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2026年01月08日

「ポールの道」#966「BEAT THE BEATLES」
#015「WILD HONEY」

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アルバム「SMiLE」が頓挫して、1967年9月18日には13作目のアルバム「SMILEY SMILE」をリリースしたビーチ・ボーイズですが、結果は全米41位と沈没してしまいました。しかし、英国では全英9位まで上がっていて、英国でのビーチ・ボーイズの人気は衰えてはいなかったのです。1967年5月にアルバム「SMiLE」を制作停止したのは、ビーチ・ボーイズのリーダーであるブライアン・ウィルソンがパッパラパーになってしまったからで、幾らライヴ活動にはブライアン・ウィルソンが加わっていなかったとはいえ、リーダーの危機に直面したビーチ・ボーイズは、1967年6月16日から18日に開催された「モンタレー・ポップ・フェスティバル」への参加を取りやめています。それで、モンタレー・ポップ・フェスティバルでは、ジャニス・ジョプリンやオーティス・レディングやジミ・ヘンドリックスなどが注目されて、特にジミ・ヘンドリックスが「サーフィン・ミュージックは終わった」と発言した事で、ビーチ・ボーイズは過去のバンドだと米国では認識される様になったのです。そして、アルバム「SMiLE」の代わりにリリースされたアルバム「SMILEY SMILE」は、期待外れと断じられてしまったのです。それでもビーチ・ボーイズはレコーディングをつづけて、1967年9月26日から11月15日にかけて行われたレコーディング・セッションから、1967年12月18日に14作目のアルバム「WILD HONEY」を、ブラザー/キャピトルからリリースしました。プロデュースはビーチ・ボーイズで、結果から云えば、全米24位・全英7位となっています。米国では少し盛り返して、英国では安定した人気がつづいていました。アルバム「WILD HONEY」の内容は、A面が、1「WILD HONEY」、2「AREN'T YOU GLAD」、3「I WAS MADE TO LOVE HER」、4「COUNTRY AIR」、5「A THING OR TWO」で、B面が、1「DARLIN'」、2「I'D LOVE JUST ONCE TO SEE YOU」、3「HERE COMES THE NIGHT」、4「LET THE WIND BLOW」、5「HOW SHE BOOGALOOED」、6「MAMA SAYS」の、全11曲入りです。

作者は、ブライアン・ウィルソンとマイク・ラヴの共作が9曲(「WILD HONEY」、「AREN'T YOU GLAD」、「COUNTRY AIR」、「A THING OR TWO」、「DARLIN'」、「I'D LOVE JUST ONCE TO SEE YOU」、「HERE COMES THE NIGHT」、「LET THE WIND BLOW」、「MAMA SAYS」)、マイク・ラヴとブルース・ジョンストンとアル・ジャーディンとカール・ウィルソンの4人による共作が1曲(「HOW SHE BOOGALOOED」)、カバーが1曲(「I WAS MADE TO LOVE HER」)です。リード・ヴォーカルは、カール・ウィルソンが3曲(「WILD HONEY」、「I WAS MADE TO LOVE HER」、「DARLIN'」)、ブライアン・ウィルソンが2曲(「I'D LOVE JUST ONCE TO SEE YOU」、「HERE COMES THE NIGHT」)、ブライアン・ウィルソンとマイク・ラヴが3曲(「AREN'T YOU GLAD」、「A THING OR TWO」、「LET THE WIND BLOW」)、アル・ジャーディンが1曲(「HOW SHE BOOGALOOED」)、グループ全員で2曲(「COUNTRY AIR」、「MAMA SAYS」)となっています。曲作りに関しては、久しぶりに全面的にブライアン・ウィルソンとマイク・ラヴが共作した楽曲がほとんどを占めていますが、ブライアン・ウィルソンは曲は書いたものの、以前の様にアルバムをプロデュースする事は不可能で、このアルバム「WILD HONEY」に関してはカール・ウィルソン主導でレコーディングされています。リード・ヴォーカルもカール・ウィルソンがソロでは3曲で他に共同で2曲の合計5曲で歌っていて、ブライアン・ウィルソンはソロでは2曲で共同で5曲となっています。そして、ビーチ・ボーイズの看板ヴォーカリストであるマイク・ラヴは、共同で5曲がありますが、ソロでは1曲も歌っていません。ビーチ・ボーイズがお得意のコーラスも、控えめになっています。更に「HOW SHE BOOGALOOED」は、ブライアン・ウィルソンが曲作りに関わっていない歌入りでは初めての曲です。このアルバム「WILD HONEY」は、モータウンやスタックスなどのR&Bの影響が強く、実際にスティーヴィー・ワンダーの「I WAS MADE TO LOVE HER」をカバーしています。

それまではスタジオ・ミュージシャンを起用していたのに、このアルバム「WILD HONEY」では5曲(「WILD HONEY」、「AREN'T YOU GLAD」、「I WAS MADE TO LOVE HER」、「DARLIN'」、「HERE COMES THE NIGHT」)のみで外部ミュージシャンを参加させています。つまり他の6曲(「COUNTRY AIR」、「A THING OR TWO」、「I'D LOVE JUST ONCE TO SEE YOU」、「LET THE WIND BLOW」、「HOW SHE BOOGALOOED」、「MAMA SAYS」)は、基本的にはビーチ・ボーイズが自分たちだけで演奏しています。シングルは、1967年10月23日に「WILD HONEY」(B面はアルバム「SMILEY SMILE」からの「WIND CHIMES」)(全米31位・全英29位)、1967年12月11日に「DARLIN'」(B面はアルバム「PET SOUNDS」からの「HERE TODAY」)(全米19位・全英11位)がリリースされました。その「DARLIN'」なのですが、元々は1964年にマイク・ラヴのガールフレンドだったシャロン・マリーの為に、ブライアン・ウィルソンとマイク・ラヴが共作した「THINKIN' ’BOUT YOU BABY」を改作した楽曲です。それで、タツローこと山下達郎さんが「DARLIN'」をカバーした時に、最後の方で「THINKIN' ’BOUT YOU BABY」を歌っているわけですなあ。アルバム「WILD HONEY」は、それまでとはまた変わった路線で、初期のサーフィンやホット・ロッドとも違うし、アルバム「PET SOUNDS」やアルバム「SMILEY SMILE」とも違っている、新たなるビーチ・ボーイズがそこにいます。最後に入っている「MAMA SAYS」は、アルバム「SMiLE」収録予定だった「VEGA-TABLES」から生まれた曲です。このアルバム「WILD HONEY」は、ビートルズの特にポール・マッカートニーに影響を与えていて、ポールは1968年リリースのアルバム「THE BEATLES」に「BACK IN THE U.S.S.R.」と「WILD HONEY PIE」を書いて収録しています。アルバム「SMILEY SMILE」とアルバム「WILD HONEY」は、1990年に「2 in 1」でCD化されていて、1〜11「SMILEY SMILE」全11曲、12〜22「WILD HONEY」全11曲に、ボーナス・トラックが6曲の全28曲入りとなっています。2017年6月30日には2CD「1967 SUNSHINE TOMORROW」がリリースされて、アルバム「WILD HONEY」の真正ステレオ・ミックスや、アルバム「SMILEY SMILE」とアルバム「WILD HONEY」の関連未発表音源(全65曲)が発掘されています。更に続編として、2017年12月8日に配信限定で「1967 SUNSHINE TOMORROW 2」全29曲と、「1967 LIVE SUNSHINE」全109曲!もリリースされています。

2CD「1967 SUNSHINE TOMORROW」の内容は、CD1の、1〜11がアルバム「WILD HONEY」全11曲のステレオ・ミックス(「MAMA SAYS」のみオリジナル・モノラル・ミックス)で、12「LONELY DAYS」、13「COOL, COOL WATER」、14「TIME TO GET ALONE」、15「CAN'T WAIT TOO LONG」、16「I'D LOVE JUST ONCE TO SEE YOU」、17「I WAS MADE TO LOVE HER」、18「I WAS MADE TO LOVE HER」、19「HIDE GO SEEK」、20「HONEY GET HOME」、21「WILD HONEY」、22「AREN'T YOU GLAD」、23「A THING OR TWO」、24「DARLIN'」、25「LET THE WIND BLOW」のスタジオ・アウトテイクと、26「WILD HONEY」、27「COUNTRY AIR」、28「DARLIN'」、29「HOW SHE BOOGALOOED IT」、30「AREN'T YOU GLAD」のライヴ音源と、31「MAMA SAYS」の、全31曲入りです。CD2は、アルバム「SMILEY SMILE」のセッション音源とライヴ音源で、1「HEROES AND VILLAINS」、2「VEGETABLES」、3「FALL BREAKS AND BACK TO WINTER」、4「WIND CHIMES」、5「WONDERFUL」、6「WITH ME TONIGHT」、7「LITTLE PAD」、8「ALL DAY ALL NIGHT(WHISTLE IN)」、9「ALL DAY ALL NIGHT(WHISTLE IN)」、10「UNTITLED」、11「FRED VAIL INTRO」、12「THE LETTER」、13「YOU'RE SO GOOD TO ME」、14「HELP ME, RHONDA」、15「CALIFORNIA GIRLS」、16「SURFER GIRL」、17「SLOOP JOHN B.」、18「WITH A LITTLE HELP FROM MY FRIENDS」、19「THEIR HEARTS WERE FULL OF SPRING」、20「GOD ONLY KNOWS」、21「GOOD VIBRATIONS」、22「GAME OF LOVE」、23「THE LETTER」、24「WITH A LITTLE HELP FROM MY FRIENDS」、25「HAWTHOME BOULEVARD」、26「SURFIN'」、27「GETTIN' HUNGRY」、28「HAWAII」、29「HEROES AND VILLAINS」、30「CALIFORNIA GIRLS」、31「GRADUATION DAY」、32「I GET AROUND」、33「SURF'S UP」、34「SURFER GIRL」の、全34曲入りで、合計65曲入りです。配信限定の「1967 SUNSHINE TOMORROW 2」全29曲と、「1967 LIVE SUNSHINE」全109曲!に関しては、書き起こすのは勘弁して下さい。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする