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2025年11月28日

「ポールの道」#925「THE BEATLES BLACK VOX」
#234「McCARTNEY & MORE」

ポール・マッカートニー(紙ジャケット仕様)


ポール・マッカートニーは、2010年11月2日にリリースしたアルバム「BAND ON THE RUN」から「アーカイヴ・コレクション」を開始しました。ポールが旧作のリマスター盤を2010年から始めたのは、明らかにビートルズのリマスター盤が前年である2009年9月9日にリリースされたからでしょう。それで、最初の内は年に1作どころか2作同時にリリースしたりしていたのですが、ダンダンダンとペースが落ちて、2020年7月31日にリリースされたアルバム「FLAMING PIE」で止まってしまいました。その2020年12月18日には新作アルバム「McCARTNEY V」をリリースしていて、ビートルズの箱も2017年から始まっていて、2023年11月には「ビートルズ最後の新曲」である「NOW AND THEN」をリリースして、昨年(2024年)2月にアルバム「BAND ON THE RUN」50周年記念盤と、6月にアルバム「ONE HAND CLAPPING」を、更には今年(2025年)11月にはウイングスのベスト・アルバム「WINGS」をリリースした事によって、事実上は2020年のアルバム「FLAMING PIE」で「アーカイヴ・コレクション」は中断したと云っても宜しいのでしょう。ポールの「アーカイヴ・コレクション」は、順不同でリリースされたので、未だ1978年リリースのアルバム「LONDON TOWN」や、1979年リリースのアルバム「BACK TO THE EGG」や、1986年リリースのアルバム「PRESS TO PLAY」や、1993年リリースのアルバム「OFF THE GROUND」などが、中抜け状態になっています。ところが、2024年にアルバム「BAND ON THE RUN」50周年記念盤とアルバム「ONE HAND CLAPPING」をリリースした事によって、それらは2010年盤のアルバム「BAND ON THE RUN」の「アーカイヴ・コレクションのアーカイヴ・コレクション」と云う様な内容となってしまったのです。更に今年(2025年)の「ウイングスのベスト・アルバム」である「WINGS」の登場で、もはやアルバム「LONDON TOWN」とアルバム「BACK TO THE EGG」の「アーカイヴ・コレクション」をリリースする以前に、ウイングスに対する落とし前をポールはつけてしまったと云えます。まあ、簡単に云えば、ポールは「アーカイヴ・コレクション」を途中で投げっぱなしにしたのです。

ポールの「アーカイヴ・コレクション」は、旧作の最新リマスター音源に加えて、関連楽曲の音源や映像を収録していて、箱でもリリースされていました。それも、最初のアルバム「BAND ON THE RUN」の箱は1万2千円だったのが、ダンダンダンドゥビドゥビダンダンと高額になって、2020年のアルバム「FLAMING PIE」の箱は税込み14万円となってしまいました。流石に、単なるリイシュー盤の箱に14万円は払えないと云うのが、一般的で普通のポール・ファンでしょう。14万円の余りの高額に度肝を抜かれますが、その下の箱だって税込みで4万円以上もするのです。最初の箱「BAND ON THE RUN」をうっかり1万2千円で買わなくて良かったと、つくづく思いましたよ。しかしながら、お金はそんなに持っていないけれど、音源は持っていたいなあ、と云うわがままなファンにオススメなのが、CD2枚組でも税込み千円ポッキリの「MOONCHILD RECORDS」からリリースされているパイレート盤「& MORE」シリーズです。ポールのアルバムだと、1967年リリースのサントラ盤「THE FAMILY WAY」のパイレート盤「THE FAMILY WAY & MORE」も出ているみたいですけれど、ソレは公式盤CDで充分(ポールは作曲と僅かな演奏しか関わっていないので、サー・ジョージ・マーティンのアルバムと云える)なので買っていません。それで、1970年4月17日にアップルからリリースされたポールの初のソロ・アルバム「McCARTNEY」のパイレート盤「McCARTNEY & MORE」から紹介していきましょう。最初に断っておきますが、このパイレート盤「McCARTNEY & MORE」は、1CDで税込み千円でした。「MOONCHILD RECORDS」は、CD2枚組どころかCD3枚組でも新品が税込み千円なので、このアルバム「McCARTNEY」関連曲のパイレート盤「McCARTNEY & MORE」は1枚で千円は高いじゃないか、と文句を云いたくなりましたけれど、そもそも2枚組や3枚組が税込み千円と云うのが安すぎるわけで、アルバム「McCARTNEY」関連は素材不足だし、1枚で千円でも充分に安いのです。

2022年にリリースされたパイレート盤「McCARTNEY & MORE」の内容は、1「THE LOVELY LINDA」、2「THAT WOULD BE SOMETHING」、3「VALENTINE DAY」、4「EVERY NIGHT」、5「HOT AS SUN / GLASSES」、6「JUNK」、7「MAN WE WAS LONELY」、8「OO YOU」、9「MOMMA MISS AMERICA」、10「TEDDY BOY」、11「SINGALONG JUNK」、12「MAYBE I'M AMAZED」、13「KREEN-AKRORE」、14「INDEED I DO」、15「BLACKPOOL」、16「AFRICAN YEA YEA」、17「MAYBE I'M AMAZED」、18「EVERY NIGHT」、19「HOT AS SUN」、20「MAYBE I'M AMAZED」、21「SUICIDE」、22「DON'T CRY BABY」、23「MAYBE I'M AMAZED」、24「WOMAN KIND」の、全24曲入りです。先ずは、1「THE LOVELY LINDA」〜13「KREEN-AKRORE」の全13曲は、アルバム「McCARTNEY」全曲がそのまんま収録されています。おそらく公式盤の最新リマスター音源をデジタル・コピーしているので、この全13曲だけで元は取れてしまいます。14「INDEED I DO」〜24「WOMAN KIND」のボーナス・トラック全11曲は、アルバム「McCARTNEY」のアーカイヴ・コレクションに収録された全7曲を全て収録している上に、4曲も増えています。よく知られている事ですけれど、このアルバム「McCARTNEY」は、ポールがほとんど全ての楽器と歌をひとりぼっちで多重録音していて、愛妻リンダが僅かにヴォーカルとパーカッションで参加しているだけの、元祖・宅録アルバムです。それ故に、所謂ひとつのアウトテイクも少ないので、このパイレート盤「McCARTNEY & MORE」も全24曲入りの1CDとなっています。何せ、関連曲として収録されているのも、後にウイングスで演奏したライヴ音源などが混じっているのです。アルバム「McCARTNEY」は、全13曲中半数近くの5曲(メドレーを分ければ6曲)(「VALENTINE DAY」、「HOT AS SUN / GLASSES」、「MOMMA MISS AMERICA」、「SINGALONG JUNK」、「KREEN-AKRORE」)がインストゥルメンタル曲で、歌入りでも「THE LOVELY LINDA」や「OO YOU」などはデモ音源みたいなものだったので、リリース当時は全英2位・全米首位!と売れたものの、酷評されています。

しかも、このアルバムはビートルズが存続中に密かにレコーディングされていて、アルバムがリリースされる1週間前の1970年4月10日にポールはマスコミを通じて一方的に「ビートルズからの脱退宣言」をぶちかましたので、ジョン・レノンは激怒して、ジョージ・ハリスンは期待しなければ良いと皮肉を云い、リンゴ・スターはポールに殴られました。このアルバム「McCARTNEY」は、ポールとしては、ビートルズのアルバム「ABBEY ROAD」の次だったのですから、期待は大きく、そこに「ラララララララ、ラヴリー・リンダ」などと呑気に歌われたのでは、叩かれるべくして叩かれる様な内容だったとも云えるでしょう。しかしながら、流石にポールは、4「EVERY NIGHT」や、6「JUNK」や、12「MAYBE I'M AMAZED」と云った名曲も入れているし、他の歌入りも、2「THAT WOULD BE SOMETHING」や、10「TEDDY BOY」など、ポールらしさが出た曲もあり、リンダのド素人丸出しなヴォーカルが凄い、7「MAN WE WAS LONELY」なんかも、ポール・ファンには堪らない魅力が溢れています。インストゥルメンタル曲もなかなか聴かせる曲が多いし、「JUNK」と「SINGALONG JUNK」で挟んで魅せる技も出しています。ボーナス・トラックとして収録されている、14「INDEED I DO」、15「BLACKPOOL」、16「AFRICAN YEA YEA」(リンダがノリノリで面白い)、21「SUICIDE」(「GLASSES」の後に入っている曲の全長版)、22「DON'T CRY BABY」(「OO YOU」の原曲インスト)、23「MAYBE I'M AMAZED」(インスト)、24「WOMAN KIND」の7曲は、アルバム「McCARTNEY」のアウトテイクですが、17「MAYBE I'M AMAZED」は、1974年の第4期ウイングスによるスタジオ・ライヴ「ONE HAND CLAPPING」からで、18「EVERY NIGHT」、19「HOT AS SUN」、20「MAYBE I'M AMAZED」の3曲は、1979年の第7期ウイングスによるライヴ音源です。幾ら名曲でも「MAYBE I'M AMAZED」が4回は多いですなあ。公式盤の箱に収録されたDVDには、1991年の「UNPLUGGED」の映像を入れたりしていますが、それだけネタがないのでしょう。この「& MORE」シリーズは、何らかのカタチで公式リリースされた音源を集めたパイレート盤なので、音質はバッチリですし、入手困難なレア・トラックが満載です。

(小島イコ)

posted by 栗 at 23:00| FAB4 | 更新情報をチェックする