
1968年6月24日にビーチ・ボーイズがリリースした15作目のアルバム「FRIENDS」は、穏やかな曲が多い佳作ですが、全米126位・全英13位と、米国ではどん底まで堕ちてしまいました。しかしながら、英国での人気はつづいていて、初期に立ち返ってブライアン・ウィルソンとマイク・ラヴが共作して、1968年7月15日にリリースしたシングル「DO IT AGAIN」(B面はアルバム「FRIENDS」からの「WAKE THE WORLD」)は、全米20位・全英首位!と、特に英国での人気は爆発していました。米国では3匹目の泥鰌を狙ったベスト・アルバム「THE BEST OF THE BEACH BOYS VOL.3」も全米153位とどん底の更に下まで堕ちたものの、選曲を変えた英国盤のベスト・アルバム「THE BEST OF THE BEACH BOYS VOL.3」は全英8位まで上がってヒットしています。英国では1966年のアルバム「PET SOUNDS」が全英2位になって以降は、アルバム「FRIENDS」の13位を除けば安定してトップ10ヒット維持していて、「THE BEACH BOYS TODAY!」(全英6位)や「SUMMER DAYS(AND SUMMER NIGHTS!!)」(全英4位)や「BEACH BOYS' PARTY!」(全英3位)と云った旧譜もリリースされて、軒並み大ヒットしていました。そして、1968年8月19日には、ビーチ・ボーイズの通算16作目のアルバム「STACK-O-TRACKS」が、キャピトルからリリースされたのです。結果から云えば、このアルバム「STACK-O-TRACKS」は全米でも全英でもチャート入りしていません。内容は、A面が、1「DARLIN'」、2「SALT LAKE CITY」、3「SLOOP JOHN B.」、4「IN MY ROOM」、5「CATCH A WAVE」、6「WILD HONEY」、7「LITTLE SAINT NICK」で、B面が、1「DO IT AGAIN」、2「WOULDN'T IT BE NICE」、3「GOD ONLY KNOWS」、4「SURFER GIRL」、5「LITTLE HONDA」、6「HERE TODAY」、7「YOU'RE SO GOOD TO ME」、8「LET HIM RUN WILD」の、全15曲入りです。曲目だけ見れば、数多あるビーチ・ボーイズのベスト・アルバムのひとつの様ですが、これが実はヴォーカルやコーラス抜きの真正カラオケ・アルバムなのです。
カラオケをCDに入れる手法は、現在の日本でもありますけれど、1968年当時にそんな事を考え付いてしまったのは、天才・ブライアン・ウィルソンだけでした。おそらく、キャピトルとの年間3作の契約を守る為にリリースに至ったのだとは思いますけれど、幾らパッパラパー状態となっていたとは云え、ブライアン・ウィルソンが黙ってこんなカラオケ・アルバムをキャピトルに丸投げしてリリースしてしまったとは思えません。しかし、ビーチ・ボーイズと云えばコーラスと歌なわけで、こんなカラオケを出されても、そりゃあ1968年当時に理解されるわけがなく、前述の通り、ビーチ・ボーイズと名が付いたアルバムで初めて全米200にランクインしなかったのです。このアルバム「STACK-O-TRACKS」は、1990年と2001年に「2 in 1」でCD化された時には、1965年のアルバム「BEACH BOYS' PARTY!」とのカップリングとなっています。1〜12がアルバム「BEACH BOYS' PARTY!」全12曲で、13〜27がアルバム「STACK-O-TRACKS」全15曲で、更に、28「HELP ME, RHONDA」、29「CALIFORNIA GIRLS」、30「OUR CAR CLUB」の3曲のカラオケがボーナス・トラックとして収録された、全30曲入りとなっています。アルバム「BEACH BOYS' PARTY!」は、以前に紹介した完全盤2CD全81曲入りの「BEACH BOYS' PARTY! UNCOVERED AND UNPLUGGED」が2015年にリリースされているので、そちらがオススメです。それで、あたくしはこちらのアルバム「STACK-O-TRACKS」もバラ売りの1CD全15曲入りも持っています。それは何故なのかと云うとですね、バラ売りの1CDのアルバム「STACK-O-TRACKS」には、オリジナルの米国盤レコードと同様に楽譜が付いているからなのです。日本では、タツローこと山下達郎さんが選曲したインストゥルメンタル曲だけを集めたコンピレーション・アルバム「THE BEACH BOYS' INSTRUMENTAL HITS」と云うCDも出ています。それぞれ、歌とコーラスだけではない、ブライアン・ウィルソンとビーチ・ボーイズによるインストゥルメンタルの魅力が溢れたアルバムとなっておりますので、どちらもオススメです。タツローは桑田佳祐さんに「どうして山下達郎はアンナにビーチ・ボーイズのマネが上手いんだ?」と云われていましたけれど、アルバム「STACK-O-TRACKS」を聴いて研究したのでしょうなあ。
ちなみに、コンピレーション・アルバム「THE BEACH BOYS' INSTRUMENTAL HITS」の内容は、1「MOON DAWG」、2「MISIRLOU」、3「STOKED」、4「HONKY TONK」、5「SURF JAM」、6「LET'S GO TRIPPIN'」、7「THE ROCKING SURFER」、8「BOOGIE WOODIE」、9「AFTER THE GAME」、10「SHUT DOWN, PART U」、11「DENNY'S DRUMS」、12「CARL'S BIG CHANCE」、13「LET'S GO TRIPPIN'(LIVE)」、14「SUMMER MEANS NEW LOVE」、15「LET'S GO AWAY FOR AWHILE」、16「PET SOUNDS」、17「FALL BREAKS AND BACK TO WINTER(WOODY WOODPECKER SYMPHONY)」、18「PASSING BY」、19「DIAMOND HEAD」、20「THE NEAREST FARAWAY PLACE」の、全20曲入りです。1「MOON DAWG」はアルバム「SURFIN' SAFARI」からで、2「MISIRLOU」〜6「LET'S GO TRIPPIN'」の5曲はアルバム「SURFIN' U.S.A.」からで、7「THE ROCKING SURFER」〜8「BOOGIE WOODIE」の2曲はアルバム「SURFER GIRL」からで、9「AFTER THE GAME」はサバイバーズ名義でリリースしたシングル「PAMELA JEAN」のB面曲です。10「SHUT DOWN, PART U」〜11「DENNY'S DRUMS」はアルバム「SHUT DOWN VOLUM 2」からで、12「CARL'S BIG CHANCE」はアルバム「ALL SUMMER LONG」からで、13「LET'S GO TRIPPIN'(LIVE)」はライヴ・アルバム「BEACH BOYS CONCERT」からで、14「SUMMER MEANS NEW LOVE」はアルバム「SUMMER DAYS(AND SUMMER NIGHTS!!)」からで、15「LET'S GO AWAY FOR AWHILE」〜16「PET SOUNDS」の2曲はアルバム「PET SOUNDS」からで、17「FALL BREAKS AND BACK TO WINTER(WOODY WOODPECKER SYMPHONY)」はアルバム「SMILEY SMILE」からで、18「PASSING BY」〜19「DIAMOND HEAD」の2曲はアルバム「FRIENDS」からで、20「THE NEAREST FARAWAY PLACE」はアルバム「20/20」からとなっていて、キャピトル時代のインストゥルメンタル曲をリリース順に並べただけではなく、サバイバーズの「AFTER THE GAME」が混じっているのがミソです。ビートルズの曲はサー・ジョージ・マーティンが、ローリング・ストーンズの曲はアンドリュー・オールダムが、キンクスの曲はラリー・ペイジが、それぞれプロデューサーやマネジャーがインストゥルメンタルでアルバムにしていましたが、ビーチ・ボーイズの場合はたとえカラオケであっても自分たちでやっていたわけで、その辺もスゴ技でした。
(小島イコ)
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