
1974年6月24日にキャピトルからリリースしたベスト・アルバム「ENDLESS SUMMER」が全米首位!となり、翌1975年4月14日にキャピトルからリリースした第2弾ベスト・アルバム「SPIRIT OF AMERICA」も全米7位となったビーチ・ボーイズは、その勢いに乗って、1976年7月5日に通算24作目の新作アルバム「15 BIG ONES」をリリースして、全米8位・全英31位となり、先行シングルで初心に帰ったチャック・ベリーのカバー曲「ROCK AND ROLL MUSIC」は全米5位となり、現役バンドとしても復活しました。アルバム「15 BIG ONES」は、1966年のアルバム「PET SOUNDS」以来、11年ぶりにブライアン・ウィルソンが単独名義でプロデュースした作品で、メンバーも、ブライアン・ウィルソン、デニス・ウィルソン、カール・ウィルソン、マイク・ラヴ、アル・ジャーディン、とオリジナル5人によってレコーディングされました。しかしながら、アルバム「15 BIG ONES」は精神疾患から徐々に回復しつつあったブライアン・ウィルソンを前面に出してはいたものの、新曲が足りないと云う理由からカバー8曲にオリジナル7曲と云う構成になっていて、些かまとまりに欠けていました。ブライアン・ウィルソンの主治医だった精神科医のユージン・ランディは、音楽を制作する事がリハビリになると唱えていて、ブライアン・ウィルソンはソロ・アルバム「BRIAN LOVE YOU」を、ポリフォニック・シンセサイザーを用いてほとんどを自分だけでレコーディングしつつ、ビーチ・ボーイズ用に「THE NEW ALBUM」と云う仮題のアルバムも制作していました。更にブライアン・ウィルソンのソロ・アルバムとして、アルバム「ADULT/CHILD」の制作も始めていました。結果的に、アルバム「BRIAN LOVE YOU」からほとんどの曲を流用して、アルバム「THE NEW ALBUM」からは「HONKIN' DOWN THE HIGHWAY」だけを流用して、1977年4月11日にブラザー/リプリーズから、ビーチ・ボーイズの通算25作目のアルバム「LOVE YOU」としてリリースしたのです。結果は、全米53位・全英28位と伸び悩んだのですが、元々がブライアン・ウィルソンのソロ・アルバムだったので、全ての曲をブライアン・ウィルソンが単独もしくは共作していていて、プロデュースもブライアン・ウィルソン単独名義です。
演奏もシンセサイザーを駆使して全ての楽器をブライアン・ウィルソンが演奏していて、他のビーチ・ボーイズのメンバーは歌とコーラスでしか参加していません。つまり、1966年のアルバム「PET SOUNDS」と同じ手法なのです。但し、アルバム「PET SOUNDS」の時にはブライアン・ウィルソンが指示してセッション・ミュージシャンに演奏させていたのですが、シンセサイザーを使う事で演奏もブライアン・ウィルソンが自分ひとりで出来る様になったのです。当時のビーチ・ボーイズは、デニス・ウィルソンはソロ・アルバム「PACIFIC OCEAN BLUE」をレコーディングしていて、カール・ウィルソンはリッチ・マーティンのアルバム「BEACHED」をプロデュースしていて、マイク・ラヴは「TRANSCENDENTAL MEDITATION」に没頭していて、アル・ジャーディンは家族と穏やかに暮らしていて、つまりは、ブライアン・ウィルソンがスタジオでひとりでレコーディングする事を止めるメンバーはいなかったのです。アルバム「LOVE YOU」の内容は、A面が、1「LET US GO ON THIS WAY」、2「ROLLER SKATING CHILD」、3「MONA」、4「JOHNNY CARSON」、5「GOOD TIME」、6「HONKIN' DOWN THE HIGHWAY」、7「DING DANG」で、B面が、1「SOLAR SYSTEM」、2「THE NIGHT WAS SO YOUNG」、3「I'LL BET HE'S NICE」、4「LET'S PUT OUR HEARTS TOGETHER」、5「I WANNA PICK YOU UP」、6「AIRPLANE」、7「LOVE IS A WOMAN」の、全14曲入りです。