
ビーチ・ボーイズは、1968年6月24日にキャピトルからリリースした15作目のアルバム「FRIENDS」が全米126位で、同年8月5日にリリースした3作目のベスト・アルバム「THE BEST OF THE BEACH BOYS VOL.3」は全米153位で、同年8月19日にリリースした16作目で早過ぎたカラオケ・アルバム「STACK-O-TRACKS」は遂に全米200にチャート入りせず、翌1969年2月10日にリリースした17作目(ベスト・アルバムを加えると20作目)のアルバム「20/20」も全米68位と振るいませんでした。しかしながら、カラオケ・アルバム「STACK-O-TRACKS」は兎も角として、英国では人気があって、アルバム「FRIENDS」が全英13位で、選曲を変えたベスト・アルバム「THE BEST OF THE BEACH BOYS VOL.3」が全英8位で、アルバム「20/20」は全英3位と、軒並み大ヒットさせています。同時期のシングルも「FRIENDS」が全米47位・全英25位、「DO IT AGAIN」が全米20位・全英首位!、「BLUEBIRDS OVER THE MOUNTAIN」が全米61位・全英33位、「I CAN HEAR MUSIC」が全米24位・全英10位、「BREAK AWAY」が全米63位・全英6位となっていて、独自にシングル・カットした「THEN I KISSED HER」も全英5位と、英国での人気が圧倒的でした。そこで、ツアーから撤退していたブライアン・ウィルソン以外の、マイク・ラヴ(ヴォーカル、タンバリン、エレクトロテルミン)、デニス・ウィルソン(ヴォーカル、ドラムス)、カール・ウィルソン(ヴォーカル、リード・ギター)、アル・ジャーディン(ヴォーカル、リズム・ギター)、ブルース・ジョンストン(ヴォーカル、ベース、オルガン)の5人のメンバーに加えて、ダリル・ドラゴン(ピアノ、オルガン、ベース)、エド・カーター(ベース、タンバリン、リード・ギター)、マイク・コワルスキー(パーカッション)に、ノンクレジットながらホーン・セクションとチェロも加えたツアー・バンドを結成して、米国と英国でのツアーを行って、その中から1968年12月8日のロンドンのフィンズベリー・パーク・アストリアでのライヴ音源から選曲したライヴ・アルバム「LIVE IN LONDON」を、1970年5月に英国でリリースしたのです。
が、しかし、当時の米国での評価は底の底まで堕ちていたので、米国キャピトルはこのライヴ・アルバム「LIVE IN LONDON」を1970年にはリリースせずに、1970年代中頃にビーチ・ボーイズのリバイバル・ブームを受けて、なんと、1976年11月15日になってようやく「BEACH BOYS ’69(THE BEACH BOYS LIVE IN LONDON)」と改名(1968年のライヴなのに1969年にしている)してリリースしています。ライヴ・アルバム「LIVE IN LONDON」の内容は、A面が、1「DARLIN'」、2「WOULDN'T IT BE NICE」、3「SLOOP JOHN B.」、4「CALIFORNIA GIRLS」、5「DO IT AGAIN」、6「WAKE THE WORLD」、7「AREN'T YOU GLAD」で、B面が、1「BLUEBIRDS OVER THE MOUNTAIN」、2「THEIR HEARTS WERE FULL OF SPRING」、3「GOOD VIBRATIONS」、4「GOD ONLY KNOWS」、5「BARBARA ANN」の、全12曲入りです。英国での人気が爆発した1966年リリースのアルバム「PET SOUNDS」以降の楽曲を多く演奏していて、しかも、サポート・メンバーも多く加えたバンド編成だった為に「GOOD VIBRATIONS」の様なライヴでの再現が困難だと思われた楽曲も演奏しています。ホーン・セクションを加えた「DARLIN'」や、英国では「GOOD VIBRATIONS」に続いて全英首位!となった「DO IT AGAIN」や、お得意のアカペラでの「THEIR HEARTS WERE FULL OF SPRING」など、聴きどころも多いライヴ・アルバムとなっています。このライヴ・アルバム「LIVE IN LONDON」は、1990年と2001年に、1964年リリースのライヴ・アルバム「BEACH BOYS CONCERT」との「2 in 1」でCD化されています。1〜13がライヴ・アルバム「BEACH BOYS CONCERT」全13曲で、14〜25が「LIVE IN LONDON」全12曲で、ボーナス・トラックとして、1964年の、26「DON'T WORRY BABY」と、1967年の貴重なライヴ音源の、27「HEROES AND VILLAINS」を加えた全27曲入りとなっています。1964年の「BEACH BOYS CONCERT」は大幅に修正したりスタジオ・レコーディングに歓声を被せたりした疑似ライヴでしたが、こちらの「LIVE IN LONDON」はライヴ・アルバムらしい臨場感がある出来栄えとなっています。
ビーチ・ボーイズは、キャピトルからの移籍を決めていて、契約でアルバムをもう1作をリリースしなければならなかったので、このライヴ・アルバム「LIVE IN LONDON」で契約を守ろうとしたらしいのですけれど、前述の通り米国キャピトルはこのライヴ・アルバム「LIVE IN LONDON」のリリースを棚上げにしてしまいました。当初はスタジオ・アルバムを制作する予定で、アルバム「REVERBERATION」をレコーディングしていました。内容は、1「COTTON FIELDS」、2「LOOP DE LOOP」、3「ALL I WANNA DO」、4「GOT TO KNOW THE WOMAN」、5「WHEN GIRLS GET TOGETHER」、6「BREAK AWAY」、7「SAN MIGUEL」、8「CELEBRATE THE NEWS」、9「DEIRDRE」、10「THE LORD'S PRAYER」、11「FOREVER」の、全11曲入りを予定していた様です。これらの曲は、全てが後にビーチ・ボーイズの他のアルバムに収録されています。特に、レーベルを移籍してリプリーズ移籍第1弾となったアルバム「SUNFLOWER」へは、「GOT TO KNOW THE WOMAN」、「DEIRDRE」、「ALL I WANNA DO」、「FOREVER」と、美味しいところが持ち越しとなっているので、ビーチ・ボーイズとしても今更キャピトルに置き土産にするよりも、新たなレーベルへの手土産とする方を選んだのかもしれません。それにしても、このライヴでの観客の声援は凄い事になっています。1964年の疑似ライヴと比べても、女性の歓声が大きくて、こりゃあ、本当に人気があったのだな、と思わされます。前述の通り、英国でのビーチ・ボーイズはシングルもアルバムも売れていて、全英3位の「BARBARA ANN」」、全英2位の「SLOOP JOHN B.」、全英2位の「GOD ONLY KNOWS」、全英首位!の「GOOD VIBRATIONS」、全英11位の「DARLIN'」、全英33位の「BLUEBIRDS OVER THE MOUNTAIN」、全英首位!の「DO IT AGAIN」と、大ヒット・シングルを全体の半数以上の7曲も含んだ上に、全米8位の「WOULDN'T IT BE NICE」や全米3位の「CALIFORNIA GIRLS」と云った米国での大ヒット曲も加えたセットリストだったわけで、しかもそれらは懐メロではなくリアルタイムの大ヒット曲だったのですから、そりゃあ、もう、盛り上がるわけですわなあ。2018年12月14日には配信限定で、1968年のツアーから8公演をフルサイズで収録した、全114曲入り!のアルバム「BEACH BOYS ON TOUR:1968」がリリースされています。
(小島イコ)
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