
1970年になって、ビーチ・ボーイズはキャピトルからワーナー/リプリーズに移籍しました。同時に、ビーチ・ボーイズの作品は自らが立ち上げたブラザー・レコーズからリリースする事となったのです。1970年のシングル・リリースを見ると、2月23日に「ADD SOME MUSIC TO YOUR DAY / SUSIE CINCINNATI」(全米64位)、4月20日に「COTTON FIELDS / THE NEAREST FARAWAY PLACE」(これのみキャピトルから、全米103位)、6月29日に「SLIP ON THROUGH / THIS WHOLE WORLD」(チャート入りなし)、11月に「TEARS IN THE MORNING / IT'S ABOUT TIME」(チャート入りなし)、明けて1971年2月に「COOL, COOL WATER / FOREVER」(チャート入りなし)となっています。要するに、シングルはサッパリ売れていません。そして、1970年8月31日に、リプリーズ移籍第1弾で19作目のアルバム「SUNFLOWER」をブラザー/リプリーズからリリースしました。結果から云えば、この移籍第1弾アルバム「SUNFLOWER」は、全米151位・全英29位と、当時としては相変わらず米国での評価はどん底で、英国では健闘していました。アルバム「SUNFLOWER」の内容は、A面が、1「SLIP ON THROUGH」、2「THIS WHOLE WORLD」、3「ADD SOME MUSIC TO YOUR DAY」、4「GOT TO KNOW THE WOMAN」、5「DEIRDRE」、6「IT'S ABOUT TIME」で、B面が、1「TEARS IN THE MORNING」、2「ALL I WANNA DO」、3「FOREVER」、4「OUR SWEET LOVE」、5「AT MY WINDOW」、6「COOL, COOL WATER」の、全12曲入りです。ズバリ云って、このアルバム「SUNFLOWER」は移籍第1弾で気合が入っているし、名曲揃いの傑作だと思うのですが、全英29位は兎も角として、本国である米国で151位と云う成績は低過ぎると思います。それでも、例えば、ポール・マッカートニーの1986年リリースのアルバム「PRESS TO PLAY」が全米30位だったから駄作だなどと云っているのに、一方でこのビーチ・ボーイズのアルバム「SUNFLOWER」は全米151位だけど素晴らしいなんて云うのは、一貫性が全くないじゃありませんか。ポールが30位でダメなら、ビーチ・ボーイズも151位でダメダメだと云うべきでしょう。
作者は、ブライアン・ウィルソンとマイク・ラヴの共作が2曲(「ALL I WANNA DO」、「COOL, COOL WATER」)、ブライアン・ウィルソンが1曲(「THIS WHOLE WORLD」)、ブライアン・ウィルソンとマイク・ラヴとジョー・ノットの共作が1曲(「ADD SOME MUSIC TO YOUR DAY」)、ブライアン・ウィルソンとブルース・ジョンストンの共作が1曲(「DEIRDRE」)、ブライアン・ウィルソンとアル・ジャーディンの共作が1曲(「AT MY WINDOW」)、ブライアン・ウィルソンとカール・ウィルソンとアル・ジャーディンの共作が1曲(「OUR SWEET LOVE」)、デニス・ウィルソンとグレッグ・ジェイコブソンの共作が3曲(「SLIP ON THROUGH」、「GOT TO KNOW THE WOMAN」、「FOREVER」)、デニス・ウィルソンとカール・ウィルソンとアル・ジャーディンとボブ・バーチマンの共作が1曲(「IT'S ABOUT TIME」)、ブルース・ジョンストンが1曲(「TEARS IN THE MORNING」)です。リード・ヴォーカルは、ブライアン・ウィルソンとマイク・ラヴが1曲(「COOL, COOL WATER」)、ブライアン・ウィルソンとブルース・ジョンストンが2曲(「DEIRDRE」、「AT MY WINDOW」)、デニス・ウィルソンが3曲(「SLIP ON THROUGH」、「GOT TO KNOW THE WOMAN」、「FOREVER」)、カール・ウィルソンが2曲(「THIS WHOLE WORLD」、「OUR SWEET LOVE」)、カール・ウィルソンとマイク・ラヴが1曲(「IT'S ABOUT TIME」)、マイク・ラヴが1曲(「ALL I WANNA DO」)、ブルース・ジョンストンが1曲(「TEARS IN THE MORNING」)、グループ全員で1曲(「ADD SOME MUSIC TO YOUR DAY」)となっております。プロデュースもビーチ・ボーイズ名義で、パッパラパー状態だったブライアン・ウィルソンの穴を埋める為に、弟であるデニス・ウィルソンとカール・ウィルソンが前に出ていて、ブルース・ジョンストンも初めて「TEARS IN THE MORNING」でリード・ヴォーカルを担当したり、ブライアン・ウィルソンとの共作で佳作の「DEIRDRE」を書いて二人で歌っていたりします。
