲でデビュー・シングル両面を埋める事に成功します。でも、ジョンはもっと上手でした。此の時のセッションで、彼は次のシングルとなり、初のナンバー1を獲得する曲を既に披露していました。其の曲は「PLEASE PLEASE ME」と云います。今更当たり前すぎて説明するのもアレなんですけど、「LENNON / McCARTNEY」(デビュー当時は「McCARTNEY / LENNON」だった!)とクレジットされた曲の大部分は、どちらか片方が書いた作品です。彼ら二人は、未だ10代の頃に「此れからは片方だけで書いた曲もすべて合作として発表しよう」と云う取り決めをしました。此の連載では「太字で記した方が主に書いた」としています。「P.S. I LOVE YOU」は、所謂ひとつの「此のB面を聴け!」的な名曲です。こっちをA面にするって話も出たそうですが、此れはB面だからこそ光る曲なのです。イントロなしで唐突に始まり、ジョンのコーラスをバックに間奏すらなく朗々と一気に歌い上げるポール節炸裂!の可愛い作品です。

確かに、後の例えば「I WILL」(1968)などに代表される「ホラね、書けちゃった、ボク☆」ってな感じの、所謂ひとつの「マッカ節」の発芽は此のB面にこそ在ります。されど、何故に「LOVE ME DO」がA面だったのか?其れを探究せずに「屑曲じゃん!」で済ましたらお終いですよ。1962年の世界で、「LOVE ME DO」みたいな曲は無かったわけです。此の愛らしいB面は、夢見るアメリカン・ポップスへのオマージュです。彼等はブルージーでマイナー進行の黒人音楽への憧憬をA面にした。されど、其の革新性は無視され、レノンのドスの効いた「ラヴミドゥー!」入りの眞なる姿では音盤化されなかったのです。「20世紀最大の音楽チーム」と歴史に遺った「レノン/ マッカートニー」には、長い下積み時代に書き貯めた膨大なストックが在りました。其の中から、彼等が選んだのが「LOVE ME DO」だったのです。其れは、大いなる挑戦でした。

ポール作品が両面を独占したビートルズの英国オリジナル・シングル盤は、後にも先にも此れのみです。其れがよっぽど嬉しかったのか、1990年になって彼は「P.S. LOVE ME DO」と云う怪作を発表してしまいます。ハンドマイク片手に楽器を持たず喜々として歌うポールを観て、多くの心あるビートルマニアはガックリと肩を落としました。あっ。此の曲でもリンゴは太鼓を外されて、アンディ・ホワイトが担当しています。リンゴはマラカスを不機嫌そうに振っております。デビュー盤で二曲ともドラムを叩いていない事実が、後の名演までも「本当はリンゴじゃなく、セッション・ドラマーが叩いている」なる噂を呼ぶ事になるのでした。


(小島藺子)


初出:「COPY CONTROL AGAIN」2008-6-12
REMIX-1:「COPY CONTROL」2008-8-31

(and this is REMIX-2 by 小島藺子)



posted by 栗 at 01:44| FAB4 | 更新情報をチェックする

2009年03月24日

FAB4-003:PLEASE PLEASE ME

Please Please Me [12 inch Analog] Beat En Francais


 w & m:McCARTNEY / LENNON

 P:ジョージ・マーティン
 E:ノーマン・スミス
 2E:A.B.リンカーン('63-2/25)
 録音:1962年11月26日
 MONO MIX:1962年11月30日
 STEREO MIX:1963年2月25日(take 16、17、及び 18 の編集ヴァージョンより)

 1963年1月11日 シングル発売(最高位1位 or 2位)
 パーロフォン 45-R 4983(モノ)

 1963年3月22日 アルバム発売、パーロフォン PMC 1201(モノ)
 1963年4月26日 ステレオ盤発売、パーロフォン PCS 3042
 (「PLEASE PLEASE ME」 A-7)


「やったな、君たちは初のナンバー・ワンをモノにしたぞっ!」

録音が終了した途端、英国紳士ジョージ・マーティンが珍しく興奮してビートルズに云いました。そして、一ヶ月半後に発売された彼らの二枚目のシングルは、マーティンの予言通りに首位を獲得したのでした。めでたし、めでたし。

かつて「ビートルズ物語」では、此れが定説でした。しかし、2000年に発表された「1」には、在ろう事か「PLEASE PLEASE ME」が収録されていなかったのです。英米どちらかのチャートで首位を獲得した楽曲のみで構成されたCDには、大傑作「PLEASE PLEASE ME」ではなく、英国17位の(しかも、エプスタインが買い占めて無理矢理チャートを操作した)「LOVE ME DO」なんぞが堂々と壱曲目にのさばっていたのです。(1964年の米国制覇時に、ドサクサに紛れて過去のシングルもガンガン発売した米国では「LOVE ME DO」まで首位を獲得しちゃったのよさ。)「PLEASE PLEASE ME」は、実際には「2位」止まりだったと云うのが、現在では知られています。いや、首位を獲得したローカル・チャートも在ったみたいなのですが、有名チャートでは、今一歩届かなかった様です。

此れは、松田聖子ちゃんの名曲(最近CMでフカキョンも熱唱!)「青い珊瑚礁」が2位止まりだった未来を予見する様な「歴史的事実」です。思えば、聖子ちゃんもデビュー曲「裸足の季節」は最高12位、2ndの「青い珊瑚礁」が2位止まり、そして其の二番煎じだった3rd「風は秋色」で首位と、ビートルズとおんなじ道を辿りました。

「聖子ちゃんは、日本のビートルズなのかっ!」

あっ。今、ボキは多くの音楽ファンを一気に敵にまわした悪寒が走った。其れでも更に続けるなら、此の連載の最終部に出て来る逸話、『「クリムゾン・キングの宮殿」が「ABBEY ROAD」をチャート首位から引きずり降ろしたっ!』ってのも事実では無い様です。だって、あたくしもプログレならクリムゾンが好きだけど、そんなの日本だけの評価ですからね。世界的には、売れてないっすよ、フィリップ翁。

ま、本当の噺だけど冗談は此れ位にして、此の楽曲でジョン・レノンの大逆襲が始まりました。ビング・クロスビーの歌詞からパクリ、ロイ・オービソンの曲と歌唱法からパクったと自ら堂々とカミングアウトした「PLEASE PLEASE ME」を聴いたジョージ・マーティンは「名曲だが、そんなスローテンポじゃダメだな」と、現在我々が耳にしているアップテンポに変更します。ジョンは「てやんでいっ!」と思いながらも、渋々承諾し、見事に特大ヒット曲をモノにしたのでした。でも、ファンって贅沢なのです。僕らは「幻のスローテンポ・ヴァージョン」も聴きたくって、今日も海賊盤を漁るのです。嗚呼。

此の楽曲も「LOVE ME DO」と同じ様に、彼らには珍しく「2テイク」が存在します。そして其の違いは、ハッキリと分ります。片方のヴァージョンで、ジョンが歌詞を間違えて笑いながら歌っているのです。多くのビートルマニアが愛するのは、其の「歌詞を間違えてしまったジョン」の方だと断言します。確かに完成度ではモノの方が断然好いのだけど、其れは本人達も気合いが違っていたわけです。でもね、ハッキリ云えば「手抜き」の「ジョンが歌詞を間違えて笑いながら歌う」ステレオが、とても愛らしいんですよ。抜けた感じが好いのよさ。其れは、たぶん40年近く付き合って辿り着いた境地なのでしょう。「FAB4の失敗」こそが、愛おしいのです。だから、みんなブートなんかを喜々として買って来たんじゃまいか?

兎も角「首位問題なんて、どーでもええやん?」と思える程に、掛け値無しの傑作です。後に詳しく語る彼等の記念すべきデビュー・アルバムも、一般的には「PLEASE PLEASE ME」と呼ばれています。然し乍ら、彼等の処女作の眞のタイトルは「PLEASE PLEASE ME With Love Me Do and 12 other songs」と云います。此れは大変重要で、必ず試験に出ますので覚えて置きましょう。では、此の辺で本日のヨタ噺はおしまいです。


「あっ。此の曲で太鼓を叩いて居るのは、紛れも無く、リンゴ・スターです。」


(小島藺子)


初出:「COPY CONTROL AGAIN」2008-6-13
REMIX-1:「COPY CONTROL」2008-9-1

(and this is REMIX-2 by 小島藺子)



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2009年03月25日

FAB4-004:ASK ME WHY

VIVA MARIYA!! Live_at_The_Star-Club.jpg


 w & m:McCARTNEY / LENNON

 P:ジョージ・マーティン
 E:ノーマン・スミス
 2E:A.B.リンカーン('63-2/25)
 録音:1962年11月26日
 MONO MIX:1962年11月30日(take 6 より)
 STEREO MIX:1963年2月25日(take 6 より)

 1963年1月11日 シングル発売
 パーロフォン 45-R 4983(モノ)

 1963年3月22日 アルバム発売、パーロフォン PMC 1201(モノ)
 1963年4月26日 ステレオ盤発売、パーロフォン PCS 3042
 (「PLEASE PLEASE ME」 A-6)


ビートルズの出世作となった2ndシングルは、デビュー盤での憂さを晴らすかの様に両面ともジョン・レノンの作品が選ばれました。1962年11月26日のセッションでは、ポール・マッカートニー作の「TIP OF MY TONGUE」も録音された様です。然し乍ら、当時のジョンとポールでは、其の実力差は歴然としていました。はっきり云って「TIP OF MY TONGUE」は、後に「世紀のメロディーメイカー」と呼ばれるポールが書いたとは到底思えない「駄曲」でした。ポールには信じられない様な駄作があります。対して、ジョンの完成作には其れは皆無に等しい。今後も此の展開は続きますが、其れはレノンとマッカの作詞作曲法が真逆だったからこそ起こりました。

彼等は、其の生い立ちなど共通する部分が多い「兄弟」です。然し乍ら、其の肝心な音楽家としての考え方や方法論が、合わせ鏡の様に「真逆」だったのです。簡潔に云うなら、ジョンは推敲を重ねて曲を書く人です。だからこそ、レコードになった作品は一部(洋子サン主導の前衛作品)を除けば「完璧」です。駄曲など在りません。でも、ポールは「曲が降りて来る」とか「其の辺に浮かんでる」とか平気で云う「天然」です。彼は、最初から「完成型」として曲を書けてしまえる人なのです。だから多作で、当然、駄曲も出るわけです。

さてさて、此の楽曲も「此のB面を聴けっ!」と云わざるを得ない、B面ならではの名曲です。短いイントロに続き、ジョンが一気に歌い上げます。迸る芳醇なメロディーが、通常の展開を許しません。ジョンの曲が素晴らしいのは、正に此の点です。「A→B→A→B」なんて当たり前なルールは、ジョン・レノンには無い。彼は「自由」でした。いや、殺されるまで、ずっとずっと「自由」でした。

曲の構成的には、彼の遺作に収められた「(Just Like)STARTING OVER」と変わらない、自由奔放な「レノン節」が奏でられます。エンディングの中途半端なマイナー・コードに、其れまで聴いた事のなかった「何か」を感じました。其れが、滅茶苦茶にやった結果では無く、鬼の様に推敲を重ねて練り上げた結果からの「自由奔放ごっこ」だと知るのは、彼が殺されてから公開された「THE LOST LENNON TAPES」を聴いた時でした。でも、通常の音楽理論を壊してしまったジョン・レノンの作風に、大いに魅せられてしまった。何よりもジョンの歌声が素晴らしい。本当に、美しい音楽です。


(小島藺子)


初出:「COPY CONTROL AGAIN」2008-6-13
REMIX-1:「COPY CONTROL」2008-9-3

(and this is REMIX-2 by 小島藺子)



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2009年03月26日

FAB4-005:I SAW HER STANDING THERE

Three Hearts To Be Continued Tiffany


 w & m:McCARTNEY / LENNON

 P:ジョージ・マーティン
 E:ノーマン・スミス
 2E:リチャード・ランガム(2/11)、A.B.リンカーン(2/25)
 録音:1963年2月11日、MIX:1963年2月25日

 1963年3月22日 アルバム発売、パーロフォン PMC 1201(モノ)
 1963年4月26日 ステレオ盤発売、パーロフォン PCS 3042
 (「PLEASE PLEASE ME」 A-1)


シングル「PLEASE PLEASE ME」がバカ売れしちゃったので、ジョージ・マーティンは賭けに出ました。「兎に角、さっさとアルバムを出そう。こいつらの旬を逃してはイカン!」シングル二枚の四曲が、既に在りました。当時の英国では14曲入りがアルバムの定番です。残り、10曲が足りません。切羽詰まったマーティンは、ビートルズに、スタジオ・ライヴで、たったの一日で10曲を録音させたのです。

そうなのです。ビートルズの記念すべきデビュー・アルバムで在る「PLEASE PLEASE ME」は、基本的には「たったの一日で録音された」のです。デビュー・シングル同様、デビュー・アルバムの最初もポール・マッカートニーの作品から始まります。原題は「SEVENTEEN」と云い、実際に録音時も其の名前でコールされていました。ベーシストで在るポールのカウントから始まる、サイコーなロケンロールですけど、普通はカウントってドラマーがやるんだよね。ビートルズの場合、リンゴは滅多にカウントを担当出来ません。カウント入りの曲を思い浮かべて下さいナ。一番多いのがポール、次がジョン・レノン、そんでもってジョージ・ハリスン。

「哀れなり、リンゴ・スター☆」

冒頭のカウントは別テイクからの流用ですが、演奏自体はオーヴァー・ダビングを加えたものの基本的には同一テイクの一発録りです。ホウイチくん(敢えて名は伏せるが「中山康樹」氏で在る)が「途中で繋いでいる」なんぞとエラソーに書いておりますが、耳が在ればそんな愚かな見解は出て来ません。大体やね、此の時代って「2トラック」なんですよ。あーたさ、録音した事ないし、聴いて無いでしょ?オーヴァー・ダビングするのと、別テイクを繋ぎ合せるのは、全く違うのよさ。

「アンソロジー」関連音源を貶すのは構わないけど、実は聴いて無いね。バレバレじゃん。挙句に2009年のリマスター祭りに便乗して旧作を焼直しただけのダメ本を出した時には「モノラルの箱しか買わない」と堂々とぬかしやがったのだよ。アノね、あーた、一般的に流通しているのはステレオのリマスター盤であって、其れに便乗してクズ本を全く再検証もせずに再販しやがって、盗人猛々しいぞ。聴きもせずにガイド本を出すって何じゃらホイ。悲劇としか云えないのが、そんな敢えて名は伏せないが「中山康樹」氏のビートルズ本が安いからとばかりに図書館などにもあって、いたいけな初心者が出鱈目を信じてしまう事なのだ。ま、其れも修行かもしれませんね。あたくしも、昔は散々「インチキ・ガイド本」に騙されました。でも、21世紀にもなって其れはないざんしょ。

最近でもポールは此の曲を演奏していますが、ビートルズ解散以降、長い間封印していた楽曲でもあったのです。解禁したのは、1986年6月20日の「プリンス・トラスト」でした。客席で立ち上がり踊る「故・ダイアナ妃」の姿に萌えたナァ。

「ポールが歌えば、ダイアナも踊る!」

いえ、其れは本当に「衝撃的な映像」だったのだよ。だって、此の日本でおんなじ事なんて許されないじゃん。アノコ様とかコノコ様とかがさ、例えば「矢沢サンの武道館に貴賓席とかが在って、其処でキャロル時代のロケンロールとか演られて、思わずタオルを投げ乍ら踊り狂っちゃいましたよっ!」なんて事なわけだ。そりゃ、マズイでしょ?でもさ、ダイアナは「其れをやっちまった」んだよ。

「王子の立場無しですよっ!」
(虎キチの弁当屋声で)(もっと云うなら、麗しの「うらら姫」声で!)

さて、此の楽曲は、「珍しくもジョンがカヴァーした数少ないポール作品」でも在ります。1974年にエルトン・ジョンのライヴに飛び入りしたジョンは、こんな格好良過ぎる台詞をぬかしやがって、此の曲を演奏したのです。

「いつもは別れたフィアンセ(ポール)が歌うけど、今宵は僕が歌うよ」


(小島藺子/姫川未亜)


初出:「COPY CONTROL AGAIN」2008-6-14
REMIX-1:「COPY CONTROL」2008-9-4

(REMIX-2-4 by 小島藺子)2009-9-9



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2009年03月27日

FAB4-006:MISERY

アット・アビー・ロード Nothing But the Real Thing


 w & m:McCARTNEY / LENNON

 P:ジョージ・マーティン
 E:ノーマン・スミス(2/11、2/25)、スチュワート・エルサム(2/20)
 2E:リチャード・ランガム(2/11)、ジェフ・エマリック(2/20)、 A.B.リンカーン(2/25)
 録音:1963年2月11日、20日、MIX:1963年2月25日

 1963年3月22日 アルバム発売、パーロフォン PMC 1201(モノ)
 1963年4月26日 ステレオ盤発売、パーロフォン PCS 3042
 (「PLEASE PLEASE ME」 A-2)


ジョン・レノンとポール・マッカートニーが共作した此の楽曲は、当時彼らが前座を務めていた「ヘレン・シャピロ」の為に書かれたと云われています。言わば「憧れのお姉ちゃん」の為に、書いたのです。されど、彼女の歌唱によるヴァージョンを聴いたことが在りませんので(実際に録音して居れば「アット・アビイロード」に収録されたはずですので、歌ってないのでしょう)、つまり、「歌詞が暗いから歌いたくないわ」と、ボツになった曲です。

「F、G、C、Am」 と云う、たったの「4コード」で展開する楽曲なのですが、其処は「天下のレノン・マッカートニー」なのです。正に、まさに、「隠れた名曲」と呼ぶに相応しい作品になっております。其れは、此の時点で「レノン・マッカートニーはソングライター・チームとして完成されていた」事を教えてくれます。此の曲は「憧れの女性歌手の為に、職業作家として書いた」作品だったのです。其れがボツにされたから「セルフ・カヴァー」したのよさ。ちなみに「FROM ME TO YOU」も、当初はヘレン用に書かれたらしいです。後に、ヘレンは「歌ってあげれば好かった!」と地団駄を踏んだんじゃまいか?

たった壱日で録音されたデビュー盤ですが、此の楽曲には「スーパー・インポジション(現在で云うところのオーヴァー・ダビング)」で、ジョージ・マーティンがピアノを加えています。後に語る「BABY IT'S YOU」と合わせて「二曲にマーティンが音を重ねた」セッションには、後の「ザ・ビートルズ物語」で重要な役割を果たす青年が初めて「セカンド・エンジニア(よーするに、エンジニア助手)」で参加しました。(其の辺の様子は、近年、彼が書いた辞書みたいに分厚い本に詳しく書いて在ります。)

彼の名は「ジェフ・エマリック」と云います。

其の時にマーティンが弾いたピアノのフレーズは、日本のグループ・サウンズの草分けのひとつで在る「ザ・ワイルドワンズ(永遠の若大将:加山雄三サン命名)」の名曲「青空がある限り」で、ギター・フレーズとなって輪廻転生するのですが、其れはずっと後のお話です。


(小島藺子/姫川未亜)


初出:「COPY CONTROL AGAIN」2008-6-14
REMIX-1:「COPY CONTROL」2008-9-5

(and this is REMIX-2 by 小島藺子)



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2009年03月28日

FAB4-00那奈:ANNA(GO TO HIM)

Unusual普通じゃない―内山理名写真集〈上〉 THE GREATEST ARTHUR ALEXNDER


 w & m:ARTHUR ALEXNDER

 P:ジョージ・マーティン
 E:ノーマン・スミス
 2E:リチャード・ランガム(2/11)、 A.B.リンカーン(2/25)
 録音:1963年2月11日、MIX:1963年2月25日

 1963年3月22日 アルバム発売、パーロフォン PMC 1201(モノ)
 1963年4月26日 ステレオ盤発売、パーロフォン PCS 3042
 (「PLEASE PLEASE ME」 A-3)


ビートルズのレコードは、あたくしが彼らに夢中になった1970年代前半には「トンデモない事」になっていました。今でこそ、基本的には英国オリジナルに統一されていますが、現役時代からCD化される1980年代後半までは、各国盤が好き放題に発売されていたのです。特に、日本では解散した1970年に一気に米国盤がリリースされちゃったので「もう何が何だか訳分りませんがな」って状況の1973年に赤盤青盤でヤラレちゃった僕らの世代が、きっと一番痛い目に逢ったんですよ。現に、リアル・タイムで聴いていたキヨシちゃんが「スートンズとかはダブってんだけどさ、ビートルズはアルバムのダブり曲が無いんだよ。ああ、こいつらは信用出来るって思ったナァ」と述懐しております。本当に、ビートルズは二度売りは一切合切しなかったんですよ。英国オリジナル盤を詳らかにすれば、一目瞭然です。日本でも、現役時代は「基本的には英国フォーマット」で発売されて居たんです。でも、諸外国(特に米国)は違った。

アルバムを各国でテキトーに編集して出してたんですから、シングル盤なんてもっと酷かったんです。当時は四曲入りのコンパクト盤も出ていて、中学生には魅力的な商品でした。此の「アンナ」も、日本では「ディジー・ミス・リジー」とのカップリングでシングル発売されています。調べると、1965年9月に出ています。そりゃそーだ、A面は「HELP !(1965年8月発売)」からの収録じゃん。でも、B面の「アンナ」は、英国のデビュー盤(1963年1月発売)からのカットなのです。そんでもって、両面ともカヴァー曲です。

当時の日本では、毎月、ビートルズのシングル盤が発売されていた様です。其れも、毎月壱枚じゃなく、三枚とか四枚とか出ていたみたいなのですよ。「ビーチ・ボーイズの山下達郎」と呼ばれる男ですら、うっかり買ってしまったシングルが「ディジー・ミス・リジー / アンナ」だったりもするのです。(大瀧師匠が「山下クンが買ったってのが凄いね」と妙に感心!)アルバムでは英国盤に準じ乍ら、シングル盤やコンパクト盤を乱発し、解散前後には各国盤のアルバムまで復刻し、挙げ句に「西新宿」も在るって「日本」は、間違い無く「貴方が世界一」の「ビートルズの音盤を販売して居る国家」でしょう。トホホ。

さてさて、前置きが長くなりましたが、記念すべき「那奈曲目」に紹介する「アンナ」は、「カヴァーの王様:ジョン・レノン」此処に在り!を示すに持って来いの名唱が聴ける楽曲です。後に詳しく述べますが、たった一日で録音された「PLEASE PLEASE ME」の録音当日に、在ろう事かジョンは風邪をひいていました。ゆえに、此のアルバムでの彼は完全なる「鼻声」です。

しかし、其処が好いっ!

