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2026年01月11日

「ポールの道」#969「BEAT THE BEATLES」
#018「20/20」

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1968年6月24日にリリースした15作目のアルバム「FRIENDS」が全米126位と米国では沈没して、同年8月5日にリリースした3作目のベスト・アルバム「THE BEST OF THE BEACH BOYS VOL.3」は全米153位と更に落ち込み、同年8月19日にリリースした早過ぎたカラオケ・アルバム「STACK-O-TRACKS」は遂に全米トップ200にも入らなかったビーチ・ボーイズですが、英国ではアルバム「FRIENDS」が全英13位で、選曲を変えたベスト・アルバム「THE BEST OF THE BEACH BOYS VOL.3」も全英8位と人気が続いていました。それでも、流石にカラオケ・アルバム「STACK-O-TRACKS」はチャート入りしていません。しかしながら、そこから盛り返して来るのも、ビーチ・ボーイズの底力なのです。先ずは、1968年7月15日にリリースしたシングル「DO IT AGAIN」(B面はアルバム「FRIENDS」からの「WAKE THE WORLD」)が、全米20位・全英首位!となりました。この楽曲は、かつてのサーフィン・ミュージックに立ち返ったブライアン・ウィルソンとマイク・ラヴの共作で、英国では「GOOD VIBRATIONS」に続いて2曲目の全英首位!となったわけです。同年12月2日には、シングル「BLUEBIRDS OVER THE MOUNTAIN / NEVER LEARN NOT TO LOVE」をリリースして、全米61位・全英33位となり、明けて1969年2月24日にはシングル「I CAN HEAR MUSIC / ALL I WANT TO DO」をリリースして、全米24位・全英10位となっています。そして、それらを含んだビーチ・ボーイズの17作目のアルバム「20/20」を1969年2月10日にキャピトルからリリースしたのです。このアルバムは、全米68位・全英3位と特に英国で人気がありました。タイトルの「20/20」は米国の視力検査の単位(日本の「1.0」)で、ベスト・アルバム3作を加えると丁度20作目のアルバムなので、それにかけたシャレです。ジャケットには、マイク・ラヴ、デニス・ウィルソン、カール・ウィルソン、アル・ジャーディン、ブルース・ジョンストンの5人しかいなくて、ブライアン・ウィルソンの写真は内ジャケットにひとりぼっちで掲載されています。このジャケットは、当時のビーチ・ボーイズを象徴している様な趣向となっています。

アルバム「20/20」の内容は、A面が、1「DO IT AGAIN」、2「I CAN HEAR MUSIC」、3「BLUEBIRDS OVER THE MOUNTAIN」、4「BE WITH ME」、5「ALL I WANT TO DO」、6「THE NEAREST FARAWAY PLACE」で、B面が、1「COTTON FIELDS(THE COTTON SONG)」、2「I WENT TO SLEEP」、3「TIME TO GET ALONE」、4「NEVER LEARN NOT TO LOVE」、5「OUR PRAYER」、6「CABINESSENCE」の、全12曲入りです。作者は、ブライアン・ウィルソン作が2曲(「TIME TO GET ALONE」、「OUR PRAYER」)、ブライアン・ウィルソンとマイク・ラヴの共作が1曲(「DO IT AGAIN」)、ブライアン・ウィルソンとカール・ウィルソンの共作が1曲(「I WENT TO SLEEP」)、ブライアン・ウィルソンとヴァン・ダイク・パークスの共作が1曲(「CABINESSENCE」)、デニス・ウィルソン作が2曲(「BE WITH ME」、「NEVER LEARN NOT TO LOVE」)、デニス・ウィルソンとスティーブン・カリニッチの共作が1曲(「ALL I WANT TO DO」)、ブルース・ジョンストン作が1曲(「THE NEAREST FARAWAY PLACE」)、カバーが3曲(「I CAN HEAR MUSIC」、「BLUEBIRDS OVER THE MOUNTAIN」、「COTTON FIELDS(THE COTTON SONG)」)です。リード・ヴォーカルは、ブライアン・ウィルソンが1曲(「I WENT TO SLEEP」)、マイク・ラヴが2曲(「DO IT AGAIN」、「ALL I WANT TO DO」)、カール・ウィルソンが3曲(「I CAN HEAR MUSIC」、「TIME TO GET ALONE」、「CABINESSENCE」)、デニス・ウィルソンが2曲(「BE WITH ME」、「NEVER LEARN NOT TO LOVE」)、アル・ジャーディンが1曲(「COTTON FIELDS(THE COTTON SONG)」)、マイク・ラヴとカール・ウィルソンとブルース・ジョンストンが1曲(「BLUEBIRDS OVER THE MOUNTAIN」)、全員で1曲(「OUR PRAYER」)、インストゥルメンタルが1曲(「THE NEAREST FARAWAY PLACE」)です。このアルバムの曲は、プロデュースがそれぞれビーチ・ボーイズのメンバーが単独もしくは数人で別々に担当しています。

最初の「DO IT AGAIN」は、シングル・ヴァージョンとは違っていて、最後にアルバム「SMiLE」に収録予定だった「WORKSHOP」の音源を使用しています。アルバムの最後を飾る「OUR PRAYER」と「CABINESSENCE」も、それぞれアルバム「SMiLE」に収録予定だった音源にカール・ウィルソンのリード・ヴォーカルなどを加えて完成させています。「I WENT TO SLEEP」は、アルバム「FRIENDS」の最後に収録予定だった曲です。「TIME TO GET ALONE」は、ブライアン・ウィルソンが1967年にレッドウッド(後のスリー・ドッグ・ナイト)用に書いた曲です。つまり、ブライアン・ウィルソンが絡んだ楽曲は「DO IT AGAIN」以外は過去の音源を元にしていて、当のブライアン・ウィルソンは当時は精神病院に入院していました。そこで、兄弟であるデニス・ウィルソンとカール・ウィルソンが前に出ていて、カール・ウィルソンは爽快な歌声でバンドを引っ張り、デニス・ウィルソンは3曲のオリジナルを書いています。しかし、デニス・ウィルソンは当時、あの殺人鬼・チャールズ・マンソンと交流があり、「NEVER LEARN NOT TO LOVE」はチャールズ・マンソンの曲を改作したとも云われています。アルバム「FRIENDS」とアルバム「20/20」は、1990年と2001年に「2 in 1」でCD化されていて、1〜12がアルバム「FRIENDS」全12曲で、13〜24がアルバム「20/20」全12曲で、25「BREAK AWAY」、26「CELEBRATE THE NEWS」、27「WE'RE TOGETHER AGAIN」、28「WALK ON BY」、29「OLDFORKS AT HOME / OL' MAN RIVER」と5曲のボーナス・トラックを加えた全29曲入りとなっています。「BREAK AWAY / CELEBRATE THE NEWS」は、1969年6月16日にリリースされたアルバム未収録のシングルで、A面の「BREAK AWAY」はブライアン・ウィルソンとレジー・ダンバーの共作で、全米63位・全英6位となりました。レジー・ダンバーとは、ウィルソン3兄弟の父親で、元ビーチ・ボーイズのマネジャーだったマリー・ウィルソンの変名です。ビーチ・ボーイズの米国での人気が落ちて来たので、ノコノコと現れて「やっぱり俺がいないとお前はダメなんだよ」と共作したのです。

ジョン・レノンの父親であるフレッド・レノンも、生まれたばかりのジョンを捨てたのに、ビートルズが人気になったらジョンの前に現れて、金を無心したり、若い女と再婚したり、レコードを出したりとやりたい放題でしたが、このマリー・ウィルソンと云うウィルソン3兄弟の父親も相当に酷い奴だったそうです。確かにブライアン・ウィルソンの音楽的才能を見抜いて、初期のビーチ・ボーイズを売り出すところまでは良かったものの、なまじ音楽に詳しかった為にレコーディング・セッションにも注文を付けて、息子たちに解雇されたら、ビーチ・ボーイズにソックリなバンドのサンレイズ(リーダーはカール・ウィルソンの友人であるリック・ヘン)をデビューさせたり、イージーリスニングのアルバムを自分の名義でリリースしたりと、トンデモ親父ぶりを発揮した毒親でした。ポール・マッカートニーの父親も趣味で週末にバンドで演奏したりしていたので音楽に詳しかったのですけれど、息子のポールにアレコレと指示したりはしていません。何せ、ブライアン・ウィルソンが片方の耳にしか聴覚がないのは、マリー・ウィルソンの家庭内暴力が原因だと云われているのです。「CELEBRATE THE NEWS」はデニス・ウィルソン作で、「WE'RE TOGETHER AGAIN」はブライアン・ウィルソンとロン・ウィルソンの共作で、「WALK ON BY」はバート・バカラック&ハル・デイビッド作のカバーで、「OLDFORKS AT HOME / OL' MAN RIVER」はスティーブン・フォスター作と、ジェローム・カーン、オスカー・ハマースタイン2世作のカバーです。アルバム「20/20」は、2018年12月7日に前作アルバム「FRIENDS」の拡張盤「WAKE THE WORLD:THE FRIENDS SESSIONS」と同時に「I CAN HEAR MUSIC:20/20 SESSIONS」が配信限定でリリースされました。「I CAN HEAR MUSIC:20/20 SESSIONS」には、アルバム「20/20」関連のアウトテイクや未発表曲などの音源が全40曲収録されています。

アルバム「I CAN HEAR MUSIC:20/20 SESSIONS」の内容は、1「DO IT AGAIN」、2「DO IT AGAIN」、3「I CAN HEAR MUSIC」、4「I CAN HEAR MUSIC」、5「BLUEBIRDS OVER THE MOUNTAIN」、6「BE WITH ME」、7「BE WITH ME」、8「ALL I WANT TO DO」、9「THE NEAREST FARAWAY PLACE」、10「COTTON FIELDS」、11「I WANT TO SLEEP」、12「TIME TO GET ALONE」、13「NEVER LEARN NOT TO LOVE」、14「NEVER LEARN NOT TO LOVE」、15「WALK ON BY」、16「RENDEZVOUS」、17「WE'RE TOGETHER AGAIN」、18「I CAN HEAR MUSIC」、19「ALL I WANNA DO」、20「SAIL PLANE SONG」、21「OLD MAN RIVER」、22「MEDLEY:OLD FORKS AT HOME / OLD MAN RIVER」、23「MEDLEY:OLD FORKS AT HOME / OLD MAN RIVER」、24「WALKIN'」、25「BEEN WAY TOO LONG」、26「WELL YOU KNOW I KNEW」、27「LOVE AFFAIR」、28「PEACHES」、29「THE GONG」、30「A TIME TO LIVE IN DREAMS」、31「ALL I WANT TO DO」、32「ALL I WANT TO DO」、33「BLUEBIRDS OVER THE MOUNTAIN」、34「BLUEBIRDS OVER THE MOUNTAIN」、35「MONA KANA」、36「MONA KANA」、37「WE'RE TOGETHER AGAIN」、38「TIME TO GET ALONE」、39「OH YEAH」、40「IT IS TRUE WHAT THEY SAY ABOUT DIXIE?」の、全40曲入りです。2018年12月7日にこれらの音源が配信限定でのリリースとなったのは、2018年6月8日にロイヤル・フィルハーモニック管弦楽団との共演アルバム「THE BEACH BOYS WITH THE ROYAL PHILHARMONIC ORCHESTRA」をリリースしたので、バッティングしない様にしたらしいのですけれど、あたくしはその「THE BEACH BOYS WITH THE ROYAL PHILHARMONIC ORCHESTRA」も持っていますが、ズバリ云ってオーバーダビングされたオーケストラが浮いているダメダメ盤なので、「WAKE THE WORLD:THE FRIENDS SESSIONS」と「I CAN HEAR MUSIC:20/20 SESSIONS」をフィジカルで出して欲しかったですなあ。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:07| FAB4 | 更新情報をチェックする