
2025年11月の現在で、ポール・マッカートニーの最新スタジオ・アルバムは、2020年12月18日にリリースされたアルバム「McCARTNEY V」です。翌2021年4月16日(配信)・同年7月23日(レコード盤、CD、カセットテープ)には、そのアルバム「McCARTNEY V」をポール自身が選んだミュージシャンによってカバーしたアルバム「McCARTNEY V IMAGINED」をリリースしていますが、それを加えても、ポールは5年位は新作アルバムをリリースしていません。しかしながら、2021年10月15日には、ビートルズの箱「LET IT BE」がリリースされていて、同年11月にはドキュメンタリー映画「GET BACK」が配信されて、翌2022年にはBD化されています。2022年10月28日には、ビートルズの箱「REVOLVER」がリリースされて、2023年11月10日には「ビートルズ最後の新曲」である「NOW AND THEN」(同年11月2日に先行シングルとしてリリースされて、カップリングはデビュー曲「LOVE ME DO」のリンゴ・スター・ヴァージョン)を含むベスト・アルバム「THE BEATLES 1962-1966(赤盤)」と「THE BEATLES 1967-1970(青盤)」の2023年エディション(オリジナルに21曲追加した拡張盤)がリリースされて、そうしたビートルズのリイシュー盤には、当然ながらポールも深く関わっています。2024年2月2日には、ポール・マッカートニー&ウイングスの「BAND ON THE RUN」50周年記念盤(第3期ウイングスによるアンダーダブド・ミックスは初出音源)と、同年6月14日には、ポール・マッカートニー&ウイングスの1974年のスタジオ・ライヴ「ONE HAND CLAPPING」(短命だった第4期ウイングスによる貴重な音源)の2作(それぞれCD2枚組)がリリースされていて、記憶も新しい今年(2025年)11月7日には、ウイングスのCD2枚組のベスト・アルバム「WINGS」(第1期〜第7期のウイングス楽曲のみで構成)をリリースしているのです。つまり、アルバム「McCARTNEY V」の後にも、ポールは毎年何らかの新たな音源はリリースしているのです。しかし、ポールはそうしてリイシュー盤ばかり出しているわけではなく、コロナ禍が収まりかけた2022年からは「GOT BACK TOUR」を開始しています。
今回は、あたくしが持っている中では最新のポールのライヴが聴ける、新品CD2枚組で税込み千円ポッキリの「MOONCHILD RECORDS」から2024年にリリースされたブートレグ「BUENOS AIRES 2024」を紹介します。このライヴ音源は、2024年10月5日に、アルゼンチンのブエノスアイレスのリーベル・プレート・スタジアムで行われた「GOT BACK TOUR」の南米ツアーからのものです。リーベル・プレート・スタジアムは、ご存知の通りサッカー場で、観衆は6万5千人以上も入ります。それを、当たり前田の中村主水の様に超満員札止めにするのが、80歳を超えたサー・ポール・マッカートニーなのです。内容は、CD1が、1「INTRODUCTION」、2「CAN'T BUY ME LOVE」、3「JUNIOR'S FARM」、4「LETTING GO」、5「DRIVE MY CAR」、6「GOT TO GET YOU INTO MY LIFE」、7「COME ON TO ME」、8「LET ME ROLL IT / FOXY LADY」、9「GETTING BETTER」、10「LET ’EM IN」、11「MY VALENTINE」、12「NINETEEN HUNDRED AND EIGHTY FIVE」、13「MAYBE I'M AMAZED」、14「I'VE JUST SEEN A FACE」、15「IN SPITE OF ALL THE DANGER」、16「LOVE ME DO」、17「DANCE TONIGHT」、18「BLACKBIRD」、19「HERE TODAY」、20「OLE OLE OLE」で、CD2が、1「NOW AND THEN」、2「NEW」、3「LADY MADONNA」、4「JET」、5「BEING FOR THE BENEFIT OF MR. KITE!」、6「SOMETHING」、7「OB-LA-DI, OB-LA-DA」、8「BAND ON THE RUN」、9「GET BACK」、10「LET IT BE」、11「LIVE AND LET DIE」、12「HEY JUDE」、13「I'VE GOT A FEELING」、14「HI, HI, HI」、15「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」、16「HELTER SKELTER」、17「GOLDEN SLUMBERS / CARRY THAT WEIGHT / THE END」の、「INTRODUCTION」を除いて、全36曲入り(メドレーを分ければ全39曲入り)です。先ずは、2時間半以上、ポールは休憩も取らずに40曲近く歌いつづけているだけで、凄いのです。
