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2006年09月27日

「夢みる歌謡曲」第4章の4:
小美人と三人娘「恋のインディアン人形」

リンリン・ランラン GOLDEN☆BEST


この章では「浅香唯」個人のことは書かないと言いながら、しっかり(誰も憶えてなくて知りたくもない)初期シングル履歴まで滔々と語ってしまったわけですが、ついでなので「別記事にしよー」と思っていた「時事ネタ」もココに加えて置きますね。

「週刊ファイト」紙が、現在発売中の1990号をもって、休刊しました。通巻2000号目前での撤退に、スタッフも長年の愛読者も、忸怩たる思いでしょう。あたくしも、四半世紀愛読して来た専門紙の休刊を、ただただ悼みます。この件で、あたくしのプロレスに対する興味は、完全に断ち切られたかもしれません。まだ休刊号を手にしたばかりで、何とも言えないのですけど、おそらく休刊の一因ともなった「ネット」でしか情報を得ない様になってしまうのでしょう。プロレス専門誌紙の歴史は、終わりました。あたくしには「大きな影響を受けた方々や紙媒体が志し半ばで散っていった」ことに対して、自分なりの礼儀を示したいとの想いがありますので、こんな駄文を書き散らしているのです。

ネット上でこうしたことをやらなければと、大袈裟に言えば「決意した」のは、同世代の「ナンシー関」さんが逝ってしまった時でした。「これから、あたくしは一体誰に『大食い』や『女子プロレスラー候補』の話をきけばええんだ?」と、途方に暮れたものです。愛読していた誌紙も「投稿写真」「噂の眞相」につづき、ついに「ファイト」までが消えました。嗚呼、なんてこった。残るは「BUBKA」だけかよ。と。哀しんでばかりいても仕方ないので、今日もあたくしは「コピコン」を書くのです。あたくしのモチベーションなんて、それ以外では「片瀬那奈ちゃん」しかありません。「底が丸見えの底なし沼( I 編集長語録)」になれればええな、と日々是れ呑んだくれているだけです。

さて、「C-GIRL」と「淋しい熱帯魚」の噺へもどりましょう。「C-GIRL」を作詞した森雪之丞さんは、公式サイトを御覧になって戴けば、なんとなく如何なる片なのかがお分かりになるでしょう。歌謡曲、アイドル・ポップス、日本語ロック、J-POP など何でもええのだけど、彼の様な作詞家の存在を中心にして見渡せば(それは松本隆にも共通するのですが)「全部おんなじじゃん」ってことになってしまいます。大分前にあたくしが、暴威の「イラネNY」を聴きながら「C-GIRL」を重ねて歌っちゃって「おんなじじゃん」ってな「バカ話」を書いたのは、こーゆーことです。

作曲した「NOBODY」(相沢行夫&木原敏雄)は、元「ヤマト」で、強制的に初期「キャロル」にも在籍させられ、後のソロ・ファミリーにも付き合わされた「永ちゃんの古くからのダチ」でした。最近ドラマ主題歌に使用されたアン・ルイスの「六本木心中」や、それをエロティックに共演した「漢の中の漢」吉川晃司さん(今週ずっとJ-WAVEでのお話を聴いてますよ、相変わらずええ男っぷりだナァ)の初期大ヒット曲の数々(「モニカ」「ユー・ガッタ・チャンス」などなど)は、彼らの作品です。さらに言うなら、片瀬那奈の実質的な初主演ドラマとも言える「FLY」で名目上の主演(失礼)だった大友さん(=ハウンド・ドッグ)がブレイクした「浮気な、パレット・キャット」で作家として世に出たのが彼らだったのです。

これは大変なことになってしまいましたね。「C-GIRL」を探るだけで、どれだけの金脈があるのでしょう?あたくしは、そのすべてを「例え上辺だけでも知ったうえでの批判」なら、堂々と受けて立ちますよ。でもね、あたくしが言いたいのは、正に「その深層まで探ろう」ってことなわけでして、「例え上辺だけでも知った」片は、もはや「同志」なんですよ。喧嘩になりません。

「淋しい熱帯魚」を片瀬那奈自身がカヴァーしたいと熱望した件も、掘り下げて行くと「無意識の理論武装」になってしまいます。WINK がブレイクした初オリコン首位曲を憶えていますか?それは「愛が止まらない」と言うカヴァー曲でした。日本語詞は及川眠子さんで、編曲は船山基紀さんです。そうです、その通りです。作曲以外はおんなじスタッフによって制作された「淋しい熱帯魚」(1989年度「日本レコード大賞」受賞曲)は、そのまんま、ユーロビートへの歌謡曲からの「ファンレター」です。(ちなみに「日本レコード大賞」は、作家陣が全員日本人でなければ対象外になります。)そのオリジナルを歌ったのは誰でしょう?はい、まだ初々しかった「カイリー・ミノーグ」ですね。

片瀬那奈は歌手デビュー当時の戦略で「和製カイリー」と呼ばれましたが、当然「上辺しか見えない世間(それが〜世間というものだ〜♪)」からは「パクリ」のひとことで大いに侮辱されましたよ。21世紀モードで復活した「エレクトリック・カイリー」の模倣とも取れる方法で歌手活動をスタートした「片瀬那奈」が、そのルーツまでもを詳らかにして魅せたのが「淋しい熱帯魚」なのです。そんなことはお首にも出さず、「ちっちゃい頃から歌っていたから、どうしてもカヴァーしたかった」と、片瀬那奈は笑って言いました。うん、それでいい。那奈ちゃんは、粋でカッコイイぞ。(つづく)


初出「COPY CONTROL」 (小島藺子/姫川未亜)



posted by 栗 at 01:39| YUMEKAYO | 更新情報をチェックする