ぼくが、きのうのよるに、すぽにちくんとでんわをしていてとちゅうできってしまったことを、イコおねえちゃんにはなしたら、おねえちゃんは「くりぼう、おねえちゃんがおともだちにでんわしてあげるからなかなおりしなさい」といいました。
さいきん、おねえちゃんは、ますます片瀬那奈ちゃんににてきたので、ぼくはじまんです。それで、ぼくとおじさんでおさんぽしていたときに「イコおねえちゃんって、片瀬那奈ちゃんみたいだね」といいました。すると、おじさんは、きゅうにあわててまわりをキョロキョロみて、こうえんのすみのほうに、ぼくをつれていった。
そしてぼくのみみもとで「くりぼう、そんなこと、だれにもいっちゃいけないぞ」と、じごくのそこからひびくようなひくいこえで、いった。あんなこわいおじさんをみたのははじめてだったので、ぼくは「はいっ!」といったけど、にっきにはかいておこうとおもいました。
さんぽからかえったら、おねえちゃんがでんわをしていました。あいてがすぽにちくんだと、ぼくには、なんとなく、わかった。それは、おねえちゃんがぼくをみて「あ、くりぼうがもどってきたからはなす?」といったからです。
でも、でんわは、かわってもらえなかったです。すぽにちくんは、ぼくとはなしをしたくないのかなあ、ぼくらはともだちなのに。なんだか、おかしいよ。おじさんは「にやにやみあみあ」してながめていました。そしてぽつりといった。
「くりぼう、はるだなあ。」
初出「COPY CONTROL」 (くりぼう)