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2026年01月18日

「ポールの道」#976「BEAT THE BEATLES」
#025「ENDLESS SUMMER with Sprit Of America and 3 other best albums」

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1970年代になって、ワーナー/リプリーズに移籍したビーチ・ボーイズのアルバムは、低迷していました。それはキャピトル時代の後期から始まっていて、1966年のアルバム「PET SOUNDS」は全米10位・全英2位で、1967年のアルバム「SMILEY SMILE」は全米41位・全英9位で、1967年のアルバム「WILD HONEY」は全米24位・全英7位で、1968年のアルバム「FRIENDS」は全米126位・全英13位で、1968年のカラオケ・アルバム「STACK-O-TRACKS」は米英ノンチャートで、1969年のアルバム「20/20」は全米68位・全英3位で、1970年のアルバム「SUNFLOWER」は全米151位・全英29位で、1971年のアルバム「SURF'S UP」は全米29位・全英15位で、1972年のアルバム「CARL AND THE PASSIONS “SO TOUGH”」は全米50位・全英25位で、1973年のアルバム「HOLLAND」は全米36位・全英20位と、特に米国での売り上げがかつての様にトップ10に入るヒット作とはなっていません。そんな中で1973年11月19日にブラザー/リプリーズからリリースしたLP2枚組のライヴ・アルバム「THE BEACH BOYS IN CONCERT」が全米25位とアルバム「WILD HONEY」以来久しぶりのヒット作となって、リリース当時にはオールタイム・ヒットの内容が評価されていました。しかしながら、リーダーだったブライアン・ウィルソンは精神疾患が治らず、自堕落な生活を続けていたので、新たな名曲を生み出す事は困難でした。バンドはカール・ウィルソンが引っ張っていたのですが、レコード会社が望んでいたのはブライアン・ウィルソンの復活であって、カール・ウィルソンやデニス・ウィルソンがどんなに頑張っても、ブライアン・ウィルソンが復活しなければ新たなアルバムは出せない事となったのです。確かにライヴ・アルバム「THE BEACH BOYS IN CONCERT」は売れましたが、それは何だかんだ云っても、かつてブライアン・ウィルソンが書いた名曲が多いセットリストだったからだ、とも云われたのです。

それで新作アルバムは出せない状況だった1974年6月24日に、キャピトル時代の1962年から1965年までのヒット曲を集めたLP2枚組のベスト・アルバム「ENDLESS SUMMER」が、キャピトルからリリースされたのです。ブライアン・ウィルソンが選曲して、マイク・ラヴがアルバム・タイトルを考案した、と云う触れ込みのこのベスト・アルバムは、全米首位!を獲得して、ビーチ・ボーイズはリバイバルとは云え、再び天下を取ったのでした。このベスト・アルバム「ENDLESS SUMMER」の企画は、1973年8月に公開されたジョージ・ルーカス監督の映画「アメリカン・グラフィティ」の最後に、ビーチ・ボーイズの「ALL SUMMER LONG」が効果的に使われた事から始まっています。ベスト・アルバム「ENDLESS SUMMER」の内容は、A面が、1「SURFIN' SAFARI」、2「SURFER GIRL」、3「CATCH A WAVE」、4「THE WARMTH OF THE SUN」、5「SURFIN' U.S.A.」で、B面が、1「BE TRUE TO YOUR SCHOOL」、2「LITTLE DEUCE COUPE」、3「IN MY ROOM」、4「SHUT DOWN」、5「FUN, FUN, FUN」で、C面が、1「I GET AROUND」、2「THE GIRLS ON THE BEACH」、3「WENDY」、4「LET HIM RUN WILD」、5「DON'T WORRY BABY」で、D面が、1「CALIFORNIA GIRLS」、2「GIRL DON'T TELL ME」、3「HELP ME, RHONDA」、4「YOU'RE SO GOOD TO ME」、5「ALL SUMMER LONG」の、全20曲入りです。それぞれの片面が10分から11分位しかなくて、全体で46分21秒しかないので、英国ではLP1枚でリリースされています。後に1CD化された時には、最後に「GOOD VIBRATIONS」を加えた全21曲入りでした。キャピトルとしては、前年である1973年に、ビートルズの初めてのオールタイム・ベスト・アルバムである「THE BEATLES 1962-1966(赤盤)」と「THE BEATLES 1967-1970(青盤)」が、それぞれLP2枚組で大ヒットしたので、今度はビーチ・ボーイズで行こう、とも思っていたのでしょう。

