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2009年08月11日

「片瀬音楽待望論」ユメカヨ・特別篇

TELEPATHY(初回)(CCCD)(DVD付)


二週間位前に、僕は生まれて初めて「携帯mp3プレイヤー」を購入しました。昔はウォークマンやディスクマンを持っていたのだけど、そもそも「音楽を聴くのは実演か部屋で、向き合ってガチンコで」って古い嗜好性なものですから、iPod等で持ち歩いて外界の音を遮断するってのが苦手です。僕は日常生活では会社も近くなので電車にはほとんど乗らず「片瀬の街」近隣を徒歩か自転車で移動していますので、特に自転車に乗っている時に通行人や自転車、バイク、下手すれば自動車を運転しながらヘッドフォンをしている方々を見ると「此の人たちは、死にたいのかしら?危険がアブナイなぁ」と思わずにおれないのです。携帯を持たないのもおんなじで、他人が歩き乍らとか運転し乍ら電話したり画面を見ているのを見て「おいおい、事故が起きても文句云えないじゃん」と思うからなのです。犬や猫の方が、よっぽどまわりを見ていますよ。

其れに遠足に行く時にはノートパソコンを必ず持参するので、iTunesで音楽は聴けるしDVDも観れますから、携帯もmp3プレイヤーも要らなかったのです。なのに買ってしまったのは、税込み980円って価格だったからでした。其れでも、250曲も入ってしまうのですから携帯音源としては充分杉です。面白がって色々と入れてみたのだけど、安物なので「ランダム再生」しか出来ない機種なのでした。其れで、結局「片瀬那奈ちゃん音源」を77曲入れてランダム再生して毎日の通勤時間や休み時間なんかに聴いています。ん?那奈ちゃん音源が「77曲」も在るのかって?在るんだナァ、此れが。だって、僕のiTunesの「片瀬那奈ちゃんファイル」には100曲近く入ってますからね。一応「銀河系一の片瀬音源コレクター」ですので、宜しく。何故、那奈ちゃんだけになったのかと云うと、最初は他のビートルズとかビーチ・ボーイズとか洋楽も入れてたんだけど、ランダムで再生して居て折角「Babe」とか聴いてシアワセな気分でいたら次に「Surf's Up」とかが始まっちゃって「おいおい、暗いよ、次は普通に『bash』だろ?」とか思っちゃったわけで、つまり持ち歩きたい音楽って「片瀬那奈」だけだったって解ってしまったのですよ。此れでも洋楽者かよ、、、。

ま、そんだけ「歌手」いや「音楽家」としても「片瀬那奈」は、あたくしにとって重要だって事です。帰宅時には「あら、もう部屋に着いちゃったの?一曲しかマトモに聴けなかったじゃん。」とか思ってガッカリしちゃう位に「深夜の片瀬音楽は沁みる」の。もう、完全に「Shine」は「LET IT BE」を超えたよ。やっぱ「なすがままに〜」とかじゃ、何も解決しないじゃん。「想像してみろよ」とかじゃ本人も云う通り「只の夢想家」じゃん。レノマカは「夢」ばっか歌う。ジョージも「愛」だの「神」だの「理想」を語る。其れは「永遠の魔法」だけど、片瀬は「リアル」だ。もう、僕は「ビートルズの夢」だけじゃ、生きてゆけないんだよ。必要なのは「現実に立ち向かうパワー」なんだ。其れを僕に与えてくれるのは片瀬那奈だけって、単純明快な噺なのよさ。例えば、僕は「スパイラル・テープ」を愛用しているけど、何故其れが効くのかは説明出来ない。でも、確かにテープを貼っただけで治っちゃうんだから、其れで好いのさ。「何故、片瀬那奈なのか?」なんて、こっちが訊きたいよ。「片瀬那奈は効く」からってしか云えないよ。「片瀬那奈じゃなきゃダメなんだ」ってしか申し上げられませんです。

そんでもってだ、日常的にヘッドフォンで片瀬ばっか聴いていると、何故アノ頃「片瀬はライヴやTVでクチパクしてんじゃまいかっ!」とか批難された原因が、より簡単に分ります。ま、批判した連中は片瀬の実演を生で観た事が無いか、もしくは「ホウイチ」に過ぎないのですけどね。結論から云えば、「歌手:片瀬那奈」の楽曲を実演で再現するには、リード・ヴォーカルだけでも最低三人は必要なんですよ。

あたくしは「大いなる自慢」なんだけど、片瀬の実演を何十回と経験し、其のほとんどが最前列ど真ん中でした。ズルをしたら確実に解る場所から「一瞬も見逃すまいぞっ!」と、片瀬を観ていたのです。其のあたくしが断言しますが、片瀬那奈は実演で「リップ・シンクロ(所謂ひとつのクチパク)」をやらかした事は、少なくともあたくしが参加した現場では、一度も在りません。常に、片瀬のマイクは「ON」でした。片瀬は実際にリードヴォーカルを生で歌っていたのです。では何故謂れの無い批判を受けたのかと云えば、演奏は打ち込み音源(但し、実演仕様に再構築された音源なのでCD版のカラオケ流用では無い)なので演奏者が舞台に誰もいなかった事と、其の打ち込み音源に予め録音された「片瀬那奈の声」も含まれていたからでしょう。其れはTV出演時も同じで「ミュージック・ステーション」や「うたばん」等に出演した録画映像(「片瀬の館」には歌手時代のTV出演映像のほとんど全てが補完されています)を検証しても、矢張り「片瀬のマイクはON」で、同じ様に「予め録音された別の片瀬による声」と重ねられています。

片瀬のレコードで、彼女は大抵は「トリプル・トラック」で歌っています。主旋律を高音で、ハーモニーを低音で、そしてラップの様に囁き声で、三回は声を重ねているのです。例えば「Babe」にカップリングされた名曲「for you」をヘッドフォンで聴けば、とても分り易く「三人の片瀬」による三重唱を聴き分けて楽しむ事が出来ます。他の楽曲でも、基本的に片瀬那奈は三人います。正に、早過ぎた「一人パフュ」状態なのですよ。其れで、実演では其の中のひとつしか生で歌えなかっただけです。もしも、片瀬がクチパクで歌わずに踊っていただけなら、何故あたくしが最初に逢った時に彼女は「Shine」を同時に違う歌詞で歌えたり、原曲を知らず苦手にしていたカヴァー曲「禁断のテレパシー」で必ず絶句しコーラスパートのみが流れてしまったりした「実演での不可解な事実」が説明出来ません。ちなみに、「禁断のテレパシー」のオリジナル(工藤静香のソロ・デビュー曲)を本当に片瀬は聴いた事がなかった様で、事実、歌詞に登場する「プール・バー」と云う1980年代に流行った「死語」の意味すら知らなかったのです。「Extended」に収録された那奈曲は『片瀬のお気に入りの楽曲』と『スタッフ・サイドの選曲』から選ばれている為、片瀬としては「原曲を初めて聴いてカヴァーした楽曲」も何曲か在った様です。原曲の歌唱を忠実になぞった様な「物マネじゃん!」的なる印象を受ける楽曲が、おそらく其れでしょう。

片瀬音源には優れたリミックスも多く、其れらには「解体されたテレパシー・ヴォイスの元」が其の侭の状態で放り込まれていたりもします。夭折した天才:Hugeによる「Babe」のリミックスは彼と同世代の片瀬もお気に入りだった様で、実演ではバック・ダンサーズ(片瀬を含めて「テバサキ5」と、片瀬サン命名)のパート(其れは即ち片瀬の衣装替えタイムでも在った)で必ず流される定番曲でしたが、其処での片瀬によるヴォーカルは低音のハーモニー・パートを中心にした大胆な選択となっています。レギュラー版では隠れていた旋律が表に出ているので、全く別のメロディーをも片瀬は歌っている事実がハッキリと分ります。また、DVDにも収録された「カタセ日和」で録音風景を観る事も可能です。其処では、片瀬が「GALAXY」の「ウイスパー・ヴォイス・ラップ」を延々と繰り返す模様が映し出されています。レコードで、歌手:片瀬那奈は三人組だったのです。分身の術を使って「忍者影丸」状態で「テレパシー・ヴォイス」を構築していたのでした。結構、簡単に、例えば「ウイスパー・ラップ」だけをミックスする事も、現在では僕らでも可能です。個人で楽しむ範囲ではリミックスは合法ですから、お試しになってみるのも一興ですよ。CDJが無くとも、パソコンでフリー・ソフトをダウソすれば容易に出来ますからね。「777」では「DJ:NANA」による「ミ・アモーレ DJ:NANA リミックス」が披露された事も在りました。「DJ:NANA」によるリミックス盤のリリース等も、大いに期待させられたものです。

其れにしても、発売されてから六年も経過した片瀬那奈の唯一のオリジナル・アルバムで在る「TELEPATHY(其れまでのシングルA面曲も全て収録)」と其れに続いた両A面シングル「Necessary / EVERY***」の完成度は、2009年の現在でも不滅です。全く捨て曲無しで、モデル兼女優の余技など遥かに超えた「永遠のマスターピース」だと思います。片瀬のオリジナル楽曲に関わったスタッフも、UAとの仕事等で著名だった朝本さん(「Deep Forest」を作編曲演奏、作詩は片瀬)は別格として、他は当時の片瀬と同世代の新鋭(例えば「A・I・O」を作編曲制作したRAM RIDERは、其れが初めて制作した歌入りの楽曲で、本人も別タイトルでセルフ・カヴァーしている。ちなみに「A・I・O」も作詩は片瀬。)を多く起用しましたが、現在ではみんな第一線で活躍しています。前出楽曲の様に、片瀬はオリジナル楽曲の多くで作詩も担当していましたので、コトノハに説得力が在ります。僕は一貫して「Extended(2004年)」は失敗作だと云い続けていますが、其れは「2003年のオリジナル作品群が素晴らし過ぎた」からでも在るのです。片瀬那奈の歌手時代は、CDリリースでは「2002年12月〜2005年3月」ですが、事実上は2003年のみが本人が誓った「音楽に専念する」期間だったと思います。そして、其の一年間に行った活動は、レコード作品も実演活動も全てが素晴らしかったのです。何故、2004年にカヴァーに逃げる必要が在ったのでしょう?同時に始まった「777」と指向性が矛盾していました。分けが分からない侭に、片瀬那奈は2004年秋には「女優復帰=事実上の音楽活動休止」へと向かいました。チャートの成績でも、シングルもアルバムもオリジナル作品の方が上だったのです。カヴァー路線は、完全なる迷走だったと云えるでしょう。

「Necessary / EVERY***」から繋がるはずだった「幻のセカンド・アルバム」を心待ちにしていた僕は「Extended」を聴いて心底ガッカリしました。当時の公式BBSに於ける「未亜」による投稿を読み返しても「無理矢理褒めようとしている感じ」が痛々しいです。「Extended」で僕が評価しているのは、実演でのパフォーマンスだけです。アレは確かに素晴らしかった。でも、「Extended」時代の実演でも、僕はヤッパリ「MY LIFE」で地団駄を踏む片瀬の方を評価していました。オリジナルを聴きたかったんです。僕らは「TELEPATHY」の続きを待っていたのです。当時、確かに多くの那奈ちゃんファンは「片瀬那奈の音楽」に戸惑っていました。其れは「777」で登場した「DJ:NANA」に対する大いなる困惑に、顕著に出ていました。アノ頃、未だ、みんなはどうしていいのか分らなかったんです。クラブや洋楽を理解していた僕ですら「片瀬は、早過ぎた」としか云えませんでした。でもね、那奈ちゃん、時は君に追いついたんだよ。

昨年(2008年)、突如として一曲限定で復活した「歌手:片瀬那奈」の「bash」は掛け値無しの名曲です。僕らはアノ時、「Necessary / EVERY***」の次に此の世界を待っていたんだよ。どんなに時間が掛かっても構わない。那奈ちゃん、アルバム第二弾を待っていますよ。君の音楽は、オリジナルだ。当時から洋楽との類似を指摘されたけれど、其の揶揄は間違っている。どんな作品にだって、影響を受けた元ネタは在る。例えば、カイリー作品との共通点を云われたけれど、カイリーと片瀬は別だ。僕はカイリーも好きで大昔から聴いているけれど、おんなじだなんて一度も聴こえた事が無いよ。少なくとも、片瀬那奈以前に「日本語キュート・ハウス」なんて存在しなかった。片瀬那奈は、パイオニアだ。来るべきセカンドでは、ファーストでは冒険出来なかった「片瀬の眞なる音楽嗜好」も交えて欲しいと思います。

那奈ちゃん、のんびりと待っているよ。未だ、僕には「2003年音源」だけでも充分みたいだ。いや、アノ頃以上に聴いていて「切なく」なるんだよ。不思議だね。でも、其れが音楽だ。確かに、2003年の片瀬那奈は「エヴァー・グリーン」を創ったんだ。僕は生涯、此の音楽を愛すると思うよ。那奈ちゃん、有難う。


(小島藺子/姫川未亜)



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2009年08月14日

「夢みる歌謡曲」第6章の4:
月のおんな「歌姫」

歌姫3〜終幕


約壱年半振りの再開です。

中断中に、此の連載の主役で在る「片瀬那奈」は遂に音楽活動を再開しました。いや、正確に云えば「音楽家:片瀬那奈」はずっと活動を続けて居たのです。「DJ:NANA」として非公式乍らサプライズ・ゲストとして降臨した姿は何度も目撃されて居ましたし、ギターも習得し、シンセサイザーも購入した事実も明かされて来ました。2008年の「bash」を聴けば、レコーディング作品としては2004年4月以来、いえ、オリジナル楽曲としてなら2003年10月以来の「五年間に及ぶ沈黙」が、「継続活動を非公開にして居た期間」だったと理解出来ます。「bash」は、五年も休んで居ていきなり発表出来る作品では在りません。明らかに「Babe」を意識した構成の楽曲ですが、其処には五年間の貯めが在りました。「歌手:片瀬那奈」を愛した誰もが「夢のつづき」を確信したはずです。ちなみに「和製カイリー」の称号にも忠実な片瀬は「bash」で同時期のカイリーの最新ヒットだった「WOW」も意識して居ます。最早、此処まで徹底すれば立派です。何人も「カイリーのパクリ」なんて云えません。「和製カイリー」とは「きれいなおねえさん」同様に「片瀬の偉業を讃える愛称」なのです。

更に、女優として大きく成長した片瀬は「助演女優賞」を文句無しに受賞した「歌のおにいさん(EX 2009)」での「美月うらら」役で「歌のおねえさん」を怪演しました。劇中で何曲も歌われた「元・歌劇団出身の過剰なオペラ風童謡」で、此れまでに聴かれなかった「わざとフラットした高音での歌唱」をも披露しました。そして三年連続で舞台女優としても活躍し、将来の「ミュージカル女優」までも夢想させてくれました。片瀬那奈の歴史を探れば、其処には常に「歌」が在ります。「音楽」と共に、片瀬那奈は生きて来ました。

僕が「音楽家:片瀬那奈」の先見性を眞に再認識したのは、2006年の終わりにマドンナを観た時でした。プロモーション来日した彼女は、一夜限りのシークレット・ギグをアゲハで敢行し、僕は幸運にもアリーナ最前列エリアでマドンナを観たのです。隣のコはマドンナの指先に触れて居ました。僕も後、那奈センチ位で届く場所でした。其処で展開されたギグで、僕は強烈なデジャヴを感じたのです。

「此れって、777じゃんっ!」

そう、「2006年のマドンナ」は、「2004年の片瀬那奈」でした。「777」は、余りにも早過ぎたと痛感したのです。たった三回しか公には敢行されなかった「777」の全てに僕は参加しました。其れは、明らかに「片瀬那奈」と其のファンの温度差を感じる空間でした。でも、其れは双方ともに責める事が出来ない「ズレ」だった。那奈ヲタは、其れでも真摯に片瀬を追いました。彼女が好きだと公言する摩訶不思議な電子音楽を聴いて理解しようとしたのです。そして、やっと何となく解って来た時に片瀬那奈は女優に還ってしまいました。片瀬がやりたかった事を理解するには、アノ頃の僕らは幼過ぎたのです。されど、彼女が道を開いた世界が、彼女が志半ばで消えた後に認知されて行きました。「歌謡ハウス」は、現在では普通です。片瀬以後に、例えば「YUKI」等のJ-POP女性アーティストが「片瀬風なヒット曲」を歌い出しました。そして、かつては片瀬の前座だったパフュームが奇跡の大ブレイクを遂げました。何処のドイツがパフュを観て「クチパクだっ!」なんて批難しますか?2008年には「同志:宇多丸」による長期連載(現在も「BUBKA」誌上で好評連載継続中)も遂に書籍化され、其処での主役が「片瀬那奈」で在る歴史的な事実も世間に届きました。かつて宇多丸が預言した通りに、2009年の現在でも「片瀬那奈の曲は、ヤバイ」とみんなの記憶から消えてはくれないのです。

さて、枕と云う名の本音語りが長くなりましたが、第6章を予告通りに今回で終了させなければなりません。此の章のヒロイン「中森明菜」は、たった那奈曲しか収録されない「新生・片瀬那奈」のミニ・カヴァー・アルバム「Extended(2004)」で唯一2曲も選ばれたオリジナル歌手です。片瀬による先行シングルも、明菜が歌い1985年日本レコード大賞を文句無しに受賞した名曲「ミ・アモーレ」でした。

中森明菜は「スター誕生」出身で、何度も予選落ちしたものの遂に合格した際には番組史上最高のプラカードが挙がった逸材でした。結局、彼女が所属した事務所は「研音」で、1980年代に其の事務所が急成長し自社ビルを立てたのは「明菜の御蔭」とまで噂された程です。其の経緯から「恩返し」として、特別に二曲の選択だったのかもしれません。

大スターにスキャンダルは付き物ですが、同じく1980年代を代表するアイドルで現在でも活躍中の松田聖子や小泉今日子とは違い、明菜の其れは「転落」を意味します。全ての醜聞すら自己プロモーション化し怪物化した聖子や、「なんてったって、アイドル」とか「見逃してくれよ!」等と自虐的な開き直りで慰安の道を進んだキョンキョンの様には、明菜は生きれなかった。醜聞の度に、中森明菜は堕ちてゆきました。其れでも、明菜は死ななかった。彼女は、美空ひばり、山口百恵と云った過去のスターと構造的にはおんなじ道を歩んで居ます。聖子や小泉は、アンチテーゼとして「別の何か」を提示するだけで好かったのです。過去とは反対の事をやっていけば好いのですから、ネタには困らない。でも、明菜は同じ事を強いられます。彼女にはセルフ・カヴァー盤が異常に多く存在します。其れは楽曲への愛着で在り、自身の歌唱に対する絶対的な自信ゆえでしょう。「歌姫」と題されたカヴァー盤企画は、数多在るカヴァー企画の中でも別格の存在として遺りました。其れも「明菜が歌う」から意味が在ったのでしょう。

明菜が全盛期に発表したアルバム「クリムゾン」に竹内まりやが提供した楽曲「駅」が在ります。其れをまりやがセルフ・カヴァーし、後にベスト盤に収録された際に、彼女の夫でプロデューサーでも在る「山下達郎」が解説まで書きやがりました。其処でタツローは、感情的に明菜の歌唱を批難して居ます。「某女性アイドル歌手の楽曲解釈に憤りを感じ、楽曲を本来の姿に戻す様に編曲した」と云う様な事を公にしたのです。「ハイティーン・ブギ」の印税で結婚したのだから、マッチに媚を売ったのか?と云うのは冗談で、あたくしにとっては「兄弟子」で在るタツローが其処まで云ってしまうのは、其れだけ「明菜の歌唱が許せない」からでしょう。つまり、タツローは「明菜を歌手として認めた」のです。どーでもいいなら批判なんてしないんですよ。「俺のカミサンの名曲を、こんな風に歌いやがって、バカヤローっ!」とキレてしまったわけです。明菜の歌唱には、其れだけの力が込もって居るのです。そんな情念を込め、現役としても本人が歌い継いで居る楽曲を二曲も選択した時点で「Extended」の失敗は確約されました。

確かに、片瀬那奈の地声により近い「アルト・ヴォイス」で「ミ・アモーレ」が初披露された2004年2月の深夜に、僕らは興奮しました。終っても冷めず、夜明けまで六本木で語り合いました。「那奈ちゃんが、あんな低い声でも歌えるなんて吃驚したよ!」と「DJ の時は、僕らは踊るべきなのかナ?」と「兎に角、此れからはずっと毎月始めの金曜日には那奈ちゃんに逢えるんだよねっ」と、明るい未来を確信したのです。でも、本当はみんなが思って居た。「那奈ちゃんの新曲は、いつ出るのかナァ」と。僕らは、其れから五年も待ったんだ。そして、やっぱり、アノ日に那奈ちゃんが云ったコトノハは真実だったと知ったよ。

「Extended」は、片瀬那奈の音楽作品としてなら失敗作です。されど、片瀬がかつての名曲を歌った事で「歌手:片瀬那奈」の認知度は上がりました。其れは決して好意的な評価だけではなかったけれど、片瀬が始めた「新たなる音楽」を世間に認知させる為には「オリジナル楽曲では浸透しない」と判断されたのは致し方ない事です。時は未だ、2004年でした。何度でも繰り返しましょう。片瀬那奈は、早過ぎただけです。さあ、今こそ片瀬那奈を聴こう。君のCD棚に眠った侭の其れを再生した時、きっと君は驚愕するはずだ。アノ頃は「那奈ちゃんが歌うから聴いた」楽曲群が、全く違った印象で耳に届く。片瀬那奈の曲は、永遠だ。待たせたな、諸君、此の長い噺の本題に、ようやく入る時が来たよ。


(第6章、STOP,)


「夢みる歌謡曲」第6章:月のおんな(2008-2-28、3-13〜14、2009-8-13)

 取材・文:姫川未亜
 語りまくり:小島藺子

(文中、敬称略)


【予告】

いよいよ、次回より最終章に入ります。2006年6月に連載を開始して、なな、なんと3年以上も掛かって辿り着いたわけですが、其れはかつての予告(全那奈回)を遥かに超えた長編となります。「すべてをゼンキロへ統合する」と云う「片瀬那奈補完計画」の一環として、最終章のタイトルは「片瀬那奈がきこえる」と決定しました。

最終章は「片瀬那奈 全曲解説」となります。「LISTEN NOW ! 片瀬那奈が聞こえる」と云う別サイトで2007年に試行したものの「まずは原点で在る THE BEATLES 全曲解説でプリプロダクションをやって雛形を作ってから再開しよう」と考え直し「FAB4」を始めたのです。御蔭様で「FAB4」も中間地点まで書き終え、片瀬那奈の音楽活動再開も公にされ、機は熟したと判断しました。

「天下無敵のビートルズも、片瀬の前座に過ぎなかったのかよ?」とお嘆きになられる「コピコン派」諸君に告ぐ。此処はいつもいつだって「片瀬が主役」だ。「ALL FOR NANA KATASE」って明記してるじゃん。好い事を教えてあげよう。

此れが「必殺・カタセ固め」って技なんだよ。

では、お楽しみに☆


(「いつもいつだって確信犯」:小島藺子/姫川未亜)



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「夢みる歌謡曲」第那奈章: 片瀬那奈がきこえる
#000:INTRODUCTION

TELEPATHY(初回)(CCCD)(DVD付)


「the diary of nana katase(片瀬那奈全記録)」は、元々は僕の個人ブログだった「COPY CONTROL(空想音楽)」のカテゴリ「NANA」から派生したものでした。いつの間にか「ゼンキロ」の方がメジャーになり「コピコン」でよりコアな記事を書いても其れは「付録」みたいになってしまい、結局は本家で在る「COPY CONTROL」を呑み込んで「the diary of nana katase / NEO COPY CONTROL(片瀬那奈全記録)」となりました。此の連載も、当初は「コピコン」で始めたのですが、結局「ゼンキロ」へ呑み込まれてしまったのです。

10年前にはゴリゴリの「洋楽者&プロレス者」と認知されていた僕が「片瀬那奈ちゃん」へと傾倒し今や彼女を「御本尊様」と呼び「人生の師」と仰ぐまでになったのは、彼女が2002年に順風満帆に進んでいた女優業を完全休業して歌手に転向したからです。其れによって直接お逢いする機会が増え、他の「一寸気になるアイドル」とは「完全に別格の存在」になって行きました。其れは、実際に逢った片瀬那奈ちゃんが想像を超えた存在だったからです。彼女は、まるで友達に接する様に僕たちと向き合いました。余りにも無垢で真摯に僕たちと話してくれたのです。そして、彼女の理想を知りました。彼女に出逢って、僕は再生しました。「何故、片瀬那奈なの?」と批難されても、僕は平気になりました。片瀬那奈ちゃんこそが求めていた存在だと、確かに解ってしまったのです。

最初に逢った時(2003年6月22日)幸運にも最前列にいた僕の目前に、片瀬那奈ちゃんは前ぶれも無く突然降臨し「Shine」を歌いました。眩しかった。自然と涙が溢れました。イベント終了後、異常に昂揚した僕は音楽仲間に電話を掛けまくった。でも、みんな「未亜ちゃん、大好きな那奈ちゃんに逢えて好かったね、はいはい」って受け流したんだ。「違う、そうぢゃないんだっ。僕は辿り着いたんだよ、見つけちゃったんだよっ!」って云っても、みんな笑うだけでした。

でも、もう僕は迷わなかった。其れからは出来る限り「歌手・片瀬那奈」を追いました。ひとりぽっちで追っかけている内に、自然と仲間も出来ました。毎日みたいに那奈ちゃんに逢えた「夢の様な日々」でした。そして、公の場で最後に歌手として登場した時(2004年12月25日)も、片瀬那奈ちゃんはバンド演奏で「Shine」を歌ったのです。其の時は、メインだった星村麻衣ちゃんのバンドを従えての完全なる生歌でした。其の後、狭いライヴハウスの店内で彼女と鉢合わせし(あんなに近くで那奈ちゃんを観たのは、流石に初めてでした)さらに見送りでフランクすぎる対応を受け、僕は「ゼンキロ」を立ち上げる決意を固めたのでした。

「歌手・片瀬那奈」も「DJ:NANA」も、未だ終わってはいません。現在、女優業やプロデュース業が順調で、音楽まで手が廻らない状況ですが、気心の知れた仲間内では「音楽活動」も続けています。一曲限定ながら2008年には待望の歌手復帰も果たしました。此の最終章では、来るべき本格的な音楽活動再開へ向けて、此れまで片瀬那奈ちゃんが公表した音源を振り返って行きます。

片瀬那奈ちゃんは「シングルを6枚アルバムを3枚の計9枚発表した」と公言していますが、少しでも「片瀬那奈音源」に興味を持った片なら「9枚?冗談でしょ。」となります。現に僕は片瀬那奈ちゃんの別音源商品を50種類以上は所有していますし、ジャケット違い等も含めれば軽く100枚を超えていますが、其れでもコンプリートでは無いのです。此れからじっくりと「片瀬音源の謎」を紐解いて行きますので、ごゆっくりとお楽しみ下さいませ。

そして、ようやく最終章に辿り着きましたので、ひとこと云わせて下さいね。此の拙い「夢見る歌謡曲」と云う文章を、本日(8/14)お誕生日を迎えられた小島サンに捧げます。おそらく、那奈ちゃんよりも貴方へ向けて、僕は此の連載を書いています。いつも優しくして下さって、本当に有難うございます。僕たち那奈ちゃんファンは、那奈ちゃんに対する気持ちとおんなじ位に、貴方を心から愛しています。


姫川未亜/小島藺子)

初出「LISTEN NOW ! 片瀬那奈が聞こえる」2007年9月7日を全面改稿
RE-MIX:小島藺子



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2009年08月15日

「夢みる歌謡曲」第那奈章: 片瀬那奈がきこえる
#001:「GALAXY」プロモ CCCD Version

GALAXY/TELEPATHY (CCCD)


 Lyrics:kenko-p
 Music:Marcus Granberg & Patric Sarin
 Arrangement:Ta
 Mix:Dave Ford

 (Time:4'08'')intro 0'35''

 品番:AVCS-10748

 発表日:2002年秋

 テレビ朝日系ドラマ「逮捕しちゃうぞ - YOU'RE UNDER ARREST -」オープニングテーマ。
 (2002年10月〜12月、毎週木曜日21:00〜、全9話、平均視聴率9.1%)


