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2026年01月14日

「ポールの道」#972「BEAT THE BEATLES」
#021「SURF'S UP」

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ワーナー/リプリーズに移籍して、1970年8月31日に移籍第1弾で通算19作目のアルバム「SUNFLOWER」をリリースしたビーチ・ボーイズですが、全米151位・全英29位と、本国である米国ではどん底状態が続いていました。シングルも「ADD SOME MUSIC TO YOUR DAY / SUSIE CINCINNATI」が全米64位で、「SLIP ON THROUGH / THIS WHOLE WORLD」、「TEARS IN THE MORNING / IT'S ABOUT TIME」、「COOL, COOL WATER / FOREVER」はチャート入りしていません。1971年には、5月24日に「LONG PROMISED ROAD / DEIRDRE」を、10月11日に「LONG PROMISED ROAD / ’TILL I DIE」を、11月8日に「SURF'S UP / DON'T GO NEAR THE WATER」を、明けて1972年1月31日には「STUDENT DEMONSTRATION TIME / DON'T GO NEAR THE WATER」をシングルでリリースしていますが、「LONG PROMISED ROAD / ’TILL I DIE」が全米89位になっただけで、他のシングルはチャート入りしていません。そして、それらの楽曲も含めた移籍第2弾で通算20作目のアルバム「SURF'S UP」を、1971年8月30日にブラザー/リプリーズからリリースしました。このアルバムは、元々は「LAND LOCKED」と云うタイトルでしたが、幻のアルバム「SMiLE」用の音源を元にした「SURF'S UP」を収録する事になって、タイトルや内容が変更されています。そして、このアルバム「SURF'S UP」は、全米29位・全英15位まで上がっていて、米国では久しぶりのヒットとなり、英国での人気も衰えていませんでした。「SURF'S UP」を収録する様に提言したのは、ブライアン・ウィルソンとアルバム「SMiLE」で共作していたヴァン・ダイク・パークスで、ブライアン・ウィルソンは反対したものの、1966年にアルバム「SMiLE」用にレコーディングされたバッキング・トラックに、カール・ウィルソンが新たにリード・ヴォーカルをオーバーダビングして、ブライアン・ウィルソンがピアノの弾き語りで歌った1966年の音源を中間部に差し込んで、コーダにはやはりアルバム「SMiLE」用だった「CHILD IS FATHER OF THE MAN」を元にしたコーラスを加えて完成しています。

アルバム「SURF'S UP」の内容は、A面が、1「DON'T GO NEAR THE WATER」、2「LONG PROMISED ROAD」、3「TAKE A LOAD OFF YOUR FEET」、4「DISNEY GIRLS(1957)」、5「STUDENT DEMONSTRATION TIME」で、B面が、1「FEEL FLOWS」、2「LOOKIN' AT TOMORROW(A WELFARE SONG)」、3「A DAY IN THE LIFE OF A TREE」、4「’TILL I DIE」、5「SURF'S UP」の、全10曲入りです。作者は、ブライアン・ウィルソンが1曲(「’TILL I DIE」)、ブライアン・ウィルソンとヴァン・ダイク・パークスの共作が1曲(「SURF'S UP」)、ブライアン・ウィルソンとジャック・ライリーの共作が1曲(「A DAY IN THE LIFE OF A TREE」)、ブライアン・ウィルソンとアル・ジャーディンとゲイリー・ウィンフリーの共作が1曲(「TAKE A LOAD OFF YOUR FEET」)、カール・ウィルソンとジャック・ライリーの共作が2曲(「LONG PROMISED ROAD」、「FEEL FLOWS」)、マイク・ラヴとアル・ジャーディンの共作が1曲(「DON'T GO NEAR THE WATER」)、アル・ジャーディンとゲイリー・ウィンフリーの共作が1曲(「LOOKIN' AT TOMORROW(A WELFARE SONG)」)、ブルース・ジョンストンが1曲(「DISNEY GIRLS(1957)」)、カバーで替え歌が1曲(「STUDENT DEMONSTRATION TIME」)です。リード・ヴォーカルは、ブライアン・ウィルソンとマイク・ラヴとアル・ジャーディンが1曲(「DON'T GO NEAR THE WATER」)、ブライアン・ウィルソンとアル・ジャーディンが1曲(「TAKE A LOAD OFF YOUR FEET」)、ブライアン・ウィルソンとマイク・ラヴとカール・ウィルソンが1曲(「’TILL I DIE」)、ブライアン・ウィルソンとカール・ウィルソンとアル・ジャーディンが1曲(「SURF'S UP」)、カール・ウィルソンが2曲(「LONG PROMISED ROAD」、「FEEL FLOWS」)、マイク・ラヴが1曲(「STUDENT DEMONSTRATION TIME」)、アル・ジャーディンが1曲(「LOOKIN' AT TOMORROW(A WELFARE SONG)」)、ブルース・ジョンストンが1曲(「DISNEY GIRLS(1957)」)、ジャック・ライリーとヴァン・ダイク・パークスとアル・ジャーディンが1曲(「A DAY IN THE LIFE OF A TREE」)です。

プロデュースはビーチ・ボーイズ名義で、やはり、幻のアルバム「SMiLE」用だったタイトル曲の「SURF'S UP」が図抜けていますが、ブライアン・ウィルソン作の新曲「’TILL I DIE」や、カール・ウィルソンの美声が聴ける「LONG PROMISED ROAD」と「FEEL FLOWS」や、マイク・ラヴとアル・ジャーディンが社会問題を扱った「DON'T GO NEAR THE WATER」と「STUDENT DEMONSTRATION TIME」など、聴きどころも多い佳作です。中でもブルース・ジョンストンの必殺の名曲「DISNEY GIRLS(1957)」がギラリンコと光っていますが、あたくしはこの曲をアート・ガーファンクルによるカバー・ヴァージョンで先に聴いていました。1970年代の日本では、ビーチ・ボーイズよりもサイモン&ガーファンクルの方が圧倒的に人気があったのです。いや、多分、今でもそうでしょう。アルバム「SURF'S UP」は、1990年にCBSから単体で、2000年にキャピトルからアルバム「SUNFLOWER」との「2 in 1」でCD化されたのですが、それまではCDではベスト・アルバム「TEN YEARS OF HARMONY」でしか聴けませんでした。2021年8月27日には、5CD「FEEL FLOWS:THE SUNFLOWER & SURF'S UP SESSIONS 1969-1971」全133曲入り!がキャピトルからリリースされて、2CD全56曲入りも同時に出ています。2CDのCD2は、1〜10がアルバム「SURF'S UP」全10曲の2019年リマスター音源で、11「IT'S ABOUT TIME」、12「BIG SUR」、13「(WOULDN'T IT BE NICE TO)LIVE AGAIN」、14「4TH OF JULY」、15「LADY(FALLIN' LOVE)」、16「BEHOLD THE NIGHT」、17「MEDLEY:ALL OF MY LOVE / ECOLOGY」、18「SWEET AND BITTER」、19「MY SOLUTION」、20「AWAKE」、21「DISNEY GIRLS」、22「SURF'S UP」、23「YOU NEED A MESS OF HELP TO STAND ALONE」、24「FEEL FLOWS」、25「DISNEY GIRLS」、26「SURF'S UP PROMO」の、全26曲入りとなっております。聴きどころ満載ですが、1973年の「SURF'S UP」のライヴ・ヴァージョンが、やはり目玉でしょう。しかし、他のアルバムもそうですけれど、ビーチ・ボーイズの場合は、本編よりもボーナス・トラックの方が多いのです。

さて、前述の通り、アルバム「SURF'S UP」は、元々はアルバム「LAND LOCKED」としてレコーディングされていました。そちらのブートレグ「THE BEACH BOYS - LAND LOCKED - ORIGINAL MIX 1970 -」も持っているので紹介しておきましょう。内容は、1「LOOP DE LOOP」、2「SUSIE CINCINNATI」、3「SAN MIGUEL」、4「H.E.L.P. IS ON THE WAY」、5「TAKE A LOAD OFF YOUR FEET」、6「OVER THE WAVE」、7「I JUST GOT MY PAY」、8「’TILL I DIE」、9「GOOD TIME」、10「BIG SUE(原文ママ)」、11「LADY(原文ママ)」、12「WHEN GIRLS GET TOGETHER」、13「LOOKIN' AT TOMORROW」と、全13曲が本編です。ボーナス・トラックとして、14「’TILL I DIE」、15「IT'S ABOUT TIME」の2曲が加わっていて、16「CARL & THE PASSION - SO TOUGH」、17「SIX PACK」、18「HOLLAND」と、三つのラジオ・スポットを加えた全18曲入りとなっております。2026年の現在では、全ての楽曲が公式盤で聴ける様になっておりますが、何せリプリーズ時代とカリブ時代のアルバムは廃盤になっていたし、キャピトル時代の多くのアルバムですらほとんどが廃盤状態だったので、ましてや幻のアルバムなんて「SMiLE」を筆頭にしてビーチ・ボーイズには矢鱈と多くて、その辺は幻のアルバムが「GET BACK with Don't Let Me Down and 12 other song」しかなかったビートルズよりもずっと取っつきにくい存在でした。このアルバム「SURF'S UP」には、裏事情としてジャック・ライリーと云うトンデモ・マネジャーが絡んでいて、何曲かで作家としてクレジットされているばかりか、「A DAY IN THE LIFE OF A TREE」では下手なリード・ヴォーカルまで担当しています。そのトンデモ男との確執があって、ブルース・ジョンストンが名曲「DISNEY GIRLS(1957)」を置き土産として、ビーチ・ボーイズから脱退してしまったのです。ブルース・ジョンストンとジャック・ライリーだったなら、切るべきなのはジャック・ライリーだったと思うのですが、そんな簡単な選択すら間違えてしまったビーチ・ボーイズは、迷走していたのでしょうなあ。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする