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2026年01月22日

「ポールの道」#980「BEAT THE BEATLES」
#029「PACIFIC OCEAN BLUE」

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1977年のビーチ・ボーイズは、4月11日にブラザー/リプリーズから25作目のアルバム「LOVE YOU」をリリースしました。しかしながら、それはビーチ・ボーイズのアルバムと云うよりも、復調していたブライアン・ウィルソンのソロ・アルバム「BRIAN LOVE YOU」を元にした内容だったので、ブライアン・ウィルソンが共作も含めた全ての楽曲を書いて、シンセサイザーを中心にして全ての演奏も行っていて、ブライアン・ウィルソンのソロ・アルバムに限りなく近い内容となっていました。アルバム「LOVE YOU」は、内容は素晴らしいものの、全米53位・全英28位と振るわず、シングル・カットした「HONKIN' DOWN THE HIGHWAY / SOLAR SYSTEM」はチャート入りしていません。一方、ビーチ・ボーイズを脱退していたブルース・ジョンストンは、同年5月にソロ・アルバム「GOING PUBLIC」をコロムビアからリリースしていて、ビーチ・ボーイズ時代にブライアン・ウィルソンと共作した「DEIRDRE」と、単独作「DISNEY GIRLS」のセルフ・カバーや、元々はキャプテン&テニールに提供して、バニー・マニロウが歌って全米首位!となりグラミー賞を受賞した「I WRITE THE SONGS」もセルフ・カバーして、高評価を得ていました。そして、同1977年8月22日にデニス・ウィルソンは初のソロ・アルバム「PACIFIC OCEAN BLUE」を、カリブ/CBSからリリースしたのです。ビーチ・ボーイズのメンバーでは唯一の本物のサーファーだったデニス・ウィルソンは、リーダーで兄であるブライアン・ウィルソンがアルバム「SMiLE」の頓挫から精神疾患となってしまった1960年代後半から徐々に曲作りが上手くなっていて、1968年のアルバム「FRIENDS」での「LITTLE BIRD」と「BE STILL」辺りから頭角を現して、1969年のアルバム「20/20」では「BE WITH ME」と「ALL I WANT TO DO」と「NEVER LEARN NOT TO LOVE」の3曲を書いて、1970年のアルバム「SUNFLOWER」では名曲「FOREVER」を書いて、1972年のアルバム「CARL AND THE PASSIONS “SO TOUGH”」では「CUDDLE UP」を書くなど、兄であるブライアン・ウィルソンも認めた才能を開花させたのでした。

そんなデニス・ウィルソンが満を持して発表したソロ・アルバム「PACIFIC OCEAN BLUE」の内容は、A面が、1「RIVER SONG」、2「WHAT'S WRONG」、3「MOONSHINE」、4「FRIDAY NIGHT」、5「DREAMER」、6「THOUGHTS OF YOU」で、B面が、1「TIME」、2「YOU AND I」、3「PACIFIC OCEAN BLUE」、4「FAREWELL MY FRIEND」、5「RAINBOWS」、6「END OF THE SHOW」の、全12曲入りです。このアルバム「PACIFIC OCEAN BLUE」はリリース当時は賛否両論で、全米96位までしか上がっていませんが、後に傑作アルバムであると再評価されています。ブライアン・ウィルソンは、デニス・ウィルソンがアルバムをレコーディングして最初にラフミックス音源を聴かされたらしく、その完成度の高さに驚き、感動して泣いたとも云われています。アルバム「PACIFIC OCEAN BLUE」は、全ての曲を共作も含めてデニス・ウィルソンが書いて、アレンジも担当して、演奏も、リード&バッキング・ヴォーカル、ピアノ、ハモンドオルガン、ARPシンセサイザー、ムーグベース、ミニムーグ、クラビネット、フェンダーローズ、ドラムス、パーカッション、ベースハーモニカ、チューバ、ヴァイオリン、ラップスティールギター、ビオラ、チェロ、とほとんどの楽器を演奏して、カール・ウィルソンやブルース・ジョンストンやリッキー・ファターと云ったビーチ・ボーイズに在籍したメンバーもバックアップしています。プロデュースはデニス・ウィルソンとグレッグ・ジェイコブソンで、グレッグ・ジェイコブソンはアルバムの半数でデニス・ウィルソンと共作もしています。アルバムからは「RIVER SONG / FAREWELL MY FRIEND」と「YOU AND I / FRIDAY NIGHT」がシングル・カットされましたが、どちらもチャート入りはしていません。当時のデニス・ウィルソンは創作意欲が旺盛で、アルバム「PACIFIC OCEAN BLUE」のリリース前に早くも次作アルバム「BAMBU」をレコーディングするのですが、そちらは未発表となっています。

アルバム「PACIFIC OCEAN BLUE」は、2008年6月17日に30周年記念盤がリリースされていて、そちらはCD2枚組となっています。CD1の、1「RIVER SONG」〜12「END OF THE SHOW」の12曲は、アルバム「PACIFIC OCEAN BLUE」の本編全12曲で、ボーナス・トラックとして、13「TUG OF LOVE」、14「ONLY WITH YOU」、15「HOLY MAN」、16「MEXICO」と、4曲の未発表音源を加えた、全16曲入りです。問題はCD2で、こちらは未発表アルバム「BAMBU」でのセッション音源が公式盤で聴ける様になっています。内容は、1「UNDER THE MOONLIGHT」、2「IT'S NOT TOO LATE」、3「SCHOOL GIRL」、4「LOVE REMEMBER」、5「LOVE SURROUND ME」、6「WIND SITUATION」、7「COMMON」、8「ARE YOU REAL」、9「HE'S A BUM」、10「COCKTAILS」、11「I LOVE YOU」、12「CONSTANT COMPANION」、13「TIME FOR BED」、14「ALBUM TAG SONG」、15「ALL ALONE」、16「PIANO VARIATIONS ON THROUGHTS OF YOU」に、ボーナス・トラックで、17「HOLY MAN」を加えた全17曲入りで、合計33曲入りです。CD2の「BAMBU」セッション音源は、「ALL ALONE」以外の16曲は公式未発表音源でした。公式リリースをデニス・ウィルソンが望んでいた2作目のアルバム「BAMBU」も未完成ではあるものの完成度は高いので、これは公式盤2CDで購入する事をオススメします。CD2の最後に収録されている「HOLY MAN」は、CD1のボーナス・トラックでの未完成インストゥルメンタル曲に、フー・ファイターズのテイラー・ホーキンスがデニス・ウィルソン風のリード・ヴォーカルを、更にクイーンのブライアン・メイとロジャー・テイラーがバッキング・ヴォーカルを、それぞれオーバーダビングして完成させたヴァージョンです。この2CDのリイシュー盤は、全英16位になり、全米ビルボード・トップ・ポップ・カタログ・アルバム・チャートでは8位まで上がっています。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする