
ビーチ・ボーイズが1971年8月30日にブラザー/リプリーズからリリースした、移籍第2弾で通算20作目のアルバム「SURF'S UP」は、ヴァン・ダイク・パークスの助言で、切り札の幻のアルバム「SMiLE」音源を元にした「SURF'S UP」を完成させて、タイトル曲としてアルバムの最後に収録した事も功を奏して、全米29位・全英15位と盛り返しました。何せ、その前の1970年8月31日にリリースした移籍第1弾で19作目のアルバム「SUNFLOWER」は、内容は良かったものの、全米151位・全英29位と、特に本国である米国での評価はどん底状態だったのですから、アルバム「SURF'S UP」は当時としては充分な成績だったでしょう。しかし、シングルは何作もリリースしていたのに、1971年10月11日にリリースした「LONG PROMISED ROAD / ’TILL I DIE」が全米89位になっただけで、他はチャート入りしていません。大傑作である「SURF'S UP」もシングル・カットしていたのに、サッパリ売れませんでした。そして、1972年5月15日に、移籍第3弾で通算21作目のアルバム「CARL AND THE PASSIONS “SO TOUGH”」をリリースしました。このアルバムのジャケットには、現在では大きく「THE BEACH BOYS」と載っていますが、リリース当時には「CARL AND THE PASSIONS “SO TOUGH”」としか載っていなくて、つまり「CARL AND THE PASSIONS」と云うバンドの 「SO TOUGH」と云うアルバムになっていました。「CARL AND THE PASSIONS」とは、まだ「ビーチ・ボーイズ」と名付けられる前に名乗っていたバンド名のひとつで、カール・ウィルソンがライヴに出たくないとごねたのでカールの名前を付けて逃げられない様にしたらしいのです。この時期のビーチ・ボーイズは、マネジャーだったジャック・ライリーとの確執があったブルース・ジョンストンが脱退してしまい、補強する為にカール・ウィルソンがプロデュースした黒人バンド「フレイム」のメンバーだった、ブロンディ・チャップリン(ヴォーカル、ギター、ベース)とリッキー・ファター(ドラムス)を正式メンバーとして加入させています。
アルバム「CARL AND THE PASSIONS “SO TOUGH”」の内容は、A面が、1「YOU NEED A MESS OF HELP TO STAND ALONE」、2「HERE SHE COMES」、3「HE COME DOWN」、4「MARCELLA」で、B面が、1「HOLD ON DEAR BROTHER」、2「MAKE IT GOOD」、3「ALL THIS IS THAT」、4「CUDDLE UP」の、全8曲入りです。作者は、ブライアン・ウィルソンとジャック・ライリーの共作が1曲(「YOU NEED A MESS OF HELP TO STAND ALONE」)、ブライアン・ウィルソンとマイク・ラヴとアル・ジャーディンの共作が1曲(「HE COME DOWN」)、ブライアン・ウィルソンとタンディン・アルマーとジャック・ライリーの共作が1曲(「MARCELLA」)、カール・ウィルソンとマイク・ラヴとアル・ジャーディンの共作が1曲(「ALL THIS IS THAT」)、デニス・ウィルソンとダリル・ドラゴンの共作が2曲(「MAKE IT GOOD」、「CUDDLE UP」)、ブロンディ・チャップリンとリッキー・ファターの共作が2曲(「HERE SHE COMES」、「HOLD ON DEAR BROTHER」)です。プロデュースはそれぞれの楽曲でメンバーが単独もしくは共同で行っていますが、実質的にはカール・ウィルソンが引っ張っていました。それにしても、全8曲中2曲もマネジャーにすぎないジャック・ライリーが作者になっていたんじゃあ、そりゃあ、ブルース・ジョンストンも脱退するでしょう。新メンバーとなったブロンディ・チャップリンは、ローリング・ストーンズのライヴでのサポート・メンバーを務めているし、晩年のブライアン・ウィルソンのライヴにもゲスト出演しているので、お馴染みでしょう。もうひとりのリッキー・ファターは、ドラマーとしても有名ですが、なんと云っても「ラトルズ」でスティグ・オハラ(ジョージ・ハリスンがモデル)を演じた事でも有名です。アルバム「CARL AND THE PASSIONS “SO TOUGH”」は、最初に米国でリリースされた時には単体ではなく、ブライアン・ウィルソンが監修したと云われているアルバム「PET SOUNDS」のモノラル・ミックス盤とセットになって発売されています。ビーチ・ボーイズの新作だけじゃ商売にならない、と云う判断だったのでしょう。結果は、全米50位・全英25位と、まずまずの成績でした。全米50位でまずまずなんて、かつてのビーチ・ボーイズでは考えられなかったのですけれどねえ。
シングル・カットは、1972年5月15日に「YOU NEED A MESS OF HELP TO STAND ALONE / CUDDLE UP」と云うアルバムの最初と最後の曲でのカップリングと、同年6月26日に「MARCELLA / HOLD ON DEAR BROTHER」をリリースしていますが、前者はチャート入りしておらず、名曲「MARCELLA」も全米110位までしか上がっていません。1970年代前半のビーチ・ボーイズは、シングル・ヒットがないのが痛いところです。アルバム「CARL AND THE PASSIONS “SO TOUGH”」は、1990年に単体でCBSから、2000年に次作アルバムである「HOLLAND」と2CDのセットでキャピトルから、それぞれCD化されています。「2 in 1」ではなく「2CD」となったのはですね、アルバム「HOLLAND」にはオマケのEPが付いていて、それも収録してしまうとCD1枚には収まらないからなのです。2022年12月2日には、アルバム「CARL AND THE PASSIONS “SO TOUGH”」とアルバム「HOLLAND」の拡張盤「SAIL ON, SAILLOR 1972」がキャピトルからリリースされています。CD6枚組の箱には、全105曲入りとなっておりますが、通常盤2CD全45曲入りも出ております。2CDは、アルバム「CARL AND THE PASSIONS “SO TOUGH”」とアルバム「HOLLAND」の2枚に分けてありますので、今回はCD1を紹介します。1〜8は、アルバム「CARL AND THE PASSIONS “SO TOUGH”」全8曲のリマスター音源ですが、その後はボーナス・トラックで、9「THE ROAD NOT TAKEN」、10「ALL THIS IS THAT」、11「HE COME DOWN」、12「YOU NEED A MESS OF HELP TO STAND ALONE」、13「MARCELLA」、14「MAKE IT GOOD」、15「CUDDLE UP」、16「CARL AND THE PASSIONS / PET SOUNDS PROMO」、17「INTRO TO 2ND SET; JACK RIELEY」、18「YOU NEED A MESS OF HELP TO STAND ALONE」、19「MARCELLA」、20「ONLY WITH YOU」、21「BIG SUR」、22「FUNKY PRETTY」の、全22曲入りです。本編よりもボーナス・トラックの方が多いのは相変わらずですが、貴重なアカペラ・ヴァージョンやライヴ・ヴァージョンが聴けます。
(小島イコ)
【関連する記事】
- 「ポールの道」#1007「BEAT THE BEATLES」
#056「LIVE .. - 「ポールの道」#1006「BEAT THE BEATLES」
#055「LIKE .. - 「ポールの道」#1005「BEAT THE BEATLES」
#054「THE G.. - 「ポールの道」#1004「BEAT THE BEATLES」
#053「ENDLE.. - 「ポールの道」#1003「BEAT THE BEATLES」
#052「IMAGI.. - 「ポールの道」#1002「BEAT THE BEATLES」
#051「THE P.. - 「ポールの道」#1001「BEAT THE BEATLES」
#050「THE W..

