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2008年03月13日

「夢みる歌謡曲」第6章の2:
月のおんな「原始、女は太陽だった」

LIVE TOUR 2006 The Last Destination [DVD]


「Extended(2004年)」のコンセプトは単純明快でした。其処で片瀬那奈は、1980年代の女性アイドル歌謡曲を「21世紀の片瀬那奈的音楽世界」に組み替え再構築したのです。ゆえに、選曲は1980年代を代表する三大アイドルで在る「松田聖子」「中森明菜」「小泉今日子」、そしてデュエットの「WINK」、三人娘のアイコンとしての「浅香唯」、さらにモンスター「おニャン子クラブ」を代表して「工藤静香」となったのでしょう。実に見事な選び方で、此れら六組で1980年代アイドル歌謡が見渡せてしまえるほどです。

どうしても那奈曲とこだわるのならば、もう壱曲は新曲を入れても好かったでしょうし、一部で告知された「赤道小町ドキッ」でも構わなかったでしょう。そうなれば、ニューミュージック畑すらも範疇に捉えた企画に拡大していました。おそらく、発表された那奈曲以外にもカヴァー曲はリハーサルされ、実際にレコーディングもされていたと思われます。其れにも関わらず、中森明菜の楽曲だけが二曲も選ばれたのは不可思議です。

あくまでも私見ですが、まず、片瀬那奈の低音ヴォーカルの魅力も聴き手に届けたいとスタッフは考えた。彼女の地声は意外にも低いのです。其れまでのオリジナル曲では高音や囁き声が中心でしたが、音域も広く、声優並みに色んな声を出せる片瀬那奈のアルト・ヴォイスをもっと使いたい。其の為には、中森明菜の楽曲以外に有名な1980年代アイドル曲がないのです。さらに、那奈曲はすべて違った作家陣を使いたいとも考えていたのでしょう。聖子だと松本隆、キョンキョンは筒美京平、とお抱え作家がいるのですが、明菜の場合は其れが無いのです。

中森明菜が二曲も選ばれたのは、決して偶然では在りません。(つづく)


(小島藺子/姫川未亜)



posted by 栗 at 15:18| YUMEKAYO | 更新情報をチェックする