〜PART 1〜
-A-
ルートが決まっているのが、なんとなく落ち着かなくて、様々な道を探して毎日を違うモノにして居るつもりだったけれど、到着する処は同じなのだ。
今日も同じ時刻に、同じ電車に揺られて、同じ駅で降りた。せめて、目的地までの道は違うモノにしてみよう。例え、ゴールが同じでも。
定期券を持って居るのだから、途中下車してみるのも楽しいかもしれないよ。いつもは只通り過ぎるだけの街も、降りて歩いてみれば、きっと何かが待って居る。
でもね、其れは幻影なんだ。だから、今日も同じ電車で、同じ街へ行く。
-B-
ゆっくりと落ちていった。そう、ゆっくりと、あまりにも急いで上ってしまったから、落ちていくのに気が付けなかったのだろう。
-C-
こなごなに砕けた。キラキラと光る。砕け散ったから美しいのだ。
-ABC-
ゆらりゆらりらら、と夢心地で電車に揺られながら落ちていく。キラキラと光る粉々の幻影を、のんびりと夢想しながら、ゴールを目指す。さあ、此処が目的地だ。御目出度う。
あれ?何故だろう。其処には「折り返し地点」と書いて在る。
-D-
かまうもんかっ!「折り返し地点」なんて無視しよー!!進むんだよ。此の侭、先は見えないけれど。いけいけ。
-E-
とても、よかった。
-DE-
想い出。秘密。忘れよう。
-CBA-
とぼとぼと歩く。
-C-
こなごなに光る。キラキラと砕ける。美しいから砕け散ったのだ。
-B-
ゆっくりと蘇る。そう、ゆっくりと、バラバラの破片がひとつに還るのだ。
-A-
ほら、目を見てごらん。分るだろ?電車の中で、目的地を見失っても平気だ。そもそも、目的地なんかないんだよ。どうだい?安心したかな。
〜PART 2〜
DO YOURSELF.
初出「hilite」 (小島藺子/姫川未亜)