一日でのやっつけ仕事の為、既にオリジナルが豊富だった彼らも歌いなれたカヴァー曲を多く取り上げる結果となりました。でも、其れすらも「結果オーライ」でした。此のジョンの熱唱を聴いて、アーサー・アレキサンダーと云うアーティストを知った片は少なくないと思います。洋楽人生がビートルズから始まって、本当に幸運でした。彼ら以前にも、彼ら以後にも、すべてに繋がる道が目の前に広がったのです。だって、当時中学生だったし、時は1970年代前半だったのですもの。


(小島藺子/姫川未亜)


初出:「COPY CONTROL AGAIN」2008-6-15
REMIX-1:「COPY CONTROL」2008-9-6

(and this is REMIX-2 by 小島藺子)



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2009年03月29日

FAB4-008:CHAINS

The Complete Cookies パールズ


 w & m:GOFFIN / KING

 P:ジョージ・マーティン
 E:ノーマン・スミス
 2E:リチャード・ランガム(2/11)、 A.B.リンカーン(2/25)
 録音:1963年2月11日、MIX:1963年2月25日

 1963年3月22日 アルバム発売、パーロフォン PMC 1201(モノ)
 1963年4月26日 ステレオ盤発売、パーロフォン PCS 3042
 (「PLEASE PLEASE ME」 A-4)


ビートルズは、メムバーが四人全員が歌えた。

其れゆえに、普通のバンドでは有り得ない事が、解散後に起こりました。なんとまあ、メムバー全員が、ソロ歌手としても成功してしまったのです。はっきり云って、そんなバンドは他に思い当たりません。解散後に四人ともソロでも全米チャート首位を獲得してしまったバンドなんて、他に在るでしょうか?いや、無い。

EMIと契約する前に、1962年の元旦、彼らは正月返上で「デッカ・オーディション」に挑み、無惨にも落とされました。其の時のドラマーは、ピート・ベストです。彼は歌わせてもらえなかったので(理由は定かではないけど、太鼓も今イチだったことから察するに、歌はもっと酷かったのでしょう)、ジョン、ポール、そしてジョージが歌っています。

現在では容易に聴ける其の音源では、緊張しちゃったのか、ジョンとポールは実力の半分も出せていません。只一人、一番若いジョージが生き生きと歌っています。特に、ゴフィン&キング作品のカヴァー「TAKE GOOD CARE OF MY BABY」は名唱です。現に結局はオーディションを落とした「世紀のホウイチ:デッカ」は、当時の慣例から誰かひとりをリード歌手に据えようと考えましたが、其れは「ジョージ」が第一候補だった模様です。

デビュー・アルバム「PLEASE PLEASE ME」から、基本的に「ジョン&ポール」が核で在ったビートルズですが、バンドは四人平等がモットーだったと思えます。ジャケットには解散まで、常に四人が同じ大きさで映っていますし、ジョージとリンゴにも僅かな例外を除いて、リード・ヴォーカルを最低壱曲は担当させています。ゴフィン&キング作品で、オリジナルは黒人三人娘の「クッキーズ」が歌ったスマッシュ・ヒット曲で在る「愛の鎖」を、ジョン、ポール&ジョージが歌います。リードを取るのは、最年少のジョージです。此の三人によるハーモニーは、最後の「ABBEY ROAD」まで彼らの大きな武器のひとつとなります。

ビートルズは、ガールズ・グループのマイナー曲を好んでカヴァーするかなり「へんちくりんなバンド」でした。現在の日本なら、新人男性ロック・バンドが、例えば「風間三姉妹のシングルB面曲をカヴァーしちゃう」みたいな感覚です。(おいおい、それじゃ「浅香唯メドレー」じゃん!)他の連中とは違うレパートリーを演奏して目立ちたかったからだと云う理由だけではなく、彼ら三人によるコーラスには、間違いなくガールズ・グループからの影響が多大に感じられます。そんな「ユニセックス的な魅力」も、彼らを化け物にした要因のひとつだと思います。ちなみに、作者のキャロル・キング姐御本人が、最近のステージでも「ま、ビートルズも、所詮はあたしの弟みたいな連中なのよ(はーと」とか云って、此の曲を楽しそうに演奏しています。


(小島藺子/姫川未亜)


初出:「COPY CONTROL AGAIN」2008-6-15
REMIX-1:「COPY CONTROL」2008-9-7

(and this is REMIX-2 by 小島藺子)



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2009年03月30日

FAB4-009:BOYS

Will You Love Me Tomorrow 1998-2003


 w & m:DIXON / FARRELL

 P:ジョージ・マーティン
 E:ノーマン・スミス
 2E:リチャード・ランガム(2/11)、 A.B.リンカーン(2/25)
 録音:1963年2月11日、MIX:1963年2月25日

 1963年3月22日 アルバム発売、パーロフォン PMC 1201(モノ)
 1963年4月26日 ステレオ盤発売、パーロフォン PCS 3042
 (「PLEASE PLEASE ME」 A-5)


幾ら時間が無かったとは云え、1テイクしか録音しないってのはナァ。しかも其れが、

「リンゴ」のうたですから。

いや、リンゴ・スターことリチャード・スターキーは「ロリー・ストーム&ザ・ハリケーン」と云う「ビートルズ」と人気を二分するバンドの「歌えるドラマー」だったのです。しかも、既に太鼓叩きを生業とする「プロ」でした。金持ちのボンボンで練習場を貸してくれていた前任ドラマーのピート・ベストは、最もハンサムで女の子にも絶大な人気を得て居ました。しかし、、、

「ドラムが下手だった。」(サー・ジョージ・マーティン声で)

ジョン、ポール、そして二人のジョージの合議で「ピート追放」が決定します。時は、メジャー・レコード・デビュー直前でした。デッカ・オーディションも、EMIでの初セッションも、ピートが太鼓を叩いたのです。いよいよ本番!って時に「おまい、クビな」ですよっ。酷い。ピートの心はズタズタだったでしょう。更に、ジョンとポールは其の「憎まれ役」を、使いパシリ同様だったジョージ・ハリスンに任せたのです。

「鬼か、レノン・マッカートニー!」

世紀の天才二人を追い続けたジョージには、仲間が必要でした。彼は迷わず、リチャードを誘います。破格の条件でリチャードは引き抜かれ「名前が長いから、リンゴにしろ。あと、其の汚らしい髭を剃れ」と命じられました。「THE BEATLES」の誕生です。さてさて、そんなリンゴですが、新たなバンドはとても自分が前に居たバンドと同等だったとは思えませんでした。

「ラベルが違い過ぎた!」(村田せんせい声で)

「好いよ、オラ、歌が下手ですた〜林檎すった〜」とばかりに、完璧な脇役人生を選択します。不幸な生い立ちが、彼に処世術を自然と身につけさせたのでした。当時のリンゴの夢は「美容院を経営する事」だったのですよ。音楽なんかでメシが喰えるなんて誇大妄想は信じていなかったのです。だって、リンゴはジョンと同い年なんですから。引き抜かれた時に既に22才です。10代中頃から苦楽を共にした他の三人とは違って「現実主義者」だったのです。とりあえず、太鼓叩いて食っていたわけです。ま、其れが普通でしょう。ジョンやポール、そしてジョージの方が「狂っていた」のでしょう。

「BOYS」も、ガールズ・グループ「シレルズ」のカヴァーです。兎に角、彼らは「おねえちゃんグループの曲」が好きでした。デビュー盤では、もう壱曲「BABY IT'S YOU」をカヴァーしていますので、シレルズはかなり好きだったのでしょう。しかも、メンバー四人全員が「女の子のカヴァーも歌っていた」わけでして、奇妙な集団だったと云わざるを得ません。そして、此の曲は、おそらくビートルズ史上で最初に「放送禁止」になった曲だと思われます。理由は、原曲のまんまの歌詞で歌ったからです。(普通なら、女の子の歌をカヴァーするのだから「BOYS」では無く「GIRLS」と歌い代えます。)「男の子の話をしようぜ!」と太鼓を叩きまくるリンゴの天然バカ歌を聴いて、良識ある大人は眉をひそめたのです。

「おい、なんだ此れはっ。ホモのうたじゃないか!」

ま、マネジャーがアレだったから、当たらずとも遠からずでしたね。


(小島藺子)


初出:「COPY CONTROL AGAIN」2008-6-15
REMIX-1:「COPY CONTROL」2008-9-8

(and this is REMIX-2 by 小島藺子)



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2009年03月31日

FAB4-010:BABY IT'S YOU

The Look of Love: The Burt Bacharach Collection Out of Our Idiot Baby It's You/The Shirelles and King Curtis Give a Twist Party


 w & m:MACK DAVID/ BARNEY WILLIAMS / BURT BACHARACH

 P:ジョージ・マーティン
 E:ノーマン・スミス(2/11、2/25)、スチュワート・エルサム(2/20)
 2E:リチャード・ランガム(2/11)、ジェフ・エマリック(2/20)、A.B.リンカーン(2/25)
 録音:1963年2月11日、20日、MIX:1963年2月25日

 1963年3月22日 アルバム発売、パーロフォン PMC 1201(モノ)
 1963年4月26日 ステレオ盤発売、パーロフォン PCS 3042
 (「PLEASE PLEASE ME」 B-3)


此の連載では、基本的に英国オリジナル発売順に楽曲を紹介しています。デビュー・アルバム「PLEASE PLEASE ME」のA面は、「BOYS」の後にセカンド・シングル「PLEASE PLEASE ME」から両面、そしてB面はデビュー・シングル「LOVE ME DO」から両面と、畳み掛ける様に中盤の山場がやって来ます。ヒット・シングルをアルバムにも収録するのは、当時の通例でした。と云うよりも、アルバムはシングルの寄せ集めと云って良い時代だったのです。されど、ビートルズが其の通例に従ったのは、此のデビュー盤だけでした。

此処で注目すべきは、彼等が既に「アルバムとシングルは別」と考えていたと思える曲順です。御馴染みのヒット曲と其れに負けず劣らずのB面曲が、合わせて四曲も在りました。其れなのに、其れらを真ん中にまとめて収録してしまったのです。其の前後が、たった壱日で録音された10曲なのです。其の理由は、録音をした事が在る片ならお分かりでしょう。真ん中の四曲こそが、実は「違和感」が在るのです。其れは、其の前後が実質的には、「1963年2月11日(日)の、実況録音盤」だからです。だから、敢えて分けた。其れが、彼等の其の後に繋がります。

さて、怒涛のシングル曲四連発を受けて、ふたたびシレルズのカヴァーが登場します。たったの一日で10曲も録音を強行した1963年2月11日、前述の通り、当時は圧倒的なリーダーで在った「天下無敵のジョン・レノン」は風邪をこじらせていました。夢にまでみた「初のアルバム」を録音する当日に、在ろう事か声が出ないかもしれない事態に陥ったジョン。其のプレッシャーは想像を絶するものだったでしょう。実際に、午前中のセッションではポールがほとんどの曲を歌います。ジョージ、リンゴも歌います。ジョンは、歌えないのか?午後になってさらに高熱に悩まされたジョンは、底力を発揮します。此の名唱を聴いて下さい!此れが、今にも倒れそうな人間が歌ったとは、到底思えません。ジョンは、デビュー以前に出来上がっていました。

