
1974年6月24日にキャピトルからリリースしたベスト・アルバム「ENDLESS SUMMER」が全米首位!となり、翌1975年4月14日にリリースしたベスト・アルバム「SPIRIT OF AMERICA」も全米7位まで上がるヒット作となったビーチ・ボーイズは、リバイバルではあるものの、再び音楽シーンの頂点に戻って来ました。10年前の楽曲が再び脚光を浴びたのは、ビーチ・ボーイズとしては手放しでは喜べなかったでしょうが、その波に乗って新作アルバムを出せば、現役バンドとしても人気になると思われたのです。1974年8月17日にはキャピトルがシングル「SURFIN' U.S.A.」をリイシューして、全米36位まで上がっています。ビーチ・ボーイズの新作としては、同年12月23日にクリスマス向けシングル「CHILD OF WINTER / SUSIE CINCINNATI」をリリースして、翌1975年3月10日にはシングル「SAIL ON, SAILLOR / ONLY WITH YOU」をリイシューして全米49位まで上がっています。そして、1976年5月24日には、24作目となる新作アルバム「15 BIG ONE」から先行シングルとして「ROCK AND ROLL MUSIC / TM SONG」をリリースして、全米5位・全英36位と米国では1966年のシングル「GOOD VIBRATIONS」(全米首位!・全英首位!)以来のトップ10ヒットとなりました。A面の「ROCK AND ROLL MUSIC」は、かつてビートルズもカバーしたチャック・ベリーの楽曲です。同年8月9日には、アルバムからの第2弾シングルとして「IT'S OK / HAD TO PHONE YA」をリリースして、全米29位まで上がり、同年11月1日には第3弾シングル「EVERYONE'S IN LOVE WITH YOU / SUSIE CINCINNATI」をリリースしますが、コレは流石にチャート入りしていません。そして、1976年7月5日に通算24作目のアルバム「15 BIG ONES」をブラザー/リプリーズからリリースしたのです。ビーチ・ボーイズのスタジオ新作アルバムは1973年1月8日リリースの「HOLLAND」以来、3年半ぶりでした。このアルバムは、1966年のアルバム「PET SOUNDS」以来、11年ぶりにブライアン・ウィルソンがプロデュースしています。精神疾患でパッパラパー状態だったブライアン・ウィルソンですが、精神科医であるユージン・ランディの治療で復活したのでした。
アルバム「15 BIG ONES」の内容は、A面が、1「ROCK AND ROLL MUSIC」、2「IT'S OK」、3「HAD TO PHONE YA」、4「CHAPEL OF LOVE」、5「EVERYONE'S IN LOVE WITH YOU」、6「TALK TO ME」、7「THAT SAME SONG」、8「TM SONG」で、B面が、1「PALISADES PARK」、2「SUSIE CINCINNATI」、3「A CASUAL LOOK」、4「BLUEBERRY HILL」、5「BACK HOME」、6「IN THE STILL OF THE NIGHT」、7「JUST ONCE IN MY LIFE」の、全15曲入りです。このアルバムは、元々はブライアン・ウィルソンの要望でオールディーズのカバー・アルバムを制作する事から始まっています。ところが、デニス・ウィルソンとカール・ウィルソンが、ベスト・アルバム「ENDLESS SUMMER」と「SPIRIT OF AMERICA」が大ヒットした後にカバー・アルバムなんかを出したら、ビーチ・ボーイズはいよいよ「懐メロバンド」になってしまう、と新曲で勝負したいとなったのです。アル・ジャーディンとマイク・ラヴは、兎に角、早くアルバムを出したくて、ベスト・アルバムの後でブライアン・ウィルソンが本格的に復帰したら、間違いなく新作アルバムも売れると考えていました。それで折衷案で、カバーが8曲でオリジナルが7曲の構成となっています。事実として、このアルバム「15 BIG ONES」は全米8位・全英31位となり、米国でビーチ・ボーイズの新作アルバムがトップ10入りしたのは、1966年のアルバム「PET SOUNDS」(全米10位)以来の事となっています。オリジナルは7曲(「IT'S OK」、「HAD TO PHONE YA」、「EVERYONE'S IN LOVE WITH YOU」、「THAT SAME SONG」、「TM SONG」、「SUSIE CINCINNATI」、「BACK HOME」)で、カバーが8曲(「ROCK AND ROLL MUSIC」、「CHAPEL OF LOVE」、「TALK TO ME」、「PALISADES PARK」、「A CASUAL LOOK」、「BLUEBERRY HILL」、「IN THE STILL OF THE NIGHT」、「JUST ONCE IN MY LIFE」)となっております。
注目されるのがカバーの8曲で、ブライアン・ウィルソンがやりたかったのはこちらのカバーであったと分かる、気合が入った出来栄えとなっています。前年である1975年にジョン・レノンがカバー・アルバム「ROCK'N'ROLL」をリリースしていて、その企画が元々はジョンとフィル・スペクターの二人によるものだったのも、ブライアン・ウィルソンがカバーに拘った一因でしょう。「ROCK AND ROLL MUSIC」はチャック・ベリー、「CHAPEL OF LOVE」はダーレン・ラヴ、「TALK TO ME」はリトル・ウィリー・ジョン、「PALISADES PARK」はフレディ・キャノン、「A CASUAL LOOK」はシックス・ティーンズ、「BLUEBERRY HILL」はファッツ・ドミノ、「IN THE STILL OF THE NIGHT」はファイブ・サテンズ、「JUST ONCE IN MY LIFE」はライチャス・ブラザーズ、が原曲ですが、「CHAPEL OF LOVE」と「JUST ONCE IN MY LIFE」と2曲もフィル・スペクターがプロデュースした楽曲を取り上げているのも、ブライアン・ウィルソンならではです。オリジナルの作者は、ブライアン・ウィルソンが1曲(「TM SONG」)、ブライアン・ウィルソンとマイク・ラヴの共作が2曲(「IT'S OK」、「THAT SAME SONG」)、ブライアン・ウィルソンとマイク・ラヴとダイアン・ローヴェルの共作が1曲(「HAD TO PHONE YA」)、ブライアン・ウィルソンとボブ・ノーバーグの共作が1曲(「BACK HOME」)、マイク・ラヴが1曲(「EVERYONE'S IN LOVE WITH YOU」)、アル・ジャーディンが1曲(「SUSIE CINCINNATI」)、となっております。やはり、ブライアン・ウィルソンが望んだ通りにカバーの方が良い出来栄えだし、アルバム全体の構成はまとまりがないのですけれど、全米8位まで上がったのですから大成功でしょう。この時のビーチ・ボーイズは結成15周年で、しかもメンバーは、ブライアン・ウィルソン、デニス・ウィルソン、カール・ウィルソン、マイク・ラヴ、アル・ジャーディンのオリジナル5人に戻っていました。アルバム「15 BIG ONES」は、1990年に単体でCBSから、2000年に次作アルバム「LOVE YOU」との「2 in 1」でキャピトルから、それぞれCD化されています。それにしても、ブライアン・ウィルソンの声が激変していて、驚かされるアルバムです。
(小島イコ)
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