内訳は、クォリーメンが1曲(「IN SPITE OF ALL THE DANGER」)、ビートルズ・ナンバーが19曲(メドレーを分ければ21曲(「CAN'T BUY ME LOVE」、「DRIVE MY CAR」、「GOT TO GET YOU INTO MY LIFE」、「GETTING BETTER」、「I'VE JUST SEEN A FACE」、「LOVE ME DO」、「BLACKBIRD」、「NOW AND THEN」、「LADY MADONNA」、「BEING FOR THE BENEFIT OF MR. KITE!」、「SOMETHING」、「OB-LA-DI, OB-LA-DA」、「GET BACK」、「LET IT BE」、「HEY JUDE」、「I'VE GOT A FEELING」、「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」、「HELTER SKELTER」、「GOLDEN SLUMBERS / CARRY THAT WEIGHT / THE END」)、ウイングス・ナンバーが9曲(「JUNIOR'S FARM」、「LETTING GO」、「LET ME ROLL IT」、「LET ’EM IN」、「NINETEEN HUNDRED AND EIGHTY FIVE」、「JET」、「BAND ON THE RUN」、「LIVE AND LET DIE」、「HI, HI, HI」)、ソロ・ナンバーが6曲(「COME ON TO ME」、「MY VALENTINE」、「MAYBE I'M AMAZED」、「DANCE TONIGHT」、「HERE TODAY」、「NEW」)、カバーが2曲(「FOXY LADY」、「OLE OLE OLE」)です。相変わらず、ビートルズ・ナンバーが圧倒的に多いのと、同じ「GOT BACK TOUR」のセットリストなので、前回に紹介したブートレグ「GLASTONBURY FESTIVAL 2022」と被っている楽曲も多いのですけれど、そこはポールのライヴですから、同じ様なセットリストでも色々と変えてきています。ビートルズ・ナンバーでは、久しぶりに「DRIVE MY CAR」を演奏していて、アンコールの「I'VE GOT A FEELING」は、もうお馴染みになったジョン・レノンとのヴァーチャル共演になっています。しかしながら、この2024年のセットリストの目玉は、やはり「NOW AND THEN」のポール・ヴァージョンが聴けるところでしょう。ズバリ云って、この「NOW AND THEN」のライヴ音源だけで、税込み千円の元は取れてしまいます。こうしてソロで歌う「NOW AND THEN」を聴くと、アノ曲は別にビートルズにしないで、ポールのソロ曲としてリリースしても良かったとさえ思えます。
珍しいところでは、やはりサッカー場なので「OLE OLE OLE」を歌って、本場のファンを喜ばせていたりもします。嬉しいのは、ウイングスの曲やソロの曲も増えているところで、特にウイングス・ナンバーは「JUNIOR'S FARM」、「LETTING GO」、「LET ME ROLL IT」、「NINETEEN HUNDRED AND EIGHTY FIVE」、「JET」、「BAND ON THE RUN」、「LIVE AND LET DIE」、「HI, HI, HI」と、嫌でも盛り上がる曲を演奏していて、呑気な「LET ’EM IN」を除けば、ポールがシャウトし捲っています。ソロ曲でも「MAYBE I'M AMAZED」はしっかりとやっていて、コレの声が出なくなったなら、ポールはライヴを辞める気なんじゃないでしょうか。終盤の「BAND ON THE RUN」からの流れは完璧で、特に「I'VE GOT A FEELING」から「HI, HI, HI」と来て「SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND」からの「HELTER SKELTER」でトドメの「GOLDEN SLUMBERS / CARRY THAT WEIGHT / THE END」のアンコール部分は、とても当時(と云っても昨年)82歳のおじいちゃんが歌っているとは思えない力強いヴォーカルです。ハードな曲は勿論の事、スロウな「LET IT BE」や「HEY JUDE」なども含めて、観客は最初から最後まで大合唱しているのですけれど、それが助けにもなっていて、2018年のアルバム「EGYPT STATION」や2020年のアルバム「McCARTNEY V」と云ったスタジオ・アルバムでの些か衰えが目立ったポールの歌声が、若返っているとさえ思えます。ポールは敢えてアンコールでの定番曲だった「YESTERDAY」をセットリストから外して、代わりに「HI, HI, HI」や「HELTER SKELTER」などを絶叫する事で、自分の限界に挑戦しているのでしょう。このライヴ音源もステレオ・レコーディングされているし、音質もバッチリなので、近年の2020年代型のポールのライヴがどうなっているのか知りたい方々にはオススメです。思えば、昔のライヴ・ブートレグには劣悪なオーディエンス録音の酷いものも多かったのですけれど、今じゃこの公式盤に限りなく近いレベルじゃないと相手にされないのです。映像盤のブートレグを観ると、今のポールはおじいちゃんなのですが、逆に音源だけ聴いた方が衰えが感じられなくて良いのかもしれません。偉そうに「今のポールは晩節を汚している」などと云っているバカは、きっとライヴを聴いていないのでしょう。
(小島イコ)
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