やっつけ仕事の10曲中で「MISERY」と此の曲だけ、20日にジョージ・マーティンがオーバーダビングをしています。此の曲には、チェレスタとピアノを加えたのですが、結局はピアノは消去されました。此の楽曲は、シレルズのカヴァーと云うよりも、「THE BEATLES MEETS BART BACHARACH」と呼ぶべき名カヴァーでしょう。あたくしにとって「20世紀最大の作曲家」は、レノン・マッカートニーでも、ブライアン・ウイルソンでも、キャロル・キングでも、スティーヴィー・ワンダーでも、他の誰でも在りません。最も影響を受けた作曲家は「バート・バカラック」です。

2008年は、尊敬する作曲家である「バカラック先生(2月)」と「キャロル姐御(11月)」に逢えた年でもありました。でも、当時66才のキャロル姐御は「CHAINS」を誇らしげに披露したけれど、当時79才のバカラックは此の曲を演奏しなかったっ!御存知の通り、此の楽曲はビートルズ以外にも数多くのカヴァーが存在する「世紀を超えた名曲」です。参ったよ、バカラック先生。「俺様は、未だ未だ、ビートルズなんぞに介護される気はねぇよ」って事なんでしょう。恐るべき80才です。

其れにしても、レノンの此のヴォーカルの色っぽさは、何なんだ?ガールズ・グループが歌うよりも、遥かに艶っぽい。♪おほ〜んっ!♪とか、しゃくり上げる部分が堪りませんっ!完全に「他人が書いた曲を、手篭めにして居る」んですよっ。

正に、ジョンは「カヴァーの天才」でした。


(小島藺子/姫川未亜)


初出:「COPY CONTROL AGAIN」2008-6-16
REMIX-1:「COPY CONTROL」2008-9-9

(and this is REMIX-2 by 小島藺子)



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2009年04月01日

FAB4-011:DO YOU WANT TO KNOW A SECRET

At Abbey Road: 1963-1966 ベスト・オブ・フェアーグラウンド・アトラクション


 w & m:McCARTNEY / LENNON

 P:ジョージ・マーティン
 E:ノーマン・スミス
 2E:リチャード・ランガム(2/11)、A.B.リンカーン(2/25)
 録音:1963年2月11日、MIX:1963年2月25日

 1963年3月22日 アルバム発売、パーロフォン PMC 1201(モノ)
 1963年4月26日 ステレオ盤発売、パーロフォン PCS 3042
 (「PLEASE PLEASE ME」 B-4)


愛しのジョージ・ハリスン、当時19才が可愛らしく歌う楽曲ですが、書いたのは「レノン・マッカートニー」です。主に、ジョンが書いたと思われます。「ディズニー映画から戴いたアイディアだぜ」とか、平然とぬかしておりました。「ガキっぽい曲だから、恥ずかしくって俺様じゃ歌えなかったんだよ、がっはっはっは」みたいな事も云っていた気がします。ま、レノンらしい「照れ隠し」でしょう。

そもそも、「レノン・マッカートニー作品」のネタばれ(本当はどっちが書いたか、って話です)をやったのは、ジョン・レノン本人です。まずは、1970年の解散時に、そして復活し殺される直前の1980年に、「其処まで云わなくてもいいのに。」と思える程に、「此れは俺が書いた、そんでもって、こっちはポールが書いた」とインタビューで暴露しまくったのです。ジョンは記録魔でも在ったので、そうした発言にもかなり信憑性が在ります。後にポールも自作とジョン作を明かしたのですが、相違して居たのは「IN MY LIFE」を双方が「俺様の曲だっ!」と主張し合った位なモンです。(其の件は後で詳しく書きますけど、書いた奴が歌うって「暗黙のルール」が在ったのだから、「IN MY LIFE」も主にジョンが書いたと、あたくしは思います。)

兎も角、「レノン・マッカートニー」と云うチームは「自作自演」だけではなく、「職業作家」としても既にメジャー・デビュー時には出来上がっていたのだと思えるのが此の楽曲です。(えっ?歌っているジョージの立場って。)お気付きの片もいらっしゃるでしょうが、此の連載では、添付画像に大昔にあたくしが「2ちゃんねる」で遊んだ「ビートルズの曲は全曲カヴァーされている」に因んだ作品なんかも交えています。此の曲もジョージに歌わせるだけではなく、BILLY J. KRAMER with THE DAKOTAS に提供した楽曲でもありました。

主に、ブライアン・エプスタインがビートルズ以外にマネージメント契約して居た連中に、ジョンとポールは楽曲を提供していました。其れらは、ハッキリ云ってしまえば「自分たちで録音するには、些かお粗末過ぎるナ」って代物で、よーするに「ボツ曲」です。でも時代は「レノン・マッカートニー」だったので、全部ヒットしちゃうんですよ。エプスタインは、笑いが止まらなかったでしょうね。そして、ポールは「本当の駄曲」を平気で提供してしまうのですが、ジョンは「おいおい、自分で歌えよ。」って名曲まであげちゃうわけです。其れは、当時のジョンが「完全に出来上がっていた」事実を伝えますし、二人の楽曲制作法の決定的な違い(レノン=推敲型、マッカ=一筆書き)をも知らしめます。

彼等は、苦節六年を経て、我が世の春を迎えました。ま、天然ポールは兎も角、思慮深いジョンは「おいおい、こりゃ何か変じゃん」って思い始めるわけですが。其れは、もう少しだけ後のお話です。


(小島藺子)



じゃ、其の第一回目を転載します。


57 :イコ ◆p5WccLcIEw :02/10/22 18:11 ID:???
Please Please Meです。

1. I Saw Her Standing There / ELTON JOHN&JOHN LENNON
2. Misery / THE FLAMING GROOVIES
3. Anna / ARTHER ALEXANDER
4. Chains / THE COOKIES
5. Boys / THE SHIRELLES
6. Ask ME Why / 竹内まりや
7. Please Please Me / クール・キャッツ
8. Love ME Do / RINGO STARR
9. P.S.I Love You / ザ・バッド・ボーイズ
10. Baby It's You / THE SHIRELLES
11. Do You Want To Know A Secret / BILLY J. KRAMER with THE DAKOTAS
12. A Taste Of Honey / LENNY WELCH
13. There's A Place / THE KESTRELS
14. Twist And Shout / THE ISLEY BROTHERS


61 :イコ ◆p5WccLcIEw :02/10/24 12:55 ID:???
With The Beatles暫定です。

01. It Won't Be Long / The Red Cross(LIVE音源)
02. All I've Got To Do / Louise Goffin
03. All My Loving / The Trends
04. Don't Bother Me / Gregory Philips
05. Little Child / Jackie Lynton
06. Till There Was You / Peggy Lee
07. Please Mr. Postman / The Marvelettes
08. Roll Over Beethoven / Chuck Berry & His Combo
09. Hold Me Tight / Treasures
10. You Really Got A Hold On Me / The Miracles
11. I Wanna Be Your Man / The Rolling Stones
12. Devil In Her Heart / The Donays
13. Not A Second Time / Robert Palmer
14. Money(That's What I Want) / Barrett Strong


280 :イコ ◆p5WccLcIEw :03/04/21 12:22 ID:???
A Hard Day's Night 改訂

01. A Hard Day's Night / ちわきまゆみ
02. I Should Have Known Better / The Beach Boys
03. If I Fell / The Brothers Four
04. I'm Happy Just Dance With You / The Cyrkle
05. And I Love Her / SMI
06. Tell Me Why / Me & Them
07. Can't Buy Me Love / 東京ビートルズ
08. Any Time At All / ザ・スパイダース
09. I'll Cry Instead / Joe Cocker
10. Things We Said Today / The Sneakers
11. When I Get Home / Hassles
12. You Can't Do That / Harry Nilsson
13. I'll Be Back / Roger Nichols & Small Circle Of Friends


281 :イコ ◆p5WccLcIEw :03/04/21 12:36 ID:???
Beatles For Sale 改訂

01. No Reply / Last Words
02. I'm A Loser / Marianne Faithfull
03. Baby's In Black / The Hi-Fi's
04. Rock And Roll Music / Chuck Berry
05. I'll Follow The Sun / Glyn Johns
06. Mr. Moonlight / Dr Feelgood & The Interns
07. Kansas City〜Hey, Hey, Hey, Hey / Little Richard
08. Eight Days A Week / Alma Cogan
09. Words Of Love / Buddy Holly
10. Honey Don't / Carl Perkins
11. Every Little Thing / Yes
12. I Don't Want To Spoil The Party / The Savoys
13. What You're Doing / John Calabro
14. Everybody's Trying To Be my baby / Carl Perkins


284 :イコ ◆p5WccLcIEw :03/04/21 12:49 ID:???
HELP! 再改訂 

01. Help! / The Damned
02. The Night Before / チューリップ
03. You Got To Hide Your Love Away / The Silkie
04. I Need You / 高橋幸宏
05. Another Girl / Kingsmen
06. You're Going To Lose That Girl / ザ・スパイダース
07. Ticket To Ride / Vanilla Fudge
08. Act Naturally / Buck Owens & The Buckaroos
09. It's Only Love / Gary US Bonds
10. You Like Me Too Much / Les Faux Freres
11. Tell Me What You See / George Martin
12. I've Just Seen A Face / Kenny Rankin
13. Yesterday / Flesh Banana Combo
14. Dizzy Miss Lizzy / Larry Williams


81 :イコ ◆p5WccLcIEw :02/10/29 12:16 ID:???
>>80 ありです。歌う前に止めても(笑)ありです。
RUBBER SOUL 試供品

01. Drive My Car / Humble Pie
02. Norwegian Wood / Jan & Dean
03. You Won't See Me / Bryan Ferry
04. Nowhere Man / Tiny Tim
05. Think For Yourself / The Out Of Towners
06. The Word / Helen Merrill
07. Michelle / The Overlanders
08. What Goes On / Charles River Valley Boys
09. Girl / Ofra Harnoy
10. I'm Looking Through You / Steve Earle
11. In My Life / Bette Midler
12. Wait / チューリップ
13. If I Needed Someone / Livingston Taylor
14. Run For Your Life / Nancy Sinatra


283 :イコ ◆p5WccLcIEw :03/04/21 12:46 ID:???
REVOLVER 改訂

01. Taxman / Stevie Ray Vaughan
02. Eleanor Rigby / Sarah Vaughan
03. I'm Only Sleeping / European Jazz Torio
04. Love You To / Bong Water
05. Here,There And Everywhere / Emmylou Harris
06. Yellow Submarine (Ondo) / 金沢明子
07. She Said,She Said / Lone Star
08. Good Day Sunshine / Tremeloes
09. And Your Bird Can Sing / The Jam
10. For No One / Cilla Black
11. Dr. Robert / Nick Heyward
12. I Want To Tell You / The Lambrettas
13. Got To Get You Into My Life / Earth,Wind & Fire
14. Tomorrow Never knows(TNK) / 801


83 :イコ ◆p5WccLcIEw :02/10/29 17:49 ID:???
簡単なので、これも。
SGT.PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND 豪華な前座

01. Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band / Jimi Hendrix
02. With A Little Help From My Friends / Joe Cocker
03. Lucy In The Sky With Diamonds / Elton John
04. Getting Better / Status Quo
05. Fixing A Hole / Big Daddy
06. She's Leaving Home / Nilsson
07. Being For The Benefit Of Mr.Kite! / Les Miserables Brass Band
08. Within You, Without You / Sonic Youth
09. When I'm Sixty-Four / Keith Moon
10. Lovely Rita / Roy Wood
11. Good Morning ,Good Morning / Peter Frampton & The Bee Gees
12. Sgt.Pepper's Lonely Hearts Club Band (Reprise) / 深町純
13. A Day In The Life / Eric Burdon & The War


84 :イコ ◆p5WccLcIEw :02/10/30 12:24 ID:???
ひきつづき。。。
MAGICAL MYSTERY TOUR エセ添乗員

01. Magical Mystery Tour / Cheap Trick
02. The Fool On The Hill / Sergio Mendes & Brazil'66
03. Flying / 四人囃子
04. Blue Jay Way / 渡辺貞夫
05. Your Mother Should Know / Kenny Ball
06. I Am The Walrus / Oasis
07. Hello Goodbye / James Moody
08. Strawberry Fields Forever / Todd Rundgren
09. Penny Lane / World Party
10. Baby You're A Rich Man / Fat Boys
11. All You Need Is Love / Elvis Costello


85 :イコ ◆p5WccLcIEw :02/10/30 18:44 ID:???
THE BEATLES  塗装中

DISC-1
01. Back In The U.S.S.R / Billy Joel
02. Dear Prudence / Siouxsie & The Banshees
03. Glass Onion / Phish
04. Ob-La-Di,Ob-La-Da / Marmalade
05. Wild Honey Pie / Phish
06. The Continuing Story Of Bungalow Bill / Young Blood
07. While My Guitar Gently Weeps / TOTO
08. Happiness Is A Warm Gun / Breeders
09. Martha My Dear / Ambrose Slade
10. I'm so Tired / Alex Chilton
11. Blackbird / Bonnie Pink
12. Piggies / Oingo Boingo
13. Rockey Raccoon / The Moments
14. Don't Pass Me By / Georgia Sattelites
15. Why Don't We Do It In The Road? / Lydia Lunch
16. I Will / Art Garfunkel
17. Julia / Ramsey Lewis


86 :イコ ◆p5WccLcIEw :02/10/30 18:46 ID:???
THE BEATLES ペンキ塗り立て

DISC-2
01. Birthday / Hair Rave Up
02. Yer Blues / 椎名林檎と虐待グリコゲン
03. Mother Nature's Son / John Denver
04. Everybody's Got Something To Hide Except Me And MY Money / 森高千里
05. Sexy Sadie / Paul Weller
06. Helter Skelter / U2
07. Long,Long,Long / Ranko & His Social Kills
08. Revolution 1 / Grandaddy
09. Honey Pie / Tuck & Patti
10. Savoy Truffle / Ella Fitzgerald
11. Cry Baby Cry / Fool's Garden
12. Revolution 9 / Kurt Hoffman's Band Of Weeds
13. Good Night / Linda Ronstadt


88 :イコ :02/10/31 17:53 ID:???
>ススキバさん
感謝感激雨霰。あとは、たったの3曲です。
YELLOW SUBMARINE 潜水中

01. Yellow Submarine / Black Dyke Mills Band
02. Only A Northern Song / The Blue Meanies
03. All Together Now / Trifle
04. Hey Bulldog / 奥田民生
05. It's All Too Much / Steve Hillage
06. All You Need Is Love / The 5th Dimension


94 :イコ ◆p5WccLcIEw :02/11/01 12:16 ID:???
ABBEY ROAD 工事中

01. Come Together / The Smokin' Mojo Filters
02. Something / Frank Sinatra
03. Maxwell's Silver Hammer / David Arnold & RPO Pops
04. Oh! Darling / 井上陽水
05. Octopus's Garden / Anita Harris
06. I Want You (She's So Heavy) / Sarah Vaughan
07. Here Comes The Sun / Steve Harley & Cockney Rebel
08. Because / ザ・ワイルド・ワンズ
09. You Never Give Me Your Money / Wilson Malone (Orenge Bicycle)
10. Sun King / Booker T. & The MG'S
11. Mean Mr Mustard / Booker T. & The MG'S
12. Polythene Pam / Roy Wood
13. She Came in Through The Bathroom Window / Jose Feliciano
14. Golden Slumbers / Trush
15. Carry That Weight / Trush
16. The End / George Benson
17. Her Majesty / Brian Sewell


95 :イコ ◆p5WccLcIEw :02/11/01 12:17 ID:???
LET IT BE  裁判中

01. Two Of Us / Penny Arcade
02. Dig A Pony / LAIBACH
03. Across The Universe / Fiona Apple
04. I Me Mine / Goran Sollsher
05. Dig It / LAIBACH
06. Let It Be / 上々颱風
07. Maggie Mae / Vipers Skinle Group
08. I've Got A Feeling / Billy Preston
09. One After 909 / the Smithereens
10. The Long And Winding Road / Olivia Newton John
11. For You Blue / Eller Lynch
12. Get Back / Rod Stewart


96 :イコ ◆p5WccLcIEw :02/11/01 12:18 ID:???
PAST MASTERS・VOLUME ONE リハーサル

01. Love Me Do / The Chipmunks
02. From Me To You / Del Shannon
03. Thank You Girl / in the Medley of"Eurobeatle B-side" by wishng
04. She Loves You / Chet Atkins
05. I'll Get You / The Inmates
06. I Want To Hold Your Hand / スリー・ファンキーズ
07. This Boy / Nylons
08. Komm,Gib Mir Deine Hand / エディ&アテムローゼン(独)
09. Sie Liebt Dich / ティーム・ビーツ(独)
10. Long Tall Sally / Little Richard
11. I Call Your Name / The Buckinghams
12. Slow Down / Larry Williams
13. Matchbox / Carl Perkins
14. I Feel Fine / ほり・まさゆき
15. She's a Woman / Jeff Beck
16. Bad Boy / Larry Williams
17. Yes It Is / Don Henley
18. I'm Down / Aerosmith


97 :イコ ◆p5WccLcIEw :02/11/01 12:19 ID:???
PAST MASTERS・VOLUME TWO アンコール

01. Day Tripper / Otis Redding
02. We Can Work It Out / Stevie Wonder
03. Paperback Writer / Tempest
04. Rain / Petula Clark
05. Lady Madonna / Fats Domino
06. The Inner Light / Gregorian Chants
07. Hey Jude / Wilson Picket
08. Revolution / Thompson Twins
09. Get Back / Doris Troy
10. Don't Let Me Down / Annie Lennox
11. The Ballad Of John And Yoko / Teenage Fanclub
12. Old Brown Shoe / Biscuit
13. Across The Universe / 10cc
14. Let It Be / Aretha Franklin
15. You Know My Name (Look Up The Number) / Youth Gone Mad



(小島藺子/姫川未亜)


初出:「COPY CONTROL AGAIN」2008-6-16
REMIX-1:「COPY CONTROL」2008-9-10
(引用:「2ちゃんねる」に於けるイコの書き込み、2002-10-22〜2003-4-21)

(and this is REMIX-2 by 小島藺子)



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2009年04月02日

FAB4-012:A TASTE OF HONEY(蜜の味)

Classic Masters - A Taste of Honey フジテレビ系ドラマ「蜜の味〜A Taste Of Honey〜」オリジナルサウンドトラック Whipped Cream & Other Delights


 w & m:BOBBY SCOTT / RIC MARLOW

 P:ジョージ・マーティン
 E:ノーマン・スミス
 2E:リチャード・ランガム(2/11)、A.B.リンカーン(2/25)
 録音:1963年2月11日、MIX:1963年2月25日

 1963年3月22日 アルバム発売、パーロフォン PMC 1201(モノ)
 1963年4月26日 ステレオ盤発売、パーロフォン PCS 3042
 (「PLEASE PLEASE ME」 B-5)


何度もしつこく云いますが、アルバム「PLEASE PLEASE ME」は、既発シングル4曲以外の10曲をたったの一日で、基本的にはスタジオ・ライヴの一発録りに限りなく近いカタチで録音されました。ゆえに、全14曲中半数近い6曲がカヴァーです。すべて、長い下積み時代に何度も演奏した楽曲でした。ビートルズの起源をジョンとポールが出逢い、ジョンがポールを自分のバンドに加入させた1957年7月6日と考えるなら(いや、実際に彼ら二人が組んだ瞬間こそが起源です)、メジャー・デビューまでなんと6年近くも掛かっています。

更に云えば、世界制覇を成し遂げる「1964年(米国初上陸!ビルボード首位!!日本でもデビュー、いや全世界でデビュー!!!)」まで、なんと、8年近くも掛かっているのです。20世紀最大の音楽集団、いや「世界を変えた!」と永遠に称される彼等が大成功を収めるまで、苦節八年!此の事実を知る時、「僕らのチッポケな苦労なんて塵みたいなもんじゃまいか?」と思えます。16才と15才だったジョンとポールは、メジャー・デビュー時には既に22才と20才になっていました。「20世紀最大の天才音楽家」と云われる「レノン・マッカートニー」が、六年も掛かってようやく掴んだチャンスでした。そう考えると、繰り返しますが「下積み無しでの成功など、此の世には無い」のだと解ります。

此の楽曲は、古いミュージカル・ナムバーです。ポールは父親の影響で、ロケンロール以外のこうした音楽も好んでいました。ロケンロール道一直線だったジョンは、此の曲が大嫌いだと公言していて、ライヴでも「俺が嫌いな曲をやるよ」とか平気で言い放ち、丸っきりやる気ナッシング状態で演奏しちゃったりなんかしていました。でもジョンが偉いのは、自分は嫌いだけど「自分には無いポールのセンスを尊重していた」ところです。後に「REVOLVER(1966)」で彼等二人のパワー・バランスが遂に逆転した時、ツアー中のホテルで二人っきりで完成したばかりのアセテート盤を聴き、ジョンはポールに云いました。「俺は、自分が書いた曲よりもお前が書いた曲の方が好きなのかもしれない。」と。ポールは涙が出る程に感激し、其の後の「ポール主導路線」へと暴走するのです。つまり、ジョンはポールを「乗せた」のだよ。ジョン・レノンは、偉大なるリーダーでした。我を捨て、グループの成功を優先する術を知っていました。

現に、初期レノン・マッカートニー作品では、圧倒的にジョンの作品の方が光っています。ヴォーカリストとしても、完全にジョンは完成していました。ポールは、未だ発展途上です。だって彼は当時まだ二十歳だったのですからね。されど、こうした「他のロケンロール・バンドなら絶対にカヴァーしない曲」を見つけ、レパートリーに加える天性の音楽的なセンスは抜群でした。そんなポールの「何でもあり」な天然音楽家的感性が、彼自身のオリジナル作品にも反映され「世紀のメロディ・メイカー」と賞賛されるまでに、そう時間は掛かりません。あの至上の名曲「YESTERDAY」をポールが夢で聴くのは、たった二年後、彼が22才の時なのです。


(小島藺子/姫川未亜)


初出:「COPY CONTROL AGAIN」2008-6-16
REMIX-1:「COPY CONTROL」2008-9-11

(and this is REMIX-2 by 小島藺子)



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2009年04月03日

FAB4-013:THERE'S A PLACE

Something/Anything? Now


 w & m:McCARTNEY / LENNON

 P:ジョージ・マーティン
 E:ノーマン・スミス
 2E:リチャード・ランガム(2/11)、A.B.リンカーン(2/25)
 録音:1963年2月11日、MIX:1963年2月25日

 1963年3月22日 アルバム発売、パーロフォン PMC 1201(モノ)
 1963年4月26日 ステレオ盤発売、パーロフォン PCS 3042
 (「PLEASE PLEASE ME」 B-6)


紛れも無い「レノン・マッカートニー」作品です。

いや、比重的には、ジョンが主に書いたのかもしれません。でも、此れこそが「レノン・マッカートニー」の合作だと云って良いでしょう。サビの部分でジョンがソロを取る以外は、世界一のデュオである「ジョンとポール」による極上のハーモニーが高らかに奏でられます。こんなにも息がピッタリな「二重唱」は、後にも先にも、彼ら以外には有り得ません。

ジョンとポールは、双子でした。十代に初めて出逢った時、お互いがひと目惚れしちゃったんです。特に、当時既にバンドのリーダーだった16才のジョンは、15才の天才児ポールの其の後をすべてお見通しだったのです。ジョンはこう思ったのです。「こいつをバンドに入れたら、きっと俺の立場が危うくなるだろう。でも、こいつを手放したら、俺は成功出来ない!」若干16才の天才児:ジョン・レノンは、自分の我を捨てたのでした。だから、ポールはジョンを愛した。異常なまでに、彼を独占しようとしました。ポールは、ジョンに認めてもらう事が、何よりの「シアワセ」だったのです。お互いの生い立ちなど、共通項が不思議な程に在りました。

でも、当時のジョンの親友は「スチュワート・サトクリフ」でした。ポールは、スチュを憎んだ。何とかして、「ジョンのたったひとりの僕」になりたかった。酷い仕打ちをして、ポールはスチュから「ジョンの相棒」の座を奪いました。そんなにまでして手に入れた場所です。此の曲の録音は、いくらジョンが風邪をひいていたからとは云え、13テイクにも及びました。ポールは、歌いたかったのです。愛しのジョンと高らかにハモリたかったのです。

時代は「いきなりだナァ(片瀬言語)」しますが、此の奇跡的なデュオも、たった6年後には「一時的に瓦解」します。1969年、ポールは二つの名言を遺した。ひとつは「悪夢のゲバ・セッション」中に、「やる気あんのかよ?けけけ」と茶化すジョンに、真摯過ぎる態度で云った「やるよ、ジョン、君と一緒なら、僕は幾らだって演奏するよっ!」って返したコトノハです。流石のレノンも「こいつ、マジなのかよ。」と、一瞬だけビビッてますよっ。(映画「LET IT BE」で観れます。さっさとDVD化せんかいっ!)もうひとつは、「『COME TOGETHER』をジョンと歌ったんだけど、全然ハモれなかったんだ。昔は、こんな事はなかったのにナァ。」ってヤツね。哀しいねぇ。

さてさて、時代を1963年に戻しましょう。たった壱日でやっつけた「PLEASE PLEASE ME」セッションで、トンデモない事実が在ります。後にセカンド・アルバムで陽の目を見る「HOLD ME TIGHT」が、なな、なんと、13テイクも録音されているのです。当然、其れはすべて「ボツ」で、「WITH THE BEATLES」に収録されたのはリメイクです。そして其れを書いたのは、ポール・マッカートニーなのです。

10曲が、絶対に必要でした。「HOLD ME TIGHT」がダメになっちゃいました。時間には限りが在ります。大体、ボツにするなら「HOLD ME TIGHT」なんて駄曲を呑気に演奏している場合じゃなかったのだよ。壱曲足りません。ジョージ・マーティンが、予定外の夜間セッションの追加を決めました。嗚呼、だから「HOLD ME TIGHT」なんて下らないジャンク曲はやんなきゃ好かったんだよ。(おいおい、そんな駄曲を後にカヴァーしたトッドの立場がないじゃん。)

「さあ、どーする?ビートルズ!!」

ちなみに、今回貼った画像は、ジョンを批判したトッドの「I SAW THE LIGHT」に関して、ジョンが言い放った言葉から選びました。分る片だけ、ニヤリとして頂戴。


(小島藺子)


初出:「COPY CONTROL AGAIN」2008-6-16
REMIX-1:「COPY CONTROL」2008-9-12

(and this is REMIX-2 by 小島藺子)



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2009年04月04日

FAB4-014:TWIST AND SHOUT

Early Productions Shake It Up, Baby: Shout, Twist and Shout BeatlesTwistanShoutSingle.jpg


 w & m:PHIL MEDLEY / BERT RUSSELL BERNS

 P:ジョージ・マーティン
 E:ノーマン・スミス
 2E:リチャード・ランガム(2/11)、A.B.リンカーン(2/25)
 録音:1963年2月11日、MIX:1963年2月25日

 1963年3月22日 アルバム発売、パーロフォン PMC 1201(モノ)
 1963年4月26日 ステレオ盤発売、パーロフォン PCS 3042
 (「PLEASE PLEASE ME」 B-7)


午前10時から、昼食も取らぬ状況で続いたセッションは、既に半日を経過しようとしていました。22時を超えようと云う時になっても、約束の10曲には足りません。ぶっ倒れそうな状況で「BABY IT'S YOU」を四回も歌ったジョンは、「おまいがリーダーだろ?何とかせんかい!」と迫られます。

「漢:ジョン・レノン」が、立ち上がりました。

風邪による高熱と、極度の重圧で、流石の「天下無敵のジョン・レノン」も、いっぱいいっぱいでした。「此れは、壱回で決めなきゃイカン!」そう思ったジョンは、上半身裸になって絶叫したのでした。

「うぇ、しぇけなべいべなっ!」と。

恐るべき「怪物アーティスト:ジョン・レノン」が、覚醒した瞬間です。其の歴史的瞬間が、しっかりと音盤として刻まれました。最後に、ジョンが「やったぜっ!」とばかりに、溜め息をつきます。注意深く聴いて下さい。ほら、ね。ジョンは、やり遂げたんです。そして、ビートルズも成し遂げたのです。10時から開始された時計は、22時半を超えていました。念の為、2テイク目も録音されます。でも、其れはもう使い物にならなかった。ジョンは、完全に喉を潰していたのです。こうして、ビートルズのデビュー・アルバムは無事に録音を終了しました。

此の楽曲のオリジナルとして有名なヴァージョンは、天下の「アイズレー・ブラザーズ」による作品です。実は、本当のオリジナルは、フィル・スペクター制作の駄作「トップ・ノーツ盤」なのですが、此の楽曲を世に知らしめたのは「アイズレー盤」でした。ヒット・チャートに擦りもしなかった「トップ・ノーツ盤」を、アイズレーは見事に「TOP 40 HIT」に生まれ変わらせたのです。其の「アイズレー盤」が1962年のヒット曲ですから、リアルタイムでのカヴァー(本当はカヴァーのカヴァー)でした。其れで、此れです。「カヴァーはオリジナルを超えない」が持論のあたくしでも、数少ない例外として認めざるをえない「名演」中の「名演」です。

奇妙な因縁が、此の初期の代表作には在ります。つまり、此の「TWIST AND SHOUT」と云う楽曲は「フィル・スペクターによって最初に生み出され、ビートルズが完成した」のです。そして、先を急げば、彼等の最期は「真逆の結末」を迎えます。1969年1月の「THE GET BACK SESSIONS」を、ビートルズは放り投げてしまうのです。其れを作品化したのが、フィル・スペクター(「LET IT BE(1970年5月)」)でした。

さてさて、時代を「1963年」に戻しましょう。現在では、おそらく、贔屓目抜きに「TWIST AND SHOUT」を ビートルズのオリジナル作品だと思っている片の方が絶対多数だと思います。同じ様に、彼等のカヴァー作品を「全部オリジナル」と普通に信じている若いファンは多いと思われます。原曲を知るあたくしでも、此れがカヴァーのカヴァーの「参番煎じ」だなんて到底思えません。ハッキリと云いましょう。此れは最早「ジョンの曲」です。其れを決定づけるのが「彼の声」です。此処で聴けるのは、風邪をこじらせ高熱に魘されながら追い詰められた、

「天才歌手:ジョン・レノン」の「咆哮」なのです。

化け物が覚醒しました。当然の如くアルバムの最後に収めるべき曲は、此れ以外に考えられません。


(小島藺子)


初出:「COPY CONTROL AGAIN」2008-6-16
REMIX-1:「COPY CONTROL」2008-9-13

(and this is REMIX-2 by 小島藺子)



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2009年04月05日

FAB4-015:FROM ME TO YOU

Greatest Hits From Me to You: Songs the Beatles Covered and Covers of the Fab Four's Songs


 w & m:LENNON / McCARTNEY

 P:ジョージ・マーティン
 E:ノーマン・スミス(3/5)
 2E:リチャード・ランガム(3/5)
 録音:1963年3月5日、MIX:1963年3月14日

 1963年4月11日 シングル発売(最高位1位)
 パーロフォン R 5015(モノ)


「1963年3月5日」

此の日は、そのまんま海賊盤のタイトルにもなっている程、所謂ひとつの「ビートルマニア」にとっては「特別な日」のひとつです。何故なら、此の日のセッションをすべて収録した音源が流出したからです。そーゆートンデモ音源が聴ける様になったのは、此の連載でもお世話になって居る「ビートルズ/レコーディング・セッション(THE BEATLES RECORDING SESSIONS)」なる書物が上梓された頃(1990年前後)からでした。

著者のマーク・ルウィソーンはEMIに残る膨大な未発表音源を聴く事を許され、彼らのレコーディング過程を死に物狂いで探求し、書物にしたのです。でも、悪いスタッフはいるわけでコッソリと秘蔵音源をコピーし、海賊盤業者へ売ったのでしょう。「ウルトラ・レア・トラックス」(1988年頃に出現!)と題された其れを聴いた時の衝撃を忘れられない片は、あたくしの「同志」です。其れは、所謂ひとつの「海賊盤業界」での「革命」でした。其れまでの「ブートレグ」とは、所詮は「紛い物」に過ぎず、音質も劣悪で音源の信憑性も薄い、正に「コアなマニアが騙されて買う如何様商品」でした。騙されて文句を云いたくとも、そもそも「海賊盤」の存在や売買が「非合法」なわけで、結局は消費者が泣き寝入りするしか無かったのです。其処に、本物の「レア・トラックス」が出現しました。紛れも無い本物のマスターテープから流出した「ビートルズのボツ音源集」に、僕らは目眩がした。其の衝撃は、後に公式発売された未発表音源集「アンソロジー」よりも上だったと思います。

さて、デビュー・アルバムを一日でやっつけたビートルズは、休む間もなく「ヘレン・シャピロの前座」でツアーをしていました。そんな時、未だアルバムも発売されていないのに三枚目のシングルを録音しなければならなくなったのです。ジョンとポールは、ツアー移動中バスの中で新曲を捏ち上げなければなりませんでした。其れが此の曲「FROM ME TO YOU」です。書いた日の五日後には録音です。つまり、此れは間違い無く「レノン・マッカートニー」作品なのです。完全なる合作です。

デビュー・アルバムを一日で録音させられた当時の彼らですから、シングルなんて当然、一発録りです。A面の「FROM ME TO YOU」、B面になる「THANK YOU LITTLE GIRL(仮題)」を続けざまに13テイクずつ演奏します。此の頃の録音は、全部「2トラック」です。午後のセッションで、カタチが出来ちゃいました。其れで、夜のセッションではもう壱曲録音します。其の曲は、結局「ボツ」になっちゃうんだけど、1969年に蘇るのでした。そう、其の曲とはサイコーなロケンロール・ナムバー「ONE AFTER 909」でした。

彼らの三枚目のシングル曲である「FROM ME TO YOU」は、遂に正真正銘、英国で首位を獲得します。今回は、本当ですよっ!ちゃんと「1」にも入ってます。「LIVE AT BBC」で聴けるように、ラジオ番組「FROM US TO YOU」のテーマ曲として歌詞を変えて使われてもいます。でもさ、此の曲って結構、渋いでしょ?マイナー進行だしさ。もうね、絶対に前作シングル「PLEASE PLEASE ME」と、此れが発売されるたったの20日前に発売されたアルバム「PLEASE PLEASE ME」による「絶対的な保証」が成した事だと思いますよ。つまり、もう英国のみんなはこう思ったんだよ。

「ビートルズには、ハズレは無いっ!」

当時其の動向を伺って居た米国人が、おそらくたった一人だけいました。

其の名は、「デル・シャノン」

日本では「街角男」として有名な彼は、ほぼリアルタイムで此の曲をカヴァーしました。英国公演で「街角男」の前座を務めた新人バンドに興味を持ち、おそらく世界で最初に「ビートルズをリアルタイムでカヴァーした」のです。しかも其れを「ビートルズ全米制覇」以前にスマッシュ・ヒットさせました。そんな「先見の明」を持つ「街角男」が、時は流れ「不幸な最期(拳銃自殺)」を迎える直前には、ジョージ・ハリスンと共にバンドを組んでいたのです。そして、たぶん最初に「ミックス違い」に気付いたのが此の曲だったと思います。いや、当時は「別テイク」だと思っていました。現在の様に研究本など無かった時代です。正に「耳こそはすべて」でした。ま、イントロにハモニカが入っているかいないかの些細な違いなのだけど、最初に其の違いに気付いた時の興奮は、今でも忘れられません。


(小島藺子/姫川未亜)


初出:「COPY CONTROL AGAIN」2008-6-17
REMIX-1:「COPY CONTROL」2008-9-14

(and this is REMIX-2 by 小島藺子)



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2009年04月06日

FAB4-016:THANK YOU GIRL

Past Masters, Vol. 1 [12 inch Analog] B-Sides the Beatles


 w & m:LENNON / McCARTNEY

 P:ジョージ・マーティン
 E:ノーマン・スミス
 2E:リチャード・ランガム(3/5)、ジェフ・エマリック(3/13)
 録音:1963年3月5日、13日、MIX:1963年3月13日

 1963年4月11日 シングル発売
 パーロフォン R 5015(モノ)


ジョン・レノンとポール・マッカートニーが合作した「たかが、B面曲」です。ジョン・レノンは、前述の通り風邪をひいています。アルバムを壱日で「やっつけ仕事」しちゃった時よりも、益々、最悪な状態になってしまいました。二度目のセッションの前日公演にはリーダーなのに参加出来なかった模様です。初期のジョンの声は「鼻にかかった風邪声」みたいに聴こえる歌唱が多く、其れが魅力のひとつにもなって居りますが、、、

「本当に風邪をひいていたんだよっ!」

かつて「全曲カヴァー」を探した時に「最後までマトモなカヴァーが見つからなかった数曲のひとつ」なのです。そんだけ、マイナー過ぎる曲なのですよ。特にスタジオ盤では「捨て曲」にすら聴こえます。ジョンも「此の曲は上手くいかなかった」と語っていました。然し乍ら、「アンソロジー1」に収録された「LIVE音源」を聴く時、其の楽曲の評価は一変します。其れでも、其のたかがB面曲をA面の倍以上の「28テイク」も録音しています。「FROM ME TO YOU」は、壱日で出来上がりました。でも、B面は後日わざわざ最録音しているのです。そんだけ出来損ないの曲だったのかもしれません。でもでも、、、

「ビートルズに、駄曲無しっ!」

ファンの女の子に「いつもレコード買ってくれたり、ライヴに来てくれたり、プレゼントをくれたりしてくれて、ごっつぁんです!」

てなことを能天気に歌っている、単純明快な「バカ・ロケンロール」でしかない楽曲です。でも、そりゃ嬉しいでしょ?「アンソロジー 1」に入っているライブ・ヴァージョンを聴けば分りますですよ。女の子たち、大合唱ですもん。嬉しくって、堪んないよ。自分たちの事を歌ってくれたんだもん。泣きながら絶唱ですよ。美しいよ、綺麗だよ、此れが「音楽」じゃまいか。A面が「僕から君に愛を捧げよう」なんて歌でさ、でも、其の「君」って「ジョンやポールの彼女の事かしら?」なんて思ってひっくり返したら、「あらら、あたしかい?」(片瀬クン声で)ってことなのよさ。こんなシングル盤を出されたらさ、「確信犯ホスト:レノン・マッカートニー」の手練手管にハマってしまう罠。ポールは「ファンの女の子たちが喜ぶだろう、と意識して作った」と語っています。よーするに、ジョンとポールは、

「シングル盤の両面でストーリーを紡いだ」のです。

此れは、新しかった。そもそも、レコードで「ファンに直接呼び掛ける」って発想がすぎょいです。こりゃ、メロメロになっちゃうよ。だってさ、「僕から君へ愛を込めて / ありがとう!ファンの女の子」ってレコードなんですよ。あのさ、、、

「そんなレコは、此れ以外に無いんだよっ!」


「あたしは、レコスケか?」(小島藺子)


初出:「COPY CONTROL AGAIN」2008-6-17
REMIX-1:「COPY CONTROL」2008-9-15

(and this is REMIX-2 by 小島藺子)



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2009年04月07日

FAB4-017:SHE LOVES YOU

The Essential Chet Atkins Chet Atkins Picks on the Beatles


 w & m:LENNON / McCARTNEY

 P:ジョージ・マーティン
 E:ノーマン・スミス(7/1)
 2E:ジェフ・エマリック(7/1)
 録音:1963年7月1日、MIX:1963年7月4日

 1963年8月23日 シングル発売(最高位1位)
 パーロフォン R 5055(モノ)


デビュー・アルバム「PLEASE PLEASE ME」そしてサード・シングル「FROM ME TO YOU」と立て続けに首位を獲得したビートルズは、更に覚醒します。休む間もないツアーの日々で、新曲をゆっくり作る時間すらとれなかった「レノン・マッカートニー」は、6月26日に相部屋のニューカッスルのホテルの一室で四枚目のシングル曲を合作しなければなりませんでした。前作「FROM ME TO YOU」あたりから、矢鱈と「時間が無くて、二人で急場凌ぎに捏ち上げた」と語られるシングル曲が続き、其れらが此れだったり「I WANT TO HOLD YOUR HAND(抱きしめたい)」だったりするのは「出来過ぎてる噺」と感じられる御仁もおられるかとは思います。然し乍ら、此の楽曲や「抱きしめたい」等、当時の「シングル盤のみ限定発売曲」の録音過程を其の遺された「ミックス違い」から知る時、其れが紛れも無い真実だと解るのです。本当に、彼等は「急いで曲を書きまくっていた」ので在り、其れらが全て「名曲」になったのでした。長い下積みが、彼等に底力を蓄えさせていたのでしょう。

ポールが「コール&レスポンスの曲にしようぜ」と提案します。おそらく後にカヴァーする「KANSAS CITY 〜 HEY,HEY,HEY,HEY」みたいなイメージだったのでしょう。ジョンが「そりゃダサイぜ、一緒に歌うのが新しいだろ?」と説得します。後年までつづく「レノン・マッカートニー」の鉄壁なる曲作りが完成しました。こうして生まれた楽曲は、僅か一週間後にはレコーディングされました。B面となる「GET YOU IN THE END(仮題)」と共に、2トラックのやっつけ仕事です。三日後にはモノ・ミックスが行われ、テープが勿体無いからと上から何かを重ね録りされ、マスターは消えました。(此の世紀の暴挙に関しては、後でドイツ語ヴァージョンの項で詳しく書きます。)

ビートルズが多忙なら、ジョージ・マーティンも売れっ子プロデューサーになっていました。ブライアン・エプスタインが抱えるビートルズ以外の新人も全部プロデュースしまくります。其れが全部、バカ売れしました。ビートルズと出逢うまでは「変人窓際プロデューサー」だったマーティンは、もうウハウハですよ。彼らにとって、初のミリオン・セラーとなる「SHE LOVES YOU」の録音に立ち会ったのは、其の歴史的な名曲に相応しい布陣でした。マーティン、スミス、そしてエマリック。正にビートルズのサウンドを支えた三人が一堂に会したのです。

エンディングが「G6」で、当時のロケンロール・バンドとしては斬新でした。音楽知識が豊富だったマーティンは「こんな終わり方、此れまでなかっただろ?」とはしゃぎまくるビートルズに「ああ、こんなのは私も聴いたことがないよ!」と応えました。でも、其れは嘘です。マーティンはジャズなどではポピュラーな手法だと知っていながら、得意げになって居る「可愛いビートルズ」をノセたのです。そして、おそらく、此の「ロケンロール・バンドとしては斬新かつ不可思議」なエンディングを鳴らすと決めたのは、ジョン・レノンでしょう。

根拠は在ります。1970年代に、ジョンは「ROOTS」と云うアルバムを制作しなければならなくなりました。結局、其れは「ROCK'N'ROLL」なる「カヴァーの最高峰」に成るのですが、其のセッションで彼はプラターズの「ONLY YOU(AND YOU ALONE)」をカヴァーします。公式盤では、リンゴのソロ作品として発表され、全米5位の大ヒットになりました。(現在は、ジョンのデモも公式盤で聴けます。)原題が「ROOTS」だったアルバムは、ジョンの正に「ROOTS」をカヴァーした作品だったのです。つまり、ジョンは「ONLY YOU(AND YOU ALONE)」が好きだったのです。もうお分かりでしょう。「ONLY YOU(AND YOU ALONE)」のエンディングは「G6」なのですよ。ジョンは、知って居たんです。此のコードで終わる曲を愛していたのですからね。

さて、あたくしは「赤盤青盤(1973年)」で彼等を知った、所謂ひとつの「解散後のビートルズ世代」です。当時の日本では、ミッシェル・ポルナレフと云う仏蘭西のロック歌手が人気者でした。「シェリーに口づけ」は、おそらく現在でも愛されて居る彼の代表曲でしょう。其の楽曲構造が「SHE LOVES YOU」とおんなじだと云う事実も、音楽を愛する方々ならば御承知だと存じます。でも其れは「盗作なんて淋しい云い方はやめようよ」なのです。ポルナレフは、シャンソン界では完全なる異端児でした。「御仏蘭西のビートルズ」だったと思います。ボカァ、今でも大好きですよ。日本は不可思議な音楽環境に在ります。あたくしが洋楽者になった時、其処に在ったのは「無国籍音楽」だったのです。そして其れは、幸運で幸福な事だったのでしょう。

話を「FAB4」に戻しましょう。初期の代表曲ですから、カヴァー・ヴァージョンも多々在りますが、「Chet Atkins Picks on the Beatles」がオススメです。ジョージ・ハリスンに多大な影響を与えた「チェット・アトキンス」が後輩の楽曲を余裕でカヴァーした名盤です。つまり、ジョージがマネしたフレーズ(例えば「ALL MY LOVING」のリード等、「チェット・アトキンス奏法」と呼ばれている)を、本人が逆カヴァーしちゃったわけです。音楽家って「フレーズを拝借される」事に、わりと平気なんですよね。大らかで「音楽は共有財産」みたいに思っている処が在ります。音楽をやっている限り「自分も先達から拝借した」って事実が必ず在るわけですよ。で、「他人の事を云えないナァ」ってなっちゃう。大体「盗作だっ!」とか訴えるのって「版権を持つ出版社」なのよさ。師匠が弟子に学ぶ。こういう交流関係って、素敵じゃないか。


