さて実際に、容祖兒(ジョイ・ヨン)/ DUN DUN DUN [from「一個人的情歌」台湾盤(AVCCD90016)]と、Ladybird / DANGEROUS TO ME [「Dancemania EX2」(TOCP-64200)収録]を購入し、片瀬盤との違いなどをしっかりと検証してみました。最も早く世に出た「DUN DUN DUN」には、なんとしっかり (OT:Dangerous To Me)と云うクレジットが入っているではありませんか。全体の構成もLadybird盤と同じです。デモの段階で(其れを誰が歌っていたかは問題ではない)英語詞による「Dangerous To Me」が此の構成で完成していたのでしょう。此の二曲は「GALAXY」よりも「TELEPATHY」に近いアレンジで、おとなしめなイントロですぐにAメロから歌い出します。以後も普通にサビのBメロ、2番、Cメロと展開し、エンディングが♪Dun Dun Dun♪もしくは♪Dam dam dam♪でカットアウトぎみな処までほとんど同じ。17歳で力みぎみなLadybirdより、しなやかな容祖兒の歌い方が魅力的ではあるものの「DUN DUN DUN」が「Dangerous To Me」のカヴァーであることに疑う余地は全くありません。ただ発売時にオリジナルがまだ公式には存在していなかっただけです。まぁ、其れが一番の謎なんだけど。
一方、「GALAXY」はイントロ後、片瀬の「She gets you」からいきなりサビの♪ダンダンダン♪へ移行してAメロに繋がります。Cメロ後の印象的な英語のセリフも他のふたりには無く、エンディング近くの「GALAXY」のささやきも当然、独自の決定的なキメフレーズです。やはり此の曲は♪ダンダンダン♪で始まってもらわないとなぁ。こうなるともうオリジナルが「Dangerous To Me」でも良いのだ。此の勝負、片瀬那奈ちゃんの勝ち!ところで容祖兒さんのアルバムは、「DUN DUN DUN」以外はバラード中心のしっとりした良い作品。VCD付きの香港盤は入手困難みたいだけど、台湾盤なら大手メガCDストアで容易に入手出来るはず。Ladybird 入りのコンピ盤は廉価盤仕様だし解説も丁寧(片瀬版に関する表記は全くないが)今ならまだ何処のCD店でも買えます。あ、もうひとつ決定的な違いがあった。其れは残念ながら片瀬盤だけがCCCDで在ることです。どれどれカイリー・ミノーグの新作LIVE DVDでも観ますか。
カイリー・ミノーグの「fever」(2001年)は、衝撃的でした。特に「can't take out of my head」は冗談抜きで頭から離れない名曲です。「love at first sight」も凄く良い曲で、此れはヒッパルべきだなぁーと思っていました。「GALAXY 」を初めて聴いた時、ついに出たなと。一体何処のどいつがどの面下げてと、仲間内の呑み会で「おいおいカイリーをパクってる日本人が出て来たけど、どーよ?」と熱く語ったのだけど、誰もカイリーのオリジナルすら知らず空転。挙げ句の果てに、其のパクリちゃんが自他ともに認める「未亜のメンゴ」で在る「片瀬那奈ちゃん」だったのだから、薮蛇にもほどがあります。「GALAXY」と「TELEPATHY」は確かに「can't take out of my head」を、そして「Babe」は「love at first sight」下敷きにしており、明らかにカイリー・ミノーグを意識して制作されています。でも、そんな事をやったのは「2002年の日本では片瀬那奈ちゃんだけだった」のも事実です。
初出「COPY CONTROL」 (小島藺子/姫川未亜)