グループ全員で歌った「ADD SOME MUSIC TO YOUR DAY」は、タツローこと山下達郎さんがアマチュア時代に自主制作したレコードのタイトルにもなっていて、それを聴いた銀次こと伊藤銀次さんが大瀧師匠に聴かせて、SUGAR BABEをコーラス・グループだと誤解した大瀧師匠が「はっぴいえんど ラスト・ライブ “CITY-Last Time Around”」でSUGAR BABEから3人(タツロー、ター坊、村松邦男さん)をコーラスに抜擢して、ナイアガラ第1弾のアルバムでSUGAR BABEの「SONGS」が制作されたと云う話となるわけですなあ。最後に収録されている「COOL, COOL WATER」は、1967年の幻のアルバム「SMiLE」に収録予定だった「LOVE TO SAY DADA」を発展させた曲で、前作スタジオ・アルバム「20/20」の最後が「OUR PRAYER」と「CABINESSENCE」だったり、次作スタジオ・アルバム「SURF'S UP」の最後が「SURF'S UP」だったりと、この時期のビーチ・ボーイズはアルバム「SMiLE」音源を小出しにしていました。「DEIRDRE」は、「GOT TO KNOW THE WOMAN」、「ALL I WANNA DO」、「FOREVER」などと同じで、1969年の幻のアルバム「REVERBERATION」に収録予定だった「WHEN GIRLS GET TOGETHER」が元になっています。「ALL I WANNA DO」と「OUR SWEET LOVE」も、1968年のアルバム「FRIENDS」用に書かれた楽曲を元にしています。要するに、過去にレコーディングされた音源を元にしている曲が多く収録されているわけですけれど、それらは移籍後のアルバムの為に取って置いたのでしょう。それだけに、アルバム「SUNFLOWER」が全米151位と云う結果に終わったの事には、グループ全員が落胆したでしょう。1970年代から1980年代のリプリーズとカリブの音源は、ほとんどが廃盤となっていて、ベスト・アルバム「TEN YEARS OF HARMONY」でしか聴けない時代がありました。1990年頃にようやく単独でCD化されて、2000年になって、それらの音源がキャピトルに移って、1970年のアルバム「SUNFLOWER」から1985年のアルバム「THE BEACH BOYS」までのアルバムが「2 in 1」でCD化されたので、ようやくアルバム単位で聴ける様になったのです。ちなみに、このアルバム「SUNFLOWER」は、ヨーロッパ盤などはA面1曲目に「COTTON FIELDS」を収録した、全13曲入りだった様です。
キャピトルは、1997年には4CDの箱「THE PET SOUNDS SESSIONS」を、1998年には1CDの「ULTIMATE CHRISTMAS」を、2011年には5CD+2LP+2EPの箱「SMiLE SESSIONS」を、2015年には2CD「BEACH BOYS' PARTY!:UNCOVERED AND UNPLUGGED」を、2017年には2CD「1967 SUNSHINE TOMORROW」と、配信限定で「1967 SUNSHINE TOMORROW 2」と、「1967 LIVE SUNSHINE」全109曲!入りを、2018年には配信限定で「WAKE THE WORLD:THE FRIENDS SESSIONS」と「I CAN HEAR MUSIC:20/20 SESSIONS」と「BEACH BOYS ON TOUR:1968」全144曲入り!をそれぞれリリースしているのですが、それらは元々がキャピトルからリリースされたアルバムの拡張盤でした。ところが、2021年8月21日になって、このアルバム「SUNFLOWER」と、次作アルバム「SURF'S UP」の拡張盤である「FEEL FLOWS:THE SUNFLOWER & SURF'S UP SESSIONS 1969-1971」が、キャピトルからリリースされたのです。5CDで全133曲入り!の箱と、2CDで全56曲入りでのリリースとなっております。流石に5CDには手を出せなかったので、2CDで妥協しましたが、その2CD「FEEL FLOWS」は、アルバム「SUNFLOWER」とアルバム「SURF'S UP」の2作で分けてあります。CD1の「SUNFLOWER」を紹介すると、1〜12がアルバム「SUNFLOWER」全12曲の2019年リマスター音源で、13「LOOP DE LOOP」、14「SAN MIGUEL」、15「SUSIE CINCINNATI」、16「GOOD TIME」、17「I JUST GOT MY PAY」、18「TWO CAN PLAY」、19「I'M GOIN’ YOUR WAY」、20「WHERE IS SHE」、21「BREAK AWAY」、22「OUR SWEET LOVE」、23「THIS WHOLE WORLD」、24「SOULFUL OLD MAN SUNSHINE」、25「ALL I WANNA DO」、26「BACK HOME」、27「WHEN GIRLS GET TOGETHER」、28「COTTON FIELDS(THE CITTON SONG)」、29「THIS WHOLE WORLD」、30「SUNFLOWER PROMO 1」の全30曲入りとなっております。何だかんだ云って、キャピトルが儲かるわけですなあ。
(小島イコ)
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