この内、ブライアン・ウィルソンとマイク・ラヴの共作が1曲(「LET US GO ON THIS WAY」)、ブライアン・ウィルソンとアル・ジャーディンの共作が1曲(「GOOD TIME」)、ブライアン・ウィルソンとロジャー・マッギンとの共作が1曲(「DING DANG」)で、他の11曲(「ROLLER SKATING CHILD」、「MONA」、「JOHNNY CARSON」、「HONKIN' DOWN THE HIGHWAY」、「SOLAR SYSTEM」、「THE NIGHT WAS SO YOUNG」、「I'LL BET HE'S NICE」、「LET'S PUT OUR HEARTS TOGETHER」、「I WANNA PICK YOU UP」、「AIRPLANE」、「LOVE IS A WOMAN」)は、ブライアン・ウィルソンの単独作です。この内アメリカン・スプリング(ハニーズのメンバーから派生した、当時のブライアン・ウィルソンの妻だったマリリン・ウィルソンとダイアン・ローヴェルの姉妹デュオ)に提供した「GOOD TIME」は、1970年のアルバム「SUNFLOWER」の頃にレコーディングしたので、ブライアン・ウィルソンの声が全く違っています。
ブライアン・ウィルソンがアルバムで全ての楽曲を書いているのは、1967年のアルバム「SMILEY SMILE」と、この1977年のアルバム「LOVE YOU」だけです。その制作過程もあって、このアルバム「LOVE YOU」は1970年代の「PET SOUNDS」だ、と持ち上げる方々までいます。そこまで盛大に持ち上げる気はありませんが、傑作アルバムではあると思います。特にレコードではB面だった全てがブライアン・ウィルソンによる単独作が並んでいる展開は素晴らしいし、その中には「THE NIGHT WAS SO YOUNG」の様な隠れた名曲も含まれています。ドラッグやアルコールで天使の歌声を失ったブライアン・ウィルソンの枯れた声が、逆に楽曲の美しさを際立たせている様な作品になっています。リード・ヴォーカルは、ブライアン・ウィルソンが2曲(「GOOD TIME」、「SOLAR SYSTEM」)、ブライアン・ウィルソンとデニス・ウィルソンとカール・ウィルソンの3兄弟で1曲(「I'LL BET HE'S NICE」)、ブライアン・ウィルソンとデニス・ウィルソンが1曲(「I WANNA PICK YOU UP」)、ブライアン・ウィルソンとカール・ウィルソンとマイク・ラヴの3人で1曲(「AIRPLANE」)、ブライアン・ウィルソンとカール・ウィルソンとマイク・ラヴとアル・ジャーディンの4人で1曲(「ROLLER SKATING CHILD」)、ブライアン・ウィルソンとマイク・ラヴとアル・ジャーディンの3人で1曲(「LOVE IS A WOMAN」)、ブライアン・ウィルソンと妻だったマリリン・ウィルソンが1曲(「LET'S PUT OUR HEARTS TOGETHER」)、カール・ウィルソンとマイク・ラヴが2曲(「LET US GO ON THIS WAY」、「JOHNNY CARSON」)、デニス・ウィルソンが1曲(「MONA」)、カール・ウィルソンが1曲(「THE NIGHT WAS SO YOUNG」)、マイク・ラヴが1曲(「DING DANG」)、アル・ジャーディンが1曲(「HONKIN' DOWN THE HIGHWAY」)、となっています。このアルバム「LOVE YOU」は、1990年に単体でCBSから、2000年にキャピトルからアルバム「15 BIG ONE」との「2 in 1」でCD化されて、今年(2026年)2月に拡張盤がリリースされるらしいです。それにしても、テレビ司会者を歌にした「JOHNNY CARSON」なんて、ブライアン・ウィルソン以外では考え付かないんじゃないでしょうか。
(小島イコ)
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