片瀬那奈が歌手活動を(其れまでメインだった「女優業」及び「グラビア展開」を休止してまで)行うことは、「ヤンサン生まれのヤンサン育ち」とまで謳われた「週刊ヤングサンデー」2002年 No.23(5月23日号)での「グラビア卒業宣言?」とも云える『熱帯ナナ色日記』にて、「今年後半、みんなをあっと驚かせるかもよ?」と意味深に語られたことでファンの間では「ほぼ確定事項」でした。

現に、片瀬は「ヤンサン」の姉妹誌とも云える「sabra 」2002年6月13日号「LOVE AUCTION [EPISODE 2]」(2002年2月14日号「love auction」で撮影済みだったと思われる)を最後にグラビアから完全撤退し、連続ドラマ出演も「プリティガール」(2002年1月〜3月、TBS系、毎週水曜日 22:00〜、全9回、平均視聴率9.9%)を最後に途絶えたのです。永遠の愛称として定着した「きれいなおねえさん」のCMも降板し、掲載誌も「女性ファッション誌」中心となり、其れまで「グラビア・アイドルでアイドル女優:那奈ちゃん」を追いかけていたファンは、完全に置き去りにされました。

其れまでの活動の場から完全撤退したわけですから、ハッキリ云えば「あのひとは今?」状態が半年以上も続いたのです。当の片瀬は、約半年間スタジオに籠り着々と「歌手デビュー」に備えていて、当然ながらファンは其の動向を察知していたものの、公式BBSで「那奈ちゃんが歌手デビューするって噂は、本当ですか?」なんぞといたいけな書き込みがされると、速攻シュガーによって「削除」されたのでした。焦らされまくった片瀬ファンに彼女の歌声が届いたのは、2002年秋のことです。其れは、有線放送で何故かヘビーローテーションされ、TVでも「逮捕しちゃうぞ」の予告で耳蛸になるほど流れたのですが、其の楽曲名も歌手名もクレジットされていなかったのです。覆面歌手として、片瀬那奈の楽曲は世に出ました。

此のプロモCCCD版「GALAXY」が、其の音源です。後述するカセット版同様、市販版とは違うラフミックスであり、モノクロながらピクチャースリーブ付き(片瀬のプロモで別ジャケット付きなのは此れだけだと思われる)で、さらにジャケット表記は3曲なのに実際には2曲入りであることなど、数多ある「片瀬那奈別音源」の中でも蒐集欲が大いに湧くアイテムと云えます。市販版との違いは、全体的に片瀬のヴォーカルがエコー処理を完全にはされておらず、生歌に近い事です。正規盤が発売される前に、渋谷のタワーレコード等では此の音源が視聴コーナーに在り、衛星放送の音楽番組等でもプロモが流されていたので、最早「片瀬那奈の歌手デビュー」は公然の秘密でした。また、此の「GALAXY」には詳しく後述しますが、北京語盤「Dun Dun Dun / 容祖兒」と英語盤「Dangerous To Me / Ladybird」と云う異名同曲が存在します。其の3ヴァージョンがほとんど同時期に発表されたのは、未だ解明出来ない謎です。

尚、片瀬が avex から歌手デビューすることは、様々なカタチで示唆されており、予測可能でした。最も大きなヒントは、女優活動休止となった「プリティガール」のサントラ(AVCD-17093)にあります。此の avex から発売されたCDのジャケットやブックレットには「大きく片瀬那奈の写真が掲載されている」のです。片瀬が其れまで出演したドラマや映画作品のサントラ盤で、此処まで大きく彼女の写真が載った作品は他に見当たりません。片瀬は「ダンス・ミュージック好き」を公言してもいましたし、第一期女優時代の出演作品のサントラ音源の半数以上が avex からリリースされていた事からも其れは示唆されていました。「歌手・片瀬那奈」の記念すべきデビュー曲ですので、数多在る彼女の音盤でも最も多くの別作品が存在します。片瀬那奈に歌手デビューのオファーが在ってから、此の作品が発表されるまでには少なくとも二年を要していたと思われます。正に満を持しての渾身の傑作です。


(小島藺子)

初出「LISTEN NOW ! 片瀬那奈が聞こえる」2007年9月10日を全面改稿
RE-MIX:小島藺子



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2009年08月16日

「夢みる歌謡曲」第那奈章: 片瀬那奈がきこえる
#002:「TELEPATHY」プロモ CCCD Version

GALAXY/TELEPATHY (CCCD)


 Lyrics:NANA KATASE
 Music:Patric Johansson & Linus Norden
 Arrangement:YASUO KIMOTO
 Mix:Dave Ford

 (Time:3'57'')intro 0'15''

 品番:AVCS-10748

 発表日:2002年秋


デビュー・シングルの2曲目に収録された此の楽曲は、初めて発表された「片瀬那奈本人作詞」による作品であり、後に詳細を述べる彼女の唯一のオリジナル・フル・アルバムのタイトルにもなった重要な楽曲です。其の詳細は、追々、じっくりと書いてゆきます。市販版と違って、此のプロモ盤は「GALAXY」と「TELEPATHY」の2曲しか収録されていません。此れは後述するカセット版も同じです。

「衝撃的な歌手転向」を演出する為に(avex お得意の手法のひとつだが)此の2曲入りプロモの段階では「片瀬那奈」の名前は未だ伏せられていました。ゆえに、「GALAXY」が「有線お問い合わせチャート壱位」になったと云う話は「はんぶん不思議」です。確かに此のプロモ音源は有線でヘビロされました。だからこそ「お問い合わせ」が殺到したって事でしょう。「アノ曲のタイトルと歌手を知りたい」と。でも、人々は其の楽曲名も歌手名も知らなかったはずです。其れではリクエストは出来ません。だからリクエストは殺到しなかったはずです。お問い合わせも「アノですね、♪だんだんだんどぅでぃどぅでぃだんだん♪って歌ってるのは誰なのよさ?」ってフザケタモンが殺到するわけないじゃん。ゆえに、人々の耳に残るほど流れたのは「片瀬サイドの戦略」で、問い合わせ殺到だって「眉唾モン」なんですよ。「TELEPATHY」のプロモCCCD版及びプロモ・カセット版は「GALAXY」同様、ラフミックスです。流石にデビュー曲だけあって、プロモーションにもチカラが入っていました。後述しますが、此の作品には「片瀬作品で唯一のアナログ盤」まで存在します。

楽曲的にはカイリー・ミノーグの「Can't get you out of my head」に、非常に良く似ています。「GALAXY」も和製カイリー路線ですが、「TELEPATHY」はショートケーキに限りなく近いほど似ています。然し乍ら、こうした「可愛いおねえちゃんが和製エレクトロ・ポップを踊りなが歌う」と云う路線は現在(2009年)では当たり前ですが、2002年のメジャー・シーンでは片瀬以前には皆無でした。そう、片瀬は「先駆者」だったのです。「先駆者」は、売れない。早過ぎたのだよ。「GALAXY」と「TELEPATHY」共に作曲陣やミックス担当は欧米人を起用しており、片瀬の「洋楽志向」が強く伺えます。「GALAXY」に関しては、前述の通りオリジナルは英語の楽曲で在り、片瀬盤はカヴァー作品なのです。其れでも、後に詳しく述べますが「GALAXY」はオリジナルを完全に凌駕しています。

ちなみに、此の2曲入りプロモCCCDのレーベルは、黒地に銀文字です。未だ、後の「怒涛のピクチャー・レーベル殺法」は封印されていました。其れどころか「楽曲で勝負したい」との頑固な姿勢ゆえに、歌っているのが「片瀬那奈」で在る事すら伏せられていました。


(小島藺子)

初出「LISTEN NOW ! 片瀬那奈が聞こえる」2007年9月10日を全面改稿
RE-MIX:小島藺子



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2009年08月17日

「夢みる歌謡曲」第那奈章: 片瀬那奈がきこえる
#003:「GALAXY」プロモ・カセット Version

GALAXY/TELEPATHY (CCCD)


 Lyrics:kenko-p
 Music:Marcus Granberg & Patric Sarin
 Arrangement:Ta
 Mix:Dave Ford

 (Time:4'08'')intro 0'35''

 品番:不明

 発表日:2002年秋


プロモ・カセットは「GALAXY」「TELEPATHY」共に、前述したプロモCCCD版と同じ音源(ラフ・ミックス)です。音源的にはプロモCCCDを持っていれば好い事になります。但し、此れに限らず「片瀬那奈音楽作品」のカセット版には、コレクター心を鷲掴みにする大きな差異が在ります。其れは「完全別ジャケット」仕様である点です。特に此のデビュー・シングルに関しては、絶対に入手したくなる明確な違いが在ります。其れ故に「別作品」として紹介しなければならないのです。

カセット・ケース自体の色がピンクで、使用された写真は正規盤『GALAXY / TELEPATHY / FANTASY』最初期フライヤーにも使われた「一寸アンニュイな表情の正面アップのカラー画像」です。彼女のデビュー・シングルは片瀬音源中最も謎も多く、様々な形態で存在しており、市販盤だけで「なな、なんと6種類!」のピクチャー・レーベル盤が発売され無地レーベルも在る為、市販盤だけでも那奈種類も存在し、其の各サンプル盤を合わせて14種、其れにプロモCCCD、カセット、アナログまで加えた段階で17種!!しかも、其れでもコンプリートでは無いのです。さらに其のメディア形態が別ならばすべてが「完全別ジャケット」なのです。前述したプロモCCCDと此のプロモ・カセットは音源的には同じですが、全く別デザインのジャケットで確かに存在します。

プロモ・カセットを御存知の片ならお分かりでしょうが、通常の其れのジャケットには滅多にアーティストの写真など掲載されません。片瀬が所属する avex でも色付きのペラペラな紙に「タイトル、歌手名、発売日」などの文字だけが印刷された「まるで大昔の海賊盤みたいに素っ気ないモノ」が大半です。其れが、片瀬作品に関しては違いました。しかも、此のデビュー盤ではわざわざカセット版の為だけに「完全なる別写真使用ジャケット仕様」まで制作したのです。那奈ヲタ同志諸君なら、血眼になって探し入手しても決して悔いの無いアイテムと云えるでしょう。此れに限らず、片瀬のカセット音源は基本的には「写真入りジャケット付き」ですし、多くが別写真やレイアイトです。あたくし自身も、最後に残った「大金脈」として未入手の「カセット」と「白盤」を未だに探しています。

おっと「白盤」に関しても言及しなければなりませんね。未入手ですが、此のCCCD及びカセットによるプロモ版よりも先に「CDRプロモ」が存在すると考えられます。かつてなら、最初期流出音源はアセテート盤でしたが、時代は其れを「CDR」へと変えました。そして確信を持って其の存在を云えるのは、筆者は後述する「2nd Single『Babe』」と「3rd Single『Shine / REVENGE〜未来への誓い〜』」の「白盤」を、既に所有しているからです。


(小島藺子)

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RE-MIX:小島藺子



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2009年08月18日

「夢みる歌謡曲」第那奈章: 片瀬那奈がきこえる
#004:「TELEPATHY」プロモ・カセット Version

GALAXY/TELEPATHY (CCCD)


 Lyrics:NANA KATASE
 Music:Patric Johansson & Linus Norden
 Arrangement:YASUO KIMOTO
 Mix:Dave Ford

 (Time:3'57'')intro 0'15''

 品番:不明

 発表日:2002年秋


音源的には「GALAXY」同様に、プロモCCCDと同一のラフ・ミックスです。さて、此処で「プロモ盤」と「サンプル盤」の違いを御説明しましょう。片瀬音源に限らずレコードには大きく分けて「プロモ盤」と「サンプル盤」そして「正規盤」の三種が存在します。「正規盤」は、皆さんがCD屋さんで普通に買える音盤ですが、問題は市販されない音源で、其れが「プロモ盤」と「サンプル盤」です。

よく此の二種は混同されますが、「サンプル盤」とは其の名の通り「見本」で在り、仕様も音源も正規盤と同一です。関係者やラヂヲ局等に無料で配布(名目上はレンタル)し宣伝に利用されますので、中古市場では基本的には売買を禁止されている代物です。音源やジャケット等は市販盤と全く同じですので、あたくしの様なコアな那奈ヲタ以外には蒐集欲が湧かない音盤と云えるでしょう。ちなみに当然ですが、あたくしは片瀬音源の全サンプル盤は(ピクチャー・レーベル違いを別にすれば)、ジャケット違いまでの16種類を「コンプリちゃん」しております。「だから、どーした?」って云われたなら「単なる自己満足と、自慢です」って即答しましょう。

対して「プロモ盤」は「白盤」とも云われておりまして、正にレア中のレア音盤です。合法的に此れらを入手する為に、あたくしは「古物商免許」を取得しました。一般的には、此れらを売買するのは「完全に非合法」です。東京都公安委員会許可の「道具商」で在るあたくしですから何とか入手出来ますが、其れを何人にも売る事は出来ません。「サンプル盤」や「プロモ盤」の売買は「コピー商品」同様に「違法」で在り「犯罪」ですよっ。

「白盤」は、「正規盤」として完成する以前に出回る音盤で、つまり「音源的にもラフミックス状態」で在る場合も多く「一般的には公開されない未完成品」です。THE BEATLES の時代なら、其れは「アセテート盤」として存在しました。現在では「白盤」として制作中や最終的な商品化に先駆けて関係者に「今度はこんな曲をリリースしますよ」と予告編的に譲渡されます。滅多な事では其れらが公表される事は在りません。「白盤」と云われるのは、未だジャケットやレーベル等も制作されていない段階で作られる為、レコードもCDもジャケットも無くレーベルも白地に文字のみの状態が多いからです。ゆえに、片瀬音源の市販盤及びサンプル盤はCCCDもしくはCDしか存在しません。その他の形態で存在するのは、全て「完成前のプロモ盤」です。

さて、プロモ・カセットは当然ながら片面に壱曲ずつ収録されています。通常はAB面で在り、こちらはB面のはずですが、其の辺も「片瀬・でかいっ!・那奈・音源」は規格外です。後述するアナログ盤もそうですが、「カタセカイ」には「B面」の概念が(少なくとも此のデビュー盤時には)なかった様です。其れが、決して片瀬がCD世代で在るがゆえでは無い事も、既に歌手デビュー以前からターンテーブルを所有しアナログも愛聴し趣味で「DJ」もやっていた事実から解ります。

片瀬那奈のデビュー盤『GALAXY / TELEPATHY / FANTASY』は、トリプルA面作品です。A面が参曲って、異次元じゃん。あのさ「レコード盤、ひっくり返せばB面へ」ってゆーじゃん。レコもカセットも二面しかないのだから、三曲も入らないじゃんっ。ゆえに此のカセット・プロモ版は「GALAXY / TELEPATHY」の2曲入りで、両A面なのです。「FANTASY」は物理的に収録不可能だったのです。其れに準じて、同一音源で在る前述のプロモCCCD盤も二曲入りになったと考えられます。

かつて、英国の著名なる音楽集団のボス:ジョニーが「俺の曲もお前の曲も好いからさ、今回は両方共A面にしちゃおうぜ。両A面なんて新しいじゃん!がっはっはっは」と規格外のシングルを制作し、二曲共にナンバー・ワン・ヒットにしてしまった事が在りました。其れでも、流石の彼等も「三面A面」なんて奇想天外な地点までは行けませんでした。

ひとことだけ、愛しの那奈ちゃんに云わしてもらいたい。

「君は、THE BEATLES を超える気だったのか?」


(小島藺子/姫川未亜)

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2009年08月19日

「夢みる歌謡曲」第那奈章: 片瀬那奈がきこえる
#005:「GALAXY」TV Version

逮捕しちゃうぞ DVD-BOX


 Lyrics:kenko-p
 Music:Marcus Granberg & Patric Sarin
 Arrangement:Ta
 Mix:Dave Ford

 品番:AVBD-91267〜8(DVD)、ほか(未CD化)

 発表日:2002年10月17日


「逮捕しちゃうぞ - YOU'RE UNDER ARREST -」オープニングテーマとしてオンエアされた「1コーラスのみでフェイドアウトする」ヴァージョン。単にフェイドアウトするだけなので、市販ヴァージョンで手動でも簡単に作れてしまうわけで、音源的な面白味は全く無いかと云えば、なかなかそう簡単には行かないのが「片瀬音源」です。先ず持って、此れは基本的には「モノラル・ミックス」です。其れは、正式な音盤として遺されなかった為に起きました。TV版及びDVD版で聴ける其れは、モノラル音源なのです。劇中でも印象的に何度も流れ、それぞれの編集は異なっています。更に、スローなアコースティック・ギターでのインスト版もドラマでは聴く事が出来ます。

覆面歌手として世に出た片瀬ですが、TVドラマ放映開始と同時にプロモーション・ヴィデオが衛星放送などを中心にヘビーローテーションされる様になり、最早「此れを歌っているのは、敢えて名を伏せるが『片瀬那奈』で在る」 状態となっていました。実は、其れ以前、2002年秋に某「パラノイア東京支部呑み会」にて、既に有線等で「GALAXY」を偶然にも耳にしていた「未亜(当時、那奈理名ヲタ)」は「最近、カイリーを日本語でモロパクしたみたいな歌を聴いたんだけど、どーなんですかね?あーゆーのって、ええの?どーせ、エイベックスあたりがやってんだろーけどさ」と神をも畏れぬ問題発言をぶちかましたのですが、幸いにも其れは「椎名林檎ちゃんファンの集い」から始まったサークルでの出来事だったので、洋楽ならオルタナ系やせいぜいブラック・ミュージックにしか興味が無い当時は20代前半の音楽仲間ばかりで、ひとりだけいたテクノ系に強い奴も不在だった為、誰も「カイリー・ミノーグの2000年代になってからの新路線すら知らなかった」ので事無きを得ました。幾ら当時其の歌手が「愛しの片瀬那奈」だとは確定出来なかったとは云え「もしも、話した相手が那奈ヲタだったら?(特に、当時は未だ知り合ってなかったけど「電気式」にも精通する「龍:アンテツあにい」だったら?)」と思うと、未だに「背筋が凍るエピソード」です。

多くの古くからのファンは片瀬本人がドラマにも客演することを望んでいましたが、頑固者の片瀬は「歌手活動専念」を決めており「歌手&女優:片瀬那奈」実現の夢は、此の時点では叶わなかったのです。主演は御存知の通り「先輩:原さっちん」と「後輩:みーたん」でした。片瀬の「婦人警官コスプレ」をも期待した那奈ヲタの願いは、当時は無念にも叶わなかったのです。但し、オープニング・テーマ担当歌手として次回予告篇時に登場し、プロモ type A(片瀬のアップ画像中心で、1コーラスのみで終わるヴァージョン)を背景にデビュー・シングルの宣伝をした事がありました。あたくしは思わずTV画面に向かって「あっ。動く那奈ちゃんだっ!」と叫んでしまった程に感激しました。其れ程に「片瀬那奈はTVから消えていた」との印象が在ったのです。涙が出る程に感動し「(当時は皆無だった)片瀬那奈のDVDが在れば、他には何もいらないっ!」と宣言したから、さあ大変。音楽仲間やプロレス者達から「未亜ちゃん、狂ったっ!」とマジで心配される様になったのでした。

ちなみに同ドラマのエンディング・テーマ(主題歌)を担当していたのは、天下のディーバ(笑う処)「マライア・キャリー」です。片瀬那奈ちゃんはデビュー時に「既に、マライア程度となら、同格」だったのです。いや、マジで。


(小島藺子/姫川未亜)

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RE-MIX:小島藺子



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2009年08月20日

「夢みる歌謡曲」第那奈章: 片瀬那奈がきこえる
#006:「FANTASY」TV Version

完全予約生産限定 DVD-BOX 「ヒカルの碁」全集


 Lyrics:NANA KATASE
 Music:Seikou Nagaoka
 Arrangement:Seikou Nagaoka

 (Time:2'00'')

 品番:AVCA-14876〜8

 発売日:2003年12月17日


「ヒカルの碁」(テレビ東京系、2001年10月10日〜2003年3月26日)のオープニング・テーマとして後半(第六十一局〜第七十五局=最終回)オンエアされた短縮ヴァージョン。作詞は片瀬那奈自身が担当。

片瀬那奈のデビュー・トリプルA面盤『GALAXY / TELEPATHY / FANTASY』の中では、最も「普通のポップス」風に作られた作品で、他の2曲や其のリミックス音源に挟まれ、特にアレンジ面で少々違和感がありました。後のアルバム「TELEPATHY」では、より統一性を出す為か別ヴァージョンが採用されています。其れは、此の楽曲が当初はあくまでも「TVアニメ作品」の主題歌用に制作された為でしょう。片瀬本人としてもお気に入りの1曲の様でライヴで頻繁に披露され、ファンの人気も高く、老若男女みんなで振り付きで盛り上がったものでした、、、(遠い目)

此の所謂「TV SIZE Version」は基本的にはシングルに近いアレンジですが、エンディングがシングルともアルバムとも全く違います。通常ならアニメ作品のDVDなどでしか遺されないレア・ヴァージョンですが、「SINGLE HITS COLLECTION 〜Best Of avex anime〜」 [初回受注生産限定盤] のボーナス・ディスクに収録されCCCD化されました。片瀬作品にはタイアップが多く、TV SIZE が存在するモノが多いのですが、キチンと音盤化されたのは誠に遺憾乍ら2009年の現在に至っても此の「FANTASY」のみです。但し、僕らには「LOST KATASE TAPES」が在る。ま、あたくしが作ってんだけどさ。(にやり)

ちなみに「ヒカルの碁」の原作画者で在る小畑健サンは、後に片瀬が出演した「デスノート」の原作画者になるのでした。正に、片瀬が高らかに歌う通りに「未来はつながってゆく」のです。


(小島藺子/姫川未亜)

初出「LISTEN NOW ! 片瀬那奈が聞こえる」2007年9月11日を全面改稿
RE-MIX:小島藺子



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2009年08月21日

「夢みる歌謡曲」第那奈章: 片瀬那奈がきこえる
#007:「TELEPATHY」Groovediggerz Remix

GALAXY/TELEPATHY (CCCD)


 Lyrics:NANA KATASE
 Music:Patric Johansson & Linus Norden
 Arrangement:YASUO KIMOTO
 Remix:K. Muto

 品番:AVJT-2581(通称「TELEPATHY ep.」A-1 収録)

 発表日:2002年秋


デビュー・シングル『GALAXY / TELEPATHY / FANTASY』は、プロモCCCD、プロモ・カセットにつづき、片瀬那奈音源で唯一のアナログ盤も制作されました。アナログ盤は12インチの両A面仕様ですが、タイトルが「TELEPATHY ep.」となっていて「TELEPATHY」サイドが「A」、「GALAXY」サイドが「AA」と表記されているので、実質的なメインは「TELEPATHY」サイドでしょう。そして、冒頭を飾る「TELEPATHY」Groovediggerz Remix は、此のアナログ盤でしか聴くことが出来ない貴重な音源です。

アナログ盤は、所謂DJ仕様でジャケットは真っ白でレーベル部分が丸く切り取られている素っ気ないモノで、片瀬のカラーコピー(赤いレザー姿の写真で、アナログ盤のみに使用された画像)入りの「かつてのCDシングル大のジャケット」の「仮ジャケット?」を貼付けられたシリアル・ナンバー入りと、何もないホワイトジャケットの二種類を所有しています。双方共に音盤は同一で、「TELEPATHY」サイドはレーベルがオレンジの二曲入りです。

此のアナログ限定リミックスは、冒頭から「ララララララ」のコーラスがループされ、いきなりサビの部分へ繋がったあと、Aメロから歌い出されるが、アレンジはドラムンベースを中心にした完全なるクラブ用のもので、オリジナルを聴き慣れた者にはかなり刺激的に聴こえるはずです。アナログ音源ならではの重低音を強調したミックスは、CD、ましてやCCCDなんぞでは「到底再生不能な世界」です。

なかなか入手困難な壱枚ですが、ファンなら是非手元に置きたいアイテムと云えます。未だにレコードを中心に購入し聴いている「アナログ派」のあたくしとしては、切に、全片瀬音源のアナログ盤再発を望みます。片瀬那奈は悪名高き「COPY CONTROL」全盛時代(僅かな期間だったのにドンズバでおんなじ期間に当たってしまったのだよっ!其れで怒りに震えたあたくしは自分のサイトを「COPY CONTROL」と命名したのです)に歌手活動をした為に、其の音源は2005年に発売されたシングル集「Reloaded」と2008年の「bash」以外の全て、つまり「第一期歌手時代現役作品の全て」が未だに公式では「CCCD」でしか遺されていません。何と云う愚挙!アナログ再発が無理なら、せめて「CCCD」のみで発売した侭に放置している貴重な片瀬音源をさっさと「CD化」してくんしぇいっ!

新たなる別ジャケットでピクチャー・レーベル那奈種封入り仕様とかで再発したら、儲かりまっせっ!エイベックスちゃん。那奈ヲタは、そんな「子供ダマしなる当てクジ商法」すらも含めて、アノ時代を愛しているんだよ。青木サン、今こそ立てっ!時代が片瀬那奈を求めているのよさ。


(小島藺子/姫川未亜)

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2009年08月22日

「夢みる歌謡曲」第那奈章: 片瀬那奈がきこえる
#008:「TELEPATHY」Original mix

GALAXY/TELEPATHY (CCCD)


 Lyrics:NANA KATASE
 Music:Patric Johansson & Linus Norden
 Arrangement:YASUO KIMOTO
 Mix:Dave Ford

 品番:AVJT-2581(通称「TELEPATHY ep.」A-2 収録)

 発表日:2002年秋


アナログ盤での「TELEPATHY」は、後に2002年12月に正式発売されるシングルに収録されたものと同一音源ですが、アナログで聴くとCCCD盤とは印象が全く変わってしまうのです。

片瀬那奈ちゃんの音源で公式にアナログ盤が存在するのは、通称「TELEPATHY ep.」だけです。つまり、僕たちがアナログ盤でも聴けるCCCDやCDとの同一音源は、此の「TELEPATHY」Original mix と「GALAXY」Groovediggerz Remix の二曲のみです。聴き比べれば、特に低音の響きが全く違っている事に気付くでしょう。やはりレコードの音は「太い」です。片瀬那奈ちゃんの全音源を、アナログでも出して欲しかったと、切に願います。其れは、決して不可能な事ではなかったはずです。

「百聞は一見に如かず」、是非、此の同一比較検証可能音源を入手し、市販盤CCCD音源と聴き比べてみましょう。レア・アイテムとしてだけでは無く、「TELEPATHY ep.」とは、ズバリ云って「聴く為に存在」します。其れが、レコードです。其れに、僕たちはアノ頃に確かに此の音源をクラブで聴いたんだよ。アノ日、只只、片瀬那奈ちゃんに逢いたいって気持ちだけで足を踏み入れてしまった異空間で聴いた「TELEPATHY」は、決してCCCD音源じゃなかった。其れは、此れだったんだよ。


(小島藺子/姫川未亜)

初出「LISTEN NOW ! 片瀬那奈が聞こえる」2007年12月2日を全面改稿
RE-MIX:小島藺子



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2009年08月23日

「夢みる歌謡曲」第那奈章: 片瀬那奈がきこえる
#009:「GALAXY」Groovediggerz Remix

GALAXY/TELEPATHY (CCCD)


 Lyrics:kenko-p
 Music:Marcus Granberg & Patric Sarin
 Arrangement:Ta
 Remix:K. Muto

 品番:AVJT-2581

 発表日:2002年秋(通称「TELEPATHY ep.」AA-1 収録)


「TELEPATHY ep.」と呼ばれる片瀬那奈が発表した唯一のアナログ盤の「AA」サイドには、此の壱曲のみが収録されています。アナログでしか聴けない「TELEPATHY」Groovediggerz mix とは違い、こちらは目出度くデビューシングルにも収録されましたので、音源自体はCCCDで容易に聴く事が出来ます。でも、やはりCCCDで聴くのとアナログ盤では「曲の力が雲泥の差だ」と云わざるを得ない程に印象が違っています。そもそも、クラブ・シーンへ向けても自己の音楽を発信したいと片瀬那奈が考えていた事は、其れまでの多くの彼女が語ったインタビュー等でも明白でした。音楽人としての片瀬那奈とは、決して唐突に現れたのでは在りません。

されど、世間一般から見れば「水着キャンギャル出身でグラビア・アイドルとかモデルとかやってて可愛いからアイドル女優にもなったコが、今度は歌手までやるのかい?はいはい」って印象だったのかもしれません。事実、当時、音楽仲間の若い女子連中からは「未亜ちゃんの大好きなアイドルの那奈ちゃんって、最近TVで全然見ないと思ったらこないだ衛星放送でプロモが流れてたよ。歌も歌ってんの?何か変な歌だったよ。♪だんだんだん♪とか♪ららららら♪とかピコピコした安っぽいシンセに乗せて踊り乍ら歌ってたけど、やっぱスタイルは好いよね」とか云われてですね、「おまいら、、、首絞めたろかっ!」と思いつつも「いや、那奈ちゃんは女優だからさ、きっと一時期の気の迷いだよ」とか誤魔化すと、結構テクノやハウスも好きな女のコから「でもさ、未亜たん、オラ知ってる。アノ映像はカイリー・ミノーグに似てただ。カイリーみたいにビッチじゃなかったけど、那奈ちゃんは可愛いけど、やっぱり似てただ。オラ、知ってるだ」とか少し酔いが回った目で問われてですね、あたくしも「え?ああ、まぁ其れはそーなんだけどさ、だからぁ、那奈ちゃんは女優なんだからそんなに責めないでよ、へどもど、、、」と上手く論破すら出来なくなってしまったのでした。正直に云って「プリティガール」が終了した2002年3月から『GALAXY / TELEPATHY / FANTASY』が正式発売される2002年12月までの半年間は辛かったです。長い「那奈ヲタ歴」でも、其の期間と女優復帰した「2004年秋」の二回が、最も厳しい時でした。

さてさて、「AA」サイドのレーベルは、片瀬クンのフェイバリット・カラーである「ピンク」です。此の手の所謂「白盤」はレーベルも白で味気ないのだけど、流石は片瀬クン、しっかりとお洒落なデザインを施して在るのでした。


(小島藺子/姫川未亜)

初出「LISTEN NOW ! 片瀬那奈が聞こえる」2007年12月2日を全面改稿
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2009年08月24日

「夢みる歌謡曲」第那奈章: 片瀬那奈がきこえる
#010:「DUN DUN DUN」容祖兒

逮捕しちゃうぞ DVD-BOX


 Music:Patric Sarin & Marcus Granberg
 Lyrics:李火卓雄

 品番:AVCCD 90016 / EGGT3017V1

 発売日:2002年10月11日


容祖兒「一個人的情歌」の一曲目に収録された「GALAXY」の北京語ヴァージョン。香港のEGG と台湾のavex Taiwanから、片瀬盤よりも二ヶ月近く早く発売されました。しかし、クレジットには (OT:Dangerous To Me)と書かれていたのです。詳しく後述しますが「GALAXY」は片瀬那奈のオリジナル曲では在りません。「Dangerous To Me」と云う英語詞での楽曲がオリジナルと云うことになっています。

但し、問題は正式に発売された順番なのです。其れは、

「北京語」→「日本語」→「英語」

と云う不可思議な順序で世に出ました。ゆえに、世間では此の北京語盤がオリジナルだと考えられたのです。(当時の「逮捕しちゃうぞ」のBBSで話題になっています。)

容祖兒(ジョイ・ヨン)のヴァージョンは、後述するオリジナルとされる「Dangerous To Me」と基本的には同じ構成のアレンジで、片瀬盤とは印象が全く違いますが、発売元が「avex 台湾」で在る事から片瀬盤との関連性が強く伺えます。正式に最初に発売されたのは確かに此の「北京語盤」でした。「GALAXY」として僕らが知る楽曲は、英語詞の「Dangerous To Me」として書かれ、北京語詞の「DUN DUN DUN」として最初に発売され、同時期には覆面歌手だった片瀬那奈による日本語詞でも有線等で公にされ、其の片瀬のデビュー曲として正式公開し発売された直後に、ラトビアで Ladybird によるオリジナルとされる英語盤が発売されたのです。丸っきり、順番が「さかさま」で「あべこべ」です。容祖兒による北京語盤は当時から輸入盤でしか入手出来ず、Ladybird の英語盤も当時はノンストップ・ダンス・コンピレーション盤でしか日本では発売されませんでした。故に一般的には「片瀬那奈の為に書かれたオリジナル楽曲」として「GALAXY」は捉えられました。

Ladybird の正式な日本盤が発売されたのは約三年後の2005年9月で、其れに伴ってプロモーション来日も果たし「かつて片瀬が歌手デビュー時に席巻した」渋谷で「Dangerous To Me」を歌うと云う「タイム・パラドックス」的な展開も在ったとの事ですが、其の日本デビュー盤の解説で初めて「日本でもオリジナル発売と同じ2002年に、片瀬那奈によってカヴァーされた」旨が公表されたのでした。楽曲発売順序から「Dangerous To Me」のオリジナルとして、Ladybird 以前に(例えば作家である Patric Sarin & Marcus Granberg のお膝元で在るスウェーデン等で)別の歌手による英語盤が既に発表されていたのでは?とも考えていたのですが、此の解説によって「オリジナルは Ladybird 盤」が確定しました。但し、其れ以前に「容祖兒」盤と「片瀬那奈」盤が世に出ていたのも事実なのです。更に不可解なのは、片瀬盤とほとんど同時(2002年12月)にラトビアでデビューした時の Ladybird のビジュアルです。其れは「赤いレザーを纏い、前髪を作った」ものでした。其れは正に全く同時期に日本でデビューした「片瀬那奈」の其れと、寸分違わぬコンセプトだったのです。


(小島藺子/姫川未亜)

初出「LISTEN NOW ! 片瀬那奈が聞こえる」2008年1月30日を全面改稿
RE-MIX:小島藺子



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2009年08月25日

「夢みる歌謡曲」第那奈章: 片瀬那奈がきこえる
#011:「GALAXY」

GALAXY/TELEPATHY (CCCD)


 Lyrics:kenko-p
 Music:Marcus Granberg & Patric Sarin
 Arrangement:Ta
 Mix:Dave Ford

 品番:AVCD-30408

 発売日:2002年12月4日(オリコン最高13位)

 テレビ朝日系ドラマ「逮捕しちゃうぞ - YOU'RE UNDER ARREST -」オープニングテーマ。
 (2002年10月〜12月、毎週木曜日21:00〜、全9話、平均視聴率 9.1%)


はい。やっと、デビュー曲の公式ヴァージョンに辿り着きましたよ。

「此のシングルCCCDを、私たちは一体何枚買ったのでしょうか?」

前述しました通り、市販盤をコンプリする為には最低でも那奈麻衣を購入しなければなりません。何故なら、ピクチャー・レーベルが6種も違うのです。さらに無地レーベルも在ります。そして、其れは買ってみなければ分らなかったのでした。もっと云うなら「ウインター・ヴァージョン」の追加3種は、何処でも告知されませんでした。

私が知る限り、リアルタイムでコンプリしたのは「本家:那奈ヲタ」で在るアンテツあにいだけです。初回限定三種に関してならデビュー記念で多くの那奈ヲタが嬉々として「トレカごっこ」に興じ集めたのですが、追加の三種はレアでした。だってさ「ウインター・ヴァージョン」は研音でも avex でも告知なしだったんだもん。其れを見つけて全種揃えちゃったんだから、どーかしてますよっ。あのですね、那奈麻衣買えば揃うわけじゃないのよさ。トレカなんだからさ、買って開けなきゃ中味が解んないのよさ。写真集「N」を初動で「那奈冊」買った漢ですからね。彼は後に全く同一パターンしかない「ミ・アモーレ」ですら、なんと初動だけでも13枚も購入した、

「眞の那奈莫迦ですっ!」

(本人曰く「だって那奈ちゃんが壱枚ずつ心を込めて書いたサイン入りポスターが付いているんだから、渋谷に行く度にタワレコに寄ってついつい買っちゃうんですよ。」もっと云うなら「Extended」初回盤三種封入りを三枚買って簡単に全種を当ててしまった時には「一寸、つまんないですね、、、」と悔しがり、直後の片瀬TV生出演観覧時に三種を自慢げに持参し掲げている時に、間近の那奈ちゃんに見蕩れうっかり壱枚を落としてしまいケースにヒビが入ったら「此れでまた買えますね、ふふふ、、、」と嬉しそうにしていた、、、。)

「龍:アンテツ伝説」は際限なく続くので、また後のお楽しみとして「ゲバ」します。

トリプルA面と称された記念すべきデビュー盤ですが、市販盤はCCCDですので最初に収録されドラマ主題歌でも在った此の楽曲が「片瀬那奈のデビュー曲」と認知されました。チャートでも10週間に渡りランクインし最高位13位まで上がった「歌手・片瀬那奈の最大のヒット曲」です。心ない方々は「カイリー・ミノーグのパクリ」と詰りましたが、残念乍ら、其れは全くの見当違いです。そもそも此の楽曲は何度も述べて来ましたが「片瀬那奈のオリジナル作品では無く、洋楽曲のカヴァー」です。そして、オリジナルとされる「Dangerous To Me」や其の北京語カヴァー「DUN DUN DUN」こそが「カイリーの模倣」により近い作品なのです。此の三曲は一体どれがオリジナルなのか計り知れない程に同時期に世に出たので、個人的な見解では「競作」だったと思いますが、片瀬盤の「GALAXY」が最も好く出来ていると贔屓目抜きに断言します。英語盤と北京語盤は普通にAメロから歌われるのに対し、片瀬盤のみがサビの「だんだんだんどぅでぃどぅでぃだんだん」から入ります。冒頭の「She gets you !」や最後の「GALAXY」と云ったフレーズや、印象的な後半の英語での科白も、流石は「女優」ならではの演出で、完全なる片瀬盤のみに在るオリジナルです。他の二作品が平凡なポップスに過ぎないのに対して、片瀬盤は「広大な物語」を感じさせる構成になっているのです。

確かに、片瀬那奈は新たなる音楽を創りました。まさか、那奈ちゃんがこんな音楽をやるなんて思っていなかった。「女優の想い出作りでしょ」とファンの僕さえも思っていたのに、片瀬那奈は「本気」だったのです。当時の僕は、正直云って困ってしまいました。女優の那奈ちゃんが大好きだったからです。ドラマで演じる彼女を観て、元気をもらって、其れだけでとってもシアワセだったんです。本人に逢うなんて発想すら在りませんでした。だって女優ですよ。どうやって逢えば好いのか解らなかった。其れにあくまでも僕が好きなのは演じている「虚構」だったのです。柏木礼奈や清水茜や柚木さくらや荒木理恵子が好きだったのです。片瀬本人に逢って「実像」を知るのが怖かったとも云えます。だから「何でドラマに出なくなっちゃったのかナァ」と思っていたのです。

其の片瀬那奈が、自己主張して「歌手」に専念してしまいました。本当に、女優を休業してしまったのです。しかも、其れは「歌手なんか、トットとヤメて頂戴!」とは決して云えない水準の作品でした。明らかに通常の「女優さんの余技」から逸脱していました。「片瀬那奈って、一体、、、」と、僕は大いに困惑しました。「女優もグラビアも続けてたって、歌くらいやれるだろ?みんなそうしてるじゃん。何を考えてんだよ、那奈ちゃん」と思っていた自分を恥じました。そう、僕も本気にならざる得なくなったのです。其れ程に「GALAXY」は、衝撃的でした。其の評価は、現在でも変わりません。彼女が銀河の彼方から舞い降りて「She gets you !」と呟いた瞬間に、正に僕らは「歌手・片瀬那奈」に鷲掴みにされたのです。


(小島藺子/姫川未亜)

初出「LISTEN NOW ! 片瀬那奈が聞こえる」2008年3月2日を全面改稿
RE-MIX:小島藺子



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2009年08月26日

「夢みる歌謡曲」第那奈章: 片瀬那奈がきこえる
#012:「TELEPATHY」

GALAXY/TELEPATHY (CCCD)


 Lyrics:NANA KATASE
 Music:Patric Johansson & Linus Norden
 Arrangement:YASUO KIMOTO
 Mix:Dave Ford

 品番:AVCD-30408

 発売日:2002年12月4日


前述の片瀬那奈にとって唯一のアナログ盤(プロモ盤のみ発表)のタイトル・チューンで、後に発表される第一期歌手時代唯一のオリジナル・フル・アルバムのタイトルともなった「音楽人:片瀬那奈」にとって最重要楽曲のひとつが此の「TELEPATHY」です。音源的にはプロモ・アナログ盤と同じですが、一般的には此のCCCD盤で初公開されましたし、あたくしの耳では「アナログとCCCDがおんなじには聴こえません」ので、別項で紹介します。(後に「Reloaded」で此の楽曲も含む全シングル曲が目出度く初CD化されますが、当然乍ら其れらもCCCD音源とは「別作品」として取り上げます。)

作詞も片瀬本人が担当し、其の内容が「親友・内山理名と二人で広島へ行った時の経験から書かれた」事も明かされていますし、後に登場する1st アルバム収録の「Deep Forest」と云う続編まで存在する「作詞家:片瀬那奈」にとっても思い入れが深いテーマを込めた作品です。また「歌手・片瀬」のキャッチ・コピーとして多用された「テレパシー・ヴォイス」と云う「ひとり三人娘:トリプル・トラック」での斬新なヴォーカル・スタイルにも、此の「TELEPATHY」が冠されています。更に云えば、後にスタッフ側の要請で原曲を知らないのにカヴァーした「禁断のテレパシー」も、此の楽曲からのタイトル繋がりだったのでは?と推測されるのです。

デビュー・シングルは前代未聞の「三面A面」と云う異次元作品として発表され、其のタイトルは『GALAXY / TELEPATHY / FANTASY』と韻を踏んでいますが、其れがまず「TELEPATHY」ありきで他の二曲のタイトルを決めたとも考えられます。何故なら「GALAXY」は前述の通りカヴァーで、オリジナルは「Dangerous To Me」と云う題名ですし、「FANTASY」はアニメ主題歌ですが其の「ヒカルの碁」と直接的には関係の無いタイトルになっていて、其の作詞も片瀬が担当しているからです。片瀬の構想として、最初に「TELEPATHY」が在ったと考えるのが自然でしょう。「片瀬那奈の音楽」を象徴するコトノハとして、「TELEPATHY」は在ります。

楽曲も其のプロモ映像も、赤ら様にカイリー・ミノーグを過剰に意識したモノとなっています。多くの洋楽好きサンは「おいおい、片瀬ってきれいなおねえさんのCMに出てるコがやってるのって、カイリーのパクリじゃん!」と嗤いました。でも、おんなじ洋楽者でしかも片瀬のファンでも在るあたくしは「何故、こんなにも分りやすく模倣したのだ?」と思ったのです。つまり「片瀬は敢えてカイリーの翻訳を仕掛けた」と考えました。そうでなければ、此処までの類似は逆に「変」です。カイリーは当時世界的に復活大ブレイク中で、「Can't get you out of my head」は少しでも洋楽が好きな方々なら誰もが知っている大ヒット曲でした。其れに、此の楽曲は決してカイリーだけを模倣した作品ではなかった。其処には、当時最新の電子音楽の要素が鏤められていて、しかも歌謡曲として通用する日本的な大衆性も在ったのです。更に次作の「Babe」でも、再び片瀬はカイリーの「Love At First Sight」を完全に模倣します。其れは「確信犯」的な事でした。

シングル発売に先駆けて2002年11月22日に、今は亡き「聖地・六本木velfarre」にサプライズ・ゲストとして登場した片瀬は男性バック・ダンサーを従えて真っ赤なレザー姿で「踊り乍ら歌った」のでした。アノ片瀬が踊り歌う!ビジュアル的に日本では前代未聞の光景が展開され、其の楽曲も其れまでの歌謡史には存在しなかった音楽だったのです。未だメジャー化していなかった「歌謡ハウス」を、モデル出身のスタイル抜群で脚長のきれいなおねえさんが、流石は高校時代にダンス部でプライベートでも現役でクラブに通うだけ在る見事なダンスを披露しながら歌ったのです。其の衝撃度はハンパじゃなかった。はっきり云えば、多くの人は「何が何だか分らなかった」のです。クラブ通は「何故?那奈ちゃんが出て来たの?」だし、洋楽ファンは「デルモ上がりが何やってんだ?」です。そして、肝心の片瀬ファンが最も困惑しました。

片瀬がコアな洋楽ファンで、特にハウス、もっと云えば「プログレ・ハウス」と称されていたジャンルに詳しく、自宅でCDJやターンテーブルを駆使しリミックスしていたりCDを数千枚も所有していると云う情報は、インタビュー等で語られており古参ファンにとっては衆知の事実でした。其れでも、実際に片瀬がどれほどまでに真摯に音楽活動をするのか?は未知でした。

流石に、片瀬那奈と云う不出世の存在に10余年も付き合った2009年の現在なら「那奈ちゃんなら、何をやらかしても驚かないですよ」と云えるのですが、当時の僕らは「水着キャンギャルでモデルでグラビア・アイドルでアイドル女優でCMアイドル」って、つまり「片瀬那奈=アイドル」として認識していました。勿論、現在でも「僕らの最高のアイドルとして片瀬那奈は燦然と輝き君臨」していますが、当時の其れは「普通のアイドル」でした。「片瀬那奈が歌手になる」とは認識していなかった。僕らは「アイドルの那奈ちゃんが、今度は歌も歌ってくれる」と甘い夢をみていました。そして踏み入れたクラブで、僕らは驚愕し困惑したのです。「ええっ?那奈ちゃん、マジなの?」と漸く気付いて、離れて行ったファンも多かった。其れでも、やっぱり「那奈ちゃんを追いかけよう!」って決めた奴らがいたわけです。自然と、そいつらは集った。其のひとりが、僕さ。其れで、まわりに煽てられ、こっそり書いていた記録を公にしたわけさ。其れが、此処の始まりです。だから、此処を作ったのは決して僕だけじゃないんだよ。

そして、やはり現在でも「TELEPATHY」は名曲です。いや、時を経た今の方がより高く評価されているのです。片瀬の此の挑戦がなければ、日本の歌謡史は確実に違っていました。其れは、此の楽曲が世に出て早那奈年を経た現在の歌謡シーンを見ればお分かりでしょう。今や片瀬は「先駆者」として讃えられています。例え発表時に正当に評価されなくとも、優れた作品の眞なる評価は歴史が決めてくれます。其れはクラシック音楽時代からの、いや、あらゆる芸術が辿った道なのです。片瀬が信じて貫いた音楽革命は、確かに成功しました。今こそ、片瀬の時代です。さあ、高らかに歌えっ!片瀬那奈。世界が、君の音楽を待っているよ。


(小島藺子/姫川未亜)



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