(小島藺子)


初出:「COPY CONTROL AGAIN」2008-6-18
REMIX-1:「COPY CONTROL」2008-9-16

(and this is REMIX-2 by 小島藺子)



posted by 栗 at 18:45| FAB4 | 更新情報をチェックする

2009年04月08日

FAB4-018:I'LL GET YOU

ミート・ザ・ビートルズ Imagine (Original Soundtrack)


 w & m:LENNON / McCARTNEY

 P:ジョージ・マーティン
 E:ノーマン・スミス(7/1)
 2E:ジェフ・エマリック(7/1)
 録音:1963年7月1日、MIX:1963年7月4日

 1963年8月23日 シングル発売
 パーロフォン R 5055(モノ)


近年、ポールがツアーで此の曲を解禁したと知り、かなり驚きました。ジョンの声の印象が強いので、彼が主に書いた曲だと思います。但し、初期は「レノン・マッカートニー」ってかなり合作に近いカタチでの「仲良しソングライター・チーム」でも在ったわけです。A面の「SHE LOVES YOU」もジョン色が強い感じもしますが、紛れも無い「共作」でした。そもそもジョンだって「SHE LOVES YOU」ってタイトル発想自体がポール発案だと語っています。「あいつは、自分と他人の間に第三者を置きたがるから『僕』じゃなく『彼女』が『君』を好きって書くわけよ」みたいな噺をしております。

よくよく聴いてみれば、確かにAメロはレノン節ですが、中間部で同じフレーズを繰り返しながら音程が徐々に上がって行く部分なんかは、なるほどマッカ節にも聴こえます。後年、コステロと合作した「ヴェロニカ」等でも使われる「ポールお得意の展開」です。其れでLIVEで歌っているのですから、たぶん合作なのでしょう。最近のナウでヤングなファンは、何かと云うと「ジョン派」か「ポール派」か、などと云う「不毛な論議」がお好きな様ですが、僕らの感覚では「レノン・マッカートニー」は「ひとつ」です。両方いてこそのビートルズなのです。そしてジョージも加えた「3声コーラス」が魅力なんです。三人に揃ってなきゃダメなのよ。(おいおい、リンゴの立場は、、、)敢えて、対立させるなら、「レノン・マッカートニー派」か「ジョージ派」か、なのよさ。ジョージは、ずっと、ジョージだもん。ジョンとポールはチームだもん。其れで、三人は「兄弟」じゃん。(あたくしは「レコスケ」か?てか、リンゴの立場って、一体、、、)

美しい曲です。正に「此れぞ、B面!」と云える完璧な「隠れた名曲」です。そう云えば、後年ジョンは、ソロの名曲「イマジン」(笑うトコです)に関して「アレのイマジンなんちゃらってフレーズは、ヨーコの本からパクったから、本当は合作だ(ついでに曲はルー・リードから戴いた)」と語りますが、記憶力が好いんだか健忘症なのか分んなくなるトンデモ発言ですよね。だって、此の曲の歌い出しって何なのよさ?

♪イマ〜ジン、あーいみんら〜びじゅ♪

おいおい、思いっきり歌ってんじゃん!ヨーコと逢うのは、何年後だと思ってんのよさ。

あっ。ジョンは歌詞を覚えない事でも「有名」でした。


(小島藺子)


初出:「COPY CONTROL AGAIN」2008-6-18
REMIX-1:「COPY CONTROL」2008-9-17

(and this is REMIX-2 by 小島藺子)



posted by 栗 at 18:33| FAB4 | 更新情報をチェックする

2009年04月09日

FAB4-019:IT WON'T BE LONG

ウィズ・ザ・ビートルズ Punk


 w & m:LENNON / McCARTNEY

 P:ジョージ・マーティン
 E:ノーマン・スミス
 2E:リチャード・ランガム(7/30)、ジェフ・エマリック(8/21、10/29)
 録音:1963年7月30日
 MONO MIX:1963年8月21日、STEREO MIX:1963年10月29日

 1963年11月22日 アルバム発売(「WITH THE BEATLES」 A-1)
 パーロフォン PMC 1206(モノ)、PCS 3045(ステレオ)


ビートルズは、EMIと年間2枚のアルバム契約を交わしていました。其れは、1963年から1966年までの四年に及ぶ契約だったのです。つまり、メジャー・デビューと同時に、四年で八枚ものアルバムを制作しなければならないって「トンデモ」な縛りを受けたわけです。いや、其れどころか、其の後も同じ契約でって噺だったのよさ。ライバルの「THE BEACH BOYS」なんて、もっと悲惨で、年間アルバム3枚ですよっ!きっと、大瀧師匠が「年間四枚!」なんて契約をしてしまったのは「う〜ん、僕は其れを超えたんだよ」とか云いたかったからだと思います。(いや、其れは、一寸だけ違うと思う。)「21世紀少年」には、全く理解不能な世界でしょう。だってさ、ビートルズがマトモにアルバムを出した期間って、1963年から1969年までの、

たったの「那奈年間」だったのですよっ!

ゆえに、3月に発売したデビュー・アルバム「PLEASE PLEASE ME」が未だバカ売れしている八ヶ月後には、セカンド・アルバム「WITH THE BEATLES」を発表してしまいました。契約ですから、致し方ない事でした。時代は、彼らを休ませてくれなかった。なのにセカンド・アルバム「WITH THE BEATLES」にはシングル・ヒット曲が、一曲も収録されていません。全曲、アルバムの為の新録でした。同時期にレコーディングしていた彼らのシングルには「SHE LOVES YOU」「I WANT TO HOLD YOUR HAND(抱きしめたい)」が在りますし、「FROM ME TO YOU」もアルバム未収録でした。そんな特大ヒット曲は勿論、其のB面すらもアルバムには入れなかったのです。そして、アルバムからのシングル・カットも頑なに拒んだのでした。彼らはファンに二度買いさせる事を嫌い、シングル曲をアルバムに入れる事を避けました。其れは、彼ら自身が熱狂的なレコード・コレクターだったからでしょう。

アルバムの一曲目は、いきなりイントロなしで怒涛の掛け合いコーラスから始まります。針を落とした途端に、性急なジョンのヴォーカルと、ポール&ジョージのコーラスが飛び出します。此れは、所謂ひとつの「ガールズ・グループ」的な3声コーラスです。彼らの魅力のひとつで在る「3声コーラス」は、ロネッツなどの「三人娘」を手本にしているのです。どっからそーゆー中性的な発想が生まれたのか分りませんが、兎も角、男子がおねえちゃんのマネをしているのですから、斬新でした。同時期の大ヒット・シングル「SHE LOVES YOU」同様に、初期の彼らの代名詞にもなった「YEAH !」が連呼され、掴みはオッケー!で忽ちアルバムの世界に引き込まれるのでした。そして、ハーフシャドウのアルバム・カヴァー。彼らのジャケットは全て美しいのですが、此のアルバムは其の中でも特に人気が高い逸品です。こーゆーのは、レコードで持ってないとダメだよ。

ジョン・レノンの単独作品と云って良い楽曲ですが、ポールとジョージによる掛け合いが大きな魅力にもなっています。レノン節炸裂!の一筋縄ではいかない展開が好いですね。彼の曲は、ほとんどが此の様に自由奔放に展開します。エンディングの甘く切ない不安定なコーラスまで、疾走するジョンが眩しいです。さて、一昨日(2009年4月那奈日)に、全世界のビーヲタ待望の衝撃の告知が「大英帝国の本家 APPLE 社」より在りました。簡潔に申しますと、20年以上も1987年に初CD化された時のまんまだった「THE BEATLES」の全作品が、今年の秋(具体的には、2009年9月)に、初めて「リマスター」されて発売されると発表されたのです。此れは、エライ事になりましたよっ。


(小島藺子)


初出:「COPY CONTROL AGAIN」2008-6-19
REMIX-1:「COPY CONTROL」2008-9-18

(and this is REMIX-2 by 小島藺子)



posted by 栗 at 19:41| FAB4 | 更新情報をチェックする

2009年04月10日

FAB4-020:ALL I'VE GOT TO DO

Kid Blue/Louise Goffin An A CaPPella Tribute to The Beatles


 w & m:LENNON / McCARTNEY

 P:ジョージ・マーティン
 E:ノーマン・スミス
 2E:リチャード・ランガム(9/11)、ジェフ・エマリック(9/30、10/29)
 録音:1963年9月11日
 MONO MIX:1963年9月30日、STEREO MIX:1963年10月29日

 1963年11月22日 アルバム発売(「WITH THE BEATLES」 A-2)
 パーロフォン PMC 1206(モノ)、PCS 3045(ステレオ)


ジョン・レノンが書いた楽曲です。初期のビートルズは未亡人のヨーコさんが10億光年回くりかえし云う通り「ジョンが作り、ジョンがリーダーのバンド」でした。でもさ、ヨーコさんが初めてジョンに逢った頃には、事情は違っていたのですよ。其れは未だ先のお話です。

「PLEASE PLEASE ME」とは違い、ツアーと併行してとは云え「WITH THE BEATLES」のレコーディングは、1963年7月から10月までの約参ヶ月もの時間を掛けさせてもらえました。いや、其れは、実際には過酷なツアーやメディア露出の連続で、マトモに丸一日中スタジオに籠って「やっつけ仕事」を捏ち上げる事すらも「不可能」になってしまったからだったのです。デビュー盤以上の過酷過ぎる状況で、断続的に時間さえ作れたのなら彼等は「WITH THE BEATLES」を録音しました。されど、デビュー盤では風邪で不調だった(アレでも不調だったのだよ!)ジョン・レノンは、同じ轍は踏まなかった。次作「A HARD DAY'S NIGHT」が「ハッキリ云って、レノンのソロじゃんっ!」になってしまう明らかな予感が、此のセカンド・アルバムには刻まれて居ます。最早、彼等は「当時の本来の姿」を隠さなかった。「PLEASE PLEASE ME」では平等に見えた「唄い手」が、実は「ジョン・レノン」だと云う事実を赤ら様にしました。「ポールがパートナー」って、冗談だろ?と思える程に「ジョンと彼の楽団」と化した「1963年のビートルズ」が居ます。

一曲目に続いて、「レノン節」が高らかに歌い上げられます。特にミディアム・テンポの此の曲は、ジョンの「歌の上手さ」が際立った名唱でしょう。其の息づかいや「Yeah !」とか「Oh !」など「意味のない言葉」を歌う部分などにまで、艶っぽさが満ちています。22才のジョン・レノンは「世界一の天才ヴォーカリスト」でした。(過去形が口惜しい。)「レノン・マッカートニー」が「ゴフィン&キング」をお手本にしていた事は有名ですが、特にジョンはキャロル・キングにゾッコンだった様です。其の尊敬する作家チームの愛娘ルイーズ・ゴフィンがデビュー作「KID BLUE(1979)」で此の曲をカヴァーしています。アノ「ロコモーション」を歌ったリトル・エバがベビー・シッターをしたのがルイーズと云う事にもなります。ジョンは、其のカヴァーを聴けたのでしょうか?もし聴いていたのなら、さぞかし喜んだでしょう。


(小島藺子)


初出:「COPY CONTROL AGAIN」2008-6-19
REMIX-1:「COPY CONTROL」2008-9-19

(and this is REMIX-2 by 小島藺子)



posted by 栗 at 00:07| FAB4 | 更新情報をチェックする