
ビートルズが1969年1月に行った「THE GET BACK SESSIONS」からは、当時は1969年4月11日(金曜日)にアップルからリリースしたシングル「GET BACK / DON'T LET ME DOWN」1作2曲しか完成させる事が出来ませんでした。A面の「GET BACK」はポール・マッカートニーが主導で書いたレノン=マッカートニー作でポールが歌っていて、B面の「DON'T LET ME DOWN」はジョン・レノンが主導で書いたレノン=マッカートニー作でジョンが歌っています。ジョン作の名曲「DON'T LET ME DOWN」がB面なんですから、流石はビートルズです。それで、以前にCDR2枚組のブートレグ「MAKING OF “DON'T LET ME DOWN”」を紹介したのですけれど、やはりA面の「GET BACK」も取り上げておかないと次に進めないなあ、と思いましてですね、今回はCDR2枚組のブートレグ「MAKING OF “GET BACK”」を紹介します。とは云え、このブートレグも「MAKING OF “DON'T LET ME DOWN”」と同じく、CDR2枚組全33曲は全てが「GET BACK」1曲のテイク違いで構成されています。CDR1は、1〜11「GET BACK」で、CDR2は、1〜22「GET BACK」でございます。それも「MAKING OF “DON'T LET ME DOWN”」の時にも書いた通りで、ジョンが推敲を重ねて曲を練っていくのとは違って、ポールの場合は最初から完成形が見えているので、「MAKING OF “DON'T LET ME DOWN”」程の劇的な変化はありません。シングル「GET BACK / DON'T LET ME DOWN」は、ビートルズの作品中で唯一名義が「THE BEATLES with Billy Preston」と表記されていて、それだけ「THE GET BACK SESSIONS」でのビリー・プレストンが果たした役割は大きかったのでしょう。シングル「GET BACK / DON'T LET ME DOWN」は、現在ではサー・ジョージ・マーティンがプロデュースした事になっていますけれど、当時のシングル盤には明確にプロデューサー名は表記されていません。
映像作品「GET BACK」を観ると、サー・ジョージ・マーティンは後半の1969年1月20日(月曜日)から1月31日(金曜日)までのアップル・スタジオでのレコーディング・セッションにはほとんど同席しているのですけれど、プロデュースに関しては「グリン・ジョンズで始めたんだから、最後までグリン・ジョンズで行くべきだろう」などと発言しています。おそらく、サー・ジョージ・マーティンは「THE GET BACK SESSIONS」のダラダラしたリハーサルや覇気のないレコーディング・セッションを聴いていて、こんなもんに自分の名前がプロデューサーとして載せられてしまったならば恥だ、と考えていたのでしょう。つまり、サー・ジョージ・マーティンは逃げたのです。それで、シングル「GET BACK / DON'T LET ME DOWN」にはプロデューサー名が載っていないのでしょう。このシングルの事実上のプロデューサーはグリン・ジョンズだったと思われますが、わざわざ客演したキーボード奏者のビリー・プレストンの名前を載せているのに、グリン・ジョンズはあくまでもエンジニア扱いで、プロデューサーではないと云うのが、ビートルズの考え方だったのでしょう。グリン・ジョンズが「THE GET BACK SESSIONS」をまとめたアルバム「GET BACK with Don't Let Me Down and 12 other songs」を2度に渡ってビートルズから拒否されたのは、ジョン・レノンがプロデューサーとして自分の名前を載せて欲しがったグリン・ジョンズに対して不信感を持ったのも一因だったと云われています。サー・ジョージ・マーティンは「THE GET BACK SESSIONS」をグリン・ジョンズに丸投げしていたものの、1970年3月6日(金曜日)にアップルからリリースした英国では22作目で現役時代で最後のシングル「LET IT BE」は、ガッツリとプロデュースしています。それはもはや「THE GET BACK SESSIONS」のコンセプトからは外れた音源となっていて、「THE GET BACK SESSIONS」音源にオーバーダビングを最初に行ったのは、サー・ジョージ・マーティンとポール・マッカートニーとジョージ・ハリスンとリンゴ・スターと云う、ジョン・レノンを除いたビートルズだったのです。故に、ポールやサー・ジョージ・マーティンがアルバム「LET IT BE」に対して否定的なのは、お前が云うな、なのです。
さて、本題の「MAKING OF “GET BACK”」ですが、CDR1の1「GET BACK」は、1969年1月7日(火曜日)のトゥイッケナム・フィルム・スタジオでのリハーサル音源で、映像作品「GET BACK」でも観れる様になった、ポールがジョージとリンゴの目の前で「GET BACK」を作詞作曲する様子です。2「GET BACK」は、同年1月9日(木曜日)のトゥイッケナム・フィルム・スタジオでのリハーサル音源で、歌詞違いの「DON'T DIG NO PAKISTANIS」です。3「GET BACK」は、同年1月10日(金曜日)のトゥイッケナム・フィルム・スタジオでのリハーサル音源で、この日にジョージ・ハリスンが脱退しています。4「GET BACK」〜7「GET BACK」は、同年1月13日(月曜日)のトゥイッケナム・フィルム・スタジオでのリハーサル音源で、ジョージが脱退中だったので、ポールとジョンとリンゴの3人による鬼気迫る演奏です。8「GET BACK」〜11「GET BACK」は、ジョージが復帰してビリー・プレストンも参加した、同年1月23日(木曜日)のアップル・スタジオでのレコーディング・セッション音源で、徐々にカタチになってきています。ジョンが一生懸命にリード・ギターを弾いていて、ダンダンダンと上手くなってゆきます。CDR2の、1「GET BACK」〜9「GET BACK」は、同年1月24日(金曜日)のアップル・スタジオでのレコーディング・セッション音源で、かなり出来上がった状態になっています。10「GET BACK」〜12「GET BACK」は、同年1月27日(月曜日)のアップル・スタジオでのレコーディング・セッション音源で、11は「GEH RAUS」と題したドイツ語ヴァージョンとフランス語ヴァージョンで、12「GET BACK」は、シングル・ヴァージョンとアルバム「LET IT BE」に収録された「GET BACK」の完成ヴァージョンの元になった音源です。シングル・ヴァージョンはブレイク前までがこの1月27日のヴァージョンで、アルバム「LET IT BE」に収録されたのはブレイクで終わっています。アルバム「LET IT BE」に収録された「GET BACK」の最初に入っているお喋りも、この1月27日のレコーディング・セッション音源です。
13「GET BACK」〜16「GET BACK」は、同年1月28日(火曜日)のアップル・スタジオでのレコーディング・セッション音源で、シングル・ヴァージョンの「GET BACK」でブレイク後に再び始まる「GET BACK」は、この1月28日のヴァージョンを繋いでいます。17「GET BACK」〜19「GET BACK」は、同年1月30日(木曜日)の通称「ルーフトップ・コンサート」音源で、アップル・ビルの屋上でのゲリラ・ライヴ・レコーディング・セッション音源です。この時には「GET BACK」を4回演奏していて、その全てが聴けます。20「GET BACK」は、その「ルーフトップ・コンサート」の最後に演奏したヴァージョンで、音源は19「GET BACK」と同じですが、こちらは公式盤「ANTHOLOGY 3」に収録された音源です。こうしてつづけて収録されていると、同じテイクなのに公式盤音源の方が格段に音が良く音圧も上がっています。リマスターしてこれ程に違うのですから、今度リリースされる箱「ANTHOLOGY」でのジャイルズ・マーティンによる新たなリマスター音源も期待しても平気でしょう。21「GET BACK」は、1969年4月11日(金曜日)にアップルからリリースされたシングル・ヴァージョンで、前述の通り、同年1月27日の演奏がメインで、ブレイク後に同年1月28日の演奏を繋いで完成させています。最後の、22「GET BACK」は、1970年5月8日(金曜日)にアップルからリリースされた、フィル・スペクターのプロデュースによるアルバム「LET IT BE」に収録されたヴァージョンですが、最初のお喋りとメインの演奏は、シングル・ヴァージョンと同じ1969年1月27日の同一テイクです。フィル・スペクター・ヴァージョンではブレイク後には演奏は始まらず、同年1月30日の「ルーフトップ・コンサート」の最後にジョンが云った「これでオーディションに合格する事を望んでいます」と云うジョークが繋げられていて、一同爆笑で終わる様に編集してあります。と云うわけで、全33テイクが全て「GET BACK」なので、コレはマニア向け音源ですし、こう云う編集が好きではないマニアの方もいらっしゃるので、なかなか困ったちゃんな音源集ではあります。
(小島イコ)
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