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2025年12月16日

「ポールの道」#943「THE BEATLES BLACK VOX」
#252「UNPLUGGED & MORE」

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1989年9月から1990年7月にかけて「GET BACK TOUR」として、ソロ名義では初となるスタジアム・クラスのワールド・ツアーを大成功させたポール・マッカートニーは、その103回のショーから厳選したCD2枚組(LP3枚組)のライヴ・アルバム「TRIPPING THE LIVE FANTASTIC」全37曲入りを、1990年11月5日にリリースしました。翌1991年1月25日にはMTVの「UNPLUGGED」の為にロンドンのライムハウス・テレビ・スタジオで、2時間半で全22曲のアコースティック・ライヴを行いました。その模様はMTVでも放送(最近もCSのMTVで再放送)されましたが、音源は全17曲のライヴ・アルバム「UNPLUGGED:THE OFFICIAL BOOTLEG」として、1991年5月13日にMPL/パーロフォンからリリースされました。演奏は、ポール・マッカートニー(リード・ヴォーカル、アコースティック・ギター、ドラムス)、リンダ・マッカートニー(バッキング・ヴォーカル、ハーモニウム、パーカッション、シェイカー)、ヘイミッシュ・スチュアート(バッキング・ヴォーカル、アコースティック・ベース、アコースティック・ギター、リード・ヴォーカル)、ロビー・マッキントッシュ(バッキング・ヴォーカル、アコースティック・ギター、ピアノ)、ポール'ウィックス'ウィッケンズ(ピアノ、アコーディオン、シェイカー、アコースティック・ベース)、ブレア・カニンガム(ドラムス、パーカッション)で、ワールド・ツアーのメンバーからドラマーだけが交代している布陣です。2作つづけてライヴ・アルバムをリリースしたわけですが、邦題を「公式海賊盤」としたライヴ盤の内容は、1「BE-BOP-A-LULA」、2「I LOST MY LITTLE GIRL」、3「HERE, THERE, AND EVERYWHERE」、4「BLUE MOON OF KENTUCKY」、5「WE CAN WORK IT OUT」、6「SAN FRANCISCO BAY BLUES」、7「I'VE JUST SEEN A FACE」、8「EVERY NIGHT」、9「SHE'S A WOMAN」、10「HI-HEEL SNEAKERS」、11「AND I LOVE HER」、12「THAT WOULD BE SOMETHING」、13「BLACKBIRD」、14「AIN'T NO SUNSHINE」、15「GOOD ROCKIN' TONIGHT」、16「SINGING THE BLUES」、17「JUNK」の、全17曲入りです。これは後述しますが、単に全22曲から5曲を抜いただけではなく、ライヴ・アルバム用に曲順も変えています。

実際に演奏された全22曲から外された5曲は、後に1993年のシングル「BIKER LIKE AN ICON」のカップリングになった「MIDNIGHT SPECIAL」と「THINGS WE SAID TODAY」に、「MEAN WOMAN BLUES」、「MATCHBOX」、「THE FOOL」で、前作のライヴ盤「TRIPPING THE LIVE FANTASTIC」と重複しているのは本編の17曲中ゼロで、つまり全く違うセットリストで、外された5曲を加えても全22曲中ダブっているのは2曲(「THINGS WE SAID TODAY」、「MATCHBOX」)のみなのです。スタジアム・ライヴでの前作の様な「ロック・ショー」ではなく「アンプラグド」なので、印象は全く違います。2作のライヴ・アルバムは全く違っているわけで、これならば2作連続でライヴ・アルバムを出しても文句は云えません。その上、ライヴ・アルバム「TRIPPING THE LIVE FANTASTIC」は全英26位・全米17位で、ライヴ・アルバム「UNPLUGGED:THE OFFICIAL BOOTLEG」は全英7位・全米14位と、こちらの方が売れています。もっと云うならば、米国ではアルバム「FLOWERS IN THE DIRT」は21位止まりだったので、ライヴ・アルバム「TRIPPING THE LIVE FANTASTIC」の17位やライヴ・アルバム「UNPLUGGED:THE OFFICIAL BOOTLEG」の14位の方が売れているのです。この結果には、エルヴィス・コステロが大好きでアルバム「FLOWERS IN THE DIRT」を過剰に持ち上げている日本のバカな評論家は、歯ぎしりして悔しがっているでしょうなあ。本編17曲中、ビートルズ・ナンバーは6曲(「HERE, THERE AND EVERYWHERE」、「WE CAN WORK IT OUT」、「I'VE JUST SEEN A FACE」、「SHE'S A WOMAN」、「AND I LOVE HER」、「BLACKBIRD」)、ビートルズ以前の自作1曲(「I LOST MY LITTLE GIRL」)、ソロ第1作「McCARTNEY」から3曲(「EVERY NIGHT」、「THAT WOULD BE SOMETHING」、「JUNK」)、カバーが7曲(「BE-BOP-A-LULA」、「BLUE MOON OF KENTUCKY」、「SAN FRANCISCO BAY BLUES」、「HI-HEEL SNEAKERS」、「AIN'T NO SUNSHINE」、「GOOD ROCKIN' TONIGHT」、「SINGING THE BLUES」)と云う変化球で来ていて、映像で観ると小さなテレビ・スタジオで観客とポールの距離も近くて、羨ましい限りです。実は、あたくしは2002年11月11日の東京ドームでの来日公演を最前列が当たって観た事があるのですけれど、東京ドームのアリーナ最前列はステージとの距離が結構あって、このアンプラグド・ライヴみたいに近距離ではありませんでした。それでもスクリーンではなく全て肉眼で見えたし、ポールのベースやギターの指使いまで肉眼で観れました。おそらく、チケット運はその時に使い果たしてしまったと思っているので、その後のライヴが例え天空席でも文句は云えません。