しかしながら、ビートルズは解散していたけれど、ビーチ・ボーイズは現役のバンドだったわけで、このリバイバル・ブームによって過去のバンドだと思われてしまう様にもなってしまったのです。いやいや、ビーチ・ボーイズはそもそも当時から懐メロ・バンドだろう、と思われるかもしれませんが、1970年代から1980年代にかけては新作もドンドン出していたわけで、1988年には「KOKOMO」で全米首位!となっているのです。1991年に来日公演を行った時には、テレビにカール・ウィルソンとマイク・ラヴが出て「俺たちは懐メロバンドじゃない、現に“KOKOMO”は全米首位!になっているじゃないか」とキレ気味に語っていました。個人的には、このベスト・アルバム「ENDLESS SUMMER」が最初に買ったビーチ・ボーイズのアルバムだったのですけれど、ジャケットのイラストが怖くて買うのに躊躇しました。キャピトルは、翌1975年4月14日には第2弾ベスト・アルバム「SPIRIT OF AMERICA」をLP2枚組でリリースして、全米7位とヒットさせています。そちらの内容は、A面が、1「DANCE, DANCE, DANCE」、2「BREAK AWAY」、3「A YOUNG MAN IS GONE」、4「409」、5「THE LITTLE GIRL I ONCE KNEW」、6「SPIRIT OF AMERICA」で、B面が、1「LITTLE HONDA」、2「HUSHABYE」、3「HAWAII」、4「DRIVE-IN」、5「GOOD TO MY BABY」、6「TELL ME WHY」で、C面が、1「DO YOU REMEMBER?」、2「THIS CAR OF MINE」、3「PLEASE LET ME WONDER」、4「WHY DO FOOLS FALL IN LOVE」、5「CUSTOM MACHINE」で、D面が、1「BARBARA ANN」、2「SALT LAKE CITY」、3「DON'T BACK DOWN」、4「WHEN I GROW UP(TO BE A MAN)」、5「DO YOU WANNA DANCE?」、6「GRADUATION DAY」の、全23曲入りです。リリース当時には「BREAK AWAY」や「THE LITTLE GIRL I ONCE KNEW」と云ったアルバム未収録シングルが収録されているのが目玉のひとつで、シングル以外の曲も多く選曲されていましたが、C面は10分もなくて、全体でも49分36秒しかありません。

この大ヒットしたベスト・アルバム2作に目を付けたビーチ・ボーイズは、1975年6月30日にベスト・アルバム「GOOD VIBRATIONS - BEST OF THE BEACH BOYS」を、ブラザー/リプリーズからリリースしました。内容は、A面が、1「SAIL ON, SAILLOR」、2「SLOOP JOHN B.」、3「GOD ONLY KNOWS」、4「DARLIN'」、5「ADD SOME MUSIC TO YOUR DAY」、6「WOULDN'T IT BE NICE」で、B面が、1「GOOD VIBRATIONS」、2「DO IT AGAIN」、3「CAROLINE NO」、4「FRIENDS」、5「SURF'S UP」、6「HEROES AND VILLAINS」の、全12曲入りです。ブラザー/リプリーズは、1966年のアルバム「PET SOUNDS」以降の作品をリリース出来たので、このベスト・アルバムをリリースしたのですが、全米25位とキャピトルからの2作よりは売れていません。選曲としては、こっちの方が良いとも思うのですけれどね。米国キャピトルは、そもそもアルバム「PET SOUNDS」以降の作品を認めていなかったので、勝手にやって下さい、だったのでしょう。1976年6月には、英国EMIで独自にベスト・アルバム「20 GOLDEN GREATS」をリリースしていて、全英首位!となっています。ベスト・アルバム「20 GOLDEN GREATS」の内容は、A面が、1「SURFIN' U.S.A.」、2「FUN, FUN, FUN」、3「I GET AROUND」、4「DON'T WORRY BABY」、5「LITTLE DEUCE COUPE」、6「WHEN I GROW UP(TO BE A MAN)」、7「HELP ME, RHONDA」、8「CALIFORNIA GIRLS」、9「BARBARA ANN」、10「SLOOP JOHN B.」で、B面が、1「YOU'RE SO GOOD TO ME」、2「GOD ONLY KNOWS」、3「WOULDN'T IT BE NICE」、4「GOOD VIBRATIONS」、5「THEN I KISSED HER」、6「HEROES AND VILLAINS」、7「DARLIN'」、8「DO IT AGAIN」、9「I CAN HEAR MUSIC」、10「BREAK AWAY」の、全20曲入りです。サーファーを描いたイラストのジャケットはどうかと思いますけれど、ベスト・アルバムに関しては本国である米国よりも英国の方がマトモな選曲をしているなあ、とは思います。

そしてキャピトルは、1982年6月になって第3弾でLP2枚組のベスト・アルバム「SUNSHINE DREAM」をリリースしました。流石にキャピトルだけで「ENDLESS SUMMER」と「SPIRIT OF AMERICA」を、英国EMIでは「20 GOLDEN GREATS」を、ブラザー/リプリーズからも「GOOD VIBRATIONS - BEST OF THE BEACH BOYS」を、更に後に紹介するブラザー/カリブ/CBSからの「TEN YEARS OF HARMONY」も加えれば5作も既にベスト・アルバムが出ていたので、全米180位までしか上がっていません。ベスト・アルバム「SUNSHINE DREAM」の内容は、A面が、1「I CAN HEAR MUSIC」、2「HERE TODAY」、3「DARLIN'」、4「CAROLINE NO」、5「AREN'T YOU GLAD」、6「GOOD VIBRATIONS」で、B面が、1「WOULDN'T IT BE NICE」、2「FRIENDS」、3「GOD ONLY KNOWS」、4「VEGETABLES」、5「HOW SHE BOOGALOOED IT」、6「THERE'S NO OTHER (LIKE MY BABY)」で、C面が、1「HEROES AND VILLAINS」、2「ALL I WANT TO DO」、3「WILD HONEY」、4「I'M WAITING FOR THE DAY」、5「COTTON FIELDS」、6「THEN I KISSED HER」で、D面が、1「SLOOP JOHN B.」、2「BE HERE IN THE MORNIN'」、3「BLUEBIRDS OVER THE MOUNTAIN」、4「KEEP AN EYE ON SUMMER」、5「DO IT AGAIN」、6「THE BEACH BOYS MEDLEY」の、全24曲入りです。キャピトルとしては残り物を集めたのでしょうけれど、結果的にアルバム「PET SOUNDS」以降の楽曲が多く選曲されています。2026年の現在では、ビーチ・ボーイズのベスト・アルバムは色々と出ていて、今回紹介した5作のベスト・アルバムはCD化されていなかったり、CD化されていても廃盤だったりしますけれど、その後の「GETCHA BACK」や「KOKOMO」も収録した新たなベスト・アルバムが出ています。但し、ベスト・アルバム「SUNSHINE DREAM」に収録された「THE BEACH BOYS MEDLEY」は、アナログ盤以外では日本のみでCD化されたアルバム「RARITIES」でしか聴けない音源ではあります。同時期のビートルズの「MOVIE MEDLEY」はなかった事になっているのに、幾らキャピトル主導とは云え、こんなツギハギのメドレーまでアルバムに入れられてしまうのが、ビーチ・ボーイズなのです。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする