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2010年05月25日

「怪優・片瀬那奈・進化論」
act 037「加藤絵里」

アベレイジ [DVD]


 出演作:『アベレイジ』『アベレイジ2』(フジテレビ系)
 放映日:2008年3月29日(土曜日 1:05〜2:05)、10月11日(土曜日 1:05〜2:00)

 映像作品:DVD「アベレイジ」(フジテレビ)
       2008年10月8日発売(壱作目を収録)


2008年3月に「女優・片瀬那奈」は電撃大作戦をぶちかましてくれました。3月3日に映画「20世紀少年」へ敷島ミカ役で出演する事が公表されたのを皮切りに、翌4日には舞台「フラガール」への主演が発覚!!其れらの詳細情報が日々明るみになり「えらいこっちゃ、えらいこっちゃ」と那奈ヲタが沸き立つ中で、22日に前述の「いのちのいろえんぴつ」が、28日から29日に掛けて「未来遊園地2」が放映され、引き続き深夜に「アベレイジ」が放映されます。

「アベレイジ」は、それぞれの話が微妙に絡み合いつつ進行するオムニバス形式のドラマで、半年後に続編も制作されました。一作目と二作目に出演する俳優陣もほとんど被っています。但し、二作を通して同じキャラクターを演じるのは、「BAR」の場面での狂言回しの笑福亭鶴瓶さん(本名を姓名でわけた二役)&平岡祐太くん(バーテンダー役)、サラリーマンを演じる劇団ひとりサン、そして「黒子の店員:加藤絵里」役の片瀬那奈クンです。フジテレビ深夜で「片瀬・ひとり」と来れば「フェイク・オフ」を思い出しますね。二作で主演のエピソードが在ったのが「ネオ・スープレックス:劇団・那奈ちゃん」の二人だけだった事からも大いに「フェイク・オフの逆襲」を感じさせます。

ま、片瀬クンの役柄も、一作目での「売り切れの憂鬱」では「黒子がひとつの焼肉屋店員」で、二作目での「立ち食い蕎麦屋の女」では「黒子が二つの立ち食い蕎麦屋店員&如月ハニーみたいな彼女のドッペルゲンガー?」と変化しておりますので、其の二人(もしくは三人)が同一人物とは云えません。便宜上「加藤絵里」とまとめて呼んでいるだけです。「アベレイジで演じた黒子の店員さん二人と謎の黒子の変なおねえさん」の総称と考えて下さい。

一作目では眼鏡をかけて頬をピンクに染めた冴えない風貌で「売り切れたレバ刺しの注文にオドオドしまくる焼肉屋店員」を演じ、二作目では黒子が増えただけでさほど変わらぬ風貌ながら「無口で不貞腐れた態度で客の好みを見透かす立ち食い蕎麦屋店員」と、彼女の鬱憤を代弁しイヤな客に生卵を投げつける「お洒落過ぎな分身?」を演じます。エピソードを繋ぐ「BAR」の場面にも二作とも登場し、二作目ではオープニングから続く最初のエピソードとして「立ち食い蕎麦屋の女」へ繋がり、他のエピソードが流れた後の「落ち」で再び「立ち食い蕎麦屋の女」のつづきが描かれます。

吃驚する様に地味な風体で演じた不可思議な役柄なのですが、此れが実に好いっ!無愛想な立ち食い蕎麦屋の女振りや、其の分身が生卵を「めんどくさいタクシー運転手(忍成修吾くん)」のタクシーに投げつけた後の異様な歩き方など、全篇に渡って愉快痛快な怪演が観れます。何より、一作目での「いらっしゃい、ませぇ〜」のへんちくりんな焼肉屋店員が面白杉でした。御本尊様も、かなりお気に入りのキャラクターと公言されております。まぁ、子供の頃の夢が叶った様な役柄ですから、宜なるかなでしょう。共演陣もみんな好い味を出し捲くっていて、あたくしは特に「平岩紙ちゃん」にヤラレましたね。好い女優さんだ。一作目はDVD化されているものの、全体の出来としてより面白い二作目のDVD化も是非ともお願いしたいですね。

片瀬クンは面白い役柄を沢山演じていますが、エレナ様とかうらら姫とかリコ様とかは「美人なのに変」って路線なのです。「アンナ美人でスタイル抜群なのに、何をやってんのよさ」って時点で、もう笑えちゃうわけよ。でも、此の役柄はもっと踏み込んで「冴えない風貌で変」って崖っぷちな演技を魅せてくれるわけでして、こりゃ美味し過ぎますよ。是非とも続編を待望して止まない傑作です。


「アベレイジ」INDEX


(小島藺子)



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2010年05月26日

「怪優・片瀬那奈・進化論」
act 038「流山まどか」

キミ犯人じゃないよね? DVD-BOX


 出演作:『キミ犯人じゃないよね?』
      第5話「ヴィーナスに魅せられた彼女」(テレビ朝日系)
 放映日:2008年5月9日(金曜日 23:15〜24:10)視聴率 9.7%

 映像作品:DVD「キミ犯人じゃないよね?DVD BOX」
      (角川エンタテインメント ACBD-10586)2008年9月26日発売


映画「20世紀少年」への出演と舞台「フラガール」主演が発覚し、紀行番組で印度へ向かった2008年春の片瀬那奈ちゃんが、2008年4月期の連続ドラマに出演するなど普通なら考えられませんでした。ところが、片瀬クンは連ドラ2作品にゲスト出演してしまいます。其れどころか、バラエティ番組とは云え「浜田警察緊急出動スペシャル!〜本当にあった男と女のサスペンス劇場〜」(読売テレビ:2008年4月17日放送)や「ショコラ」(日本テレビ:2008年5月3日放送)などは、所謂ひとつの「再現ドラマ」への出演でありまして、うっかり女優歴に加えたくなる程の熱演を魅せております。止まらないナァ。

「キミ犯人じゃないよね?」は、片瀬クンとは「信長の棺(2006年)」以来の再共演となり当時には考えられない程に出世しちゃった「貫地谷しほりちゃん=森田さくら」と、歴代ライダー俳優のひとりで此の直後に「二人の食卓」(テレビ朝日:2008年5月30日放映)で片瀬クンに自慢のイタリアン料理を振る舞い2010年に「泣かないと決めた日」でも片瀬クンと再共演する「要潤さん=宇田川教生」のコムビが主演の、推理コメディです。てか「此れは貫地谷しほり&要潤主演の推理コメディ」で済む説明が、何でこんなに長くなるのよさ。

毎回、セレブ刑事の宇田川を尻目に、ド素人で「推理作家の卵」の自称「神出鬼没のアルバイター」さくらが真犯人を突き止める展開で、宇田川が「持ってかれた美女」が実は真犯人ってのもお約束です。脚本が「ケータイ刑事」シリーズと同じ片でして、其れからの我田引水なパロディも多く、貫地谷ちゃんの無意味なコスプレなども含めて「コアなヲタ向けのマニアックな悪ふざけドラマ」とも云えます。第五話にゲスト出演した片瀬那奈ちゃんが演じるクールビューティーで「ルナルナパークの副園長」である「流山まどか」も、ズバッとスルッと「真犯人」ですよっ。

物語を詳しく説明するのは推理ドラマでは禁じ手ですが、此の作品なら大丈夫でしょう。ま、よーするに「流山まどか」は「ルナルナパーク」園長の実の娘で、亡くなった母ともども父親に捨てられ復讐を誓い立身出世して大企業から副園長の座に出向して来て、父親を殺害しちゃうわけよ。斜陽のテーマパークを復興させる為に園長と結託し彼が金星人にさらわれたとの芝居を打ち、殺人事件か?と思わせて捜索させ欺いて、其の後に本当に殺して最初に警察が疑った場所に埋めるってトリックで完全犯罪を企むものの、さくらに見破られてしまうのでした。迫真の殺害場面や宇田川を徹底的に見下す「ドS女王」振りが見どころで、真犯人なのに全く悲壮感が出ないスットコドッコイな落ちも待っています。

よく「クールビューティー」と称される片瀬那奈ですが、意外と「クールビューティー」な役柄を演じる機会は多くありません。一見「クールビューティー」乍ら、実は「変なおねえさん」でしたって役柄の方が定番です。此の「流山まどか」は、珍しく本当に「クールビューティー」な役柄なのです。ところが、作品自体の無茶苦茶さからなのか、まるで「クールビューティー」な役柄をパロディ化した様に感じられます。

思えば、連ドラへのゲスト出演は2003年の「こちら本池上署」以来の事でして、此れを観てもっとゲストでも出まくって色んな役柄を演じて欲しいと思ったものです。其の願いは「ええっ?こっちもあっちも出ちゃうの?」と驚かされる程に叶うのでした。

個人的には貫地谷ちゃんと対峙した場面での「頭ひとつ以上も違う二人の身長差」に、大いに萌えました。貫地谷ちゃんが垂直に近い角度で見上げてるのを顎を引いて見下ろす片瀬クンの図は、何なんだ?大人と子供じゃん!フレームに収まり切れませんよっ。カメラマンさん、本当に御苦労さん。まるでアノ時の「那奈理名」みたいだったよ。うん、実に好い構図だ。


「キミ犯人じゃないよね?」INDEX


(小島藺子)



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2010年05月27日

「怪優・片瀬那奈・進化論」
act 039「松沢明美」

ホカベン DVD-BOX


 出演作:『ホカベン』第7話「決意の凶悪犯弁護…大きな試練」(日本テレビ系)
 放映日:2008年5月28日(水曜日 22:00〜22:54)視聴率 8.4%

 映像作品:DVD「ホカベン DVD BOX」(VPBX-13941)
       2008年11月21日発売


「キミハン」に続いて、片瀬那奈ちゃんが2008年4月期連ドラ二本目のゲスト出演に挑んだのが「ホカベン」です。「暴れん坊ママ」で共演したウエッティが新人弁護士役で主演した作品で、半年振りの再会となったわけですが、其処で片瀬クンが演じた「松沢明美」は「強姦致傷事件の被害者」と云う衝撃的過ぎる役柄でした。

銀行員の明美は、通勤に使っているスクーターがパンクしていて困っているところにタイミング良く現れた予備校生の犯人に修理してもらい、つい気を許してカラオケボックスに二人で行き暴行されます。当然、パンクさせたのも犯人の罠だったのです。主人公の「堂本灯(上戸彩ちゃん)」が犯人の弁護を担当する事になり、同じ女性として最悪犯罪の被害者である明美を追い詰めなければならなくなるのでした。片瀬クンは、レイプされ裁判でも被害者なのに責められる悲惨な役どころです。

当然乍ら、此処には徹底的なシリアス演技で挑む片瀬那奈が居ます。正直に云いまして、ファンとしては直視するのが躊躇われる程の残酷な展開です。あたくしは、観ていて悲しくなってしまいました。裁判は犯人が実刑を免れない決着をみますが、そんなのは当然なわけで、犯された挙げ句に裁判でも散々心を傷つけられ捲った明美ちゃんが余りにも不憫だった。其れだけ片瀬クンが迫真の演技をしているのでしょう。

でも、やっぱこーゆーのって苦手だナァ。殺される役よりも観るのが辛いです。何でも演じるって云ったって、此れはよく受けたと思いましたよ。松葉杖姿も真に迫って痛々しく、法廷で灯の弁護に激怒して隠された場から飛び出しうっかり犯人を観てしまってガクブルになる場面もリアリズムに満ちているのですが、上手いからこそ正視に耐えません。あたくしは片瀬クンにこんな役柄は望んでいないのだよ。ドラマとはいえ、大好きな女優さんがこんな目に合うのはイヤです。「片瀬那奈は女優として果敢に演じたのだから、ガキみたいな事云ってんじゃねーよ」と詰られても構いません。イヤなもんはイヤなのだ。

あっ。未見の片が此れを読んで「妙な期待をして」DVDを観ようとか思っちゃったらアレなので云いますけど、カラオケボックスからボロボロになった姿で明美ちゃん逃げ出す事で鬼畜野郎の犯行を十二分に表現しておりますので、彼女が暴行される具体的な描写場面は、一切在りません。ちなみに、未亜たんは此の作品を正視する事が出来なかった(当日のレビューで「正視しました!」と書いているのはウソです)ので、あたくしが解説いたしました。


「ホカベン」INDEX


(小島藺子)



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2010年05月28日

「怪優・片瀬那奈・進化論」
act 040「平山まどか」

フラガール [Blu-ray]


 出演作:『フラガール』(TBS、他)
 公演日:2008年7月18日〜8月31日(赤坂ACTシアター、他)全36公演


舞台「フラガール」は、2008年の「女優・片瀬那奈」を考察する上で最重要作品です。いえ、僕にとっては、此れまで彼女が演じて来た中で最も愛着があるのが「平山まどか」だと断言してもいいでしょう。目の前で演じる片瀬那奈ちゃんを、僕は全36公演中27回、しっかりと目撃しました。赤坂ACTシアターでの東京全23公演は、全て最前列で観劇しました。運良く招待され制作発表にも参加出来ましたので、東京公演に関しては7月17日のゲネプロ以外を完全制覇してしまったのです。当初は全国公演も全て行く気マンマンでした。流石に其れは叶わなかったけれど、平日の昼公演も多かった東京公演全制覇だけでもよくやらかしたもんだと自分でも呆れます。

おそらく、2008年は長い「片瀬那奈ちゃんファン歴」で最も多く現場へ駆けつけた年です。舞台で「いわき、大阪、名古屋」へも飛び、トークショーでも「つくば、大阪、広島」と遠征しまくりました。無論、東京でのイベントや公録にもは出来得る限り行きましたし、「那奈ちゃんと同じ映画に出るのだ!」とばかりに「20世紀少年」のエキストラにも何度も参加しておりました。永遠に超えられないと思っていた「2002年〜2004年の歌手時代、一週間に十日来い!の日々」をも軽やかに超える「那奈莫迦振り」を777%炸裂させた時でした。仲間内からも「未亜ちゃん、遂に発狂したかっ」と驚かれる程のイカレ振りで御座居ました。其れは「片瀬那奈10周年」に対するファンとしての勝手な祝福でもありましたが、矢張り初主演舞台となった「フラガール」が発火点となってファイヤー・ボールへと燃え上がったがゆえの大暴走だったと思います。

此の片瀬那奈ちゃんにとって二度目の舞台は、2006年に映画賞を総嘗めにした名画「フラガール」を映画と同じ羽原大介さんの新たな脚本で、多くのスタッフも映画版から引き継がれ企画制作された作品でした。演出の山田和也さんは舞台版を依頼され、映画で松雪泰子さんが演じた主人公「平山まどか」のキャスティングに悩んだ時に、片瀬那奈ちゃんの奇跡の初舞台「僕たちの好きだった革命」を観劇し「まどか先生を見つけたっ!」と舞台化への「GO !」サインを出せたと後に語りました。「始めに片瀬那奈ありき」で決まった舞台で、片瀬那奈ちゃんは期待を上回る演技で応えます。

紀美子役の福田沙紀ちゃんとの「W主演」となっておりますが、沙紀ちゃんは未だ10代で此れが初舞台でしたから、実質的には「片瀬那奈の座長公演」と云えるでしょう。物語は基本的には映画と同じで、其れ故に失敗が許されない舞踏場面が大きな見どころのひとつです。まどか先生が映画版でも見せ場だった稽古場でひとり踊る場面を、片瀬那奈ちゃんは少なくとも僕が観た27公演では完璧に踊り切りました。更に、映画では描かれていない「SKD時代のダンス」や、カーテンコール後の「まどか先生のフラダンス」と、片瀬那奈ちゃんが踊る場面だけでも絶句するしかない舞台です。最前列ど真ん中で観劇した時には、生まれて初めて腰が抜けて暫く立ち上がれなくなった程に圧倒的なパフォーマンスでした。(当時の熱に浮かされた様な熱い観劇録は、過去ログに詳しく掲載されております。)

でも僕は東京全23公演よりも、其の後の「いわき、大阪、名古屋」での公演でより大きな感動を得ました。舞台上と客席が一体となって創り上げる一期一会の奇跡を体感出来たのは、観客のチカラが明らかに東京よりも勝っていたからです。まどか先生のモデルで舞踏振付・指導を担当された「カレイナニ早川先生」に「毎日来てくれるナナちゃんのファン」と認識されて何度かお話させて頂いたのですが、フラガールの地元:いわき公演で「先生、いわきは東京よりも圧倒的に素晴らしかったですよ」と云ったら、早川先生は「そうでしょ?東京のお客さんは、フラガールを分ってないのよ」とズバッと返して下さいました。

観客の温度差が大きく開いてしまったのは、正直に申しまして東京での23公演が多過ぎたからでしょう。いくら夏休み中と云ったって、沙紀ちゃんは初舞台で、那奈ちゃんも二度目だったんですよ。期待度が大き過ぎます。勿論、素晴らしい舞台であった評価は変わりませんが、20日間で休演日を除けば「17日で23公演」って明らかに無謀でしょう。ま、那奈ちゃんは「東京は毎日、お客さんのテンションが違って面白い」なんて語ってましたけどね。其れに、僕にとっては23回どころか永遠に終らなくとも通い続けたであろう舞台であった事も偽らざる真実です。23回、目の前に舞台しか無い状態の僕には、那奈ちゃんしか見えなかった。最前列では舞台全体を観るなんて不可能なので、23回全部観るんだから其の内に那奈ちゃん以外に視点を合わそうと思っていたのだけど、そんな事は無理でした。そもそも、そんな事が出来るなら僕は全公演を最前列で観劇するなんて素っ頓狂な事をしなかったでしょう。自分でも呆れる程に、僕は片瀬那奈ちゃんが好きなんだと分った夏でした。

片瀬那奈ちゃんは、舞台映えします。2007年と2009年の「僕たちの好きだった革命」や、2008年の「フラガール」を御覧になられた片なら異論はないでしょう。そして、僕が歌手時代の那奈ちゃんをこよなく愛したのは数多いステージを観たからです。テレビや映画や雑誌の中の那奈ちゃんも好きだけど、本当にドキドキが止まらないのは目の前に降臨する現場での晴れ姿です。毎日、舞台「フラガール」に通った2008年の夏、僕はダンダンダンと現実感が無くなってゆく程に夢心地でした。僕は「フラガール」の公演が行われた一ヶ月半、いえ、正確に云えば出演が発覚してからの半年近い間、観劇する為に他の全てを捨てても構わないと臨みました。其れは、全く以て正しい道だったと、今でも思います。

繰り返しますが、舞台「フラガール」とは、多くの賞を得た映画「フラガール」を舞台化した作品です。片瀬那奈ちゃんが挑んだ「平山まどか」を映画版で演じた松雪泰子さんは数々の主演女優賞を獲得しました。大きな期待を観客が抱き、評価が高い映画との比較も必須となる舞台だったのです。那奈ちゃんは、未だ二度目の舞台で初主演でした。スタッフからもファンからも「先ず持って、片瀬那奈ありき!の舞台」と持ち上げられ、想像を絶する重圧が在ったでしょう。其の全てに、那奈ちゃんは克ちました。だからこそ、御園座での千秋楽で涙する那奈ちゃんは、あんなにも美しかったのです。

TV放映も映像作品化もされていない傑作舞台「フラガール」に望むのは、初演のDVD化では無く「再演」です。そして、云うまでも在りませんが云わせて頂きましょう。もしも再び此の舞台が上演されるのならば、平山まどかを演じるのは、片瀬那奈です。


「フラガール」INDEX 改訂版


(姫川未亜)



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2010年05月29日

「怪優・片瀬那奈・進化論」
act 041「敷島ミカ」

20世紀少年 <最終章> ぼくらの旗 豪華版 (本編DVD1枚+特典ディスクDVD1枚)※生産限定


 出演作:『20世紀少年』(東宝、他)
 公開日:第1章:2008年8月30日
      第2章:2009年1月31日
      最終章:2009年8月29日

 映像作品:DVD、Blu-ray「20世紀少年」第1章〜最終章(バップ)
       第1章:2009年1月30日発売
       第2章:2009年8月28日発売
       最終章、及びDVDセット:2010年2月24日発売


邦画史上最大のスケールで制作された映画「20世紀少年」三部作へ、原作マンガのファンで「太陽の塔の役でも好いから出たい!」と望んだ片瀬那奈ちゃんは「敷島ミカ」役で出演しました。

原作での「敷島ミカ」は最終兵器とも云うべき重要な役どころですので、配役が公表されてから僕は大いに期待し三部作全てにエキストラとして参加しました。「那奈ちゃんと同じ映画に出れるチャンスだ!」と同志諸君を大いに煽動し「デスノートを超える悪女路線の決定版だ!」と煽りまくったのです。ところが、一度も那奈ちゃんが演じる敷島ミカは現場に現れず、何となくイヤ〜な予感がして来ました。結果は御覧になられた片ならお分かりの通りで、第1章では原作通りにイメクラで働きケンヂと対面する姿が描かれ最終章への伏線と思わせますが、ストーリーは改変され第2章と最終章では台詞も無く「1シーンへの出演」に留まる端役になってしまいます。一体、風俗嬢を演じたのは何だったのかっ。あのナース姿が最後に繋がるんじゃなかったのですかっ。

脚本を原作者の長崎さんと浦沢さんが自ら担当しておりますし、総勢300名と云われる出演者でも描き切れない原作での多大な登場人物を間引きしなければ三部作でもまとめ切れなかったゆえの改変だとは理解出来るのですが、こっちとら「ハッキリ云って、片瀬那奈ちゃん目当てだっ」で映画館に足を運んだわけでして、「一体こりゃどーゆー冗談なのよさ?」と思うしかありません。「僕たちの好きだった革命」映画化延期(中止か?)の鬱憤も重なり「堤カントク、何をやらかしとるんじゃ」と憤懣遣る方無しで映画館を後にしたものです。

僕にとっては、映画製作の現場に何度も立ち会い、子供の頃から憧れた東宝スタジオへ足を踏み入れ、多くの俳優さんにも逢う事が出来た感慨深い作品です。確かに、僕は片瀬那奈ちゃんと同じ映画に出演し映像作品として遺りました。でも、只其れだけです。其れは本来なら「オマケ」でなければならなかったのです。僕が望んだのは「敷島ミカ」の極悪非道な活躍でした。大作ゆえに片瀬那奈の代表作とプロフィールに書かれるのを目にする度に「ホントに映画を観てんのかよ」と思ってしまいます。そー云えばドラマ代表作にも「ラストクリスマス」とか平然と載ってたりするのよさ。「美少女H2」や「三代目きれいなおねえさん」は許せても、「ラスクリ」とか「20世紀少年」が代表作じゃ納得がゆかないっ。雑誌のプロフィールを鵜呑みにして其れ等だけを観て那奈ちゃんを評価されたんじゃ、あんまりじゃまいかっ。ぜいはあ、、、。

初主演舞台「フラガール」などで多忙な中で端役乍らも出演した片瀬那奈ちゃんにとっては、本当に「太陽の塔の役でも好いから出たかった」映画だったのでしょう。僕にとっても「片瀬那奈ちゃんと同じ映画に出たい!」と思って実行した映画です。此の映画は、其れ以上でも其れ以下でもありません。


「20世紀少年」INDEX


(姫川未亜)



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2010年05月30日

「怪優・片瀬那奈・進化論」
act 042「宝生小百合」

ブラッディ・マンデイ DVD-BOX I


 出演作:『ブラッディ・マンデイ Season1』第1話〜第5話(TBS系)
      『ブラッディ・マンデイ Season2』第1話(TBS系)
 放映日:2008年10月11日〜11月8日、2010年1月23日
     (毎週土曜日 19:56〜20:54、初回2時間スペシャル版)
      平均視聴率 Season1:11.4%、Season2:8.1%

 映像作品:DVD「ブラッディ・マンデイ DVD BOX 1」(アミューズ ASBP-4326)
        2009年1月23日発売
        DVD「ブラッディ・マンデイ DVD BOX 2」(アミューズ ASBP-4327)
        2009年3月27日発売
        DVD「ブラッディ・マンデイ Season2 DVD BOX」
        2010年6月25日発売予定


初主演舞台「フラガール」を見事に完走した片瀬那奈ちゃんは、「暴れん坊ママ」以来壱年振りに連ドラのレギュラーへ戻って来ました。そして同時期に「歌手・片瀬那奈復活!」と云う驚愕すべき出来事も起こります。其れ等すべてが、デビュー10周年イヤーで魅せた片瀬那奈ちゃんからの愛情溢れる素晴らしい贈り物でした。

映画「20世紀少年」に期待した悪女路線の決定版は、同じく東宝が制作に関わった此の「ブラッディ・マンデイ」で果たされます。片瀬那奈が演じた「宝生小百合」は自衛隊特殊部隊出身の公安調査庁テロ対策組織「THIRD-i」のメンバーで主人公「藤丸(三浦一馬くん)」と其の妹「遥(うみに〜:川島海荷ちゃん)」の護衛役を担当しますが、実はテロ組織のスパイです。宝生はかつて国家によって死に追いやられた兄の復讐の為にテロ組織に加担しましたが、非情に徹し切れず人質を解放し、拳銃で頭を撃ち自決します。

「THIRD-i メンバー兼スパイでテロリスト」としてのクールビューティー振りを大いに魅せつつも、護衛する遥へ柔らかで強い母性的な愛情を注ぐ人間らしさも隠せない「悪人になり切れない役どころ」は、片瀬那奈ちゃんの真骨頂でしょう。多彩な関節技や蹴りを屈強な男子相手に見事に決めるアクションも見どころです。片瀬クンは「U系」のファイト・スタイルがよく似合いますね。

屋上で夕陽を背にして自ら頭を拳銃で撃ち抜き絶命する第4話で宝生小百合の出番は終了しますが、どう考えても「小百合ちゃんにホの字」だったとしか思えない上司の加納(タモッちゃん:松重豊さん)が事在るごとに回想する為に、第5話と第二部の初回にも登場し、自害場面が三回もリピートされます。実質的にはたったの四回で死んでしまう役柄なのですが、其のインパクトは強烈だった様で、2008年11月29日に広島ガス展で行われたトークショーでは其の前にあった「ゴーオンジャー・ショー」目当てで集まったチビッコたちも「ほうしょうおねえさんが来る!」とばかりに居残り「ななちゃ〜ん!」と可愛い声援を送っておりました。

片瀬クンは「え〜、みんなみてくれたの?おねえさん、こんなのこと(頭に指でピストル・ポーズ)して死んじゃったのに、こわくなかった?」とご満悦で御座居ましたが、後で考えれば既に「歌のおねえさん:美月うらら姫」の試運転に入っていたのだとも思えます。そう云えば「僕たちの好きだった革命」初演千秋楽の大阪で出待ちをした時に、片瀬クンは眼鏡をかけて登場しました。単なる伊達眼鏡ファッションかと思ったら、次作の「地獄の沙汰はヨメ次第」での「みちるっち」がメガネちゃんだったのでした。必ず、其の後に繋がるヒントは在るのです。

「宝生小百合」が中盤で死んでしまって、2008年は終ったと思えました。「片瀬クン、御苦労さん!また来年」と労おうとしたのですが、片瀬クンは「宝生が途中で死んだから転生しちゃうぞっ」とばかりに、2008年10月期の別の連ドラにゲスト出演しちゃうのです。しかも、二作品に。1クールで三つの連続ドラマに助演する女優なんて、なかなかお目に掛かれるものでは在りません。うっかり片瀬クンは、連ドラ三本を掛け持ちする程の「売れっ子助演女優」になっていたのでした。


「ブラッディ・マンデイ」INDEX


(小島藺子/姫川未亜)



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2010年05月31日

「怪優・片瀬那奈・進化論」
act 043「ドンマルク王国から来た女性」

Room Of King DVD-BOX


 出演作:『Room Of King』第8話〜第9話(フジテレビ系)
 放映日:2008年11月22日、29日(土曜日 23:40〜24:25、23:10〜23:55)
      平均視聴率 7.2%

 映像作品:DVD「Room Of King DVD BOX」(Aniplex ANSB-5511)
       2009年7月22日発売


宝生小百合が壮絶に自害し「ブラマン」での出番が無くなった片瀬クンは、愛弟子「カブト:水嶋ヒロくん」主演の連ドラ「Room Of King」の終盤にゲスト出演しました。

役柄は「ドンマルク王国から来た女性」で、名前も定かでは在りません。カブト演じる「森次郎」がルームシェアする面々の一人で部屋に籠って絵を描いている「高草木空(大倉考二さん)」の作品を屋外で売ろうと二人で出店したところ、いきなりだナァと現れて「此れ、全て下さい、すべて」と流暢な日本語で語ります。彼女には高草木を王国へ招聘する任務が在る様なのですが、高草木に其れを伝える時も普通に日本語ペラペラです。ま、よーするに何だかよく分らない端役なのよさ。

かつて女優回帰した頃に華々しく出演した「ラストクリスマス」や「不機嫌なジーン」を観た時に、あたくしは「何故、こんな端役を片瀬那奈が演じるのだっ」と落胆しました。でも、其れから四年を経て「ドンマルク王国から来た女性」なんて固有名詞すら無い端役を演じる片瀬那奈を観た時には「片瀬那奈がこんな端役を演じるから面白い!」と絶賛していました。此処に居るのは、正に「特別出演」として華を添える「名女優:片瀬那奈」です。誰が演じても構わない端役をも、片瀬那奈の色に染めてしまう領域に至っています。

あっ。でも、あくまでも端役ですからね。ドラマ好きな片は兎も角として、片瀬クンがお目当てならば、「片瀬クンが出てるドラマなら全部みたい!」ってコアな片にしかオススメはしません。


「Room Of King」INDEX


(小島藺子)



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2010年06月01日

「怪優・片瀬那奈・進化論」
act 044「三浦純」

小児救命DVD-BOX


 出演作:『小児救命』第7話「モンスターペアレントVS女医」(テレビ朝日系)
 放映日:2008年12月4日(木曜日 21:00〜21:54)視聴率 6.2%

 映像作品:DVD「小児救命 DVD BOX」(ポニーキャニオン PCBE-63281)
       2009年3月18日発売


「ブラマン」と「ROK」だけでは満足出来ない片瀬那奈ちゃんは、「小児救命」へもゲスト出演しました。役柄は、シングルマザーでホステスです。医療費を払えずにナンダカンダとクレームを付けますが、息子の容態が悪くなって仕事を投げ捨て駆けつける母性を魅せます。

あたくしは片瀬クンが出演した回しか視聴しなかったので全体の流れが分らず、片瀬クンが出た回も様々なエピソードがてんこ盛りで「何だかとっ散らかった演出だナァ」としか思えないドラマでした。片瀬クンのシリアスな演技は色っぽくって実に好かったのですけど、役名が「みうらじゅん」ですからね。笑ってまうやないか。挙げ句に、心太(塚本高史くん)、黒金(陣内孝則さん)、北村(デビット伊東さん)が出演しているのです。こんなに被っちゃったらさ、

「おいおい、西豪寺エレナ様かよっ」

と、思わずにおれないじゃまいか。此処まで被るなら、主役を小西真奈美さんじゃなくってミクロちゃんにしちゃえば好かったのになんぞと思いつつ、「片瀬クンが勤めるお店なら毎晩でも通いますよっ」と本筋など無視して萌えてしまった作品です。

TBS、フジ、テレ朝と三局の同時期連ドラを渡り歩いた片瀬クンは、間髪入れずに日テレの「リセット」へ出演します。テレ東もしっかり「アド街」などで押さえ、2008年末から2009年初頭に掛けて「民放全局制覇」を果たしました。残るは天下の日本放送協会ですが、総合への出演は過去にも「FLY」などで在り、翌2009年には「ゴースト・フレンズ」へも出演します。遂に最後に残った地上波は「NHK教育」だけとなります。其の結果がどうなったのかは、説明不要でしょう。


「小児救命」INDEX


(小島藺子)



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2010年06月02日

「怪優・片瀬那奈・進化論」
中入りの拾:「2008」

週刊朝日.jpg top_hon_03.jpg


片瀬那奈は「1998年に片瀬那奈になった」ので、2008年は「片瀬那奈襲名10周年」でした。但し女優デビュウは1999年なので、翌2009年が「女優生活10周年」となります。ま、兎にも角にも目出度い時を迎えたわけです。

其の記念すべき「片瀬那奈襲名10周年イヤー」を、片瀬クンは八面六臂の大活躍でファンの期待に応えます。年頭から「う〜りゃぁ〜たぁ〜っ!」と主演ドラマ「ミラクルボイス」で始まり、初主演舞台「フラガール」で最高の「ナナノナツ2008」も魅せてくれました。冠ブランド「So close, 7」も絶好調で、多くのバラエティ番組へも出演し、まさかまさかの「歌手活動再開!」までやらかします。

趣味を活かしてサッカー関連番組へも進出し、「ガンダム好き女優」とか「御当地キューピー・コレクター」とか「家電女王」などと次々に「遊んで儲ける好い女」振りを発揮します。本分で在る女優業も絶好調で、詳述した作品以外でもバラエティ番組の中で再現ドラマに挑んだりと幅を広げました。更に、此の年は日本全国を巡った「ブルー・ジャーニー(BS-朝日)」や、印度を旅した「絶景!アジア紀行(TBS)」などの紀行番組への出演も目立ちました。「絶景!アジア紀行」ではナレーターも担当し、語り部としても大きな評価を受けます。

寝る間も惜しむ程の頑張り屋さん振りは、翌2009年も止まりません。いえ、其れどころか益々拍車が掛かってゆくのでした。


(小島藺子)


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2010年06月10日

「怪優・片瀬那奈・進化論」
act 045「園田香織」

リセット スペシャル ディレクターズカット [DVD]


 出演作:『リセット(恋のゆくえ)』(読売テレビ系)
 放映日:2009年1月15日(木曜日 21:00〜22:48)視聴率 9.6%

 映像作品:DVD「リセット スペシャル ディレクターズカット」
      (吉本 YRBN-90055)2009年4月1日発売


女優生活10周年となる2009年の片瀬那奈は「リセット」で始まりました。此の作品は現在「プロゴルファー花」が放映されている「木曜ナイトドラマ」枠で同日に始まった連続ドラマの前篇として制作された三話オムニバス形式のスペシャル・ドラマです。片瀬クンは第三話「恋のゆくえ」に主演しました。ちなみに、此れも原作はマンガです。

「未来遊園地」以来のドラマ共演となった連ドラ版の主役「アンリ」を演じるココリコ田中さんが、如何にして「アンリ」になったのかとの謎も描いたのが「恋のゆくえ」です。片瀬クン演じる「園田香織」は、田中さんが演じる「アンリ」になる前の「園田照彦」と見合い結婚した妻ですが、元カレで映画監督になった「岸本信生(忍成修吾くん:片瀬クンとの共演率が高い俳優さん)」の映画を観て「此れはあたしに捧げた作品だわ」と思ってしまいまして「前任のアンリ(津川雅彦さん)」の力で人生をリセットし、岸本についてゆく道を選び直します。

やり直した人生での岸本はうだつが上がらず映画も撮れそうにないので、香織はホステスになって生活を支えますが、ヒモになった岸本は女癖も悪く、香織はどんどん堕ちてゆくのです。そんな時に勤めるお店で園田と再会し「一緒に田舎に帰って結婚しよう」と告白され、心が揺れます。二人の仲を邪推した岸本は、園田を刺殺してしまいます。園田の妻だった「元の人生」に戻れば彼の命は救われるのですが、香織は無情にも岸本との「リセットした波瀾万丈な人生」を選択します。そして、とばっちりを受けて死んだ園田は「他人の人生をリセットさせる天使:アンリ」になるのです。

片瀬クンは、主人公の成り立ちを明かすエピソードで重要な役柄ですが、あくまでもスペシャル版のひとつにゲスト主演しただけです。なのに此の放送があった2009年1月15日に、片瀬クンは田中さんと一緒に番宣に勤しみました。お昼の「ミヤネ屋」から夕方の「リアルタイム」まで、日テレちゃんに出ずっぱりだったのです。しかも、同日の午前中にはテレ朝で「歌のおにいさん」制作発表に登場し「パピプペポン体操」を歌い踊ったのでした。余りにも天晴れな「番宣隊長」ぶりだっ。一体、何が其処まで片瀬クンを番宣へと駆り立てるのでありましょうか。

園田香織は「平凡な主婦」や「女学生」そして「生活に疲れたホステス」と、様々な姿をシリアスに演じる役どころです。此処には、二つの違った人生での正反対な生き方を見事に演じ分ける「名優:片瀬那奈」が居ます。特に「セクスィ〜部長」や「小児救命」に続いて演じたホステス役は好いですね。片瀬クンがホステスだったら、人生を捨てて通い詰めますよっ。いや、マジで。

2009年も順調なスタートを切ったと思われた片瀬那奈ですが、翌日(2009年1月16日)に始まった「歌のおにいさん」での「美月うらら姫」の登場で、いきなりだナァとレッドゾーンを超えてしまいます。「西豪寺エレナ様こそが頂点」と信じて疑わなかった「爆裂怪優路線」の高見を軽やかに超えた。僕たちは「怪優・片瀬那奈に、天辺は無し!」とまざまざと思い知らされる事となります。


(小島藺子)


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2010年06月11日

「怪優・片瀬那奈・進化論」
act 046「雪代」

朝食亭 [DVD]


 出演作:『朝食亭』(WOWOW)
 放映日:2009年2月28日(土曜日 20:00〜22:00)

 映像作品:DVD「朝食亭」(SMD jutaku)2009年9月30日発売


さて「美月うらら姫」を語る前に「朝食亭」に触れなければなりません。此の作品は2009年2月末日にWOWOWで放映され、其の後も何度か再放送されたドラマです。撮影されたのは、おそらく2008年末だと思われます。片瀬クンが演じる「雪代」は、主人公「高見美沙子(瀬戸朝香さん:片瀬クンのプライベイトでの友人としても有名)」の友人で、美沙子に恋人「朝倉清彦(池内博之さん)」を奪われ自殺してしまう「悲しみがとまらない」役柄です。

物語が始まった途端に交通事故で死んだ清彦の後を追って雪代も自殺して、其の後は回想シーンで登場します。朝食亭に通う「タクシー運転手:佐藤(田山涼成さん)」が実は「雪代の父親」で美沙子に逆恨みをしていたとか、他の客も全員が事件に関わっているって無理矢理な展開で、ハッキリ云って「つまんないドラマ」です。出演陣は豪華絢爛ですし、片瀬クンのシリアスな演技は充分に及第点を与えられるものの、お話が出鱈目過ぎだし「朝食亭」なんてホンワカした題名に反して暗過ぎます。「二時間サスペンス・ドラマの亜流かよっ」と絶句してしまうお粗末な出来映えでした。

瀬戸さんとのガチンコ再共演や「キチホンさんが父親」って大ネタを有し乍ら、作品としてはダメダメになってしまったのですから、失望も倍増しました。片瀬クンには何の罪も在りませんが「リセット」と「朝食亭」でのシリアス路線は、不運にも「正統派女優」としての片瀬那奈の限界を感じさせます。そんなシリアス路線での作品に恵まれなかった時に、片瀬那奈は「本当に好い役」に巡り会いました。其れが「美月うらら姫」です。其の詳細は、次項で大いに語りますよっ。

「朝食亭」は、片瀬クンが出演したドラマ作品では「ラストクリスマス」と双璧をなす駄作です。同時期に「美月うらら姫」が大活躍していたので「ま、たまにはこーゆーのもあるのよさ」と流せましたけど、こりゃ無いよ、酷過ぎる。全く以て、詰まらん。どんなに片瀬クンが頑張っても、作品がツマンナイんじゃ「どーしよーもねー」のよさ。「WOWOWは、黙って映画だけ流してろ」と云うしか在りませんです。


「THANX 4 まるか」 (小島藺子)



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2010年06月12日

「怪優・片瀬那奈・進化論」
act 047「美月うらら」part 1

歌のおにいさん [DVD]


 出演作:『歌のおにいさん』全8話(テレビ朝日系)
 放映日:2009年1月16日〜3月13日(毎週金曜日 23:15〜24:10)
     平均視聴率 10.8%

 ザテレビジョン「ドラマアカデミー賞」2009年1月〜3月期、助演女優賞受賞

 映像作品:DVD「歌のおにいさん DVD BOX」(コロムビア ZMSH-4790)
      2009年7月22日発売


「美月うらら」は、片瀬那奈が女優10周年にして遂に助演女優賞を初受賞した記念すべき役柄です。番組への出演が決まった段階では「脇役のひとりだな」と左程は期待していなかったものの、本放送前日の2009年1月15日に行われた制作発表で「いきなりだナァ」とばかりに「パピプペポン体操」をど真ん中で歌い踊る姿を目撃し「此れは凄い事になりそうだっ」と胸を躍らされました。

果たして、片瀬那奈は本人も「本当に好い役」と宣った通りに驚くべき怪演をやらかします。主人公「矢野健太(おーちゃん:大野智くん)」がうっかり間違って面接し合格してしまった子供向け番組「みんなでうたお!パピプペポン」の「歌のおねえさん」である「美月うらら」は、高松塚歌劇団キトラ組の娘役から転身したお嬢様です。言葉使いはお姫様口調で、歌う童謡も過剰なオペラ風で、浮世離れしたぶっ壊れたキャラクターでした。2010年現在に放映中の「テレビでスペイン語」での「姫様」の雛形とも云えます。初登場シーンから、自分の世界に入り込んだ珍妙な存在感を大いに示す演説を捲し立てます。どっからどーみても「変な人」なのです。正に捨て身の熱演でした。

其れでも、初回から第二話までは「みなうた」を仕切っている「氷室王子(戸次重幸さん)」に従順な「単なる常軌を逸した脇役(いや、もう其の時点で充分に変だから、、、)」かと思えたのですが、第三話で氷室王子がリストラされて主役に躍り出てしまいます。さあ、もうどうにもとまらない。毎回披露される童謡では、在ろう事か「全身タイツで被り物」とか「着ぐるみでお相撲をとる」とか、美人女優でクールビューティーなんてイメージを根底から覆す暴走をやらかします。更に、うらら姫は普段着でも摩訶不思議なスタイリングを披露しまくっております。余りにも無茶な役柄なのですが、片瀬那奈は拒むどころか嬉々として挑んでいます。基本的に、那奈ちゃんはこーゆー事が大好きなのよさ。だからこそ、僕たちは「那奈ちゃんゾッコン☆LOVE」になったのです。でもさ、此処までやるか?御本尊様。高いテンションを持続させる為に、不眠不休で役作りをしていたとも云われております。

「西豪寺エレナ様」で開眼した「爆裂怪優路線」を、当時「思いの外に受けている」と語りあえて長く封印していた片瀬那奈は、其の本領を遂に露にしたのです。此れが評価されないわけがありませんので、此処でも「助演女優賞を与えて然るべきだ!」と大絶賛しました。現実に那奈ちゃんが助演女優賞を受賞した時には、心底嬉しかったです。僕たちは那奈ちゃんの大ファンですから賞を取る事が全てではないけれど、矢張り受賞歴が遺るのは意味が在ります。世間一般的にも、確かに片瀬那奈の渾身の演技が評価されたとの証しになりました。改めて「那奈ちゃん、御目出度う!」と云いましょう。

僕はずっと「西豪寺エレナ様」こそが「女優・片瀬那奈」の最高傑作だと思っていました。そして、彼女が其の路線を安易になぞる事なく様々な役柄に挑戦する姿に感動しましたし、舞台での「小野未来」と「平山まどか」には心の底から熱狂しました。でも、目の前で「平山まどか」を演じる片瀬那奈を27回も繰り返し観て腰まで抜かしたのに、其れでも「エレナ様の衝撃を超えた」とは感じなかった。此の時に、自ら創った大きなハードルだったエレナ様を片瀬那奈は軽やかに超えました。だからこそ、僕は「美月うらら姫こそが史上最強キャラだ」と喧伝したのです。ところが「怪優・片瀬那奈に天辺など無い」との事実を、2010年の現在に「高瀬リコ」で思い知らされています。かつてアントニオ猪木は「過激なプロレスラー」と称されましたが、片瀬那奈は「過激な女優」と呼ばれて然るべきでしょう。うらら姫は、其の台詞回しや奇抜なファッションに目を奪われる特異なキャラクターですが、細やかな仕草も素晴らしく、明らかに「西豪寺エレナ様」をも凌駕しています。其れは、矢張り舞台を経験してからならではの成長の証しです。片瀬那奈は、本当に好い女優になりました。

此の作品は深夜枠で8話と通常の尺よりも短かいドラマでしたが、数字も毎回二桁で、片瀬クンの助演女優賞を始めとして主題歌もドラマ主題歌賞を受賞し、作品賞と主演男優賞部門でも二位にランクされ、大いに評価されました。個人的には「1999年度水着キャンギャル」同期の滝沢氏との満を持しての共演にも、胸を高鳴らせて頂きました。そして「歌い踊る片瀬那奈ちゃん」も、たっぷりと堪能出来ます。歌手でも在る片瀬那奈が、此れ程までにドラマで歌い踊る姿を披露したのは現時点では此の作品だけです。其の歌唱に関しては役柄に沿って本来の片瀬那奈の歌声とは大きく違っていますが、他のドラマでは観れない貴重なパフォーマンスが記録されております。ゆえに「美月うらら」part 2 と別項を設けて、コアな考察を試みます。


(小島藺子/姫川未亜)


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2010年06月13日

「怪優・片瀬那奈・進化論」
act 047「美月うらら」part 2

歌のおにいさん [DVD]


うらら姫が劇中で披露した楽曲をまとめてみました。此れは「片瀬那奈がきこえる」の番外編としても成立するリストです。市販盤DVD-BOXの特典映像で主要な楽曲をまとめて観る事が出来ますが、此処ではオンエア時に遡ってリストアップしています。


01:パピプペポン体操
(第1話〜第8話)ドラマ用オリジナル

番組内子供向け番組「みんなでうたお!パピプペポン」のオープニング曲で、制作発表でも披露され全話で流れたオリジナル楽曲です。うらら姫は、基本的には赤いベレー帽を被りピンクのセーターに可愛いサロペット姿でセンター・メインで歌い踊ります。第1話では、金色ドレス姿で氷室王子とデュエットする「健太&守が加入前のヴァージョン」もドラマ内TV画面で確認出来ます。第2話の「みなうた」生放送では氷室王子と共に白と桃色のドレス姿で歌います。氷室王子がリストラされた第3話では、新たな桃色ドレス姿でど真ん中で嬉々として歌い、在ろう事か健太を演じる天下の嵐リーダー「おーちゃん」をハリセンで殴り捲る晴れ姿が観れます。第4話からは「マカロン・キッズ」を加え、野外ライヴも披露されました。また、此の楽曲のインスト版は「鉄板少女アカネ!!」のサントラ盤同様にTVバラエティ番組などのBGMに結構頻繁に使用されています。

02:雪
(第1話)作詞:不詳(乙骨三郎?)、作曲:不詳(文部省唱歌)

氷室王子と二人でのリハーサルと、健太(猫)&守(犬)を加えた収録場面で歌われました。うらら姫は金色のドレス姿で、氷室王子とデュエットしています。よく「ゆきやこんこん」と間違って歌われますが、正しくは「こんこ=来む(来い=降れ)」です。文部省唱歌の為、作者は口外を禁じられており、不詳です。

03:桃太郎
(第1話)作詞:不詳、作曲:岡野貞一(文部省唱歌)

久しぶりに子供たちをスタジオに入れての「みなうた」収録場面で、桃太郎コスプレの氷室王子をメインにして歌われます。健太が猿で守は犬ですが、うらら姫は、なな、なんと「キジ」のコスプレで「鳥あたま」の被り物姿です。過剰な付け睫毛もしていて、一瞬、我が目を疑う格好でした。自分より目立つ子供たちを氷室王子が排除したリテイクでは、最初をうらら姫がソロで熱唱しております。其の際には、新入りの健太と守を服従させる為に、氷室王子が勝手に改竄した歌詞で歌われました。実際の歌詞も後半は♪つぶしてしまへ、鬼が島♪とか結構過激です。

04:どんぐりころころ
(第2話)作詞:青木在義、作曲:梁田 貞

金色のお姫様ドレス姿で、氷室王子とデュエットしています。健太がドングリ、守がドジョウの被り物姿で、氷室王子が健太を虐めまくる収録場面とオンエア版が流れました。また、ドングリとドジョウの被り物は物語の後半で「ジゼル」のメムバーが健太に再加入を促す際に何故か被っておりました。長いものに巻かれ捲り我関せずのうらら姫が♪ぼっちゃんいっしょにあそびましょ、うぉ〜♪とフラットしまくる歌唱は、破壊力抜群です。歌詞の意味をうらら姫が健太と守に独自の解釈で解説する場面も、爆笑を誘いました。

05:クラリネットをこわしちゃった
(第3話)訳詞:石井好子、フランス民謡

氷室王子がリストラされ、まんまとメインの「歌のおねえさん」になったうらら姫が、青いドレス姿でクラリネットを吹き乍ら歌います。第3話からは基本的にはうらら姫がど真ん中メインで、健太&守を従えたカタチで披露されます。うらら姫は健太が笑顔をみせないのに怒り、クラリネットを「プヒ〜!」と吹き鳴らし中断し、説教します。メインの「歌のおねえさん」になってからは、収録スタジオに「うらら姫のソファー」が用意され、ふんぞり返っております。

06:おおきなくりのきのしたで
(第3話)訳詞:不詳、外国曲

黒いドレス姿のうらら姫がメインで歌います。健太と守は「栗」の被り物姿です。うらら姫は、最後に♪おおきなくりのきのした、でぇえ〜♪と過剰なオペラ風歌唱を披露します。全篇を通して、うらら姫の歌唱は「高松塚歌劇団キトラ組」出身の役柄に合わせた「過剰なオペラ風」になっており、ファルセットで音程も狂いがちですが、わざとやっているのです。栄光の歌手キャリアを捨てた様な女優魂を魅せて下さいました。

07:てをたたきましょう
(第3話)補作詞:小林純一、外国曲

うらら姫は桃色のドレス姿で溌剌と歌いますが、「クラリネットをこわしちゃった」同様に笑顔をみせない健太に対して「もっとアニマル浜口みたいに笑わないとっ!」とアドバイスする名場面が在ります。氷室王子からうらら姫に政権交代し、一見何も変わっていない様に思える「みなうた」ですが、独善的な氷室王子とは違い、うらら姫は子供番組を彼女なりに深く愛していて、健太たちにキチンと指導しています。

08:やぎさん ゆうびん
(第4話)作詞:まど・みちお、作曲:團 伊玖磨

郵便配達さんのコスプレのうらら姫が、黒ヤギ(健太)、白ヤギ(守)、マカロン・キッズ、子供たちを従えてメインで歌います。男装での女らしい振り付けは、妙に色っぽいです。歌劇団出身らしい(うらら姫は娘役でしたけど)立ち居振る舞いと云えるでしょう。ちなみに「まど&團」の作品では他に「ぞうさん」が有名です。

09:七つの子
(第5話)作詞:野口雨情、作曲:本居長世

全身タイツで被り物と云う「カラスのコスプレ」でうらら姫が歌う「衝撃映像」です。第5話は美月うらら姫がメインのお話で、かつて在籍した歌劇団時代の姿も写真のみですが公開されています。質問コーナーでは黒い魔女風コスプレも披露しており、シリーズ中でも最も片瀬那奈ちゃんファンにとって愛すべき逸話でしょう。此の回から「健太の父親・光雄(小野武彦さん)」が、うらら姫を「別嬪さん」と呼び出しました。終盤での自分の居場所をみつけた「うらら姫の演説」は感動を呼びますが、其の姿は「カラス」なのです。全身タイツで頭に間抜けなカラス頭の被り物をしているのですよ。普通なら説得力など望めない状況ですが、深く心に残る名場面となりました。へんてこりんな姿で真摯に子供たちに語りかけ、感動させてしまったのです。此れは、物凄い事だと思います。野口雨情さんによる歌詞の「七つ」とは「七羽のカラスの子(そんなに多くのヒナをカラスは育てません)」でも「七才のカラス(七才のカラスは人間なら老人です)」でもなく、カラスの子に「人間の幼い七才の子供」を投影した表現の様で、親子の情愛を描いた第5話のテーマに相応しい選曲でした。

10:おすもうくまちゃん
(第6話)作詞:佐藤義美、作曲:磯部 俶

前回のカラスのコスプレで驚愕していたのは、甘かった。此の曲では守がメインの行司で歌う事になり、なな、なんと、うらら姫はクマの着ぐるみを着て健太クマと相撲を取ったのでした。結果は「うらら山関」の圧勝!やっぱ、デカイから強いです。守は人気がなく数字も最低だったので、うらら姫が行司役のメインで歌う事となりますので、壱曲で二度おいしいコスプレが拝めます。メインの行司に戻った時の満面の笑顔が、とっても愛らしいです。

11:もりのくまさん
(第7話)訳詞:馬場祥弘、アメリカ民謡

可愛らしい欧州風乙女ファッションのうらら姫が、二頭のクマ(健太&守)を従えてメインで歌います。クマの着ぐるみは「おすもうくまちゃん」の流用ですが、前回で健太と守が「青春友情バトル」を繰り広げた為に包帯姿になっています。奇抜なコスプレが多いうらら姫では最も普通な格好ですけど、思えば此れでも充分に非日常的なファッションです。此れが普通に観えてしまう程に、他のコスプレが過激だったのです。

12:犬のおまわりさん
(第8話)作詞:佐藤義美、作曲:大中 恩

「みなうた」打ち切りの危機に、ふたたびカラスの被り物姿のうらら姫が、犬のおまわりさん(健太&守)とマカロン・キッズを従えて熱唱した後で大演説をぶちかまします。其の真摯な番組を愛する志しは素晴らしいのですが、ダンダンダンと発言は意味不明になり、カラス頭で羽を羽ばたかせていては異常な光景としか見えません。此の楽曲は、第7話で木村佳乃さん演じる真鍋プロデューサーが犬の被りものをした破滅的な歌唱も聴けます。カラスのコスプレを再利用しているのは、二番の歌詞に「カラスにきいてもわからない」とあるからですが、またしてもうらら姫は健太たちに熱心に歌詞を解説し指導します。うらら姫は、常に童謡の歌詞をしっかりと熟考して歌っているのです。第5話で「歌のおねえさん」を天職と誓ったうらら姫の生真面目な生き方が、同じコスプレで再度示された演出とも云えるでしょう。

13:春よ来い
(第8話)作詞:相馬御風、作曲:弘田龍太郎

「みなうた」の最終回収録で歌われた曲で、うらら姫は御馴染みのサロペット姿で健太&守と三人で歌います。一緒に踊っていたマカロン・キッズと子供たちが「みなうた」が終る事でナーバスになり泣いてしまい中断してしまうのですが、其の子供たちの中心に居るのはブレイク直前の加藤清志郎クンでした。「みなうた」の最終回でオンエアされたヴァージョンではリテイクの「うらら姫、健太&守、マカロン・キッズ」の編成で歌われ、番組終了挨拶を挟んで「パピプペポン体操」で終了します。

14:曇りのち、快晴
(第8話)ドラマ用オリジナル主題歌

「矢野健太 starring Satoshi Ohno」名儀で発表されたドラマ主題歌は当然乍ら毎回オープニングに流れていましたが、ドラマの最終回で「みなうた」終了に納得出来なかった健太が企画した「みなうたファイナルライヴ」でのクライマックスで、健太が子供たちと一緒に熱唱する感動的な場面を演出します。子供たちがステージへ雪崩れ込んでゆく場面では、思わず涙が溢れてしまいました。此の楽曲は、片瀬那奈が美月うらら役で助演女優賞を得たザテレビジョン「ドラマアカデミー賞」2009年1月〜3月期で、ドラマソング賞を受賞しました。劇中では健太が在籍しメジャー・デビューする際にヤメさせられたバンド「ジゼル」のソースケが作曲し、健太が作詞した設定になっています。うらら姫は定番のサロペット姿でひときわ目立つダンスでサポートしております。やっぱ、デカイから目立つのよさ。尚、氷室王子がドタキャンした第二話では健太が「おもちゃのチャチャチャ」をソロで歌う物語的には重要な場面が在りますが、うらら姫は参加して居りません。また、本来はムード歌謡歌手である氷室王子のオリジナル曲は、うらら姫がうっかりカラオケ・テープを踏みつぶしてしまった為に披露されませんでした。


以上が本放送時に流れた「うらら姫関連楽曲」です。DVDに特典映像として収録されている童謡集では、オンエア版とは違うカットも挿入されております。「歌のおにいさん」に限らず、ドラマのオンエア版と映像作品版では違いがありますが、其のコアな映像版ヴァージョン違いに関してはまた別の機会に大いに語りたいと思います。

そして、此の作品の制作発表時に片瀬那奈本人から前代未聞の新情報が明かされました。其れは、彼女が「幼少時代に某子供番組に出演していた」と云う驚愕の事実だったのです。16才でデビュウとの定説が、一気に10余年もの過去へと遡ったのでした。ま、其れは本名でのモデル時代同様に「プレ・デビュウ」ですから、片瀬那奈が「片瀬那奈」になったのが16才である事に変わりは在りません。でも、流石に3才からってのには、吃驚したナァ、もう。


(小島藺子)



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2010年06月16日

「怪優・片瀬那奈・進化論」
act 048「小野あやか」

ゴーストフレンズ DVD-BOX


 出演作:『ゴーストフレンズ』全10話(NHK総合)
 放映日:2009年4月2日〜6月11日(毎週木曜日 20:00〜20:45)
      平均視聴率 3.6%

 映像作品:DVD「ゴーストフレンズ DVD BOX」(NSDX-14011)
       2009年12月25日発売


「美月うらら姫」で怪演した片瀬那奈ちゃんが間髪入れずに臨んだ「小野あやか」は、主人公「神谷明日香(福田沙紀ちゃん)」がアルバイトしている「マージュ」のオーナーです。うらら姫とは全く違う普通の大人の女性を演じました。さらに、丁度同時期には「僕たちの好きだった革命」の再演が行われており、「小野未来」として27才で再び制服姿を披露していました。

主演の福田沙紀ちゃんとは、御存知の通り2008年の舞台「フラガール」で共演した仲で、番宣の為に「土曜スタジオパーク」にも一緒に出演しました。小野あやかは、かつては明日香同様にゴーストが見えていて、何やらゴーストと恋に落ちた経験も仄めかすものの、其の詳細は明かされません。アニメヲタのゴーストに求愛されたり、明日香の弟・武志にひと目惚れされてデートをして振る逸話などでは活躍しますが、全体的には出番は左程多くありません。最終回なんか、明日香が成長し個展を開く那奈年後のエピローグにようやく登場しました。

奇抜な役柄が多い昨今の片瀬クン出演作品では、珍しく普通の演技が観れます。てか、美人女優なら本来は此の路線がメインなんですけどね。一体、どこでどーして片瀬クンは怪優になってしまったのでしょう。「平均 3.6%」と民放ドラマなら打ち切り確実な低視聴率作品ですが、奇跡的にDVD化されました。流石は日本放送協会サマと賞賛したいところですけど、此れをDVD化出来るのなら「FLY 航空学園グラフィティ」もさっさと出してケロヨン。


「ゴーストフレンズ」INDEX


(小島藺子)



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2010年06月19日

「怪優・片瀬那奈・進化論」
act 049「岡田夏子(御所ヶ原夏子)」

こちら葛飾区亀有公園前派出所 DVD-BOX


 出演作:『こちら葛飾区亀有公園前派出所』第4話(TBS系)
 放映日:2009年8月29日(土曜日 19:56〜20:54)視聴率 5.9%

 映像作品:DVD「こちら葛飾区亀有公園前派出所 DVD BOX」
      (TCエンタテインメント)2010年2月10日発売


「僕たちの好きだった革命」再演を終えた2009年の片瀬那奈は、夏からはゲスト出演で様々な役柄を演じます。此の「こち亀」は、片瀬が「敷島ミカ」役で出演した映画「20世紀少年」最終章公開日と同日に放映されています。お得意のバッティングですが、あたくしは「敷島ミカ」を選び映画館へ足を運んだのでした。そして、失意のどん底へ叩き落とされ、録画していた「こち亀」を観たのです。

果たして、なっちゃんは好かった。西田敏行さん演じる御所ヶ原組長のひとり娘である夏子は、料理人の健二(阿部力くん)と結婚しヤクザの父親と絶縁しています。主人公の両サンがプロデュースした結婚式で、父娘が和解し、なっちゃんもご懐妊を発表!(ホント、片瀬クンは劇中では孕みまくりますね)と、めでたしめでたしなお話です。夫役を演じた阿部力くんとは、「ミラクルボイス(2008年)」で振って、同年の舞台「フラガール」でも振って、三度目の共演で結婚した仲です。続いて此の2009年には「子育てプレイ&MORE」でも共演しています。彼は「フラガール」の楽屋口では、短パンで缶ビール片手に現れ、僕たちにも普通に挨拶してくれた好青年です。丁度「ルーキーズ」のイベントも行われていて、そちらを目当てに訪れていた観衆に発見されて囲まれての写メ撮影にも気さくに応えていて、かなり好感度がアップしました。

ドラマの「こち亀」は、数字も平均で「9.3%」で低調でした。最も低かったのが、片瀬クンがゲスト出演した此の第4話です。あたくしは片瀬クンが出た回しか観てませんが、確かに過剰な悪ノリが目立つつまんないドラマでした。片瀬クンの熱演には充分に満足しましたし、ドラマでは「小早川妙子」以来で披露して下さったウェディング・ドレス姿にも「まあ、綺麗!」と惚れ惚れ致しましたが、ドラマが酷いんだよナァ。

西田さんは上手いし、力くんとの「三度目の正直(女子マネちゃん・談)」にも大いに萌えました。こうしてゲスト出演する片瀬クンの演技を観るのも楽しみです。脚本はマギーさんだし、悪くは無いのよさ。されど、大満足とまではいかなかった。其れだけ、あたくしの片瀬クンに対する期待度は大きいのです。そして、僕たちにそう仕向けたのは、他ならぬ片瀬那奈自身です。先を急げば、あたくしは「20世紀少年」への失望から始まって、忸怩たる思いが続きました。「グータンヌーボ」のMCを勤める片瀬クンを「何をやってんのよさ」と苦々しく観て居りました。ジョージアの鮮烈なCMも「でもさ、片瀬クンの本分は女優だろ」と手放しには喜べなかったのです。愛好家とは、決して何もかもを有難く感受するわけではありません。ファンだからこそ、常に厳しい目で対象を見つめているのです。


(小島藺子)



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2010年06月23日

「怪優・片瀬那奈・進化論」
act 050「矢田和美」

恋のから騒ぎ〜Love Song


 出演作:『恋のから騒ぎドラマスペシャル〜LOVE STORIES VI〜』
      第1話「ライバルの女」(日本テレビ系)
 放映日:2009年9月25日(金曜日 21:00〜23:09)視聴率 5.1%


三話オムニバス「恋のから騒ぎドラマスペシャル」の第6弾で放映された「ライバルの女」は、主役の塩倉彩乃を山田優さんが演じました。片瀬クンが演じたのは幼少時代から常に彼女に対抗心を剥き出しに追い続ける「ライバル:矢田和美」です。タイトル通りに「W主演」と云っても好いでしょう。

配役は逆でも成立する様にも思えますが、矢張り片瀬クンは助演の方がより光ります。彩乃も過剰にぶっ飛んだキャラで突っ走るものの、其れを追走し追い抜こうとする和美はより過激にならねばならないのです。山田優さんも頑張ってますけど、此の手の役ならば片瀬クンに一日の長がありますね。助演女優賞を受賞した事により、益々その「主役を踏み台にする技」に磨きがかかって参りました。「誰もやらない役をやりたい」と挑戦し続ける片瀬那奈にとって、怪演バイプレイヤーへと進むのは当然至極な事だったのでしょう。

短いドラマ乍らも、所謂ひとつの「西豪寺エレナ様」から「美月うらら姫」へと至り、後に「高瀬リコちゃん」へと続く「怪優・片瀬那奈」の真骨頂が観れます。此の路線ならば、他の追随を許さない域に達しました。ドタバタ喜劇だけではなく、ライバルならではの友情を描く場面での演技も光ります。紛う事無く、確かに「片瀬那奈にしか出来ない演技」です。おそらくスタッフは、片瀬クンに全幅の信頼感を持ってキャスティングし制作したのでしょう。そして、片瀬那奈は其れを期待以上に応えられる女優になっていました。片瀬クン愛好家にとっても、文句無しの名演です。


2009年9月25日:「恋のから騒ぎドラマスペシャル〜LOVE STORIES〜VI」ライバルの女


(小島藺子)



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2010年06月26日

「怪優・片瀬那奈・進化論」
act 051「森瑠衣」

子育てプレイ&MORE プレミアムセット 2 【期間限定版】 [DVD]


 出演作:『子育てプレイ&MORE』最終話「最終面接」(毎日放送)
 放映日:2009年10月1日(木曜日 1:25〜1:55)

 映像作品:DVD「子育てプレイ&MORE DVD BOX プレミアムセット2」
      (キングレコード)2009年10月21日発売


毎日放送制作の此の作品は、東京では地上波で放送されていません。然し乍ら、速攻でDVD化され、2010年にはCSで全国放送されましたので、幻の作品にはなりませんでした。片瀬那奈ちゃんが演じる「森瑠衣」は、主人公の少女「森アリ(サイガサクラちゃん)」の母親です。物語は小説家である瑠衣が再婚し、住んでいた豪華マンションにアリを残してハネムーンへ出掛け、其の留守中にアリが実の父親を探す為に父親候補と思われる三人をマンションにルームシェアさせて起こるコメディです。瑠衣の父親でアリの祖父である「森さん」こと「森洋(温水洋一さん)」が執事としてアリを助けていますが、旅立った母親を演じるのが誰なのかは最終話で初めて明かされました。

瑠衣は交際した男をモデルにした小説を書き、完成すると相手を捨てるカマキリ女です。最終話でようやく現れた時には、既に再婚相手も捨てていました。ルームシェアする父親候補の「楠木(阿部力くん)」と「町田(戸次重幸さん)」は小説化されていて、もうひとりの「涼宮(細田よしひこくん)」はマネジャー「北村(山崎樹範さん)」の身代わりでした。つまり、楠木、町田、北村の三人は、過去に「瑠衣とただならぬ関係が在った」様です。其ればかりか、他にも何人も取っ替え引っ替え男を食いまくっていたみたいです。瑠衣は「セックル女王」かよっ。とっくに全員への愛が冷めた瑠衣ですが、愛娘に父親を選択させます。果たして、アリの本当の父親は誰なのか?そして、アリは誰を選ぶのか?其れは観てのお楽しみです。ま、トンデモな役柄なのですけど、カタセカイで御馴染みの俳優陣も多く、片瀬クンは楽しんで豪快に演じています。


(小島藺子)



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2010年06月29日

「怪優・片瀬那奈・進化論」
act 052「藤波紹子」

浅見光彦 〜最終章〜  (沢村一樹 主演) [DVD]


 出演作:『浅見光彦〜最終章〜』第1話「恐山・十和田・弘前 編」(TBS系)
 放映日:2009年10月21日(水曜日 21:00〜22:48)視聴率 10.9%

 映像作品:DVD「浅見光彦〜最終章〜」(TCエンタテインメント)
      2010年3月17日発売


憧れの先輩エロ男爵こと沢村一樹さん主演人気シリーズの最終章として連続ドラマ化された作品に、片瀬那奈ちゃんは2時間スペシャル版第1話のヒロインとしてゲスト出演しました。此れは、沢村さんにとって「連続ドラマ初主演作品」でもありました。

片瀬クンと沢村さんは「できちゃった結婚(2001年)」や「地獄の沙汰はヨメ次第(2007年)」でも共演歴があり、「なな色のアフリカ(2005年)」で沢村さんがナレーターを担当したり、沢村さんの当たり役「セクスィ〜部長(2007年)」に片瀬クンがゲスト出演したり、2007年に「笑っていいとも!」の「テレフォン・ショッキング」に片瀬クンが二度目の出演をした際に「ともだち」として繋いだりと、縁が深いです。片瀬クンが「中学生時代から憧れの俳優だったのが沢村さん」である事も語られています。

藤波紹子は、東京の神楽坂で修行した料理人で、地元の青森へ帰りコンクールで優勝します。料亭をめぐる殺人事件に巻き込まれますが、其れは紹子の亡くなった母親にまつわるものでした。浅見の活躍で事件は解決し、お約束で紹子に後ろ髪を引かれまくり乍ら浅見は次の事件へ向かうのでした。

ミステリー作品ですので、藤波紹子はシリアスな演技に徹しています。でもね、エロスと片瀬クンが並んでいたら「其れだけで笑いを誘う」のですよ。「卍」のマークが入った料理人服を身に纏う「藤波」じゃ、プロレス者といたしましては、狙っているとしか思えません。神楽坂で修行した料理人では「西豪寺エレナ様の化身かっ?」と勘ぐってしまいます。いえ、片瀬クンは真摯に演じているんですけど、笑っちゃうんだよナァ。どっかでズッコケルんじゃまいか?と期待してしまうのですよ。片瀬クン、シリアス路線は厳しいっす。其れ程に、面白い事をやり過ぎなんですよ。

片瀬那奈ちゃんの2009年出演作は、此れで終りました。暫しのお休みをもらえたのかと思ったものですが、間髪入れずに2010年1月期の連ドラ「泣かないと決めた日」の撮影が始まっていました。更に、三本の映画出演を同時進行で行っており、高瀬リコへ向けてのゴルフ特訓も始まっていた模様です。


(小島藺子)



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2010年06月30日

「怪優・片瀬那奈・進化論」
中入りの拾壱:「2009」

ジョージア.jpg


2009年の片瀬那奈は、女優デビュウ10周年で遂に「助演女優賞」を獲得しました。万人が納得の代表作となった「歌のおにいさん」に於ける「美月うらら」を始め、舞台「僕たちの好きだった革命」の再演など年間に10役を演じ分ける多彩なバイプレイヤー振りを魅せ付けます。20代の美人女優で片瀬那奈の様なポジションは稀有です。

連ドラ二連投と舞台再演を中心に活躍した前半の後で、此の年の後半にはシリーズCMとなる「ジョージア」が始まりました。8月に始まった第壱弾での鮮烈なビキニ姿は、世間にも大いに「片瀬那奈、此処にあり!」と知らしめる事となります。更に、10月からは先輩・江角マキコさんの産休代打で江角さんから指名され「グータンヌーボ」のMCを勤めます。

女優歴には項を設けなかった作品では、サッカー関連の「Champions Lovers」での田中要次さんとの二人芝居(田中さんとは、2008年に「浜田警察緊急出動スペシャル!〜本当にあった男と女のサスペンス劇場〜」でも共演しています)や「スマスマ」での「ちょっとイイ話」(撮影は2008年)などでも演じています。宣伝隊長として数々のバラエティ番組へも出演し、サッカー番組への出演も定番となり、八面六臂の大活躍を繰り広げて下さいました。

でも、個人的には「美月うらら姫」の存在感が強烈過ぎたのか、何となく歯がゆい展開が続きました。手放しで喜んでいたのは「革命」再演までの前半で、後半は「アレレ?」と思ってしまったのです。其れは矢張り映画「20世紀少年」に対する失望感が大きかったのですけど、女優としては単発ゲスト出演が続き、大きく注目されたのが「ジョージア」のCMや「グータンヌーボ」の司会だったからなのですよ。

そりゃ、ファンですから、片瀬クンをCMで毎日観れて、週一で「グータン」があるのは嬉しいに決まってます。されど、本当に観たいのは「女優・片瀬那奈」の圧倒的な演技なのです。2010年の現在に、面白可笑しく「テレビでスペイン語」のナビゲーターやサッカー番組での姿を安心して書けるのは、同時期に高瀬リコが居るからです。かつて、音楽活動に専念した時代に女優活動を休止した事には納得していますが、CMやバラエティがメインでは困るんですよ。女優の片瀬那奈がサッカーやキューピーに現を抜かしているからこそ、面白いのよさ。片瀬那奈は、女優です。


(小島藺子)


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2010年07月09日

「怪優・片瀬那奈・進化論」特別篇!
「リコちゃん必殺技大全集」

OVER DRIVE(初回生産限定盤)(DVD付) プロゴルファー花 DVD-BOX


惜しまれつつも完結した「高瀬リコ様劇場」こと「プロゴルファー花」で繰り出された「リコちゃん必殺技大全集」をお送り致します。

01:マフラー・パンチ
(第1話、第2話)
初回のエンディング・ロールまで引っぱった高瀬リコ様初登場場面で披露された、最初の必殺技です。黒いマフラーを利用したパンチ連打をお付きの「あゆみ&百合子」に炸裂させます。第2話では、再び百合子に二連発でお見舞いしますが「マフラーを装着していないと使えない」と云う致命的な欠陥が在る技でもあります。

02:リコのスピニング・クリオネ
(第3話、第4話)
両手を広げて回転する此のオリジナル必殺技を二度も喰らったのは「あゆみ&百合子」です。「マフラー・パンチ」とは違い、此の技は凶器を使用せずに繰り出せます。常に新たなフィニッシュ・ホールドを開発する「三沢イズム」を想起させるリコ様の闘いが本格的に始まりました。

03:地獄突き
(第2話、第3話)
うっかり花を褒めたあゆみに炸裂させた此の技は、御存知の通りアブドーラ・ザ・ブッチャーの得意技です。先達が編み出した古典的な技も大切にするリコ様の「プロレス魂」が露になった名場面でした。

04:アンパン、メロンパン、カレーパン、食パン!
(第4話)
「のみや」を張り込んだ刑事・リコちゃんが、運転手に渡されたアンパンをうっかり食べて怒り狂い、豪腕パンチ連打をぶちかまします。正確には「アンパン、アンパン、メロンパン、カレーパン、食パン!」と5連打を炸裂させました。ヒョードルのロシアン・フック連打をも超えた強力な豪腕でした。

05:リコちゃんウエーブ
(第5話)
あゆみ&百合子に放たれた此のオリジナル技は、其の名の通り全身を揺らし攻撃する恐るべき必殺技です。恵まれた肢体を最大限に活用したリコ様にしか繰り出せない技です。タコの様に蠢く姿は、片瀬クンが「何でもあり」な怪優と認識するファンにとっても、かなりの衝撃映像でした。

06:リコちゃん力道山
(第7話)
第6話では今出川クンに夢中で戦線離脱し必殺技の披露がなかったのですが、メイド姿のコスプレで充分に魅力を発揮しました。大きく差を広げていた花に並ばれ復帰し真っ向勝負となり、本気を出したリコ様が勝利します。出場権を得たパシフィック・レディース・オープンでもアマ乍ら優勝したリコ様の祝勝会で、あゆみ&百合子に放たれたのが「空手チョップ」なのですが、リコ様は「リコちゃん力道山!リコちゃん力道山!」と連呼します。日本プロレスの創始者である力道山の必殺技を、高瀬リコ様が継承した歴史的瞬間です。

07:リコちゃんキック
(第8話)
パンチ攻撃のバリエーションが多く、自慢の美脚を使ったキックは封印していたのですが、遂に出た!リコ様のキック攻撃を受けたのは、御馴染みのあゆみ&百合子です。「U」の遺伝子を継ぐローキックを見事に連発します。

08:キラー・カーン
(第9話)
其の名の通りキラー・カーンの必殺技「モンゴリアン・チョップ」をあゆみに炸裂させますが、注目すべきなのはリコ様が「キラー・カーン!」と叫び乍ら放った事です。敢えて「モンゴリアン・チョップ」と云わずに「キラー・カーン!」と命名したところに、リコ様の「プロレス通」振りが伺えます。

09:リコちゃんエビぞり
(第10話)
天才ゴルファーであるリコ様は、滅多に練習などしません。かつてアントニオ猪木は強敵アンドレ・ザ・ジャイアントの底知れぬ強さを評して「アンドレは強い。何せ、あいつは練習なんか全くしないでビールを呑んでるだけなんですから」と語りました。リコ様も練習なんかしないで飽食三昧ですし、エステでカラダを磨いております。カンラカラカラと爆笑しながらストレッチしていて、反り返った時にエステシャンにも反らされて、「グキッ!」と鈍い音を立て、自分で逆エビ固めをかけてしまいました。

10:リコちゃん喉元パンチ
(第11話)
地味ですが強烈なパンチを、あゆみ&百合子の喉元に炸裂させます。此れは「地獄突き」と「アンパン、メロンパン、カレーパン、食パン!」を融合させた一撃必殺の凄技です。

11:リコちゃんダンス
(第12話)
強烈な攻撃術に長けるリコ様は、防御でも一流です。花のエントリーを阻止する為に柴山を使って遠回りさせますが、柴山の仏心でギリギリで間に合いそうになります。すると何を思ったのか、リコ様は突然に花の前で踊り出して行く手を阻むのです。単純に通せんぼするのではなく、前方で踊り乍ら妨害すると云う高等テクニックです。全身を躍動させる其の珍妙なダンスは、リコ様にしか出来ない大技でしょう。

12:リコちゃん蟹の手
(第12話)
大原からの電話を、食べていた蟹の手を使って「ポチッとな」と受け、切る時も使います。普通に指で押した方が正確で早いに決まっているのに、敢えて蟹のハサミで押すのです。リコ様は練習をせずに食べてばっかりいますが、天才ならではの動物的本能から、こうして何気に難易度の高い動きをしてトレーニングしてしまっているのでした。

13:リコちゃんバリア
(第12話)
終盤でのリコ様は、ディフェンスでも魅せます。新人潰しに燃える大原の怨念眼力ビームを背後から何度も放たれますが、リコ様は背を向けた侭、片手で殺人光線を軽く払いのけてしまいます。二回クリアした後で更に強力なビームが来ると、コースを変化させて花へ直撃させるのでした。リコ様の「神の右手」のパワーを見せつけられましたね。

14:リコちゃんブッチャー
(第13話)
リコ様お得意の「地獄突き」ですが、最終回では素人相手に「リコちゃんブッチャー!リコちゃんブッチャー!」と連呼し二連打を炸裂させ、スパーリングパートナーとも云える百合子から「リコさん、堅気の方に地獄突きは、、、」と諌められます。花との最終決戦に向けた燃え上がる闘志が、思わず出てしまったのでしょう。

15:リコちゃんシャーコリャ?
(第13話)
勝利を確信したリコ様が、控え室で百合子に放った最後の技です。正直、何と叫んでいるのか聴き取れません。テンプルへの左右連打パンチで、確実に百合子の脳は揺れています。此の有り余る自信とパワーが、結果的には花に負ける結末へと繋がるのですが、リコ様は「天才」ですので、好きでもないゴルフなどスパッとヤメて新たなる道へと進むでしょう。


以上、特に印象的だった技を紹介しました。未だ本放送が終了したばかりですので、今後さらに探究すべき物件です。とりあえず、素晴らしき高瀬リコ様のファイナルを記念して書き上げました。

那奈ちゃん、ありがとう。滅茶苦茶、面白かったです。


(小島藺子/姫川未亜)


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