公式盤では全17曲で、その後シングルのカップリングで2曲加えた19曲がリリースされたのですけれど、だったら残りの3曲(「MEAN WOMAN BLUES」、「MATCHBOX」、「THE FOOL」)も聴きたくなります。そんな普通のポール・ファンの方々には、毎度お馴染みの「MOONCHILD RECORDS」から2021年にリリースされたCD3枚組で新品が税込み千円のパイレート盤「UNPLUGGED & MORE」がオススメでございます。内容は、CD1が、1「BE-BOP-A-LULA」、2「I LOST MY LITTLE GIRL」、3「HERE, THERE, AND EVERYWHERE」、4「BLUE MOON OF KENTUCKY」、5「WE CAN WORK IT OUT」、6「SAN FRANCISCO BAY BLUES」、7「I'VE JUST SEEN A FACE」、8「EVERY NIGHT」、9「SHE'S A WOMAN」、10「HI-HEEL SNEAKERS」、11「AND I LOVE HER」、12「THAT WOULD BE SOMETHING」、13「BLACKBIRD」、14「AIN'T NO SUNSHINE」、15「GOOD ROCKIN' TONIGHT」、16「SINGING THE BLUES」、17「JUNK」、18「THINGS WE SAID TODAY」、19「MEAN WOMAN BLUES」、20「MIDNIGHT SPECIAL」、21「WE CAN WORK IT OUT」の、全21曲入りです。1「BE-BOP-A-LULA」〜17「JUNK」の17曲は、ライヴ・アルバム「UNPLUGGED:THE OFFICIAL BOOTLEG」全17曲の最新リマスター音源です。18「THINGS WE SAID TODAY」〜20「MIDNIGHT SPECIAL」の3曲はアルバムからは漏れた5曲中3曲で、前述の通り、1993年リリースのシングル「BIKER LIKE AN ICON」のカップリングで「THINGS WE SAID TODAY」と「MIDNIGHT SPECIAL」は公式リリースされています。21「WE CAN WORK IT OUT」は編集ヴァージョンで、「WE CAN WORK IT OUT」はアルバム本編でも聴けますが、ポールが出だしでトチって「久しぶりだからね」などと云ってやり直しています。ポールはこのアンプラグドが受けたので、これ以降のライヴでもアコースティック・ギターでのパートを加えていて、その結果、ライヴではポールだけが最初から最後まで出ずっぱり状態となったのです。

CD2は、1「PAUL TALKS ABOUT “UNPLUGGED”」、2「THINGS WE SAID TODAY」、3「BLACKBIRD / BLUE MOON OF LENINGRAD / SHE'S A WOMAN」、4「SHE'S A WOMAN」、5「CUT ACROSS SHORTY」、6「ROCK ISLAND LINE」、7「HI-HEEL SNEAKERS」、8「LOVE ME TENDER」、9「I'VE JUST SEEN A FACE」、10「CUMBERLAND GAP」、11「FROGGIE WEN’T A-COURTIN'」、12「TEQUILA」、13「MIDNIGHT SPECIAL」、14「OOBU JOOBU THEME」、15「INTRODUCTION」、16「MEAN WOMAN BLUES」、17「MATCHBOX」、18「MIDNIGHT SPECIAL」、19「I LOST MY LITTLE GIRL」、20「HERE, THERE AND EVERYWHERE」、21「SAN FRANCISCO BAY BLUES」、22「WE CAN WORK IT OUT」、23「WE CAN WORK IT OUT」、24「BLUE MOON OF KENTUCKY」、25「I'VE JUST SEEN A FACE」、26「EVERY NIGHT」の、全26曲入りです。1「PAUL TALKS ABOUT “UNPLUGGED”」はポールの語りで、2「THINGS WE SAID TODAY」〜13「MIDNIGHT SPECIAL」の12曲はリハーサル音源で、本番では演奏していない曲も披露しています。14「OOBU JOOBU THEME」はラジオ番組「OOBU JOOBU」のテーマ曲で、15「INTRODUCTION」〜26「EVERY NIGHT」の12曲とCD3の1〜14の14曲の合計26曲(テイク違いが4曲あるので全22曲)は、実際に演奏された順番で収録されています。CD3は、1「BE-BOP-A-LULA」、2「SHE'S A WOMAN」、3「AND I LOVE HER」、4「THE FOOL」、5「THINGS WE SAID TODAY」、6「THAT WOULD BE SOMETHING」、7「BLACKBIRD」、8「HI-HEEL SNEAKERS」、9「GOOD ROCKIN' TONIGHT」、10「JUNK」、11「AIN'T NO SUNSHINE」、12「AIN'T NO SUNSHINE」、13「WE CAN WORK IT OUT」、14「SINGING THE BLUES」、15「THINGS WE SAID TODAY」、16「MIDNIGHT SPECIAL」、17「DOWN TO THE RIVER」の、全17曲入りで、CD3枚合計で全64曲入りです。1「BE-BOP-A-LULA」〜14「SINGING THE BLUES」は、CD2からのつづきで実際に演奏された順番でノーカット収録されています。15「THINGS WE SAID TODAY」〜17「DOWN TO THE RIVER」の3曲は、シングル「BAKER LIKE AN ICON」にカップリングされたライヴ音源です。リラックスしたポールが良いし、ジョン・レノンが1975年2月リリースのカバー・アルバム「ROCK'N'ROLL」で1曲目にしていた「BE-BOP-A-LULA」を、ライヴ・アルバムでは1曲目にしているのもイイ感じです。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする